藤木昌生の密かな楽しみ Vol.40 ~ マヌケなヴィジュアルでセンスあふれる美旋律メロスピを聴かせるFELLOWSHIP

11月20日に英国のパワー・メタル・バンドFELLOWSHIPの2ndアルバム「THE SKIES ABOVE ETERNITY」がリリースされました。

多くの人は「またメロスピかよ」と、まともに試聴しようともせずにスルーしてるかもしれないけど、これがなかなか良いアルバムなんですよ。確かに、ヴィジュアルを見れば「ダメだこりゃ」と思う気持も判りますよ。シンガーは銀行員みたいだし(笑)、普段着の上から取って付けたようにマントとか頭巾とかをまとっている姿に、なんてチープな見てくれの連中なんだと思われても仕方がない。でも、やってる音楽が良ければヴィジュアルなんてどうでもいいじゃないの。もちろん「いや違うだろ、ヴィジュアルだって音楽を楽しむ上で軽視できない要素だぞ」という人はいるでしょうけど、まあ、そういう人は音楽をビジネスとして考えてる人か、あるいは音楽を聴く第一目的が曲を楽しむことではない人、なんだと思います。

このFELLOWSHIPは、2022年にデビュー・アルバム「THE SABERLIGHT CHRONICLES」をリリースした時に「風貌はダサいしMVはマヌケだけど曲は悪くないね」くらいの認識だったんだけど、今回の新作では曲のクオリティ=メロディの魅力が2段階くらいアップしていて、「もしかしてコイツらは本物だったのか!?」と少し興奮してしまいました。ヴィジュアルのダサさは相変わらず…というか、MVを見るともはや半分お笑いに走ってる傾向もあるけど、それでも曲がいいんだから、そんなことは大した問題じゃない。少なくとも、いい曲に触れることが音楽を聴くことの第一目的のリスナーにとってはね。歌メロが素晴らしいし、ギターのピロり具合も心地好い。

これだけのメロディ・センスがあるんだったら、むしろメロスピをやることでリスナー層が限定されてしまうから、普通のメロディック・ロック、あるいは産業ロック系の音に移行した方がいいんじゃないか?と思ったりもするけど、そうすると逆にファンが減るという危険性もあるかもしれない。メロスピでやってた方が、そのジャンルの固定ファンの支持を手堅く得られるという部分は間違いなくあるでしょう。そのへんは難しいですね。メロスピ・ファンの方が「ダサさ」を受け入れてくれる度量はあるだろうし。

ということで、FELLOWSHIPの新作「THE SKIES ABOVE ETERNITY」はオススメです。HEAVENLYやLABYRINTH、メロスピ時代のNOCTURNAL RITESやSONATA ARCTICA、日本のクサメロ・マスターMinstreliXなどが好きな人には是非聴いてみてもらいたいし、GALNERYUSやFAIR WARNINGが好きな人にももしかしたらアピールするかもしれないと思います。
FELLOWSHIP
「THE SKIES ABOVE ETERNITY」

2024年11月20日発売(海外は11月22日発売)

<収録曲>
01. Hold Up Your Hearts (Again)
02. Victim
03. The Bitter Winds
04. Dawnbreaker
05. Eternity
06. King of Nothing
07. World End Slowly
08. A New Hope
09. Memories on the Wind
10. Iron Eyes*
*日本盤ボーナス・トラック
 
FELLOWSHIP
- Hold Up Your Hearts (Again) (Official Video)

 
FELLOWSHIP
- Dawnbreaker (Official Video)

 
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