【BURRN! 5月号ちょい読み】
BLACK LABEL SOCIETY──ザック・ワイルドが新作、PANTERA、そしてオジーについて語る
BY TIMO ISOAHO
ギター界のレジェンド、ザック・ワイルドは、全くの無名だった20歳の若者の頃にオジー・オズボーンに見出され、そのパートナーシップは断続的にではあるものの35年以上に判って轟き続けてきた。しかし、それは物語のほんの一部に過ぎない。近年ではPANTERAが大々的にステージに復帰し、ザックはリード・ギタリストという巨大な役割を担っている。さらにBLACK LABEL SOCIETYという止まることのない兄弟団——ワイルドによるバイカー魂溢れるサザン・テイストに染まったグルーヴ・メタル・マシン——も存在し、今や結成30周年へ向けて轟音を響かせながら突き進んでいる。
この独占インタビューでザックは、BLSとの祝福された“hellride”とバンドの新作アルバム、PANTERAやオジーについて、そして長年を経た今でもなぜツアー生活が家のように感じられるのかを語っている。
──ザック、新しいBLSのアルバム「ENGINES OF DEMOLITION」についてお聞かせください。キャッチーでエレクトリックなグルーヴ・リフから、ブルージーなアコースティック、そして雰囲気のあるパートまで総てのトレードマークが詰まっています。制作の出発点はどこにあったのでしょうか?
ザック・ワイルド(以下Z):俺にとっては、先駆者達が基礎を築いてくれて以来、結局のところいつだって素晴らしい曲を書くことが総てなんだ。昔、新しいBLACK SABBATHのレコードを手に取ると、それぞれのアルバムには独自のキャラクターがあった。全部同じじゃなかった。でも、どんな魔法が待っているのかは判っていたんだ。曲が必ず期待に応えてくれるって判ってたし、次にどんなものを作ってくるのか、聴くのが待ちきれなかった。その精神を俺も自分なりに受け継ごうとしてるんだ。自分のスタイルは保ちたいけど、最終的な目標はシンプルだよ。とにかく最高の曲を書くこと。それだけだ。レコード制作に取り組んでいる時の俺は、完全にそれに没頭してるんだ!
──あなた自身も素晴らしい、そして先駆的なギタリストですが、ギタリストやドラマー、あるいは他のパートのミュージシャンが “とんでもなく凄い演奏者” であることはどれほど重要なのでしょうか?
Z:まあ、もう一度言うけどさ、結局はいつも曲に戻ってくるんだ。例えばエディ・ヴァン・ヘイレンとかイングヴェイ・マルムスティーンみたいな人達を見てみなよ。イングヴェイのレコードを買う時、ギターが凄いかどうかを疑ったりはしないだろ? 凄いに決まってる。殆どの人がそれを買う理由は、やっぱり曲なんだよ。“I'll See the Light Tonight” とか “Black Star” とかね。ランディ・ローズもそうだった。“Over The Mountain” みたいな曲を聴くと、リフだけでもう頭をブッ飛ばされる。そして曲がCパートとかDパートに入ると、ランディがソロで弾きまくり始める。そうしたら、さらに頭をブッ飛ばされるんだ。
俺のリストは永遠に続くよ。ジミー・ペイジはレッド・ツェッペリンで純粋な魔法を作り出した。そしてリッチー・ブラックモアだ。“Smoke On The Water” は世界で一番テクニカルに難しいリフの曲ってわけじゃない。でもリッチーが弾くと、そこには疑いようのない魔法がある。それこそが、人々がそれを聴くためにチケットを買う理由なんだ。自分がギターを弾く人かどうかなんて関係なくね。
──優れたリフを生み出す秘訣は何なのでしょうか? 例えばそれがBLSの作品に相応しい良いリフだということは、どのように判断されるのですか?
Z:俺はただ自分の直感に従うだけだよ。勿論先駆者達からもいつもインスピレーションを受けてる。コピーするんじゃなくて、あくまで影響を受けるってことだけどな。だから俺が書いたものがBLACK SABBATHとかLED ZEPPELIN、DEEP PUEPLEと同じ“郵便番号あたり”に収まるなら、多分大丈夫だろうって思うんだ。“Smoke On The Water” をもう一度例に出すけど、もしリッチーがあのリフを今日書いたとしても、70年代初頭と同じくらい破壊力があるはずだ。BLACK SABBATHの “Into the Void” とかLED ZEPPELIN “Whole Lotta Love” みたいな曲も同じだよ。ああいうリフって、いつまでも頭の中に残るんだ。
──ギター・ソロについてはいかがでしょうか? 同じように考えているのでしょうか?
Z:俺はオジーと一緒に演奏し始めて以来、ずっといわゆる “ランディ・ローズ流のソロ・スクール” に従ってきたんだ。ランディの曲だけじゃなくて、その後のオジーの曲—— “Bark At The Moon” とか “Shot In The Dark” みたいな曲でも、ソロは曲の本質的な部分なんだよ。それはPANTERAでも同じことだ。“Walk” を演奏する時、ソロはめちゃくちゃ重要なパートだ。要するにソロっていうのは、“曲の中のもう1つの曲” みたいなものであるべきなんだ。曲をより良くする面白いパートってわけさ。例えば “Stairway To Heaven” を思い出してみなよ。あのソロは、曲全体をさらに高いところへ引き上げる。曲を聴きながら、その瞬間を待ってるんだ。そしてついにその瞬間が訪れると、また別の旅に連れて行ってくれるんだよ。
──では、BLSの新しいアルバムに話を戻しましょう。BLSの新曲は、通常どのようにして生まれるのでしょうか?
Z:BLSでは、普通はデモを作らないんだ。曲はただ現われて、それで基本的に終わり。“In This River”とか“Suicide Messiah”みたいなものを作るときも、ただサッと書いて、すぐ録音するだけだ。シンプルだよ。「ここが始まり、ここが真ん中、ここが終わり、はい完成。次の曲へ」 大体そんな感じだ。
最近はいつも、アルバムのプロデュースをしてくれる仲間のアダム・フラーと一緒に作業してる。まず曲の完全な骨組みを録るんだ。構成、リフ、全部ね。それから他のメンバーが入ってきて、自分達のパートをやる。俺はいつもそれを “塗り絵の本” みたいなものだって説明してる。絵はもう描かれていて、みんなはそこに色を塗るだけなんだ。例えばドラマーのジェフ・ファブが座って、まず曲を聴く。そこで「ここがイントロ?」とか「ここで1拍目から入るの?」って訊くかもしれない。それに対して「そう、そのまま入って。フィルはいらない」って言うこともあるし、「ここでブレイクダウンがあって、それからギター・ソロが始まる」って言うこともある。彼は曲を何回か聴いて、スタジオに入って、一気にやってしまう。こうして1曲完成。そうしたら次の曲へ進むんだ。
──今回のアルバムにもまた非常に色々な異なるタイプの楽曲が収められていますね。それらはどのようにして生まれるのでしょうか?
Z:大抵はただの偶然なんだよ。その日の気分次第ってことだ。エレクトリック・ギターを手に取る日もあれば、アコースティック・ギターの日もあるし、ピアノのところに行くこともある。どの楽器を使うかで雰囲気が決まってくるんだ。ピアノに向かっていると、もっと穏やかで内省的なもの、あるいは少しダークで雰囲気のあるものを書くことになるかもしれない。ギターを持って座っていれば、もっとヘヴィなものに簡単になる。本当にそれだけのことなんだ。
──このアルバムの作曲プロセスは数年前に始まったそうで、結果的にかなり長い旅になりました。それについてもう少し詳しく教えていただけますか?
Z:ああ、確かに長い旅になったよ。「ENGINES OF DEMOLITION」はいくつかの段階に分けて作られていて、最初に始めたのは2022年なんだ。その時にはもうかなりの数の曲を録った。でもありがたいことにBLSの音楽は時代に左右されないから、急ぐ必要はないんだ。当時は新しいBLSのアルバムを出す理由もなかったし、俺には他にも色々やることがあった。最初の作曲とレコーディング・セッションが終わった後、俺はそのままPANTERAとの長いツアーに出たんだ。2022年後半から、世界中で沢山ツアーをやってきたよ。アリーナのヘッドライナーを務めたり、METALLICAのサポートをしたり、色んな形でね。その数年間は本当にあっという間だった。瞬きする間に4年が過ぎたような感じで、アボット兄弟(ダイムバッグ・ダレルとヴィニー・ポール)の遺産と彼らの革新的な音楽を祝う日々だったんだ。
──そしてPANTERAのスケジュールが少し落ち着いた後、BLSの作業を再開したんですね?
Z:そのとおりだよ。ようやく少し長く家にいられるようになった時、あのBLSの曲達がもうほぼ2年前のものになってることに気づいたんだ。そして俺にとっては、いつだって一番新しいものが一番良く聞こえるんだよ。多分どんなミュージシャンも同じことを言うと思うけど、最後に書いたものがた大抵一番ワクワクするものなんだよな……。だからPANTERAのツアーの後、勿論またBLSの新しい曲を書くことになった。10曲くらいだったかな—— “The Hand Of Tomorrow’s Grave” “Name In Blood” “The Gallows” “Lord Humungus” あたりだ。PANTERAの曲をあれだけ演奏したことがBLSの作曲に影響したのか?って訊かれることもある。どこかにダイム(ダイムバッグ・ダレル)のエネルギーが少し入っているかもしれないし、瞬間的にPANTERAっぽい雰囲気が出ているところがあるかもしれない。でもそれでもPANTERAみたいには聞こえないんだ。あくまで100%BLSなんだよ。
──サウンドやプロダクションについての目標はどういったものだったのでしょうか? とてもナチュラルで、まるでバンドが目の前で演奏しているかのように聞こえます。
Z:どのレコードでも、目標はいつだって「前作より大きく、そして良い音にする」ことなんだ。それって、ちょっとウェイトリフティングみたいなものなんだよ。俺にとってもう1つの大好きなものさ。もし500ポンドのベンチプレスができたなら、次は505を狙う。そして510。そうやって積み上げていくんだ。レコード作りも全く同じ考え方だよ。いつも少しでも先に進んで、もっと良い音にしたいと思うんだ。音って本当に大事なんだよ。昔、友達が初めてLED ZEPPELINを聴いた時の話をしてくれたことがある。当時はみんなブルーズに影響を受けたロックをやっていた。CREAMとかジェフ・ベック、ロッド・スチュワートみたいなロックだ。でも、ZEPPELINが登場した時、そのレコードの音質はとんでもなく凄いものだった。みんな完全に度肝を抜かれたんだよ。そういうインパクトを目指したいんだ。
──アルバム完成から少し時間が経った今、個人的なお気に入りの曲を挙げることはできますか?
Z:俺にとって凄く意味があるのは、今でもピックアップトラックを運転している時にこのアルバムをかけてるってことなんだ。総てのレコードでそうなるわけじゃないからね。だから正直に言って、アルバム全体に大いに満足してるよ。曲順も気に入ってるんだ。最初の “Name In Blood” から最後の “Ozzy’s Song” までね。アルバムの流れが凄くいいと思うし、それは凄く大事なことなんだ。
──その流れの話が出たところで、“Ozzy’s Song” について教えてください。まず音楽を書いて、その後歌詞を書いたというのは本当でしょうか?
Z:ああ、そのとおりだよ。もう音楽は完成していて、俺はそれに凄く満足していた。でも何について歌うかはまだ決めてなかったんだ。イングランドでオジー・オズボーンを埋葬した後、俺はまたPANTERAのツアーに出た。それでまた家に戻ってきた時、夜遅くに自分の書斎でオジーが載っている本を眺めていたんだ。多分夜中の12時とか1時くらいだったと思う。それからその場で一気に歌詞を書いたんだ。次の日、プロデューサーに電話して「アダム、今日はこの曲を歌うぞ」って言った。彼が家に来て、俺達はそれを録音した。確かに感情的だったし、少し荒っぽいところもあるけど、出来上がりには本当に満足してるよ。
──この曲のギター・ソロは素晴らしいですね。曲の雰囲気に本当にぴったり合っています。
Z:さっき俺がギター・ソロについて言ったことを思い出してほしいんだけどさ。レコーディングの話をすると、アダムがこの曲では “The Grail” を使ったらどうかって提案してくれたんだ。俺のオリジナルのギブソン・ブルズアイ(bullseye)・ギター(ザックのトレードマークになっているギブソン・レスポール・カスタム)だよ。俺は未だに自分のギブソンやエピフォンを全部持ってる。今では殆どが基本的に引退状態だけど、たまに引っ張り出して弾くこともある。今回はまさにそれだったんだ。
それでソロには“The Grail”を使うことにした。実は俺はそのギターで “Miracle Man” を書いたんだ。オジーと一緒にやった最初の曲だよ。だから今回もう一度同じギターを使うのがしっくりきたんだ。ちゃんとした別れのように感じられたよ。
──この曲の雰囲気は、少しだけGUNS N’ ROSESの “November Rain” を思い出させました。音楽的に同じというわけではありませんが、似たような感情のニュアンスがあるように感じます。いかがでしょうか?
Z:もし誰かが “November Rain” を思い出すなら、それは最高だよ! あれは素晴らしい曲だからな。俺は未だにアクセル・ローズやスラッシュと凄く仲がいいんだ。心から愛してるよ。
続きはBURRN! 2026年5月号で!
BLACK LABEL SOCIETY
「ENGINES OF DEMOLITION」
3月27日発売
2. Gatherer of Souls
3. The Hand of Tomorrows Grave
4. Better Days & Wiser Times
5. Broken and Blind
6. The Gallows
7. Above & Below
8. Back to Me
9. Lord Humungus
10. Pedal to the Floor
11. Broken Pieces
12. The Stranger
13. Ozzy's Song
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BURRN! 2026年5月号
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<海外ライヴ・リポート>
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◆THE BLACK CROWES
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◆マット・ソーラム
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★デイヴィッド・エレフソン ★ジェフ・ヤング
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英国人記者ハワード・ジョンソンの回顧録:SKID ROW
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シャリー・フォグリオ記者によるオジー・オズボーン追想コラム第5回!
◆特別連載『Remembering Ronnie James Dio : Brother, Father, Teacher, Friend』シャリー・フォグリオ記者が周辺の人々に取材して綴るロニー回想録、第68回!
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過去を紐解くスペシャル・インタビュー、第20回はROSE TATTOO!
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BURRN! 2026年5月号
A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2026年4月3日発売
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