藤木昌生の密かな楽しみ Vol.13 ~ 久々に優しくゴージャスなAORサウンドにうっとり!のGENERATION RADIO

8月5日にデビュー・アルバムをリリースするGENERATION RADIOが、久しぶりにゴージャスなAORサウンドで嬉しくなってしまいました。

このGENERATION RADIO、最近スーパー・バンド商法に入れ込んでいる『Frontiers Records』の新ネタかと思いきや、『Frontiers』と契約する前からライヴ活動をやってたみたい。ディーン・カストロノヴォ(JOURNEY)以外のメンバーはメタル・ファンにとっては今ひとつ強力なアピールを感じない顔触れかもしれないけど、それでも相当なキャリアと実績のある人達だ。

ジェイソン・シェフは、あのピーター・セテラの後任シンガー/ベーシストとして1985年にCHICAGOに加入して、そこから約30年間バンドに貢献した人だし、ジェイ・デマーカスは人気ポップ・カントリー・バンドRASCAL FLATTSのメンバーとして全米No.1アルバムを連発した人。

実は、僕はジェイ・デマーカスという名前は記憶になかったんだけど、RASCAL FLATTSには馴染みがあった。というのも、2004年頃にBURRN!編集部の放出箱(あちこちのレコード会社から各編集スタッフに送られてきた資料で不要になったものを放出しておく箱)で見つけたRASCAL FLATTSの最新アルバムとバラード集の試聴盤を聴いてみたら、なかなかグッドだったので、そこからRASCAL FLATTSのアルバムを買い集めるようになったのだ。そして、彼らのライヴDVDも買って観ていたところ、いきなりBOSTONの”Foreplay/Long Time”をカヴァーしていて、何だか彼らの音楽が素晴らしい理由が判ったような気がして、嬉しくなってしまった。

とまあ、そんな顔触れのGENERATION RADIO。すでに先行シングルを聴いて注目してるメロディック・ロック愛好家も多いと思うけど、その優しくて爽やかでゴージャスなAORサウンドを聴いた時、まず僕の頭に浮かんだのは「中田利樹」という4文字だった。(笑) あ、中田さんスミマセン。いやでも、ポップス系AORまで幅広く聴いているリスナーなら僕の言わんとするところは判ってもらえるんじゃないでしょうか。

今、「ポップス系AOR」と書いたけど、僕としては単に「AOR」とだけ書くと、特に日本では誤解や混同を生むこともあるので、「ポップス系AOR」と「メタル系AOR」はその違いを意識しておくことは必要かなと思っている。どういうことかと言うと、今でこそメタル・ファンの間では(海外メディアのワードの使い方の影響で)「AOR=産業ロック、ハード・ポップ」みたいなイメージが定着してきたかもしれないけど、そもそも最初に日本でAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)というワードが使われ始めた頃(たぶん70年代後半だと思う)は、その対象はもっぱらボビー・コールドウェル、ボズ・スキャッグス、クリストファー・クロスといったアーティストで、つまりはヴォーカル主体のポップスだった。JOURNEYやBOSTONがAORと呼ばれることは決してなかったし、TOTOだって初期はAORと呼ばれることはなくハード・ロックと呼ばれていたと思う。その後、80年代に入ってAIRPLAYなどが出てくると、重厚でドライヴしたメロハー的なサウンドにもAORという呼称が使われるようになって、そういうものは「ロマンティック・ハード」とも呼ばれるようになって……と話が逸れたまま長くなりそうなので、やめときましょう。(笑)

で、GENERATION RADIOですよ。資料には各メンバーの担当パートが記載されてないんだけど、リード・ヴォーカルはディーン・カストロノヴォとジェイソン・シェフが曲によって分担。もしかしたらジェイ・デマーカスが歌っているパートもあるのかな? 多くの曲はゴージャスなAORだけど、中にはメタルっぽいスピーディーな曲もあって、そういうのはポップス系AORファンからすると「おいおい、ヘビメタみたいなのは勘弁してくれよ」という感じかもしれない。(笑) 僕としてもこのバンドでそういう曲をやる必要はないと思うし…というか、それが良質のメタル曲ならまだしも、冴えない曲なので余計にそう思いますね。(笑)

ということで、メロハー愛好家はGENERATION RADIOを是非チェックしてみてください。
 

GENERATION RADIO
「GENERATION RADIO」

2022年8月5日発売

<収録曲>
01. Why Are You Calling Me Now? 
02. Angels 
03. All Night To Get There 
04. I Hope You Find It 
05. Time To Let It Go 
06. Lights Go Out In Paradise 
07. Don’t Go 
08. Smoking 
09. Anything But Us 
10. Waiting On Your Sunshine 
11. Finally Got It Right  
12. Will You Still Love Me(live)*
*日本盤ボーナス・トラック

Line-up: 
Jay DeMarcus 
Jason Scheff 
Deen Castronovo 
Tom Yankton 
Chris Rodriguez
Generation Radio
- "Why Are You Calling Me Now?" - Official Music Video

※1stシングル。
Generation Radio
- "Lights Go Out In Paradise" - Official Music Video

※2ndシングル。
 
Generation Radio Band
- Hard To Say Sorry / Don’t Stop Believing

※こちらは彼らがまだ『Frontiers』と契約する前に、ライヴでCHICAGOとJOURNEYの曲を演奏した時の映像。
 
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