LAZY「宇宙船地球号」完全再現ライブ・レポート@東京EX THEATER ROPPONGI
2013年からスタートの『Rock Beats Cancer FES』、2019年は12月27日(金)に東京EX THEATER ROPPONGIにて開催された。LAZYが「宇宙船地球号」を完全再現したこの日のレポートをお送りする。
Report by 別府“VEPPY”伸朗
Photos by Shigeyuki Ushizawa
2013年からスタートした『Rock Beats Cancer FES』。樋口宗孝がん研究基金から生まれ、癌と闘う若者をロックで勇気づけ支援する目的となっている。今年はLAZYの「宇宙船地球号」発売40周年を記念した完全再現ライブをメインに、スペシャル・ゲストにGRANRODEOを迎えて12月27日(金)東京EX THEATER ROPPONGIにて行なわれた。翌日のLOUDNESS公演と同じくこの日もSOLD OUT公演となり、会場には多くのファンが集まっていた。
この日のスペシャル・ゲストGRANRODEOが最初にステージに登場。TVアニメ「君が望む永遠」を切っ掛けで生まれたロック・ユニットである。ステージに彼らが姿を現すと黄色い声援が飛んでいく。爽やかな疾走系の“silence”からファンは腕やペンライトを振り盛り上がる。ワイルドでロッキンな“カナリヤ”でフロアの反応に楽しそうな表情を浮かべるメンバー、MCでe-ZUKA<g>と瀧田イサム<b>はお互いのLAZY愛を語る。
ヘヴィなグルーブの“セツナの愛”が再びファンを揺らし、“シャニムニ”でKISHOW<vo>はお立ち台からシャウトで会場に熱気を吹き込み、掛け声と共にファンをジャンプさせる。9月にアキレス腱断裂という大怪我を負ったKISHOWだがもう大丈夫と“modern strange cowboy”ではそのお立ち台から大きくジャンプして見せる。e-ZUKAはクルっとターンを決めながら華麗にギターを操りファンを魅了する。ラストはメタリックでキャッチーな“The Other self”で陽気に盛り上げ、KISHOWがドラムライザーからこの日一番のジャンプを決めて締めくくった。
GRANRODEO
2019年12月27日@東京EX THEATER ROPPONGI
<SETLIST>
01.silence
02.カナリヤ
03.セツナの愛
04.シャニムニ
05.modern strange cowboy
06.The Other self
LAZY
場内暗転と共に映画「2001年宇宙の旅」でお馴染みの“ツァラトゥストラはかく語りき”が流れ、ステージのスクリーンにはその「2001年宇宙の旅」の冒頭シーンをダブらせる宇宙と地球の映像が流れる。地球全体から日本がクローズアップされた後に「宇宙船地球号」のジャケットが大きく誇らしげに映し出され、高崎晃、いや今日はスージー<g>のギターと共に“DREAMER”が始まり、ミッシェル<vo>がステージに駆け込んでくる。白いマイクスタンドをワイルドに振り上げ、ファンの拍手を求める。「ハロー、トーキョー!会いたかったぜ!」とシャウトするミッシェル、その思いはファンも一緒である。
JUDAS PRIESTばりのメタリックで攻める“DREAMY EXPRESS TRIP”ではオリジナルと同じくスージーがリード・ボーカルを取り、サビではミッシェルとツイン・ボーカルを決める。ギター・ソロは後のLOUDNESSの活躍を予感させる流石のテクニックで聴かせる。メロウなパートからドラマチックに盛り上がる“天使が見たものは”ではミッシェルの歌声がファン心を徐々に熱くさせていく。
「メチャ楽しい!」とミッシェルが言うと、こちらも同じだといった大きな拍手がステージに返っていく。GRANRODEOに続いてサポート・ベースを務める瀧田イサムと共にLAZYについて語り、今度は振り付けもといった話になると「やらんでええから」と突っ込み会場を笑わせるスージー。そのスージーの提案で当時の衣装を再現しようという話だったのに、作って着てきたのは俺だけとミッシェル。銀のブーツと銀のスーツを着てくるはずだったスージーは「銀のスーツなんてどこに売ってんねん」と笑いを取り、ポッキー<key>は当時どんな衣装だったか忘れたとそれに続く。
LAZYの中ではヘヴィなロック・ナンバーの“TIME GAP”が会場の雰囲気を引き締め、ポッキーのオルガンに乗って右手を振り上げながらミッシェルが熱唱する。
ミッシェルがアコースティック・ギターを手にすると泣きのメロディが美しいインスト・ナンバー“遥かなるマザーランド”が始まり、LOUDNESSとは違ったハートウォーミングなソロがファンのハートをグッと掴み話さない。エンディングと共に明るくなるステージ、そしてメンバーの姿が際立つ。
ステージはブルー・ライトで海の底の様な世界となり、ドラマチックなSEがその世界を深めていく。そしてレッド・ライトが激しく照り付け、ファストでラウドなタイトル曲“Earth Ark(宇宙船地球号)”がファンの頭を激しく揺らす。ミッシェルがサビを熱くシャウト、逆にポッキー<key>はポーカーフェイスで太いオルガンの音を奏でる。
「あと3曲で終わりです」というミッシェルのMCに「え~」と残念な声を上げるファン。「それに完全再現コンサートだもん」と返すミッシェル、当時のレコード盤ならA面B面合わせても45分程度なので当たり前なのだが、やはり短いを感じてしまう。“星のハーティー・ロード”でも挟もうとポッキーに振ったが、メロウだからとNGを出したとポッキーが返す。そして当時の話や “DREAMY EXPRESS TRIP”のネタで会場を盛り上げ。スージーは弾きながら歌うのは難しいと語り、ハンド・マイクで歌ったらさっきの100倍は上手く歌えるとの声に笑いと拍手が起きる。
世界平和をテーマにした曲とファンに告げ、メッセージ性の強いキャッチーな“僕らの国でも”が始まると目を閉じ歌詞を噛み締める様に聴き入るファンが多く、明るく照らされたステージで輝くメンバーと歌詞の世界がダブっていく。“遥かなるマザーランド”とはまた違ったギター・ソロが心を優しく包み込む。当時の視線で書いた曲だけど今はどうなのと問いかえる様にエンディングで手を上げるミッシェルの姿がとても印象的で心に残った。
ポップなミドル・ナンバー“美しい予感”の甘いメロディが心地よく心に沁み込んでいき、ステージも会場も笑顔で一杯になる。一緒に歌ってとファンの声を集める様にマイクを向け、最後にミッシェルはその声を全身で受け止める様に両手を大きく広げる。
最後を惜しむ様な美しいポッキーのキーボード・ソロに導かれミッシェルのアカペラから名曲“LONELY STAR”がドラマチックに始まり盛り上がっていく。スクリーンには在りし日のデイビー<ds>とこの曲の作詞作曲者のファニー<b>の姿が映し出され、彼らへの声援も飛んでいく。スージーの手にはフライングV、その姿にグッときたオールド・ファンも多かっただろう。そのギターから奏でられる泣きのギター・ソロは絶品の一言。ミッシェルの情感の込められたボーカルとポッキーの鍵盤による優しい響き、ライトに照らされ声援が飛んでいく。会場全体が温かい雰囲気に包まれた中、メンバーが感謝の言葉を述べてステージを去っていった。
アンコールを求める大きな拍手と歓声、スクリーンにはLAZYのロゴが映し出されている。その中ステージに元気よく登場したミッシェルがメンバーとGRANRODEOを呼び込み、LAZYがアマチュアだった時代からプレイしていた思い出の曲とDEEP PURPLEの“Burn”がプレイされる。KISHOW、ミッシェルの順で歌いサビでは会場一体となっての大合唱。スージーとe-ZUKAのギター・バトルもファンの目と耳を楽しませ、スージーがギター・ソロを弾く場面では降参といった感じで跪くe-ZUKA。勿論、そのまま黙っているはずもなく、e-ZUKAは逆襲のギター・ソロで反撃する。ポッキーのキーボード・ソロでは凄いなといった感じでKISHOWが覗き込む。
セッションならではの見せ場満載で“Burn”が終了すると、「燃え尽きろ!」のシャウトと共に力強い“感じてナイト”のメロディがスピーカーから放たれる。拳に力を込めてシャウトするミッシェル、ポーカーフェイスなポッキーも体を揺らし鍵盤を叩き、スージーはフロアを指さしメロディを奏でる。
夢の時間はあっという間に過ぎ去っていった。
当時エンディングに使っていたというエリック・カルメンの“All By Myself”が流れる中カーテンコール。最後にミッシェル、スージー、ポッキーの三人が残り何度も手を上げ、お互いの友情を確認するようにガッチリと肩を組みステージを去っていった。デイビー<ds>とファニー<b>も優しく彼らを見守っていただろう。
彼らの永遠なる友情を感じさせる最後のシーンは感動的で、12月の寒い日であったがえも言われない清福な気持ちで会場を後にした。
LAZY
2019年12月27日@東京EX THEATER ROPPONGI
<SETLIST>
01.DREAMER
02.DREAMY EXPRESS TRIP
03.天使が見たものは
04.TIME GAP
05.遥かなるマザーランド
06.Earth Ark(宇宙船地球号)
07.僕らの国でも
08.美しい予感
09.LONELY STAR
-encore-
10.Burn(DEEP PURPLE cover)
11.感じてナイト
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