グレン・ヒューズがツアー/ライヴ活動からの引退を表明。数々の名演を生んだキャリアを振り返る

グレン・ヒューズが健康上の問題を理由にツアー及びライヴ活動からの引退を表明しました。今月下旬には75歳になるヒューズは、主治医の勧めにより心臓手術を受けることになり、少なくとも当面の間、一切のライヴ活動から身を引くという難しい決断を下したとのことです。

ヒューズはこうコメントしています。「この一年、俺は幾つかの健康上の問題を抱えていた。何度となく受けたMRIやCTスキャン、心エコー検査の結果、担当の医療チームから、再度開胸手術を受ける必要があるという診断を告げられた。健康は何よりも優先すべきものであり、俺には他に選択の余地はなかった。音楽という贈り物に満ちた人生を与えられし者として選ばれたことに、心から感謝している……俺と一緒に歩いてくれてありがとう」
 
既報の通り、最近ではTHE DEAD DAISIESとの “THE PURPLE DAISIES” 名義によるリユニオン・ライヴも実現。DAISIESの人気曲10曲とDEEP PURPLEの代表曲を50:50の割合で演奏するというライヴには圧倒的な反響があり、今年10月2日にはカリフォルニア州アグーラ・ヒルズのザ・キャニオン・クラブで2回目の公演を行なうことも発表していました。しかし、ヒューズの引退表明に伴い、アグーラ・ヒルズでのコンサートはあえなく中止となりました。

ヒューズのソロとしての最新作は、2025年9月5日にFrontiers Music Srlからリリースされた「CHOSEN」です。2025年6月上旬、ヒューズはアルバム・リリースに先行する形で、タイトル曲の公式ミュージックビデオを公開、その1か月後には「Voice In My Head」MVが、さらに8月には、「Into The Fade」のMVも公開されています。

また昨年9月、このアルバム・リリースに合わせて “The Chosen Years” と銘打ったツアーの実施が発表された際には、ヒューズは自身がこれまで在籍したTRAPEZE、DEEP PURPLE、HUGHES / THRALL、IOMMI / HUGHES、そしてBLACK COUNTRY COMMUNIONという各グループの楽曲を披露するとの予定を明かし、彼の50年にわたる輝かしい音楽キャリアに敬意を表する、ダイナミズムに満ちた「あの頃へタイムスリップ」するような2時間のスペクタクルなライヴ・ショウとなることを約束していました。リード・ヴォーカルとベースを担当するヒューズに加え、ギターにソーレン・アンデルセン、ドラムにアッシュ・シーハンという顔ぶれで、バンドはヨーロッパと南米を精力的にツアーで巡りました。
 
しかし今年1月、ヒューズは今後数カ月にわたり対応が必要となった「ちょっとした健康上の問題」を理由に、2026年春から開始予定だった全米ツアーの中止を発表していました。

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You Are the Music

イングランド中部カノック出身のヒューズは、初期のブリティッシュ・ハード・ロックやTHE BEATLES、そして何よりもアメリカのソウルやR&Bなど、あらゆる影響を吸収して育ちました。デトロイト生まれの洗練されたモータウン・サウンドや、メンフィス発の荒削りなスタックス/ヴォルト系サウンドが、彼に大きな影響を与えたのです。
 
ヒューズは70年代初頭、TRAPEZEで初めて成功を手にした後、1973年にDEEP PURPLEに加入しました。彼とデヴィッド・カヴァデールが同時にバンドに迎え入れられるという、バンド史上においても非常に重要なメンバー・チェンジが行なわれたのです。当初は懐疑的な見方もあったものの、顔ぶれを刷新したバンドは、ディープ・パープルのサウンドに新たな息吹を吹き込んだアルバム「BURN」(1974年)のリリースで、批評家たちを圧倒し黙らせました。この作品は今なお名盤として語り継がれています。バンドが30万人以上のファンを前に、伝説的音楽フェス “California Jam” のヘッドライナーを務め、専用ジェット機のザ・スターシップでワールド・ツアーを行なったのもこの頃でした。彼らはさらに2枚のスタジオ・アルバム「STORMBRINGER」(1974年)と「COME TASTE THE BAND」(1975年)をリリースした後、1976年に解散しました。

Deep Purple - Lay Down Stay Down (Live at California Jam 74') HD

ヒューズがソロ・デビュー・アルバム「PLAY ME OUT」をリリースしたのはその翌年の1977年でした。彼はその後元パット・トラヴァースのギタリスト、パット・スロールと合流し、HUGHES / THRALLを結成、1982年にユニット名を冠したアルバムで高い評価を受けています。

Hughes / Thrall - I Got Your Number (1982)

1980年代から1990年代にかけて、ヒューズは様々なアーティストのアルバムに、ヴォーカリスト、ベーシスト、あるいはソングライターとして(クレジットの有無に拘わらず)多数のゲスト参加を果たしました。その延々と続くリストには、ゲイリー・ムーア、ジョン・ノーラム、そしてBLACK SABBATHのトニー・アイオミ等が名を連ねています。

Reach For The Sky

1992年以来、ヒューズは本格的にその多作なソロ・キャリアをスタートさせ、12枚のスタジオ・アルバムを通じて、ハードロックからファンク、そしてより現代的なサウンドに至るまで、自身のソングライティングや音楽的影響のあらゆる側面を探求してきました。

Glenn Hughes - Days Of Avalon [HD]

またチャド・スミス、ジョン・フルシアンテ(いずれもレッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、デイヴ・ナヴァロ他、数多くのミュージシャンたちとコラボレーションを行なう傍ら、BLACK COUNTRY COMMUNION(ジョー・ボナマッサ、ジェイソン・ボーナム)、CALIFORNIA BREED(ジェイソン・ボーナム、アンドリュー・ワット)、THE DEAD DAISIESといった錚々たる面々との音楽プロジェクトを自ら起ち上げ、あるいは参加しています。

Black Country Communion - Collide (Official Music Video)

2025年5月22日にリリースされたロビー・ウィリアムズのシングル “Rocket” でも、彼はコラボレーターとして貢献しています。ちなみにこの楽曲にはアイオミも参加していますが、ヒューズがアイオミとレコーディングで共演したのは、2005年に2人で「FUSED」をリリースして以来でした。

Robbie Williams - Rocket [Feat. Tony Iommi] (Official Video)

また、グレンは昨年、ギターの達人タッグ、ジョー・サトリアーニとスティーブ・ヴァイによる新たなコラボレーション・プロジェクトSATCHVAIに参加し、シングル “I Wanna Play My Guitar” を共作、リード・ヴォーカルを担当してMVにもフィーチュアされていました。

Joe Satriani & Steve Vai - I Wanna Play My Guitar (Official Video)

ツアーからの引退は表明したものの、今後彼の新しい音楽は聴けるのでしょうか。快復を祈りつつ、またあの歌声を聴かせてくれることを願うばかりです。

THE GREAT SATAN
1. Voice In My Head
2. My Alibi
3. Chosen
4. Heal
5. In The Golden
6. The Lost Parade
7. Hot Damn Thing
8. Black Cat Moan
9. Come And Go
10. Into The Fade
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