【インタビュー】
デイヴ・エレフソンが語る、ジャクソンの新シリーズ “Legend Series” と己のベース信念
インタビュー&文:斎藤新吉/BURRN! ONLINE
通訳:川原真理子
Live pix:Yuzi Okumura
当サイトでも何度か記事を公開したことでも周知の通り、METAL CHURCHは今年4月に「DEAD TO RIGHTS」を発表。前作「CONGREGATION OF ANNIHILATION」(2023年)からメンバー3/5が交代し、心機一転してのリリースだった。
●カート・ヴァンダーフーフ〈g〉
●リック・ヴァン・ザント〈g〉
●デイヴ・エレフソン〈b〉
●ブライアン・アレン〈vo〉
●ケン・メアリー〈ds〉
下3名が新メンバーで、ブライアンはシンガーの座が不安定なVICIOUS RUMORSを度々救った実力者であり、ケンはかつてCHASTAINやFIFTH ANGEL他で勇名を知られ、現在はFLOTSAM AND JETSAMにも籍を置いている。そして言わずと知れた元MEGADETH他のデイヴ・エレフソンというビッグネームの加入がセンセーションを巻き起こした。
その新生METAL CHURCHは、去る10月9〜11日の3日間連続で東京・新宿にて約7年ぶりの来日公演を行なった。デイヴは今年2月に旧MEGADETHの曲を演奏するKINGS OF THRASHで来日したばかり。約半年強の間に2度も、しかもそれぞれ別のバンドで日本に上陸したことになる。USパワー・メタルの巨頭METAL CHURCHの名曲でベースを弾く姿を観られるとは、何重もの驚きがあった。
初日公演が行なわれる当日、デイヴたっての希望もあり、彼にインタビューする機会を得た。彼がエンドース契約しているジャクソンから “Legend Series” なる デイヴの新シグネチュア・モデル “Legend Series Limited Edition Signature David Ellefson Cb V Concert Bass” が発売されるというのである。
※詳細はジャクソン公式サイトにて
ここにラインナップされているのは、デイヴが1990年の「RUST IN PEACE」ツアーでデビューさせた、5弦ベース(ジャクソン初の5弦モデルでもある)のスペックが元になっている。デイヴ以外にもランディ・ローズ、マーティ・フリードマン、スコット・イアンと、押しも押されもせぬメタル界のレジェンド4人が愛用した名機の再現モデルが勢揃い。80年代にメタル・ギターのトレンドと新常識を定義した一大ブランド:ジャクソンの歴史を再評価し、現代のプレイヤーにその魅力を届ける使命を持ったシリーズだ。
今回のインタビューは、この “Legend Series” の話題がメイン。彼が想定以上に喋り倒したので、METAL CHURCHについて詳しく聞く時間はほぼ無かったが、その分デイヴというベーシストのアティテュードを再確認できる会見になった。
というわけで以下、デイヴのインタビューをほぼノーカットでお届けする。
ジャクソンの楽器は “ヒップ” だった
──今回、ジャクソンから “Legend Series” というラインナップが発売されることになり、デイヴのシグネチュア・ベースもそこに含まれています。今回はそれについての話題を中心にお訊きしますが、まず、デイヴが長年使い続けているジャクソンというブランドとは、どのようにして出会ったのでしょうか?
デイヴ・エレフソン(以下D):1986年のことだね。俺、デイヴ・ムステイン、クリス・ポーランドという、当時のMEGADETHのメンバー3人で「TURBO」(1986年)のツアーをやっていたJUDAS PRIESTを観に行ったんだ。会場はロサンゼルスのスポーツセンターだったかな?
※1986年5月11〜12日、JUDAS PRIESTは “LA Sports Arena” で2日間公演を行なっている。
D:オープニング・アクトはDOKKENが務めていてね。そこでジェフ・ピルソンがジャクソンのベースを使っていた。それをアンペグの “SVT” に突っ込んで弾いていたんだけど、このサウンドが… “キラー” だったんだよ! そうして俺は翌日、すぐさまハリウッドのサンセット・ブールヴァードにあるギター・センターに行き、ジャクソンのベースを物色することにした。当時ROUGH CUTTにいたベーシスト(マット・ソア)がジャクソンを使っていたことも決め手だったな。そしてギャリエン・クルーガーの “800RB” ヘッドをハートキーのキャビネットにつないで、そこにベースを挿し込んで、ガーン! 俺のトーンが生まれた。これで決まりだったね。
そして俺がムステインたちに「グローヴァー・ジャクソンに会いに行って、新しいギターを手に入れよう!」と提案したんだよ。グローヴァー・ジャクソンとミーティングをして、彼の奥さんも同席していたんだっけな。そこで彼らが俺のための “Concert” ベースを作ってくれることが決まった。それを手に入れてから「PEACE SELLS…BUT WHO’S BUYING?」(1986年)のレコーディングで残っていた部分を録ったよ。OVERKILLたちと廻ったツアーでも使った。
俺たちはMEGADETHが始まった頃、みんなB.C.リッチのモデルを使っていたんだ。でもジャクソンの楽器は、デザインもサウンドも新たな次元に向かっている気がした。つまり、当時のジャクソンは “ヒップ” だったわけ。フェンダーのベースだと、俺たちがやってるスラッシュ・メタルの音ではなく、アンティークな音がしたんで、俺独自の音を作るには何かが足りなかった。フェンダーは俺の父世代のベースって感じだったね(笑)。
というわけで、これが初めて、俺のために作られたベースだった。俺はそのベースにDEAD KENNEDYSのステッカーを貼って、「SO FAR, SO GOOD...SO WHAT!」(1988年)のレコーディングにもツアーにも使った。その次に作ったアルバムが「RUST IN PEACE」(1990年)だ。“Hanger 18” は4弦だけ(1音下げて)Dにしている。(4弦から)[D/A/D/G]というチューニングだね。これはアルバムで最後に録音した曲で、MEGADETHで今までに出したことのない最も低い音がローDだった。俺はこの曲をライヴでも楽に弾けるように、ジャクソンに5弦ベースを作ってもらったというわけだ。俺にとって5弦ベースっていうのは新しい楽器みたいなもので、感覚がまったく違う。俺に新しい可能性をもたらしてくれた。で、それを元にしたのが今回の “Legend Series” で発売される5弦モデルってわけだね。
──(この時点で6分経過)いやー、訊きたかったことを全部語っていただけました。
D:お、そうか。じゃあインタビューは終わりだな! お疲れ!(笑顔で席を立とうとする)
──いや、せめてもうちょっと続けさせてください(笑)。1984年にMEGADETHの初ライヴで撮影された有名な映像が残っていますが、それを観ると、先ほど言われたようにメンバーがみんなB.C.リッチを持っていましたよね(※この時期にヘルプ参加したケリー・キングも同様)。その頃はジャクソンよりもB.C.リッチが “ヒップ” だったんでしょうか?
D:ああ、だって尖った見た目で印象的な楽器ばかり作ってただろ? ランディ・ローズに始まり、メタルをやる人間にとって尖ったシェイプっていうのは重要だったんだ。ディーンのギターはヘッドがすごく特徴的だし、リック・ニールセンの持っていたヘイマー(エクスプローラー・シェイプ)も尖ってただろ? その後にメタルをやる奴の間でジャクソンが “ヒップ” になった時期というのは、尖った見た目だけで選ぶんじゃなく、もっとプロフェッショナルでハイエンドな楽器を使うのがクールという風潮になっていたんじゃないかな。ジャクソンのギターはヘッドが尖ってるけど、もっと伝統的なシェイプで、“真面目” というイメージもあったのがよかったのかもしれない。このギターには余計なギミックなんて必要ないんだ!というね。かと言って、アレンビックやアリア・プロIIが作るようなハイエンドなギターは、メタルに使うには見た目がちょっと優しすぎる。もちろん楽器としては素晴らしいんだけど、高級家具みたいで、「おい、そのテーブルに足を乗せちゃダメだぞ」って言いたくなるような感じだ(笑)。その点、ジャクソンはハイエンドな楽器としてのクオリティだけじゃなく、メタルらしい見た目も備えている。
“Legend Series” はジャクソンのオリジンを現代に伝えるシリーズ
──デイヴが使うベースには、EMGピックアップ、3バンド・アクティヴEQといった特徴的なスペックがあります。ジャクソンと組み始めた当初、あなたから「このパーツを使う」「この仕様にする」とアイデアを出したのですか? それともジャクソンのビルダー側のアイデアですか?
D:どうだろう。と言うより、当時は選択肢が少なかったんだよ。俺たちメタル・ベーシストが使うリプレイスメント用ピックアップなんて、市場に全然出ていなかった。まだジャクソンが “HiMass” ブリッジを作っていない時期だから、ブリッジもゴトー製だったかな。とにかくベースをイチから作るための選択肢が全然なかった。とは言え、ジャクソンが選ぶパーツやエレクトロニクスは何も問題ないし、俺も信頼して使っていたからね。
──デイヴの話を聞いていて思い出しました。今は5弦ベース用ピックアップなんて当たり前に売られていますが、当時は選択肢が無かったんですよね。
D:そうだよ。選べるとしたらEMGかバルトリーニぐらいなもんだ。しかも5弦ベースっていうのも、使っていたのはジャズやR&Bのベーシストだった。つまりメタル用の5弦ベース用ピックアップなんて無かったんだから。俺とジャクソンの連携によって、メタルのための低音を出したがっているベーシストのコミュニティに選択肢が増えたと思うよ。
俺自身、5弦ベースの正しい使い方は、メタルじゃなくジャズのベーシストからレッスンを受けて学んだんだよ。あのスティーヴ・ベイリーに習ったんだ。ランディ・カーツというカイロプラクターがいて、彼はミュージシャン向けのカイロプラクティックの本を何冊も出しているんだけど、以前は俺のテクニシャンをやっていた人物で、彼が俺をスティーヴに紹介してくれたんだよね。だから5弦ベースの使い方を身につけるには時間が必要だったよ。
そうそう、これを教えておかないと。「COUNTDOWN TO EXTINCTION」(1992年)のレコーディングの時、5弦ベースのローB弦をD音にチューニングして使っていたんだよ。5弦がローDってことだ。要するに当時のMEGADETHに、Dより低い音を出す曲は無かったから。後々、「YOUTHANASIA」(1994年)や「DYSTOPIA」(2016年)で、より低い音を使うようになったけどね。
──ということは、チューニングは5弦から[D/E/A/D/G]ということですね?
D:そうだよ。
──5弦開放と4弦開放のインターヴァルが全音1つ分しかないから、プレイが少し変わったものになりそうですね。
D:まあ、Dを一番低い音として出す曲で、必要な時に5弦を鳴らすってだけだからね。そんなに苦労はなかったよ。当時はゲージが細い弦を使っていたな。今時はライト・ゲージで5弦が.120ぐらいか? 俺は.110の弦だった。その方がテンションのかかり具合がちょうど良かったんでね。
あと、5弦ベースを使うようになって何が良かったかと言うと、使うベースが1本で済むようになったということ。低い音を出すために(チューニングの異なる)ベースに持ち替えるってことが、特にMEGADETH時代は多かったんだ。でもベースを持ち替える時っていうのは、何かとトラブルが起きるもんでね。ワイヤレス・システムがオンになってなくて音が出ないとか。それと俺はアクティヴ回路が載ったベースを使うから、9V電池が必要になる。何百万ドルもするサウンド・システムを持っていても、持ち替えたベースの電池が切れていたら終わりだよ(笑)。だから上手く機能する楽器を1つ持っておきたいんだよね。レコーディングの時はいつも5弦ベースを使っている。5本目の弦があることで、新しい曲を作る時に可能性が増えるから。
──数ヶ月前にYouTubeで、デイヴがインタビューを受けている動画を観たんです。そこで言っていたのは、「正直に言って4弦ベースの方がしっくりくる。5弦ベースは重い」と。でも実際には多くの場面で5弦モデルを使っていますよね?
D:まあね。俺がいるMETAL CHURCHでは4弦ベースを使っていて、KINGS OF THRASHでやるのは80年代のMEGADETHの曲だから、こっちでも4弦がメインになる。まあ、ベースの機材っていうのは、5弦ベースに限らず何でも重いんだよ。アンペグのアンプも中のトランスが重い。キャビネットだって中のスピーカーが重いんだから。重い音を出す楽器は重い、それは仕方ない(笑)。でも “Legend Series” の良いところは、5弦でも軽くて、俺のようにアクティヴに動き回るベーシストにとっても使いやすいことだ。
“Legend Series” を始めるにあたっては、俺がジャクソンのスタッフと電話で話したことがきっかけの1つになっているんだ。俺もジャクソン・チームの一員なんでね。その会話の中で、「(ジャクソンの親会社の)フェンダーに行くと、エリック・クラプトン、ジミ・ヘンドリックス、スティーヴィー・レイ・ヴォーンといった伝説的なミュージシャンが目に留まるじゃないか」、という話になった。ジャクソンも今、このブランドを築き上げてきたレジェンドを讃えるために、何かできないか考えている、と。そこで俺も、レジェンドを讃えるシリーズを立ち上げようじゃないかと提案した。俺とマーティ、スコッティ(スコット・イアン)、そしてランディ・ローズのモデルは、ジャクソンの “オリジン” を再現しているんだよ。マーベルの『スパイダーマン』みたいなコミックにも “オリジン” ってのがあるよね? あれと同じだよ(笑)。
※『スパイダーマン』のように長期間にわたって連載され、時代によって設定が変わったり、リセットされたりするコミックには、最初の連載時の設定やキャラクターがオリジンと呼ばれる概念があり、そのオリジンをリメイクした新規ストーリーが展開されたりもする。
D:オリジンはみんなにとってお馴染みの物語だ。「ジャクソンはここから始まり、こんなことが起こった」と、今のプレイヤーたちに歴史を伝えられる。そして今のジャクソンには続きの物語がある。俺にとって嬉しいことは、現代の若いアーティストの間でもジャクソンの人気が高いことだね。ミーシャ(マンソー/PERIPHERY)がその1人だ。ジャクソンで作ってきたギターやベースが、すでに楽器の殿堂入りしていることは誰の目にも明らかだけど、ジャクソンには未来があり、未来のために新たな楽器も作っている。8弦ギター、新しいブリッジやトレモロ・システム、ピックアップ…未来に向けて新たに完璧な楽器が作られ続けているんだよ。“Legend Series” はそれを知ってもらうきっかけになると思う。今回の俺のモデルに触れるだけでわかるよ。精度の高いチューナー(ペグ)、質量の高いブリッジ、シャークフィン・インレイ…すべてが最高の質で、最高の表現をしている。現在のジャクソンがどういうものを作れるのか、それを物語っているよね。
“Legend Series” はジャクソンのオリジンを現代に伝えるシリーズ
── “Legend Series” のデイヴのモデルを入手して、デイヴのようなベース・サウンドを出してみたいと考えるアマチュア・プレイヤーも多いと思います。そこであなたなりの音作りのコツを教えてもらえますか?
D:そうだな…基本的なことだけど、ベースはジャクソンで、SITのラウンド・ワウンド弦を張っている。アンプはハートキーの “TX7500”。それと俺はピック弾きで、ジム・ダンロップの0.88〜1.00mmのピックを使っている。これがデイヴ・エレフソンが使う機材だ。これがあれば問題ないね(笑)。ただ、これと同じものを揃えて音を鳴らしても、エレフソンの音ではなく君の音が鳴るだろう。トーンを作るのは手だよ。手と耳。ピックをアタックする感覚なんかも、俺が心地よく感じる音が出せるように研究してきた。ベースを始めた頃からずっとね。機材はこれ、アンプのツマミの位置はこれと、メカニカルな公式に当てはめるだけでは、その目標を達成できない。TikTokで15秒で感動できる動画を作るのとは違うんだ(笑)。
──デイヴはピッキングする力が強い方ですか? それともそれほど力まずピッキングしていますか?
D:そこは曲によって変えているんだ。(METALLICAの)ロバート・トゥルヒーヨや、STONE TEMPLE PILOTSのロバート・ディレオなんていい例だよ。彼らは指弾きするベーシストだし、曲ごとに強さを変えるのが上手い。俺みたいなピック弾きは、指弾きに比べると、弾かない弦をミュートする技術や、曲に寄り添ったトーンを出すのがより難しいと思う。トーンやアタックの強さを、いいバランスでコントロールすることが大事なんだよ。MEGADETHの “Symphony Of Destruction” はいい例だね。「ダダダダ、ダダダダ…」とルートを鳴らすだけでも、曲のバランスを見ながらクリアなトーンとアタックで弾かなきゃいけないんだ。そしてギターやヴォーカルがラウドである分、ベースは比較的スムーズなトーンにすることで全体のバランスを取る。例えばゲディ・リーのトーンはダーティだけど、アレックス・ライフソンが弾く綺麗なコードに対して、あのダーティなベースを合わせることでRUSHのサウンドが出来上がる。CREAMやTHE WHOもそういうバランスだったよね。そうやって自分のベース・サウンドの居場所を見つけるための工夫も大事だ。
──スラッシュ・メタルのベースは、ギターの刻みにかき消されず、存在感を出すのも重要課題ですから、デイヴの音作りが参考になると思って、こういう質問をさせてもらったんですよ。
D:ああ、その通り。ベースのトーンとは…おっと!(インタビュー場所を覗きにきたカート・ヴァンダーフーフに向かって手を振る) 紳士淑女の皆さん、レジェンドがやってきたぞ。偉大なるカート・ヴァンダーフーフだ!
…実は、俺とヴィクター・ウッテンのトーンはとてもよく似ているんだよ。俺はスラッシュ・メタル、彼はジャズなのにね。彼の演奏を観に行った時に気づいたんだ。高域と低域が上がっていて、中域がスクープされている。反対にビリー・シーンやフランク・ベロたちは、中域が豊かなトーンを出しているんだよね。俺のようなトーンは「カリフォルニア・スマイル」と呼ばれている。グラフィック・イコライザーを見るとわかるよ。笑顔みたいだろ?(※図AとBを参照) ベーシストによってアプローチはまったく違うけど、俺の場合はカリフォルニア・スマイルが最適なんだ。
──カリフォルニア・スマイルというのは、日本では “ドンシャリ” と呼ばれる音作りのことですね。
D:ドン、シャリ?
──(低音の)ドン!と(高音の)シャリです。中域がないんですよ。
D:ああ、なるほど(笑)。
“Legend Series” はジャクソンのオリジンを現代に伝えるシリーズ
──さて、あっという間に時間が来てしまったので…METAL CHURCHについても少し質問させてもらえますか?
D:ああ、もちろん。
──デイヴがMETAL CHURCHのベーシストになったというニュースには、本当に多くのファンが驚いたと思います。でもデイヴは元々このバンドのファンで、カート・ヴァンダーフーフ〈g〉とも昔から友人だったそうですね?
D:うん。METAL CHURCHの最初のアルバム(1984年「METAL CHURCH」)は、本当にシーンを象徴するレコードだったと思うんだよね。俺たち全員が恋に落ちた。ハード・ロックが好きなら、メタルヘッドなら、誰でも恋に落ちるだろうな。それから彼らの音楽は、俺の生活の一部になった。今でも覚えているよ。MEGADETHの「KILLING IS MY BUSINESS…AND BUSINESS IS GOOD!」(1985年)のツアーはEXCITERと一緒に廻っていて、そのうち2つのショウではMETAL CHURCHが出たんだ。あれはエキサイティングだったな。まだ動画なんて簡単に観られない時代のことだよ。初めて同じ場所でプレイして、ライヴでの彼らがいかに素晴らしいバンドであるかを知った。俺たちスラッシュ・メタルのコミュニティは速さが重要だ。METAL CHURCHはそのコミュニティにかなり接近していたけど、スラッシュの一線を横切ってはいなかった。普通のスラッシュ・メタルよりリズムが多彩で、スピード・メタルみたいな概念に括ることができない魅力があったね。フロリダから出てきたSAVATAGEなんかも同じような立ち位置だったな。
──METAL CHURCHの最新作「DEAD TO RIGHTS」のレコーディングに参加することになり、デモ音源を聴いた時、「完璧だ」と思ったそうですね? デイヴにとってはMETAL CHURCHの1stが基準で、それと同じぐらい完璧だったと。
D:そう。俺はジェフ・スコット・ソート〈vo〉と一緒にELLEFSON-SOTOのアルバム(2025年「UNBREAKABLE」)を作って、“Rat Pak Records”(METAL CHURCHの所属レーベル)から出した。その関係でレーベルのオーナーが「METAL CHURCHでプレイする気はあるか?」と訊いてきた。「マジか!? やるよ!」と答えたよ。やらないわけがないだろ。それで俺はMETAL CHURCHのレコードを録り、ツアーにも参加することにした。デモを聴いた時、本当に完璧だと思ったね。俺の好きな1stアルバムと同様だ。
俺にとって、METAL CHURCHでレコーディングするということは、ミュージシャンとして次のレベルに一歩踏み出すことを意味していた。こういうレジェンド・バンドに加入するとなると、それに見合った規模の活動に本腰を入れないといけないだろ。メンバーとして宣伝され、オフィシャル写真をメンバーとして撮影し、レコーディングとツアーのサイクルをこなす必要がある。ご存知の通り、俺にはKINGS OF THRASHがあるし、他にも色々なプロジェクトに関わっている。でもMETAL CHURCHに入ってから1〜2年後の活動まで見越して考えると、参加するプロジェクトの幅を狭めていく必要があると気づいたよ。MEGADETHを辞めた時、俺の前にはとても広い世界が待っていた。バンドの外に出て、ルールに縛られず、色々なミュージシャンと一緒に多種多様な音楽を作れるんだ!って期待感があってね。特定のグループの一員として長い間活動して…特にそのバンドの創設メンバーだったりすると、そのグループに属する人間としてしか認知されなくなるんだよね。いざグループから離れると、「さて、俺は一体何者なんだろう?」って戸惑ってしまう。俺がMEGADETHを始めたのは18歳の時で、あれからすっかり時間が経って、すっかり歳も取った。だからバンドの外にどんな新しい音楽があるのか、探りながら楽しんでいたんだ。
そこで話が回ってきたのが、METAL CHURCHだよ。これは最高だったね。「DEAD TO RIGHTS」はMETAL CHURCHにとって現代的で新しいサウンドを作り上げながら、同時にヴィンテージなメタルでもある。ドラムはケン・メアリーで、ブライアン・アレンの素晴らしい声があり、アルバムのミックスをしたのはゼウスだ。すべての面において完璧なパッケージだね。
──今のMETAL CHURCHは、USパワー・メタルのレジェンドの集合体ですからね。
D:METAL CHURCHについて語って、実際にプレイできるなんて、1986年の新鮮な気持ちを思い出したよ。そしてこうやって日本に来て、新宿で俺のベースとMETAL CHURCHについて話している。最高じゃないか(笑)。
バンドに加入してからこれまで、いくつものフェスティヴァルに出て、ヘッドライナー公演もやってきた。そこで昔の曲も沢山やったわけだよ。METAL CHURCHの曲というのは本当に素晴らしい…80年代から傑出した出来だったし、今聴いてもまったく古びず、時代を超越している。メンバーが若いだとか年寄りだとか、あのバンドよりテクニカルだとかヘヴィだとか、そういうものは関係なく、とにかく「曲がいい」という評価が最初にくる。METAL CHURCHがクソみたいなアルバムを出したことなんて、今までに一度もなかったからね。品質管理が徹底されているんだ。だからどんなフェスに出ても、その瞬間に誰もがこのバンドに注目する。そういうバンドのメンバーになれるなんて、本当に俺は恵まれていると思うよ。
──デイヴにはぜひ、このバンドで末長く活動してもらいたいですね。次のアルバムではデイヴが曲作りに参加することも期待しています。
D:ああ、「DEAD TO RIGHTS」は俺が入った時点で曲が完成していて、俺が手を加える必要は何もなかったからね。レコーディングとMV撮影が終わったら、あとはツアーに専念するだけだった。アメリカ、カナダ、ヨーロッパを廻り、今夜からは日本でライヴをして、またアメリカ・ツアーが控えている。来年からは新しいアルバムに取り掛かることになると思うよ。俺たち新しいメンバーが入ったことで、METAL CHURCHにはまた新しい絆ができた。それがまたバンドを変えていくんだ。「DEAD TO RIGHTS」で達成したものと同じスピリットで、それをさらに発展させた作品にしたいね。2027年は忙しい年になりそうだな。
──お身体に気をつけて、これからの活動も頑張ってください! というところでインタビューを締めようと思ったんですが、つい3日ほど前に「デイヴ・エレフソン、DIETH(ポーランドを拠点とするデスラッシュ・バンド)を脱退」というニュースが出ていたことを思い出しました。
D:そうなんだよね…さっき言ったように、METAL CHURCHに入ったことで、いくつかのプロジェクトに区切りをつける必要が出てきた。DIETHの連中とは素晴らしい時間を過ごさせてもらったし、彼らが新しいステップに進めるよう、応援の言葉を贈ったよ。でもあのニュースっていうのも妙でさ。バンドが出したプレスリリースでは、俺の脱退に関して大きくは触れてないんだよね。なのに、ネットニュースの記事は読者にクリックさせるための言葉が必要だから、「デイヴ・エレフソン、DIETHを脱退」なんて、俺を主体にした見出しにされてしまったんだよ。だったら「METAL CHURCHのアルバムが出る」ってニュースも、「デイヴ・エレフソン、METAL CHURCHに加入」を見出しにするべきだったよな(笑)。
(以下はインタビュー終了後の雑談)
──今日はありがとうございました。ところで、あなたもコメントで出演した映画『マーダー・イン・ザ・フロント・ロウ』が、まさに今、日本国内で劇場公開されたことで盛り上がっているんですよ。
D:そうなんだ! そう言えば…あの映画にも出ていた、ブライアン・リューってわかる?
──あのメガネをかけた東洋系の方ですよね? ベイエリア・スラッシュのバンドたちがまだ無名だった頃、彼らのライヴ音源をテープ・トレードで世界中に広めたという。
D:そうそう。中国系アメリカ人だったかな? ブライアンはいまだにスラッシュ・バンドを応援していて、先週METALLICAがラスヴェガスでやった “The Sphere” 公演を観に行った時、彼に会ったよ。ブライアンはあらゆるスラッシュ・バンドをサポートしていてね。実はカート・ヴァンダーフーフもブライアンと同じようなことをやっていて、ラーズ(ウルリッヒ)とはMETALLICAを始める前から知り合いだった。カートの住むアパートが “Metal Church” と呼ばれていて、みんながそこで酒を飲んで騒いでいたんだ。その頃からカートはパンクのバンドをやっていたわけで、もう何十年もシーンに居続けている男なんだよね。ある時、カートがMETAL CHURCHという新しいバンドをやるためにドラマーが必要だってことで、ラーズがそのためにロサンゼルスに行って、そこでジェイムズ・ヘットフィールドに出会ったらしいよ。シーンの始まりの時代のことで、ラーズやジェイムズがMETAL CHURCHに入っていた可能性だってあったんだ。
──メンバーが決まっていない頃のMETAL CHURCHを、ラーズは度々ヘルプしていたらしいですね。
D:そう、カートが話していたよ。ラーズとはよくジャムしていたらしい。
──その時代にYouTubeみたいな動画を撮る文化があれば、そういう貴重なジャムも映像に残されていたんでしょうね(笑)。
D:ああ、残念ながらYouTube前史の話だからな!(笑)
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