藤木昌生の密かな楽しみ Vol.22 ~ MANTRIC MOMENTUMというバンドのデビュー作がなかなか良いですよ!
先週コラムをアップしたばかりなのに、早くも新しいコラムです。というのも、「これ、いいじゃん! え、日本盤出てないの?」と思った新譜があったので、熱が冷めないうちに軽くサッと紹介しておこうかなと思いまして。
その新譜とは、11月に『Frontiers Records』からリリースされたMANTRIC MOMENTUMのデビュー・アルバム「TRIAL BY FIRE」です。『Frontiers』は今でも律儀に新譜の音を全部送ってきてくれるので、こういう掘り出し物も発見できるんです。逆に言えば、『Frontiers』作品以外は聴ける機会がかなり減っているので、知らないままスルーしている秀作も結構あるとは思いますが…。
MANTRIC MOMENTUMはテリエ・ハロイ<vo>とマルチ・プレイヤーのクリスター・ハロイによるプロジェクトで、テリエは2015年からPYRAMAZEのフロントマンを務めている男。PYRAMAZEといえばあーた、これまでランス・キング(BALANCE OF POWER)、マット・バーロウ(ICED EARTH)、アーバン・ブリード(TAD MOROSE、BLOODBOUND)といった錚々たる(?)シンガーたちが在籍してきたバンドじゃないすか。もう何年も新作は聴いてなかったから、テリエの存在は記憶になかったけど。(苦笑)
もともとMANTRIC MOMENTUMはクリスタ―のプロジェクトで、彼がDIVIDED MULTITUDE、TEODOR TUFF、CROSSNAILといったバンドでの活動の合間を縫いながら2011年から取り組んでいて、2017年にはヤニス・パパドプロス(WARDRUM、BEAST IN BLACK)をヴォーカルに起用した”Immortal”、2020年にはラルフ・シーパース(GAMMA RAY、PRIMAL FEAR)をヴォーカルに起用した”Temple Of My Fears”、2021年にはネッタ・ローレンネ(SMACKBOUND、LAURENNE/LOUHIMO)をヴォーカルに起用した”Shattered”といったシングルをリリースしていた。
そして、そろそろフル・アルバムを作りたいと思って、従兄弟のテリエに声を掛けて、このデビュー作「TRIAL BY FIRE」をレコーディングしたというのだ。
音楽性は、ひとことで言えば正統派メタル。『Frontiers』はメロハー/産業ロック系に関しては抜群のセンスを持ってるけど、正統派メタルに関しては「?」のものが多いというか、日本人の好みにはあまり合わないものを繰り出してくる印象だったので(笑)、このMANTRIC MOMENTUMに関しても、ジャケのデザインを見た瞬間、「うわ~またこの手かよ」と思ってしまったことは正直に告白しておきます。「この手」というのは、音は間違いなく正統派メタルど真ん中なんだけど、曲作りもリフもメロディもありがちでフックがなく、聴き終わった後の印象が「メタルだったな…」以外に何も残らないタイプ。(笑)
しかし、このMANTRIC MOMENTUMには、アルバムを聴き進めていくうちにどんどん引き込まれていく曲(メロディ)の良さがあった。音楽を人に薦める場合には、近いと思われるサウンドのアーティスト名を挙げるのが一番有効(たとえ薦められた側が結果的に「え~? 全然違うじゃん」と言ったとしても)だと思うので具体的に言っておくと、僕はMANTRIC MOMENTUMを聴いて「DYNASTYを重く荒っぽくしたような感じ」、あるいは「MARSHALL LAWをモダンにアップデートしたような感じ」という感想を抱いた。MARSHALL LAWって覚えてますか? 80年代末から90年代にかけて頑張っていた英国のメタル・バンドですよ。僕がDYNASTYやMARSHALL LAWを連想したのは、シンガーの歌声の感触が近いというのもあるかもね。
メロハー/産業ロック系に関しては、その手のものなら何でも買って聴いておかないと気が済まないマニアが日本には一定数いるから、今でもズブの新人バンドのアルバムでも日本発売されてるけど、正統派メタル系になるとそうはいかない。このMANTRIC MOMENTUMは、メロハー系ではないし、ルックスがイケてるわけでもないし(失礼!)、日本人が何故か好むバンド形態でもないので、レコード会社としては日本盤をリリースして(最低限の)元が取れるかどうかは音楽内容のみに頼るしかなく、ある種の賭けになってくる。となると、このMANTRIC MOMENTUMも(以前このコラムで取り上げたNASSONのアルバムのように)日本発売されなかったとしても仕方ないんだろうなとは思う。
とはいえ、日本発売されなかったことでメディアに取り上げられる機会も減って、多くのメタル・ファンに気づいてもらえず終わるのは気の毒なくらい良い音楽内容だと思ったので、ここでこうして取り上げてみた次第です。良かったら聴いてみてください。
その新譜とは、11月に『Frontiers Records』からリリースされたMANTRIC MOMENTUMのデビュー・アルバム「TRIAL BY FIRE」です。『Frontiers』は今でも律儀に新譜の音を全部送ってきてくれるので、こういう掘り出し物も発見できるんです。逆に言えば、『Frontiers』作品以外は聴ける機会がかなり減っているので、知らないままスルーしている秀作も結構あるとは思いますが…。
MANTRIC MOMENTUMはテリエ・ハロイ<vo>とマルチ・プレイヤーのクリスター・ハロイによるプロジェクトで、テリエは2015年からPYRAMAZEのフロントマンを務めている男。PYRAMAZEといえばあーた、これまでランス・キング(BALANCE OF POWER)、マット・バーロウ(ICED EARTH)、アーバン・ブリード(TAD MOROSE、BLOODBOUND)といった錚々たる(?)シンガーたちが在籍してきたバンドじゃないすか。もう何年も新作は聴いてなかったから、テリエの存在は記憶になかったけど。(苦笑)
もともとMANTRIC MOMENTUMはクリスタ―のプロジェクトで、彼がDIVIDED MULTITUDE、TEODOR TUFF、CROSSNAILといったバンドでの活動の合間を縫いながら2011年から取り組んでいて、2017年にはヤニス・パパドプロス(WARDRUM、BEAST IN BLACK)をヴォーカルに起用した”Immortal”、2020年にはラルフ・シーパース(GAMMA RAY、PRIMAL FEAR)をヴォーカルに起用した”Temple Of My Fears”、2021年にはネッタ・ローレンネ(SMACKBOUND、LAURENNE/LOUHIMO)をヴォーカルに起用した”Shattered”といったシングルをリリースしていた。
そして、そろそろフル・アルバムを作りたいと思って、従兄弟のテリエに声を掛けて、このデビュー作「TRIAL BY FIRE」をレコーディングしたというのだ。
音楽性は、ひとことで言えば正統派メタル。『Frontiers』はメロハー/産業ロック系に関しては抜群のセンスを持ってるけど、正統派メタルに関しては「?」のものが多いというか、日本人の好みにはあまり合わないものを繰り出してくる印象だったので(笑)、このMANTRIC MOMENTUMに関しても、ジャケのデザインを見た瞬間、「うわ~またこの手かよ」と思ってしまったことは正直に告白しておきます。「この手」というのは、音は間違いなく正統派メタルど真ん中なんだけど、曲作りもリフもメロディもありがちでフックがなく、聴き終わった後の印象が「メタルだったな…」以外に何も残らないタイプ。(笑)
しかし、このMANTRIC MOMENTUMには、アルバムを聴き進めていくうちにどんどん引き込まれていく曲(メロディ)の良さがあった。音楽を人に薦める場合には、近いと思われるサウンドのアーティスト名を挙げるのが一番有効(たとえ薦められた側が結果的に「え~? 全然違うじゃん」と言ったとしても)だと思うので具体的に言っておくと、僕はMANTRIC MOMENTUMを聴いて「DYNASTYを重く荒っぽくしたような感じ」、あるいは「MARSHALL LAWをモダンにアップデートしたような感じ」という感想を抱いた。MARSHALL LAWって覚えてますか? 80年代末から90年代にかけて頑張っていた英国のメタル・バンドですよ。僕がDYNASTYやMARSHALL LAWを連想したのは、シンガーの歌声の感触が近いというのもあるかもね。
メロハー/産業ロック系に関しては、その手のものなら何でも買って聴いておかないと気が済まないマニアが日本には一定数いるから、今でもズブの新人バンドのアルバムでも日本発売されてるけど、正統派メタル系になるとそうはいかない。このMANTRIC MOMENTUMは、メロハー系ではないし、ルックスがイケてるわけでもないし(失礼!)、日本人が何故か好むバンド形態でもないので、レコード会社としては日本盤をリリースして(最低限の)元が取れるかどうかは音楽内容のみに頼るしかなく、ある種の賭けになってくる。となると、このMANTRIC MOMENTUMも(以前このコラムで取り上げたNASSONのアルバムのように)日本発売されなかったとしても仕方ないんだろうなとは思う。
とはいえ、日本発売されなかったことでメディアに取り上げられる機会も減って、多くのメタル・ファンに気づいてもらえず終わるのは気の毒なくらい良い音楽内容だと思ったので、ここでこうして取り上げてみた次第です。良かったら聴いてみてください。
MANTRIC MOMENTUM
「TRIAL BY FIRE」
2022年11月11日発売
<収録曲>
01. Tabula Rasa
02. Course Of Fate
03. In The Heart Of The Broken
04. New Horizon
05. Fighter
06. Trial By Fire
07. Final Warning
08. Carry Me
09. In The Eye Of The Hurricane
10. Writing On The Wall
11. Diamond
12. (I'll Never Be) Maria Magdalena (Bonus Track)
LINE-UP:
Christer Harøy – Guitars, bass and drums
Terje Harøy – Vocals
Guest Musicians:
+Frank Nordeng Røe – Drums on “New Horizon”, “Writing On The Wall” and “Diamond”
+Jimmy Hedlund – Guitar solo on “Writing On The Wall”, “Final Warning” and “(I’ll Never Be) Maria Magdalena”
+Lawrence Dinamarca – Drums on “The Course Of Fate”
+Magnus Karlsson – Orchestration on “Tabula Rasa”
+Truls Haugen – Drums on “Maria Magdalena”
+Tina Gunnarsson – Vocals on “(I’ll Never Be) Maria Magdalena”
+Ketil A Jensen – Keyboards on “(I’ll Never Be) Maria Magdalena”
「TRIAL BY FIRE」
2022年11月11日発売
<収録曲>
01. Tabula Rasa
02. Course Of Fate
03. In The Heart Of The Broken
04. New Horizon
05. Fighter
06. Trial By Fire
07. Final Warning
08. Carry Me
09. In The Eye Of The Hurricane
10. Writing On The Wall
11. Diamond
12. (I'll Never Be) Maria Magdalena (Bonus Track)
LINE-UP:
Christer Harøy – Guitars, bass and drums
Terje Harøy – Vocals
Guest Musicians:
+Frank Nordeng Røe – Drums on “New Horizon”, “Writing On The Wall” and “Diamond”
+Jimmy Hedlund – Guitar solo on “Writing On The Wall”, “Final Warning” and “(I’ll Never Be) Maria Magdalena”
+Lawrence Dinamarca – Drums on “The Course Of Fate”
+Magnus Karlsson – Orchestration on “Tabula Rasa”
+Truls Haugen – Drums on “Maria Magdalena”
+Tina Gunnarsson – Vocals on “(I’ll Never Be) Maria Magdalena”
+Ketil A Jensen – Keyboards on “(I’ll Never Be) Maria Magdalena”
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