DYNAZTY
Japan Tour 2025
8年ぶりの来日公演をレポート! 2025/11/7@赤羽ReNY Alpha
レポート●奥村裕司/Yuzi Okumura
写真提供●Akiko T. Music(All pix by ShimaZi)
スウェーデンの5人組HR/HMバンド、DYNAZTYが久々の来日を果たした! 前回初来日ツアーは'17年2月だったので、実に8年半余振り。その間、ラインナップに異動はなく、'07年のバンド創設メンバーであるラヴ・マグヌソン(g)&ゲオルグ(ジーオリ)・ハーンステン・エッグ(ds)以下、'08年加入のニルス・モーリン(vo)、'12年加入のミカエル・ラヴィア(ラヴェール)(g)、'13年加入のジョナサン(ヨナタン)・オルソン(b)は、今や鉄壁&盤石の布陣になっている言えよう。実際、日本を留守にしている間、4枚のアルバム・リリースに伴い、彼等は精力的にツアーを重ねてきており、ライヴ・バンドとしてのポテンシャルは、前回来日時を遥か凌駕しいていた! …とまずは声を大にして言っておきたい。
メンバーに関して前回と違う点としては、9年近くを経て、みんなシブくダンディになっていたことが挙げられるかも? 気が付けば、全員が髭をたくわえているし。公演規模は少し拡大。'17年来日は東京にて1公演のみだったが、今回は大阪と東京で2公演が行なわれ、関西方面のファンを喜ばせたに違いない。尚、ここでは11月7日(金)、赤羽ReNY alphaでの東京公演の模様をお伝えしよう。
▲Nils Molin(vo)
▲Love Magnusson(g)
▲Mikael Lavér(g)
▲Jonathan Olsson(b)
▲Georg Härnsten Egg(ds)
19時16分、開演予定時刻(都心の会場ではなかったからか、19時15分とやや遅めに設定)を少しだけ過ぎて暗転すると、荘厳なSEに導かれ、まずは楽器隊がバラバラと登場。幕開けを飾ったのは、'20作『THE DARK DELIGHT』の表題曲だったが、これはイントロのみで、『FIRESIGN』('18)収録の「In The Arms Of A Devil」がそれに続くと、フロントマンのニルスが歌入り直前にステージ中央へ飛び出してくる。てっきり最新アルバム『GAME OF FACES』('25)収録曲でスタートかと思ったら、まさかの旧作から。しかし、満員のオーディエンスは意に介すことなく、みんな腕を振り上げ、ニルスが煽ると、すかさず「ヘイ! ヘイ!」と叫び、手拍子を促すと全員でそれに応える。続けて『GAME OF FACES』からタイトル・ナンバーが炸裂すると、「待ってました!」とばかりにフロアのテンションはさらにアップ! その反応の良さにメンバー達も満足気だ。
2曲+αを終えて、ニルスが「コンバンワ、トキオ〜!!」と初MC。「最高だね! やっと戻って来られたよ。次来る時はこんなにも待たせないから──約束する!」と言うと、そこからはMCらしいMCはなく、楽曲優先とばかりにどんどんキラー・チューンが繰り出されていく。どうやら、セットリストは海外ツアーと全く同じだったようだ。久しぶりの日本なんだから、特別な演目とまではいかないにしても、日本オンリーの選曲を少しだけでも…との思いは届かず。但し、それだけにショウとして完成しきっていたのも事実で、彼等ならではのメロディック&キャッチーで、それでいて適度にヘヴィでパワー感もある楽曲を満載しつつ、言わば無駄を省いたライヴ運びの中、言わずもがな色々と趣向も凝らされていた。
「The Grey」(『FIRESIGN』収録)では、ギター2人がソロに移る直前、左手だけでバッキングを奏でつつ、缶ビールを一気に飲み干したり、エンディングでニルスがロニー・ジェイムズ・ディオばりの独唱で観客を酔わせ──かと思うと、そのあとにはインスト・メドレーが飛び出し、次いでアコースティック・タイムも…! 前者メドレーは、インスト曲をやるのではなく、『FINAL ADVENT』から「Instict」と「The White」の楽器隊ソロ・パートを独立させてつなげ、後半にはギター・ソロだけでなくベース・ソロもあって、さらにアコースティック・ソロまでしっかり盛り込まれ、最後にダメ押しとばかりにDEEP PURPLEの「Highway Star」('72年『MACHINE HEAD』収録)でシメ。そんなの盛り上がらないワケがないでしょ〜
一方、ゲオルグがドラム・キットを離れ、キーボードを弾いたアコ・タイムは、『FIRESIGN』の「My Darkest Hour」で始まり、『FINAL ADVENT』の「Power Of Will」へ、これまたメドレー形式でつなげ、やはり『FINAL ADVENT』から「Yours」が始まった…と思ったら、同曲はそのままエレクトリックに引き継がれ、実にドラマティックな展開で魅せてくれた。
魅せてくれた…といえば、ステージにはお立ち台が設置され、ニルスは勿論のこと、ギター2名もソロ・パートではそこに上がり、華麗な速弾きを駆使してテクニシャンぶりをアピール! 決してテクを見せびらかせることはなく、メロディックに聴かせるソロが殆どなため、それにはギター・フリークのみならず、すべてのオーディエンスがその都度、息を呑み釘付けとなったに違いない。また終盤には、短いながらドラム・ソロがあって、そこから本編ラストの『THE DARK DELIGHT』収録「Presence Of Mind」が静かに始まり、腰の据わったミッド・チューンで重厚にショウ本編を締め括る流れも見事だった。
それにしても彼等の楽曲は、どうしてこんなにも共に歌いたくなるのだろう? 各曲のサビは勿論のこと、ギター・リフやフレーズも同様で、まるで往年のABBAかというメロディ使いなんて魔法かのよう。また、デジタル・ビートによるイントロや装飾音といった味付けも、楽曲のムードを高めまくり、効果的としか言いようがない。
ひとつ気になったのは、本編終了の時点でまだ1時間も経過していなかったこと。う〜ん…ヘッドライナー・ショウなのに短過ぎやしませんか? いや、ちゃんとアンコールにも仕掛けが用意されているのでご心配なく!(?)
「Presence Of Mind」終わりでメンバーが一旦退場すると、すぐさまアンコールが掛かり、そう待たせずにミステリアスなムードのSEが流れ、ヘヴィな「The Human Paradox」がスタート! '16年作『TITANIC MASS』からのこの曲は、今回のセット中で最も古いレパートリーで、前回来日時にもプレイされた唯一の曲だった。そう、もはやデビュー作『BRING THE THUNDER』('09)、続く『KNOCK YOU DOWN』('11)、『SULTANS OF SIN』('12)、『RENATUS』('14)の4枚からは全く演奏されることなく、言わば前回以降の彼等、現在進行形のDYNAZTYを見せるライヴだったということ。それが証拠に、最後から2曲目──「Devilry Of Ecstasy」は最新作からの選曲。それをアンコールにもってくることで、いかに彼等が同アルバムに自信を持っているかも強く伝わってきた。
そして、セトリ紙に“extended”と追記されていたアンコール・ラストの「Heartless Madness」(『THE DARK DELIGHT』収録)は、観客との掛け合いあり、長めのメンバー紹介ありな、文字通りエクステンデッドな超拡張ロング・ヴァージョンとなっていたのである。サビの「I need your heartless madness♪」という部分を歌わせる掛け合いパートでは、ニルスがフロアを左右に分けて、歌声の大きさを競わせる趣向も行なわれ、最後まで全力で歌い、叫びまくったオーディエンスに、「ミンナ〜!」「スゴ〜イ!!!」「スバラシイ!」とニルスは大感激。結局、その「Heartless Madness」は完奏までに20分近くもかけ、最終的にショウは85分近くに及んだのであった。
まぁそれでも、ちょっとモノ足りない…と思ったファンは少なくなかったと思う。やっぱり初期曲もプレイして欲しいし、エクステンデッドな引き延ばしナシで90分は望みたいところ。ニルスが言うように、次回来日がそう遠くない将来に行なわれた時には、是非とも日本ならではのセットで…と期待したい!!
【SET LIST】
1. Intro:Ameno@ERA(SE)
2. The Dark Delight(Intro)〜In The Arms Of A Devil
3. Game Of Faces
4. Natural Born Killer
5. The Grey
6. Waterfall
7. Instrumental Medley:Incl.Instict〜The White〜Highway Star@DEEP PURPLE)
8. Acoustic Medley:Incl.My Darkest Hour〜The Power Of Will〜Yours
9. Call Of The Night
10. Firesign
11. Ds Solo
12. Presence Of Mind
[Encore]
13. The Human Paradox
14. Devilry Of Ecstasy
15.Heartless Madness
「GAME OF FACES」
2025年
この記事へのコメントはまだありません
RELATED POSTS
関連記事
-
2025.08.28 DYNAZTYが8年8ヶ月ぶりの来日決定! 2025年11月6日・7日
-
2024.08.10 DYNAZTYが新曲 ”Devilry Of Ecstasy” をリリース!
LATEST POSTS
最新記事