藤木昌生の密かな楽しみ Vol.16 ~ THE UNCROWNEDの待望のニュー・アルバム「WITNESS」に注目!
THE UNCROWNEDのSHAL<vo>の他界はショックだった。相当なショックだった。彼女が2年前から癌と闘っていることは勿論知っていたけど、万一こんなことが起こるとしても、それはまだしばらく先のことだろうと思っていたし、彼女が人として素晴らしい存在であることを身にしみて実感していたからこそ、余計に衝撃は大きかった。
SHALは、体調の良い時も悪い時も、その強靭な精神力と大きな心で前向きなメッセージをSNSで発信し続け、世の中のあらゆる人々(同じように病に苦しんでいる人も含めて)にポジティヴなパワーを与えてくれていた。それは我々普通の人間にはとても真似できることではなかったし、敬服させられることだった。
皆さんも長いこと生きていれば経験があると思うけど、人間の命というのは、「よくもこんな厳しい状況の中で生き延びたな」という生命力の強さに驚かされるケースがある一方で、「こんなにあっけなく…」とその脆さを痛切に感じさせるケースもある。SHALがどちらのケースかは一概には言えないが、それでも、素晴らしい人柄と抜群の歌の才能で多くの人から愛された彼女が、あの若さで命を奪われるというのは、とてもフェアだとは思えないし、神も仏もあったもんじゃないなと思う。
SHALと初めて会ったのは、彼らのデビュー・アルバム「REVIVE」が発売される1ヵ月ほど前の2016年11月だった。インタビュー取材でオフィスにやってきた彼女は、170cmを超えるイケイケ風のカッコいいおねーさんで、内心「上から目線で話すような人だったらどうしよう」みたいな不安を覚えたりもしたのだが(笑)、実際に話してみると、実に素朴で謙虚で、その飾らない人柄がとてもチャーミングな女性だった。
その後、彼女とは仕事とは別に何度かTakeshiも含めて一緒に過ごす機会があったし、ここ2年ほどは時々メールで近況報告をしてくれたり、ちょっとしたプレゼント(お土産)を送ってくれたりして、まさに優しさと気遣いの人、それがSHALだった。
彼女は中森明菜のファンということで、僕も中森明菜に関してはごく初期だけ好きだったので(笑)、「あの曲いいよね~」なんて話もしたし、他にも昭和歌謡が好きだと言うので、僕のおすすめの昭和歌謡をメールで送ったりもしていた。その中で、チューリップの名バラード”青春の影”を送ってみたら、「この曲、うちの父が大好きでよく聴いてました! 思わず泣いちゃいました!」と返事をくれたことが心に残っている。あと、リチャード・マークスの”Now And Forever”もおすすめしたら凄く気に入ってくたな~。
そんなSHALが、病と闘いながら作り上げたTHE UNCROWNEDのニュー・アルバム「WITNESS」が9月21日にリリースされる。レコーディング中も常にSHALの体調には波があり、なかなか作業が進まず苦労していたことは聞いていたが、出来上がった音を聴いてみれば、深刻な病と闘いながらレコーディングしたとは思えないようなSHALの素晴らしい歌が刻まれている。ほどほどの線で妥協することを良しとしなかったSHALとTakeshiのこだわりの成果だと思うし、文字どおりSHALの魂の叫びであり、渾身の歌唱だと思う。
率直に言えば、前作「REVIVE」とは多少方向性は異なっている。前作よりもメタル色は薄れているし、クサメロの類も控えめになっている。なので、「前作を気に入った人なら買って間違いなし!」みたいなことは言わない。ただ、90年代ビーイング系から影響を受けた曲作りのセンスには卓越したものがあるし、叙情的でキャッチーなメロディがたっぷり盛り込まれている点は変わらない。だから、好きな音楽のスタイルがかなり具体的に定まっている人は、あまり過剰な期待はしない方がいいかもしれない。一方で、多くのリスナーが「前作とは感触が違うけど、これはこれでいいよね」と感じてくれるのではないかと僕は期待している。そして、SHALが命を削りながら吹き込んだこのレコードを、1人でも多くの人に聴いてもらいたいと思っている。
僕は、公式発表よりも少し前にTakeshiが連絡をくれてSHALの他界を知ったのだが、その時にTakeshiはご遺族と相談してどのタイミングで訃報を発表するか決めたいと言っていた。そして、「SHALだったら『お盆休みでみんなが楽しく過ごしている時に悲しいお知らせをするのは嫌だ』と言うに違いない」という判断により、お盆明けの8月17日に公式発表することになった。まさにSHALならそう思っただろうし、ベストな判断だったと思う。そして、SHALのツイッター・アカウントに投稿されたお母様からのメッセージも素晴らしいものだった。
今から1ヵ月後、皆さんが「WITNESS」を聴いてどんな反応をするのか、SHALも天国から楽しみに見ていると思います。
SHALは、体調の良い時も悪い時も、その強靭な精神力と大きな心で前向きなメッセージをSNSで発信し続け、世の中のあらゆる人々(同じように病に苦しんでいる人も含めて)にポジティヴなパワーを与えてくれていた。それは我々普通の人間にはとても真似できることではなかったし、敬服させられることだった。
皆さんも長いこと生きていれば経験があると思うけど、人間の命というのは、「よくもこんな厳しい状況の中で生き延びたな」という生命力の強さに驚かされるケースがある一方で、「こんなにあっけなく…」とその脆さを痛切に感じさせるケースもある。SHALがどちらのケースかは一概には言えないが、それでも、素晴らしい人柄と抜群の歌の才能で多くの人から愛された彼女が、あの若さで命を奪われるというのは、とてもフェアだとは思えないし、神も仏もあったもんじゃないなと思う。
SHALと初めて会ったのは、彼らのデビュー・アルバム「REVIVE」が発売される1ヵ月ほど前の2016年11月だった。インタビュー取材でオフィスにやってきた彼女は、170cmを超えるイケイケ風のカッコいいおねーさんで、内心「上から目線で話すような人だったらどうしよう」みたいな不安を覚えたりもしたのだが(笑)、実際に話してみると、実に素朴で謙虚で、その飾らない人柄がとてもチャーミングな女性だった。
その後、彼女とは仕事とは別に何度かTakeshiも含めて一緒に過ごす機会があったし、ここ2年ほどは時々メールで近況報告をしてくれたり、ちょっとしたプレゼント(お土産)を送ってくれたりして、まさに優しさと気遣いの人、それがSHALだった。
彼女は中森明菜のファンということで、僕も中森明菜に関してはごく初期だけ好きだったので(笑)、「あの曲いいよね~」なんて話もしたし、他にも昭和歌謡が好きだと言うので、僕のおすすめの昭和歌謡をメールで送ったりもしていた。その中で、チューリップの名バラード”青春の影”を送ってみたら、「この曲、うちの父が大好きでよく聴いてました! 思わず泣いちゃいました!」と返事をくれたことが心に残っている。あと、リチャード・マークスの”Now And Forever”もおすすめしたら凄く気に入ってくたな~。
そんなSHALが、病と闘いながら作り上げたTHE UNCROWNEDのニュー・アルバム「WITNESS」が9月21日にリリースされる。レコーディング中も常にSHALの体調には波があり、なかなか作業が進まず苦労していたことは聞いていたが、出来上がった音を聴いてみれば、深刻な病と闘いながらレコーディングしたとは思えないようなSHALの素晴らしい歌が刻まれている。ほどほどの線で妥協することを良しとしなかったSHALとTakeshiのこだわりの成果だと思うし、文字どおりSHALの魂の叫びであり、渾身の歌唱だと思う。
率直に言えば、前作「REVIVE」とは多少方向性は異なっている。前作よりもメタル色は薄れているし、クサメロの類も控えめになっている。なので、「前作を気に入った人なら買って間違いなし!」みたいなことは言わない。ただ、90年代ビーイング系から影響を受けた曲作りのセンスには卓越したものがあるし、叙情的でキャッチーなメロディがたっぷり盛り込まれている点は変わらない。だから、好きな音楽のスタイルがかなり具体的に定まっている人は、あまり過剰な期待はしない方がいいかもしれない。一方で、多くのリスナーが「前作とは感触が違うけど、これはこれでいいよね」と感じてくれるのではないかと僕は期待している。そして、SHALが命を削りながら吹き込んだこのレコードを、1人でも多くの人に聴いてもらいたいと思っている。
僕は、公式発表よりも少し前にTakeshiが連絡をくれてSHALの他界を知ったのだが、その時にTakeshiはご遺族と相談してどのタイミングで訃報を発表するか決めたいと言っていた。そして、「SHALだったら『お盆休みでみんなが楽しく過ごしている時に悲しいお知らせをするのは嫌だ』と言うに違いない」という判断により、お盆明けの8月17日に公式発表することになった。まさにSHALならそう思っただろうし、ベストな判断だったと思う。そして、SHALのツイッター・アカウントに投稿されたお母様からのメッセージも素晴らしいものだった。
今から1ヵ月後、皆さんが「WITNESS」を聴いてどんな反応をするのか、SHALも天国から楽しみに見ていると思います。
THE UNCROWNED
「WITNESS」
発売日:2022年9月21日(水)
レーベル:Walküre Records (ワルキューレ・レコード)
フォーマット:CD
規格番号:WLKR-0069
販売価格:税抜¥3,000 / 税込¥3,300
<収録曲>
01. MOON BEAMS
02. WITNESS
03. COLD SIGH
04. PARALLEL LINE
05. SUSTAINABLE
06. Ne-GT
07. SAW
08. JANUS
09. LAST MEMORY ~四月の風~
10. LAST ONE
THE UNCROWNED are
SHAL - Vocal
Takeshi - Guitar,Keyboards,Additional Bass
Guest Musician
Naoki (ex.THE UNCROWNED) - Bass
Konta Kudoh - Drum,Percussion
THE UNCROWNED ウェブサイト https://uncrownedband.wixsite.com/uncrowned
Takeshi ツイッター https://twitter.com/takeshi_guitar_
SHAL ツイッター https://twitter.com/shal_uncrowned
「WITNESS」
発売日:2022年9月21日(水)
レーベル:Walküre Records (ワルキューレ・レコード)
フォーマット:CD
規格番号:WLKR-0069
販売価格:税抜¥3,000 / 税込¥3,300
<収録曲>
01. MOON BEAMS
02. WITNESS
03. COLD SIGH
04. PARALLEL LINE
05. SUSTAINABLE
06. Ne-GT
07. SAW
08. JANUS
09. LAST MEMORY ~四月の風~
10. LAST ONE
THE UNCROWNED are
SHAL - Vocal
Takeshi - Guitar,Keyboards,Additional Bass
Guest Musician
Naoki (ex.THE UNCROWNED) - Bass
Konta Kudoh - Drum,Percussion
THE UNCROWNED ウェブサイト https://uncrownedband.wixsite.com/uncrowned
Takeshi ツイッター https://twitter.com/takeshi_guitar_
SHAL ツイッター https://twitter.com/shal_uncrowned
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