【BURRN! 5月号ちょい読み】
DIR EN GREY──今現在のリアルを反映した最新作「MORTAL DOWNER」
BY YOU MASUDA
DIR EN GREYと彼らの音楽は、万人に愛される類のものではないし、むしろ好き嫌いがきっぱりと分かれるものだろう。しかし音楽シーンのど真ん中を歩んできたとは言い難いこのバンドは、結成から29年を経た現在も、世の流れに迎合することなく独自の道を進み続け、揺るぎない支持と共鳴を獲得し続けている。その存在感を色に例えるならば黒、しかも深い闇のような漆黒ということになるだろう。
4月8日に世に放たれる「MORTAL DOWNER」は、彼らにとって12作目のオリジナル・アルバムにあたるものだ。救いようのない絶望の闇を思わせるこのタイトルは、まさにこの作品全体を支配するどんよりとした空気感に似つかわしいものだ。しかしそこに封じ込められた音像のヘヴィさには、どこか生々しいオーガニックな感触があり、残忍で冷徹というよりも、生命力を感じさせるものがある。しかも、あくまでDIR EN GREY然とした作品でありながら、明らかに従来のアルバムとは趣を異にしている部分がある。具体的なところで言えば、威圧感の強い長尺曲、あからさまにブルータルな曲や複雑怪奇な展開を伴う曲がほぼ見当たらない代わりに、今現在の彼らの姿がそのまま反映されているかのような生々しい重さ、意外なほどのリアリティが感じられるのだ。
本誌においては初の巻頭特集となる今回は、5人のメンバーそれぞれに個別インタビューを行ない、ここにきてこのような作品が生まれ得た背景を探るべく、アルバム収録曲の詳細についての解説めいた話はむしろ抑え気味にしながら、このバンドならではの価値観、視点の置き方、理想と現実といったものについて掘り下げてみた。 最初に話を聞いたのは、フロントマンの京である。DIR EN GREY以外にも2つのバンドで活動し、音楽を離れた領域での表現/創作活動にも取り組んでいる彼には、簡単には素顔を見せてくれなさそうな壁の高さを感じさせる一面と、その真逆の面とが同居している。しかし考えてみれば、どんな人間にもそうした部分はあるものだ。余談ながら、インタビュー中の彼は撮影時のような姿をしているわけではないし、普通に笑いもする。どちらも彼にとっては嘘偽りのない姿なのである。
──今回の撮影時の姿には驚きました。作品像に合わせてのいでたちということなんでしょうか?
京:まあ、そういう感じです。ただ、ライヴであれをやるかどうかはわからないです。あんまり「アルバムができたからそれの衣装でライヴを」とか考えないんで。単純に自分なりのイメージですかね、アルバムに対しての。
──2025年は新曲のリリースのない年でした。ツアーがあったとはいえ、基本的には創作モードの1年だったわけですよね?
京:そうですね、本当は去年のうちにアルバムを出す計画だったので。だからまあ、ずっとアルバムを作ってた感じではありましたね。
──楽曲によっては2024年の時点で作られていたものもあるようですね。京さんはそもそも、どんな作品像を思い浮かべていたんでしょうか?
京:当初はあくまでぼんやりとしたイメージでしたけど、なんか次はもうちょっとどっしりとした感じのアルバムがいいんじゃないかな、というのが個人的にはあって。もっと言うと、あんまりせわしない感じじゃないもの。そういう感じのほうがいいかな、となんとなく思ってたんです。メンバーともそういう話をちょっとしてたのかな。それで出てきた曲を溜めていって選曲会とかをやりつつ……。でも去年の段階では、このアルバムが結果的にどんなものになるのかは、かなり謎でしたね。しかも選曲会で残った曲についても絶対にアルバムに入れると確定してたわけではなかったんで、果たしてこの曲達で当初自分がイメージしてたようなアルバムになるのかな、というのもありました。終盤のほうになってから出てきた曲も結構あったし、後から「やっぱりあの曲はやめとこう」みたいなことになる場合もあるんで、結構、最後までどうなるかが読めなかったですね。曲自体が変わっていってしまうこともあるし。
──これまでにも結構ありましたよね、曲が変わっていったり、複数の曲が合体したり。
京:そういうのは今回もあったと思います。
──どっしりしたものを求めたのは、今現在のDIR EN GREYにはそうした感触のアルバムが似つかわしいと思えたからでしょうか? それとも今の自分達の出す音がそういう方向に向かっているという感触があったからなんでしょうか?
京:その両方じゃないですかね。単純に、ライヴもいろいろとやってきて、改めてDIR EN GREYしか持ってないものは何なのかって考えてみると、やっぱり間の取り方だったり、ライヴでの空気感の作り方だったりするのかな、と思うところがあって。イベントとかに出ると、より自分達の位置がわかるところがあるじゃないですか。ワンマンばかりやってるとそれが普通になってしまって気付かないんですけど、いろんな対バン相手とかを見ると、やっぱり自分達はちょっと変というか、変わった位置にいるんだなって再確認させられるんです。まわりからの反応もそういう感じだし。
──敢えてストレートに言うと、フェスに出て他の出演者達がお祭り感を盛り上げようとしている中で、DIR EN GREYの出番の時だけ空気感が重かったりするわけですよね。
京:まあそんな感じです。勿論みんなそれぞれ違ってて当然なんですけど、結構方向性が近いはずだと思えるバンドと一緒の時でも自分達だけちょっと違うのかな、という感触があって。それがいいのか悪いのかもわからないんですけど、そこをもっと大事にしてもいいのかな、と思ったことがあったんです。イベントとかフェスみたいな場に出ることは少ないですけど、そういう機会があるたびにそう思ってきたんで、そこをもうちょっと活かすには、全体的な世界観を重視したアルバムがいいのかな、と僕は思って。それを一言で言おうとした時に「どっしりとした感じ」という言葉になったわけです。
──なるほど。去年の11月には2本のフェス(=LUNA SEA主催の『LUNATIC FEST.2025』と、BRAHMAN主催による『尽未来祭2025』。どちらも幕張メッセにて開催された)に出演しましたが、あの時も、これまでずっと感じてきたことを再確認させられていたわけですか?
京:僕の場合はそうでしたね。
──そういう場で自分達の特異さについて実感させられるというのはとても理解できます。同時に京さんの場合、sukekiyoとPetit Brabanconでの活動が並行しているじゃないですか。複数の活動の場がある中、DIR EN GREYにしか出せないものというのがより浮き彫りになってきた、というのもあるんじゃないですか?
京:それも確かにありますね。まあ、あんまり考えてはいないんですけど、なんかDIR EN GREYをやる時は禍々しい感じになっちゃうんですよね、自分のモードも。スイッチを切り替えるような感覚ではないけど、なんか自然とそうなってくる。DIR EN GREYで自分が求められてるのもそういうところだと思うし、自分として表現したいところが今はそっちかな、というのもありますね。
続きはBURRN! 2026年5月号で!
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1. ISOLATION
2. 灰燼に帰す
3. 蜿蜒
4. Discard
5. Bloodline
6. There's nothing else
7. 歪と雨
8. The Devil In Me
9. MOBS
10. Void
11. Demand
12. 楔
13. 盲目が故に
14. no end
TOUR25 WHO IS THIS HELL FOR? [mode of VULGAR & Withering to death.]
2025.04.08 The Belasco – Los Angeles, CA / U.S.
1. 人間を被る [LIVE]
2. DRAIN AWAY [LIVE]
3. かすみ [LIVE]
4. audience KILLER LOOP [LIVE]
5. OBSCURE [LIVE]
6. G.D.S. [LIVE]
7. CHILD PREY [LIVE]
8. THE IIID EMPIRE [LIVE]
2025.04.09 The Belasco – Los Angeles, CA / U.S.
9. Spilled Milk [LIVE]
10. THE FINAL [LIVE]
11. Merciless Cult [LIVE]
12. 朔-saku- [LIVE]
13. C [LIVE]
14. 鼓動 [LIVE]
2025.04.11 House of Blues Anaheim - Anaheim, CA / U.S.
15. VINUSHKA [LIVE]
TOUR25 蜿蜒
2025.12.10 Zepp Haneda
1. Behind a vacant image
2. Discard
3. Devote My Life
4. Midwife
5. 軽蔑と始まり
6. 谿壑の欲
7. 空谷の跫音
8. 蜿蜒
9. Schadenfreude
10. 人間を被る
11. Demand
12. The Devil In Me
13. T.D.F.F.
14. 逆上堪能ケロイドミルク
15. 腐海
16. 羅刹国
17. 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
18. VINUSHKA
TOUR25 WHO IS THIS HELL FOR? [mode of VULGAR & Withering to death.]
2025.04.08 The Belasco – Los Angeles, CA / U.S.
1. 人間を被る [LIVE]
2025.04.09 The Belasco – Los Angeles, CA / U.S.
2. THE FINAL [LIVE]
3. 朔-saku- [LIVE]
4. C [LIVE]
5. 鼓動 [LIVE]
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THE WORLD'S HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINE
BURRN! 2026年5月号
<EXCLUSIVE COVER STORY:巻頭特集>
◆DIR EN GREY
常に異端であり続けてきた5人のリアルな姿を封じ込めた「MORTAL DOWNER」をリリース! メンバー全員の個別インタビューで改めてこのバンドの実像を浮き彫りにする巻頭28P大特集!!
★京 ★薫 ★Die ★Toshiya ★Shinya
+コラム『第12 作「MORTAL DOWNER」で5人が辿り着いた新たな境地』
<海外ライヴ・リポート>
◆CHILDREN OF BODOM
<独占会見>
◆THE BLACK CROWES
リッチ・ロビンソン<g>に直撃インタビュー! 最新アルバム「A POUND OF FEATHERS」制作の裏側、兄クリス・ロビンソン<vo>との関係についても激白!!)
◆BLACK LABEL SOCIETY
4年半ぶり12作目となるアルバム「ENGINES OF DEMOLITION」を発表したザック・ワイルドに独占取材敢行!オジー・オズボーンとの思い出やPANTERAのことも語っているファン必読の濃密なインタビュー!!
◆マット・ソーラム
◆ANTHEM
◆ALHAMBRA
◆The Art of Mankind
◆JEALOUS WILD
<追悼特集>
AT THE GATESのシンガー、トーマス・リンドバーグの早すぎる死を悼む…
<来日ライヴ・リポート>
◆DREAM THEATER
マイク・ポートノイ<ds>復帰、3時間に及んだ圧巻の40周年記念ツアー日本武道館公演を徹底リポート!!
◆BATTLE BEAST
◆BEHEMOTH
◆RAGE
<来日インタビュー>★デイヴィッド・エレフソン ★ジェフ・ヤング
◆KINGS OF THRASH
★デイヴィッド・エレフソン ★ジェフ・ヤング
◆特別連載『TALES FROM THE FRONTLINE』
英国人記者ハワード・ジョンソンの回顧録:SKID ROW
◆特別連載『All Aboard!:Memories of Ozzy Osbourne』
シャリー・フォグリオ記者によるオジー・オズボーン追想コラム第5回!
◆特別連載『Remembering Ronnie James Dio : Brother, Father, Teacher, Friend』シャリー・フォグリオ記者が周辺の人々に取材して綴るロニー回想録、第68回!
◆特別インタビュー・シリーズ:MONTHLY BURRN! CLASSICS
過去を紐解くスペシャル・インタビュー、第20回はROSE TATTOO!
<POSTER:ポスター>
◆IRON MAIDEN
BURRN! 2026年5月号
A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2026年4月3日発売
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