藤木昌生の密かな楽しみ Vol.36 ~ 気まぐれプレイリスト 20

皆さん、こんにちは。まだ6月だというのに暑いですね~。去年も6月下旬に真夏になって、そこからずっと3ヵ月くらい真夏が続いた記憶があるけど、今年もそうなるのかな。僕が子供の頃は(高級品である)クーラーなんてナシで生活してたし、一番暑い時期でも「うわ~32℃もあるよ、今日は暑いね~」なんて言っていた。そのへんを走ってる電車も、クーラー付きの電車なんて数本に1本で、クーラー付きが来ると「ラッキー!」と歓喜したもんです。今のように地球がおかしくなる前に自分の人生の多くの時間を過ごせたのは幸せなことなのかも…。今のこの日本の気候で、毎日6~10時間くらい過ごす学校がクーラーなしだったとしたら地獄だよな~。

それでは、気まぐれプレイリストの第20弾に行ってみましょう。

SIDE A
1. SEO MOON TAK ”Marionette”→ Spotifyで聴く
韓国出身のソムン・タクの日本デビュー2作目「NOW HERE」からの曲。SHOW-YAへのオマージュたっぷりですね~。(笑) アルバムには永川敏郎、大谷令文、高橋ヨシロウ、マーティさんなどが参加していた。彼女は韓国でそれなりに成功してたんだけど、日本市場にチャレンジしたいということで単身来日して日本語学校に通い、ラーメン屋でバイトしながら音楽活動をしていたという見上げたスピリットの持ち主。ちょうど彼女と知り合った頃、DREAM THEATERの来日公演を観に行きたいということで、神奈川県民ホールまで連れて行ってあげたことがあったな~。歌唱力は本当に凄まじくて、日本とはレベチだなという気がします。この歌声、THE UNCROWNEDの曲にハマりそうだと思いませんか?(笑)
2. AVIARY ”Soaring” → Spotifyで聴く
70年代後半~80年代前半のアメリカン・プログレ・ハード系の掘り出し物バンドの1つですね。1979年のデビュー作のオープニングを飾る名曲。僕は90年代初頭に高田馬場の中古盤屋『BLACK DIAMOND』でジャケ買いして、大当たりでした。(笑) 儚げで切ないメロディがたまらないよね~。おセンチな時のQUEENに通じる美しさ。かつてLANA LANEがカヴァー・アルバムを作るにあたって「我々にハマる曲で、日本のファンにもウケそうな曲の候補を挙げてくれないか」と依頼されてね。僕が推薦した曲を結構多く採用してもらえたんだけど、その中にこの曲もあって、エリク・ノーランダーから「このバンドは知らなかったけど本当に素晴らしい曲で感謝するよ」と言ってもらえて良かった。
3. NIGHTWISH ”Amaranth” → Spotifyで聴く
アネット・オルゾン加入第1弾アルバム「DARK PASSION PLAY」からの曲。アネットが在籍していたALYSON AVENUEのことは知っていて、音楽もヴォーカルも素晴らしいと思ってたんだけど、写真で見たアネットがかなり垢抜けてなかったんで、彼女が天下のNIGHTWISHに加入したと聞いた時は大丈夫かよ!?と不安になったものでした。でも、さすが大物バンド、アネットを見事ゴスでおしゃれなイメージに塗り替えてました。(笑) で、この曲はアネットのチャーミングな歌声だからこその名曲だと思うし、NIGHTWISHの可能性を広げた1曲じゃないでしょうか。絶品のサビが流れてくると、思わず首がヨコに揺れるんだよね。タテじゃなくてヨコに。
4. SURVIVOR ”Desperate Dreams” → Spotifyで聴く
気まぐれプレイリストにSURVIVORが登場するのは初めてですよね? 初めてだからどの曲にしようか迷ったけど、あえて多くの人が知ってるヒット曲じゃないこの曲にしました。普通の人が知らないアルバム・トラックにこんな凄い曲があるんですよ、みたいな意味も込めて。「VITAL SIGNS」「WHEN SECONDS COUNT」という超強力な2作の後にリリースされた「TOO HOT TO SLEEP」は、バンドが崩壊状態にあったからかどうかは判らないけど、完成度がガクンと落ちて、冴えない曲が大半を占めていた。その中で燦然と輝いていたのがこの曲。やっぱジム・ピートリックすげー!となりますね。こんなコード進行にこんなメロディを乗せるなんて10年考えても思いつかねーよ!って感じ。そしてジミ・ジェイミソンの情感豊かな歌声!
5. FREAK OF NATURE ”The Parting” Spotifyで聴く
WHITE LIONで爽やかなポップ・メタルをやっていたマイク・トランプが新たに結成したこのFREAK OF NATUREの音楽を最初に聴いた時は、「ああ、お前もか」と思いました。思ったよね? 思ったでしょ?(笑) つまり、グランジ/オルタナティヴのブームに感化されたのだと。だから、彼らの1stアルバムは印象に残ってなかったし、2nd「GATHERING OF FREAKS」も単に「ながら聴き」で済ませてたんだけど、ラストに登場したこの曲には思わず色めき立ちました。この曲というか、この曲のエンディングのギター・ソロに。聴きながら顔面は放送禁止状態ですよ。フェイドアウトが早すぎる。もっと聴いていたい。山ほど練習して正確無比な速弾きを習得しても、こういうギターは弾けるようにならない。これを弾いてたケニー・コレイドは今どこに?

SIDE B

1. GILLAN ”Bite The Bullet” → Spotifyで聴く
イアン・ギラン率いるGILLANは以前にもこのコラムで取り上げたことがあって、その時にも書いたけど、バラバラのキャラを持ったメンバーが集った面白いバンドだった。1984年のDEEP PURPLE再結成がなかったら、このGILLANはさらに凄いバンドになっていたかも…と思いますね。このバンドの中で、創作面で重要な存在だったのはコリン・タウンズ<key>で、教授と呼ばれるようなキャラだったと思うけど、彼の才能が存分に発揮されたのがこの曲。ギター・リフが魅力的な曲は多々あれど、キーボード(ピアノ)リフで心を奪われた曲はこの曲以外にあまり思いつかない。このエキセントリックなリフと、ドラマティックな曲展開がいいですね~。
2. 浜田朱里 ”想い出のセレナーデ” → Spotifyで聴く
すみません、久しぶりの昭和アイドル歌謡です。浜田朱里のことはデビュー当時から知ってはいたものの、特に惹かれる曲はなく、そのまま忘れてたんだけど、大人になってからたまたまこの曲に出くわして、浜田朱里にこんな良い曲があったのか!と。調べてみたら、元々は彼女の一世代前のアイドル天地真理が歌ってた曲のカヴァーだそうで。でも、この浜田朱里が歌ったヴァージョンの方が声の表情が豊かで僕の好みですね。YouTubeで歌ってる動画を観たら、実に可愛らしいお嬢さんで(いや、僕よりも年上なんだけど)、胸キュンしてしまいました。(笑) デーモン閣下が世仮の高校時代に浜田朱里と興味深い関係にあったという話は面白かったな~。
3. SURROUND ”Natten Har En Helmghet” → Spotifyで聴く
詳細不明のスウェーデンのバンドの2006年の「VARJE STEG DU TAR」より。どういう経緯でゲットしたのか覚えてないけど、『AOR Heaven』の通販で買ったのかもしれない。当時、BURRN!の今月のおすすめで紹介したかも…。ご覧のとおり、日本人的な感覚からすると購買欲をそがれるジャケで、美麗なハード・ポップ・サウンドが詰め込まれてるアルバムだなんてとても想像できないけど、実際は柔和でキャッチーでフックのあるメロハー曲が詰め込まれてるんですよ。歌詞は1曲を除いて全部スウェーデン語ですが、そんなこたあどうでもいい。この麗しいメロディを前にして歌詞の言語なんて気になります? 気になるのだとしたら、あなたはあまり音楽が好きじゃない人間なんだと思いますよ。(笑)
4. CLOCKWISE ”Run The Race” → Spotifyで聴く
孤高の泣きメロ・メーカー、ベニー・スドベリ率いるCLOCKWISEのデビュー作「NOSTALGIA」からの曲。ベニーがこれの前にやってたFORTUNEはデビュー作が凄すぎたせいもあって、2作目、3作目とトーンダウンしていった感があったけど、新たにヤン・グランウィック(GLORY)らと結成したこのCLOCKWISEでは、ベニーの持ち前の才能が再び輝きを放っていたと思います。今回の気まぐれプレイリストの1曲目に選んだAVIARY”Soaring”にも通じる儚なさ・切なさを感じさせるメロディ、それがベニーの魅力だと思いますが、「NOSTALGIA」にはそういう曲がいくつも発見できました。
5. JOHN MILES ”Music” → Spotifyで聴く
ジョン・マイルズについてはBURRN!の温故知新コーナーでも紹介したことがありました。僕は最初に1985年リリースのアルバムで彼に出会い、その後、遡って1976年のデビュー・アルバム「REBEL」を買ったところ、この名曲が収録されていたんです。美しいメロディと起伏のある劇的展開を持った曲が素晴らしいのは勿論のこと、「音楽は私にとって初恋だった。そして最後の恋にもなるだろう」という歌詞のおかげで世界中の音楽ファンを魅了して、ヨーロッパではスタンダード曲になりました。彼は2021年に72歳で亡くなったけど、60代後半まで昔と変わらぬ素晴らしい歌声でこの曲を大観衆の前で熱唱していました。彼がオーケストラ&合唱団と共にこの曲を熱演している映像を観ると、いつも胸が一杯になって涙がこみ上げてきます。

★上記10曲がまとまったプレイリストは → Spotifyで聴く

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