R.I.P. フィル・キャンベル──MOTÖRHEADを最も長く支えた偉大にして自由奔放なギタリスト

MOTÖRHEADの「ORGASMATRON」。スリーヴ裏側、4人体制のメンバー写真、左端がフィル・キャンベル(g)。以下順にレミー・キルミスター(b/vo)、ピート・ギル(ds)、ワーゼル(g)。

既報の通り、MOTÖRHEADの最後のギタリストにして、レミー・キルミスターに次ぐ最長在籍メンバーだったフィル・キャンベルが亡くなりました。
 
PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSの公式SNSを通じて、翌日に死去の報が公にされましたが、それにしても64歳とは若すぎる。3月から5月にかけてのオーストラリア/欧州ツアーがキャンセルされ、その理由は「つい先頃フィルがそのように医師の指示を受けたため」とされていましたが、それほどに重大な健康の障害を抱えていたとは。
 
フィルの逝去によって、レミー・キルミスター/“ファスト” エディ・クラーク/フィル “フィルシー・アニマル“ テイラーの黄金トリオに続き、ワーゼル、そしげフィルを含む1986〜1991年の最鋼カルテットも全員この世を去ってしまいました。

10歳でギターを手にしたフィルは、13歳になる頃にはCONTRASTというキャバレー・バンドでセミプロの仕事を経験、後にはROCKTOPUSというバンドで南ウェールズ中をツアーして回り、1979年にはPERSIAN RISKを結成しました。

フィルが世に出るきっかけになった、PERSIAN RISKの7インチ・シングル “Calling For You”。RAVENの“Don’t Need your Money”、BLITZKRIEGの“Buried Alive” などと並ぶ、NWOBHMを語る上で欠かせない7インチの1つです。
(PARSIAN RISKはこのシングル制作前にTYGERS OF PAN TANGに行くジョン・デヴァリルがシンガーを務めており、後にギーザー・バトラーのソロやNAZARETHにも関わるカール・センタンス、ポール・ディアノのKILLERSに加わるギターのグラハム・バスやドラムのスティーヴ・ホップグッドなども輩出)

フィルは12歳の時、HAWKWINDのライヴ会場でレミーからサインをもらったというのも有名な話ですが、1984年になってそのレミーがブライアン・ロバートソンの後任となるMOTÖRHEADギタリストのオーディションを行なうと知った時、フィルは「運試し」としてオーディションに参加。当初想定されていたギタリストの採用人数は1名限りでしたが、ワーゼルことマイケル・バーストンとフィルのどちらも捨て難く、レミーはツイン・ギター編成でMOTÖRHEADを再生させることを決意させたのでした。
 
MOTÖRHEAD初のベスト盤「NO REMORSE」より、新時代を宣言した“Killed By Death”。イントロのリードを弾くのはフィル。

同じく「NO REMORSE」から “Steal Your Face” のスタジオ・ライヴ。当時のドラマーは元SAXONのピート・ギル。

テクニカルなメタル色を醸し出すワーゼルに比べれば、フィルはオーソドックスでしたが、徐々にブルージーな荒々しさが開花。ドラマーがフィルシーからミッキー・ディーに交代し、ワーゼルが脱退してMOTÖRHEAD最終ラインナップが確定してからは、一層その存在感を発揮したのでした。
 
90年代のMOTÖRHEAD完全復活を印象付けた1993年作「BASTARDS」から “Burner”。フィルの強引なリード・ギターも炸裂する後期の激速名曲。

何故かあまり取り上げられないですが、2007年には黄金トリオ期の問答無用の名曲 “Overkill” を、レミー/フィル/ミッキーの最激トリオでもリレコーディングしています。当時全盛だった音ゲー『GUITAR HERO』用に提供したもの。後期のライヴで弾いていたパターンを踏襲しているので、フィルの弾くギターの方が馴染みがあるというファンもいるかも。

盟友SAXONのライヴにフィルが飛び入りした際の「747 (Strangers In The Night)」。収録されたのは2015年12月6日のフィンランド公演。当時SAXONはGIRLSCHOOLと共にMOTÖRHEADの結成40周年ツアーに帯同しており、このライヴは同月にレミーが亡くなる直前、最後から3回前のショウでした。

レミーの死によってMOTÖRHEADが活動を終了したのち、フィルは自分の子供であるトッド(g)、デイン(b)、タイラ(ds)を引き連れTHE BASTARD SONSでの活動を開始。息子たちの若さにつられてか、サウンドまで若返ってしまったような悪童ロックンロールでした。

結果的に最終作となってしまった3rdフル「KINGS OF THE ASYLUM」は、新ヴォーカルのジョエル・ピーターズを迎え、イキのいいロックが楽しめた好盤でしたが…。

THE BASTARD SONSの始動を前後して、2019年には長年温めていたというソロ・アルバムの構想を「OLD LIONS STILL ROAR」で現実のものにしています。ディー・スナイダーを始め、ロブ・ハルフォード、アリス・クーパーなど、一線級ミュージシャンがこぞって参加しているというのも、フィルの人徳を物語るもの。

MOTÖRHEADの最後を見届けたギタリストまでもこの世を去ってしまうとは。ギタリストとして盛大に目立つような活動はしないプレイヤーではありましたが、間違いなく本物のR&Rギターを弾ける人でした。

天国でもレミーはじめ親友たちと一緒にお元気で。

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[掲載アルバム]
・MOTÖRHEAD ・OVERKILL ・BOMBER ・ON PAROLE
・ACE OF SPADES ・NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH
・IRON FIST ・ANOTHER PERFECT DAY ・NO REMORSE
・ORGASMATRON ・ROCK 'N' ROLL・NÖ SLEEP AT ALL
・1916 ・MARCH ÖR DIE・BASTARDS ・SACRIFICE
・OVERNIGHT SENSATION ・SNAKE BITE LOVE
・EVERYTHING LOUDER THAN EVERYONE ELSE
・WE ARE MOTÖRHEAD ・HAMMERED ・INFERNO
・KISS OF DEATH ・MOTÖRIZER
・THE WÖRLD IS YOURS ・AFTERSHOCK
・BAD MAGIC ・UNDER CÖVER
+アルバム未収録曲
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