藤木昌生の密かな楽しみ Vol.37 ~最近の 80年代ラヴなおすすめアルバムをいくつか紹介

今回は、ここ半年くらいにリリースされた80年代への愛が感じられる作品の中で、結構いいと思ったんだけど何となく多くのリスナーからスルーされてるんじゃないかという気がする作品をいくつかピックアップしてみたいと思います。NESTORとかUNIVERSEとかは、いちいちオススメしなくてもメロディ愛好家ならしっかりチェックしてるだろうけど、そういうのじゃない作品です。

あ、そういえば、最近気づいたことで、お恥ずかしい話なんですが、Spotifyってスマホだとかなり使いづらいんですね。僕は普段スマホで音楽を聴いたり動画を観たりする機会がほとんどなくて、もっぱらパソコンのブラウザで聴いたり観たりしてるので、気づかなかったんですよ。スマホでSpotify(の無料プラン)を使って音楽を聴こうとすると、アルバムもシャッフル再生されてしまうし、プレイリストもシャッフル再生されてしまうんですね。パソコンだとちゃんと曲順/プレイリストどおりに再生してくれるのに。なんでスマホとパソコンではこんなに違うんでしょうか?

それはさておき、80年代ラヴな作品を紹介していきましょう。まず1つ目は、スウェーデンのCRUZHの3rd「THE JUNGLE REVOLUTION」。このバンドは2016年のデビュー作は日本発売もされて、バンド名に見覚えはあったし、バッド・ボーイズ系というイメージは残ってたけど、特に曲が良いという記憶はなかった。でも、今回の新作を聴いてみたら、プリティ・グッドなんですよ。バッド系というよりはグラム系ですかね。キャッチーで時に胸キュンなメロディが盛りだくさん。CRAZY LIXXやMIDNITE CITYが好きなら、ぜひチェックしてみてください。アルバム頭のタイトル曲は単にノーテンキなだけの曲なので、そこで判断しないでね。次の”Angel Dust”のサビで「オッ?」となって、3曲目の”FL89”では「おお、やるじゃん」と思ってもらえる…はず。(笑)

2つ目は、イタリアのNIGHTBLAZEのデビュー作「NIGHTBLAZE」。こちらは柔和なメロディアス・ハード/産業ロック系。中心人物のダリオ・グリロ<g,key>は、2000年代初頭にパワー・メタル系のTHY MAJESTIE(サウンドホリックから日本盤が出てましたね~)のメンバーとしてデビューした人だけど、その後、PLATENSなどをやって、メロハー愛好家に才能をアピールしてきた。このNIGHTBLAZEのバンド写真を見ると、休日のサラリーマンの趣味バンドみたいな雰囲気だけど(笑)、やってる音楽は瑞々しく爽やかで、哀愁もしっかり含まれている。熟練の作曲術という感じ。ヴォーカルの声が、TERRA NOVAのフレッド・ヘンドリックスを思わせるようなちょっぴりカスれた声質なのも、情感が増してグッドじゃないでしょうか。

3つ目は、オーストラリアのキャシディ・パリス<vo,g>の昨年末に出たデビュー・フル・アルバム「NEW SENSATION」。彼女の父親はTHE RADIO SUNやBLACK MAJESTYで活動してきたスティーヴィー・ジャネヴスキー<g>。2017年にTHE RADIO SUNがこじんまり来日公演をやった時、僕はインタビュー取材をしたんだけど、その場にキャシディも来ていて、スティーヴィーから「娘がこれから音楽活動を頑張るんでよろしくね」的なことを言われた。当時彼女はまだ中学生だったけど、こんなにカッコいい大人の女性になったんですね。ただ、ジャケは良くないよな~。だから日本盤が出なかったのか? (笑) 音の方はポップなハード・ロック/メロディック・ロックだけど、ほとんどの曲が憂い・湿り気のあるタイプ。個人的には、キーボードの装飾があれば、さらに良くなったと思うけど。彼女が師匠のポール・レインや父親と共作した曲が多くを占めるけど、あのクリフ・マグネスの名前がクレジットされた曲が3曲ある、と言えばマニアは食指が動くかな?

4つ目は、英国のメロディアス・ハード・バンドATLANTICの6月下旬にリリースされた30年振りの2nd「ANOTHER WORLD」。1st「POWER」は特徴的なジャケなので、見れば多くの人が「ああ、あのバンドか」と思うんじゃないかと。今回の新作でヴォーカルを担当しているマーク・グリメットは、故スティーヴ・グリメットの弟。マークがやってたCRYWOLFの1989年のアルバムは当時中古で買った覚えがあるけど、内容はまったく記憶にありません。(笑) 今回聴けるマークの歌声は、お兄さんのような凄みのあるものじゃなく、親しみやすく穏やかな感じ。メロハーやる分には問題ないと思います。音楽性は、美しい響きのキーボードをたっぷり盛り込んだ叙情的なハード・ポップで、この清涼感のあるサウンドはクソ暑い夏に聴くにはいいと思いますよ。中心人物のサイモン・ハリソンは影武者ソングライターとしても活動してきた人だそうで、キャッチーな曲作りを心得ている。心が震えるようなメロディはないとしても、全体的に心地好いです。あと、リード・ギター担当はLIONSHEARTの一員として来日したこともあるニック・バー!

ということで、4作品を紹介してみました。

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