藤木昌生の密かな楽しみ Vol.41 ~ STRYPERのアコースティック・アルバムがナイスです!
STRYPERが9月にニュー・アルバム「WHEN WE WERE KINGS」をリリースしましたね。多くのメロディ派リスナーがチェック済みだと思いますが、僕が今回おすすめしたいのは、その前にリリースされていた(日本盤は「WHEN WE WERE KINGS」の後に出たけど)彼らのアコースティック・アルバム「TO HELL WITH THE AMPS」なのです。彼らの3rd「TO HELL WITH THE DEVIL」のタイトルをもじって「(ギター)アンプと共に地獄へ堕ちろ」というのもトンチが利いていていいですね。(笑)
最近はアコースティック・アルバムといっても、まったく新鮮味がないというか、本チャンの作品の合間に出す「余興」「つなぎ」みたいな印象を持たれていて、あまり聴く気がしないと思ってるリスナーも多いのでは? 90年代初頭にTESLAの「FIVE MAN ACOUSTICAL JAM」がヒットしたことでロック界にアンプラグド・ブームが発生して、デス系以外のバンドは猫も杓子もアコースティック・アルバムを出していたし、『MTV UNPLUGGED』という番組も生まれて、多くのロック・コンサートで”アコースティックの部”が設けられるようになりましたね。あのブームも、もう30年前の話か…。
だから、今頃STRYPERのアコースティック・アルバムだと言われても、特にワクワクした思いで再生ボタンをクリックしたわけじゃなかった。家で昼飯の鍋の具材を包丁で切りながら、「今日のBGMはこれにすっか」と何の気なしに聴き始めたんですが、しばらくするとノリノリで身体を動かしながらニンジンを刻んでましたね。(笑)
アコースティック映えする音楽の条件は何か? まず、メロディが素晴らしい(美しい)こと。いや、まあメロディがいい加減なアーティストでも本人やファンが「アコースティックならではの違った面が聴けて素晴らしかった」と言い張るなら、それはそうなんでしょうけど(笑)、もともとのメロディがそれだけで独立してアピールできるほど強力であれば、アコースティックになった時にその強力さが浮き彫りになって、エレクトリック・ヴァージョンと同等かそれ以上の効力を発揮するもの。さらに、メンバーのヴォーカル・ハーモニーの能力が高ければ鬼に金棒。これも、普段はエレクトリック・ヴァージョンで音圧にかき消されがちだったヴォーカル・ハーモニーが浮き彫りになるという点で、アコースティック・ヴァージョンの大きな魅力になると思います。
この「メロディの美しさ」と「ヴォーカル・ハーモニーの技術」という2つの要素を考えた時、STRYPERほどアコースティック作品を作るに相応しいアーティストはいないわけですよ。そう思いませんか? そのことに気づかず、彼らがアコースティック・アルバムを出すと聞いた時に、他の多くのバンドがその手の作品を出す時のように、全然ワクワクせずに「またかよ」的な感覚になってしまった自分が恥ずかしい。(苦笑) いや、それ以前に、どうして彼らは今までアコースティック作品を出そうと思わなかったのか? もっと早くやれっつーの。(笑)
あと、このアルバムが、スタジオで作った(作り込んだ)アコースティック作品ではなく、アコースティック・ライヴを一発録りで収録した作品だというのもいいですね。それゆえ少し雑な部分もあるけど、だからこそ臨場感・生々しさが伝わってきて、これぞアコースティック作品の醍醐味という感じ。
というのが、「TO HELL WITH THE AMPS」を聴いて感じたことですね。収録曲の多くが80年代の曲だというのも大きくプラスに作用してると思います。個人的な趣味からすると、再結成後のアルバムは、どれも悪くはないんだけど、往年のメロディの素晴らしさが感じられる曲は1枚のアルバムに1~2曲あるかないか、というのが正直なところだから…。いや、もしかしたら、再結成後からSTRYPERを聴き始めたリスナーからすると、「再結成後も80年代と同じくらい曲は良いよ」とか「むしろ再結成後の方がメロディは良いぞ」と感じてるかもしれないし、それは80年代のSTRYPERを聴きながら生きてきてしまった自分には判断できないから、何とも言えないんだけど…。
今回、STRYPERのこれを聴いて、他にアコースティック作品を出したら良さそうなバンドはいるかな?と考えて思いついたのがPRAYING MANTIS。彼らも美メロとハーモニーが売りのバンドなのに、これまでアコースティック作品はやってないから、絶対やるべきだと思いませんか? PRAYING MANTISに関しては、僕はデビュー当時から聴いていながらも、それほどハーモニーが強力なバンドというイメージがなかったんだけど、1993年に伊藤政則さんのTV番組で彼らがアコースティック・パフォーマンスを披露した時にその素晴らしさに感激しちゃってね。確か、名盤「A CRY FOR THE NEW WORLD」に伴う来日公演が決定したのに、コリン・ピール<vo>が急に脱退して来日公演が延期になってしまったので、せめてプロモ来日だけでもということでティノ・トロイ<g>、クリス・トロイ<b>、デニス・ストラットン<g>の3人が来日して、伊藤さんの番組に出演したんだったと思う。彼らの3声ハーモニーは絶品で、それぞれがリードで歌っても全然問題ない。「もうシンガー探す必要ないじゃん」と思ったものです。(笑) その時の映像がここにアップされてますね。皆さん、SNSを通じて彼らに「アコースティック・アルバムを作れ」とリクエストしましょう!
で、さっきSTRYPERの再結成後のアルバムは今イチみたいな話をしておいてナンですが、最新作「WHEN WE WERE KINGS」が予想外にいいんですよ! いや~意外でした…と言っちゃ失礼ですが(笑)、STRYPERの新作でこれほど手応えを感じたのは久しぶりだと思います。「いや、それは単にお前の好みだろ」と言われれば、たぶんそうなんだと思います。(笑) そう、「WHEN WE WERE KINGS」には僕の心に響くメロディがたくさん入ってるし、さすがSTRYPER、さすがマイケル・スウィートと思えるメロディがたくさん入ってます。なので、再結成後のSTRYPERに対する興味が薄れていた人も今回のニュー・アルバムはぜひ聴いてみてほしいです。
最近はアコースティック・アルバムといっても、まったく新鮮味がないというか、本チャンの作品の合間に出す「余興」「つなぎ」みたいな印象を持たれていて、あまり聴く気がしないと思ってるリスナーも多いのでは? 90年代初頭にTESLAの「FIVE MAN ACOUSTICAL JAM」がヒットしたことでロック界にアンプラグド・ブームが発生して、デス系以外のバンドは猫も杓子もアコースティック・アルバムを出していたし、『MTV UNPLUGGED』という番組も生まれて、多くのロック・コンサートで”アコースティックの部”が設けられるようになりましたね。あのブームも、もう30年前の話か…。
だから、今頃STRYPERのアコースティック・アルバムだと言われても、特にワクワクした思いで再生ボタンをクリックしたわけじゃなかった。家で昼飯の鍋の具材を包丁で切りながら、「今日のBGMはこれにすっか」と何の気なしに聴き始めたんですが、しばらくするとノリノリで身体を動かしながらニンジンを刻んでましたね。(笑)
アコースティック映えする音楽の条件は何か? まず、メロディが素晴らしい(美しい)こと。いや、まあメロディがいい加減なアーティストでも本人やファンが「アコースティックならではの違った面が聴けて素晴らしかった」と言い張るなら、それはそうなんでしょうけど(笑)、もともとのメロディがそれだけで独立してアピールできるほど強力であれば、アコースティックになった時にその強力さが浮き彫りになって、エレクトリック・ヴァージョンと同等かそれ以上の効力を発揮するもの。さらに、メンバーのヴォーカル・ハーモニーの能力が高ければ鬼に金棒。これも、普段はエレクトリック・ヴァージョンで音圧にかき消されがちだったヴォーカル・ハーモニーが浮き彫りになるという点で、アコースティック・ヴァージョンの大きな魅力になると思います。
この「メロディの美しさ」と「ヴォーカル・ハーモニーの技術」という2つの要素を考えた時、STRYPERほどアコースティック作品を作るに相応しいアーティストはいないわけですよ。そう思いませんか? そのことに気づかず、彼らがアコースティック・アルバムを出すと聞いた時に、他の多くのバンドがその手の作品を出す時のように、全然ワクワクせずに「またかよ」的な感覚になってしまった自分が恥ずかしい。(苦笑) いや、それ以前に、どうして彼らは今までアコースティック作品を出そうと思わなかったのか? もっと早くやれっつーの。(笑)
あと、このアルバムが、スタジオで作った(作り込んだ)アコースティック作品ではなく、アコースティック・ライヴを一発録りで収録した作品だというのもいいですね。それゆえ少し雑な部分もあるけど、だからこそ臨場感・生々しさが伝わってきて、これぞアコースティック作品の醍醐味という感じ。
というのが、「TO HELL WITH THE AMPS」を聴いて感じたことですね。収録曲の多くが80年代の曲だというのも大きくプラスに作用してると思います。個人的な趣味からすると、再結成後のアルバムは、どれも悪くはないんだけど、往年のメロディの素晴らしさが感じられる曲は1枚のアルバムに1~2曲あるかないか、というのが正直なところだから…。いや、もしかしたら、再結成後からSTRYPERを聴き始めたリスナーからすると、「再結成後も80年代と同じくらい曲は良いよ」とか「むしろ再結成後の方がメロディは良いぞ」と感じてるかもしれないし、それは80年代のSTRYPERを聴きながら生きてきてしまった自分には判断できないから、何とも言えないんだけど…。
今回、STRYPERのこれを聴いて、他にアコースティック作品を出したら良さそうなバンドはいるかな?と考えて思いついたのがPRAYING MANTIS。彼らも美メロとハーモニーが売りのバンドなのに、これまでアコースティック作品はやってないから、絶対やるべきだと思いませんか? PRAYING MANTISに関しては、僕はデビュー当時から聴いていながらも、それほどハーモニーが強力なバンドというイメージがなかったんだけど、1993年に伊藤政則さんのTV番組で彼らがアコースティック・パフォーマンスを披露した時にその素晴らしさに感激しちゃってね。確か、名盤「A CRY FOR THE NEW WORLD」に伴う来日公演が決定したのに、コリン・ピール<vo>が急に脱退して来日公演が延期になってしまったので、せめてプロモ来日だけでもということでティノ・トロイ<g>、クリス・トロイ<b>、デニス・ストラットン<g>の3人が来日して、伊藤さんの番組に出演したんだったと思う。彼らの3声ハーモニーは絶品で、それぞれがリードで歌っても全然問題ない。「もうシンガー探す必要ないじゃん」と思ったものです。(笑) その時の映像がここにアップされてますね。皆さん、SNSを通じて彼らに「アコースティック・アルバムを作れ」とリクエストしましょう!
で、さっきSTRYPERの再結成後のアルバムは今イチみたいな話をしておいてナンですが、最新作「WHEN WE WERE KINGS」が予想外にいいんですよ! いや~意外でした…と言っちゃ失礼ですが(笑)、STRYPERの新作でこれほど手応えを感じたのは久しぶりだと思います。「いや、それは単にお前の好みだろ」と言われれば、たぶんそうなんだと思います。(笑) そう、「WHEN WE WERE KINGS」には僕の心に響くメロディがたくさん入ってるし、さすがSTRYPER、さすがマイケル・スウィートと思えるメロディがたくさん入ってます。なので、再結成後のSTRYPERに対する興味が薄れていた人も今回のニュー・アルバムはぜひ聴いてみてほしいです。
STRYPER
「TO HELL WITH THE AMPS」
2024年9月25日発売
<収録曲>
01. You Know What To Do
02. Soldiers Under Command
03. No More Hell To Pay
04. Make You Mine
05. Loud & Clear
06. Lady
07. Honestly
08. Calling On You
09. Amazing Grace
10. Always There For You
11. All For One
「TO HELL WITH THE AMPS」
2024年9月25日発売
<収録曲>
01. You Know What To Do
02. Soldiers Under Command
03. No More Hell To Pay
04. Make You Mine
05. Loud & Clear
06. Lady
07. Honestly
08. Calling On You
09. Amazing Grace
10. Always There For You
11. All For One
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STRYPER
「WHEN WE WERE KINGS」
2024年9月13日発売
<収録曲>
01. End Of Days
02. Unforgivable
03. When We Were Kings
04. Betrayed By Love
05. Loves Symphony
06. Trinity
07. Rhyme Of Time
08. Raptured
09. Grateful
10. Divided By Design
11. Imperfect World
12. Grateful(alternate mix)*
*日本盤ボーナス・トラック
「WHEN WE WERE KINGS」
2024年9月13日発売
<収録曲>
01. End Of Days
02. Unforgivable
03. When We Were Kings
04. Betrayed By Love
05. Loves Symphony
06. Trinity
07. Rhyme Of Time
08. Raptured
09. Grateful
10. Divided By Design
11. Imperfect World
12. Grateful(alternate mix)*
*日本盤ボーナス・トラック
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