【BURRN! 4月号ちょい読み】
【BURRN! 4月号ちょい読み】PAUL GILBERT──約10年ぶりの歌入りソロ新作はG・ワシントンを作詞に起用!?
BY YUMIKO HABA
昨年2月にMR.BIGとしてのライヴ活動を終え、何に追われることもなく長い休暇を楽しんでいるのかと思いきや、ポール・ギルバートは相変わらずのワーカホリックぶりを発揮してソロ・アルバム作りに励んでいた。10年ぶりの歌入りアルバム「WROC」は、アメリカ初代大統領が礼儀作法を説いた本を歌詞にしようという奇天烈な発想がいかにもポールらしくて面白い。音楽的にもあちこちに色々な工夫や仕掛けが施され、一瞬も飽きる隙なく楽しめるという意味でも実にポールらしい素敵なアルバムだ。この奇才が何を考えて制作に挑んだのか、たっぷり語ってもらおう。
——今から1年前の2月にはあなたは日本にいて、MR.BIGの “フィナーレ” を飾るべく武道館のステージに立っていましたね。
ポール・ギルバート(以下P):ああ。最後に武道館でプレイ出来て嬉しかった。元々は(2024年夏に)ヨーロッパでツアーを終える予定だったからね。世界中を廻って終わるというのも悪くなかったけど、日本とは特別な繋がりがあるから、特別なショウがやれてよかったよ。
——1曲目が “Mr.Gone” とは意外な気もしました。セットリストはどうやって決めたんですか?
P:前回やらなかった新しい曲も加えたかったんだ。エリック(マーティン)も前からあの曲をやりたいと考えていたと思う。シンセサイザーの大きな音で始まってドラムとギターが加わる導入部もドラマティックだし、ハーモニーがたっぷりあるし、しばらく演奏していなかったから、ファンにはいいサプライズになったんじゃないかな。
—— “Good Luck Tryin’” や “Up On You” といった新曲も聴けてよかったです。
P:音楽パートは結構簡単なんだけど、ハーモニーを合わせるのに苦労したな。誰がどのパートを歌うかを調整しないといけなかったからね。そういう細かい部分をどう完璧にするかが、僕達ミュージシャンの腕の見せどころなんだ。
——そして “最後の新曲” となった “Forever In Our Hearts” も披露してくれましたね。
P:あれをプレイ出来たのは嬉しかったし、大きな意味のあることだったと思う。ビリー・シーンが毎晩ショウの最後に語る素晴らしいスピーチにインスパイアされて書いた曲なんだ。あの曲に込められたエナジーは、これが本当に最後のパフォーマンスだと判っていたから生まれたものだと思う。あの曲だけでなく、ツアー全体がそうだった。これが最後のチャンスだと知っていたからこそ、例えば「来年またやれるさ」と思っている時とは違う種類のエナジーが生まれた。そういう力を注ぎ込んであの曲とツアーをやれたのは嬉しかった。
—— “メイン・リフ・メドレー” も最高でした。
P:1曲丸ごと演奏する時間がない時に、一度に沢山の曲を皆に思い出してもらえる素敵な方法だ。実は最近、ソロのショウでもLED ZEPPELINのメドレーとかをやっていて、今度のツアーでも自分の曲をメドレーにしようと考えている。アルバムを沢山出していると、3時間のショウでも観客が聴きたい曲を全部やるのは無理だから。グレイテスト・ヒッツ的に最高の瞬間を集めて組み合わせれば、皆に好きな味を楽しんでもらえる。
——ギター・ソロについてはどう考えましたか?
P:最後のショウでは “Stay Together” をやった。昔から好きだったけど、バンドでやるはずがないって確信してたから、ソロに組み込んだんだ。
——最後にビリーがスピーチした時は、あなたの目にも涙が浮かんでいるのが見えましたよ。
P:ビリーは本当に話が上手いんだよね。ツアー・バスの中だろうと、ステージの上だろうと、いつもユーモアがあって賢くて、エナジーに満ちた話をする。だからビリーの話を聞くのはいつだって最高だ。多くの場面で彼が僕らのスポークスマンになってくれたのは本当にありがたかったよ。
——さて、いよいよ出る「WROC」は、ヴォーカル入りとしては10年ぶりのソロ作品になりますね。何故、今、こういうアルバムを作ろうと?
P:実はMR.BIGのツアーが大きな自信になったんだ。毎晩ハーモニーを歌えたし、サウンドチェックで喉を温存したいエリックの代わりにリード・ヴォーカルを歌ったりもしてたから。アイディアとしてはもう1つ、ジョージ・ワシントンの本から書いた歌詞がとても気に入ったから、これを人々に聴いてもらいたくなったんだ。
——その『GEORGE WASHINGTON’S RULES OF CIVILITY(ジョージ・ワシントンの礼儀作法のルール)』はあなたの愛読書なのですか?
P:いいや。でも面白い本だと思う。20年ほど前に歴史書を読み漁っていた時に発見したんだ。その後すっかり忘れていて、MR.BIGのライヴを終えて帰る飛行機の中で「次はどうしよう?」と考えた時に何故かあの本のことを思い出した。あれを歌詞に出来るかな?って。スマホにAIのアプリがあったから、AIに「ワシントンのルールからブルーズの歌詞を作って」と頼んでみたら、すぐに出てきた。なかなかクールな歌詞だった。でもミュージシャンとしての直感が働いて、修正したくなったんだ。サビはもっと繰り返す必要があるし、ブリッジは違うものにしないと、とね。そして家に帰ってギターを手に取り、歌ってみた。最高だ、と思ったよ。本当に楽しんでいたんだ。
これは普通じゃない、と思ったから、ミュージシャン仲間に連絡して、ベーシストのティマー・ブレイクリーとギタリストのダグ・ラパポートに来てもらい、彼らに聴かせる間、その表情を観察していた。困惑するか、眉をひそめるか、笑っているか。彼らは笑っていた。いい兆候だ、と思ったね。それから毎週来てもらう度に、曲は2曲ずつ増えていった。デモでは僕がドラムを叩いた。それをニック・ディヴァージリオに送って覚えてもらって、スタジオでのレコーディング初日に彼と再会した。そんな流れで出来たんだ。
——「良心が一番大事」とか「これをしろ」「あれをするな」といった歌詞は、最もロックン・ロールから遠い言葉ですが、非常にユニークですね。
P:パズルを解くような感覚で臨んだんだ。これなら歌詞に出来るかもという一節を選ぶ。ギターを手に取り、ただ歌い始める。歌詞を先に書くと、普通は頭の中にメロディも既に浮かんでいるものだけど、このやり方だとメロディは何もない。どうやったらこれをメロディにしていけるかを考える。時々、余分な言葉があってメロディに収まらなくなると、それがパズルとしては面白いんだよ。メロディを変えたり、長くしたりして、そんな時こそ最高のものが生まれる。このパズルを解くのは本当に楽しかった。曲を書くのがこんなに楽しかったのは初めてだ。過去最高の体験だった。
続きはBURRN! 2026年4月号で!
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2. Show Not Yourself Glad (At the Misfortune of Another)
3. Maintain a Sweet and Cheerful Countenance
4. Go Not Tither
5. Orderly And Distinctly
6. If You Soak Bread in the Sauce
7. Let Thy Carriage
8. Speak Not Evil of the Absent
9. Turn Not Your Back (To Others)
10. Conscience is the Most Certain Judge
11. Every Action Done in Company
12. Spark of Celestial Fire
13. George Washington Rules
14. (Always Show Pity To) The Suffering Offender
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<独占会見>
◆ポール・ギルバート
約10年ぶりの“全編ヴォーカル入り”ソロ・アルバム「WROC」発表! アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンが礼儀作法を説いた本から書いた歌詞とは…!? AIとのやり取り、曲作りやギター・プレイの発想の源、オジー・オズボーンやエース・フレーリーへの想いまでたっぷり語った独占インタビュー!
LAMB OF GOD
EXODUS
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<来日>
◆マイケル・シェンカー
UFOの楽曲のみを演奏したマイケル・シェンカーの日本武道館公演の模様を詳細にリポート!
DESTRUCTION
キコ・ルーレイロ
ブライアン・アダムス 他
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BURRN! 2026年4月号
A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2026年3月5日発売
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