【BURRN! 12月号ちょい読み】
TONY IOMMI──盟友の死を乗り越えてレジェンドが遂に作り上げた「FROM THE DARK」
BY HOWARD JOHNSON
史上最もヘヴィで、破滅的な雰囲気を漂わせるリフの数々を生み出してきた人物でありながら、素顔のトニー・アイオミは驚くほど穏やかで、終始上機嫌な人柄だ。私は長年に亘り、BLACK SABBATHの伝説的ギタリストである彼に何度もインタビューを行なってきたが、バーミンガムのハンズワース地区で生まれてから実に78年という歳月を重ねた彼と過ごす時間は、いつだって楽しいものだった。トニーの今の年齢は、どうにも信じがたいほどだ。「わざわざ思い出させなくてもいいだろ」 私達がもはや若くはないことを指摘すると、彼は笑い飛ばす。だが、心の奥底では、トニーは自身の年齢をそれほど気にしてはいないようだ。
「今でも音楽作りを楽しんでいるよ」と彼は語る。「むしろ、これまで以上に楽しんでいるかもしれない。自分のペースで出来るからね。朝起きて、『気が向いたから何かやってみよう』と思えるんだ。ツアーが決まっているから新しいアルバムが必要だ、なんて誰かに急かされることもない。BLACK SABBATH時代は、そういうことがよくあったけどね。今はもう、何かを証明しなくてはいけないわけでもないから、ずっと気楽だよ」 勿論、これは紛れもない事実だ。“Paranoid”“Iron Man”“Into The Void”“Symptom Of The Universe”といった数々のメタル・クラシックスの礎となる、あの巨大なリフの数々を生み出してきた彼には、ロック界の頂点に立つ資格が充分過ぎるほどある。
そして2026年の終わりを迎えようとする今、アイオミは自身の名義で「FROM THE DARK」をリリースする。これは、BLACK SABBATHやHEAVEN & HELL以外での彼自身のアルバムとしては、21年前にトニー・アイオミ&グレン・ヒューズ名義でリリースされた「FUSED」以来の作品ということになる。そして今回の「FROM THE DARK」に関しても、実質的には単なるソロ・レコードではない。ヴォーカリストのヨルン・ランデ、ベーシストのベッキー・ボールドウィン、ドラマーのカール・ブラジルからなるバンドと共に全8曲(デラックスCD版なら10曲)が演奏されているからだ
アイオミの長年のスタジオ・パートナーであるマイク・エクセターがプロデュースした本作「FROM THE DARK」は、期待どおり、紛れもないトニーならではのギター・サウンドが牽引する、硬派で猛烈なハード・ロック・ナンバーの数々で構成されている。スピーカーを破壊し、耳をもぎ取らんばかりの勢いで迫るそのサウンドには、一切の妥協や遠慮がない。流行など一切気にすることなく作られたこの楽曲群からは、今のアイオミには誰かに何かを証明する必要などないのだということが伝わってくる。これこそ、トニー・アイオミが最も得意とするスタイルそのものなのだ。
「これほど素晴らしいキャリアを築けたなんて、本当に凄いことだよ」と彼は私に語る。「だって、私がやっていたのは決して流行りの音楽じゃなかったからね。バーミンガムでSABBATHを始めた当初は、誰も相手にしてくれなかった。私達を使ってくれるブルーズ・クラブなんて2〜3軒しかなかったし、人々は私達の音楽が一体どういうものなのか、全く理解出来ていなかったんだ。今バーミンガムに行くと、街中の壁に私達の絵が描かれている。50年前には、そんなこと想像もつかなかった!」
今や、トニー・アイオミはヘヴィ・ミュージック界の絶対的なアイコンとして認められている。しかし、彼はその栄誉を驚くほど自然体で受け止めている。「こうなったのは不思議な感じだね」と彼は笑う。「本当に、とんでもなく不思議なことだよ!」
──トニー、あなたと最後に話したのは1年以上前、バーミンガムでの『BACK TO THE BEGINNING』公演の直前でした。それ以来、控えめに言っても、かなり奇妙な状況が続いていますよね?
トニー・アイオミ(以下T):本当にそうだね。あのイベントの直後にオジー(オズボーン)が亡くなったのは、あまりにも悲劇的だった。亡くなる前夜に彼と話していただけに、受け入れるのが辛かったよ。彼は酷く疲れていると言っていて、私は彼に、『BACK TO THE BEGINNING』に向けて全員がプレッシャーを感じていたんだから、それは当たり前のことだよ、と答えたんだ。あのショウは誰にとっても難しいものだったし、オジーは玉座に座っていたから、演奏中に彼の姿がよく見えなくて、それがすごく奇妙な感じだったんだ。ギーザー(バトラー)も同じように感じていたよ。だから、みんな感情が高ぶっていたと思うし、オズが疲弊していたのもそのせいだったんじゃないかな。それでも、彼があんなに早く亡くなるとは全く予想していなかったよ。
──オジーの死後、新しいソロ・アルバム「FROM THE DARK」の楽曲を制作することは、何らかの形で心の癒やしになりましたか?
T:自分では、あまりそういう風には捉えていなかった。おそらく、『BACK TO THE BEGINNING』の前から既に断片的なアイディアに取り組んでいたからかもしれない。ただ、このプロジェクトは当初、最終的に出来上がったものとは全く異なる形で始まったんだよ。
──具体的にはどのようなものだったのですか?
T:実は当初、完全なインストゥルメンタル・アルバムを録音するつもりで、実際に何曲かレコーディングもしていたんだ。アコースティックな曲もあれば、もっとヘヴィな曲もあった。これまでとは少し違うこと、つまり作風をガラリと変えるようなことをやりたかったんだ。制作の過程は楽しかったし、面白いとも思っていたが、作業を進めるにつれて「幾つかの曲にはヴォーカルを入れた方がいいんじゃないか」と考えるようになってね。それで、プロジェクトは次第に別の形へと変化していったんだ。
──それは、既に手元にあったインストゥルメンタルの曲を、ヴォーカル入りの楽曲へと作り変えたということでしょうか?
T:いや、そうじゃないんだ。「FROM THE DARK」に収録された曲は、それらとは全くの別物だよ。(『Xerjoff』とのコラボによる)自身の香水ラインナップのプロモーション用にインスト曲を幾つか使ったりはしたけれど、まだ何も手を付けていないインスト曲も他にあるんだ。それらは今も手元にあるし、いつかリリースするかもしれないけれど、今回はそのタイミングじゃない気がした。ヴォーカル・アルバムにするのが一番しっくり来る感じがしたんだ。最初は、インスト曲を1〜2曲入れてもいいかなと思っていたんだが、一緒に作業したメンバーとの相性が凄く良くてね。最終的には、全曲をバンド編成とヴォーカルでやりたいと思うようになったんだ。
続きはBURRN! 2026年12月号で!
2. Black Times
3. World Alone
4. Beyond The Dead
5. Stormwatcher
6. Death Wake
7. Return Of The Arbalist
8. Legacy
THE WORLD'S HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINE
BURRN! 2026年12月号
<EXCLUSIVE COVER STORY:巻頭特集>
◆TONY IOMMI
昨年の『BACK TO THE BEGINNING』でBLACK SABBATHの歴史に幕を下ろしたトニー・アイオミが、盟友オジー・オズボーンを喪った悲しみを乗り越えてソロ・アルバムをリリース。旧知の英国人ジャーナリストに心境を語った貴重な独占インタビューを一挙掲載。
◆JUDAS PRIEST
“メタル・ゴッド”がそのキャリアを総括するオールタイム・ベスト選曲で臨んだ『FAITHKEEPERS EUROPEAN TOUR』のファイナルとなったロンドン公演の模様を徹底リポート。
◆EUROPE
9年ぶりにニュー・アルバムをリリースしたEUROPE。その充実した内容、そして2027年早々に行なわれる歴史的名作「THE FINAL COUNTDDOWN」の40周年記念ツアーについてジョーイ・テンペスト<vo>が大いに語る。
◆CARCASS
“リヴァプールの残虐王” が約2年半ぶりに来日。ライヴ・リポートと併せてビル・スティア—<g,vo>の独占インタビューも掲載。
◆LOVEBITES
最新作「OUTSTANDING POWER」を引っ提げて7月にEU/UKから始まった『OUTSTANDING TOUR』のジャパン・レグのエンディングを飾った東京・Zepp Hanedaでの2daysの模様をリポート。
BURRN! 2026年12月号
A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2026年12月5日発売
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