ヘヴィ・メタル前夜、暗黒ロック魔術師たちの迫力を見よ! 英国サイケ・ハード・ロックの名バンドATOMIC ROOSTERの『BEAT-CLUB』出演時映像が公開

『BEAT-CLUB』は1965〜1972年に西ドイツ(当時)で放送されていた音楽番組。前衛芸術の国ドイツらしくアヴァンギャルドな視覚効果が加えられた映像で、当時の最新鋭アクトたちによるスタジオ・ライヴが楽しめるというロック・ファン垂涎のプログラムだった。
 
まだヘヴィ・メタルというジャンルが成立するずっと前の番組だが、ハード・ロックやブルース・ロック、プログレを代表するプレ・ヘヴィ・メタル時代の猛者たちの貴重映像も数多くストックしている。イアン・ギランが物凄く適当な歌詞で歌う未完成状態の“Highway Star” を披露するDEEP PURPLEや、不気味なマネキンの顔が背景に映るBLACK SABBATHの “Paranoid” などはメタル・ファンにも結構知られているはず。
 
つい先日、この『BEAT-CLUB』公式チャンネルにてプログレッシヴ/サイケなハード・ロック黎明期の名バンドATOMIC ROOSTERのアーカイヴ映像が複数アップされた。

元THE CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWNのヴィンセント・クレイン〈key〉によって結成されたATOMIC ROOSTERといえば、EL&Pに参画する前のカール・パーマーがドラムを叩いていたデビュー作がまず有名だが、クレイン、ジョン・カン〈vo, g〉、ポール・ハモンド〈ds〉の3人で制作した2作目の「DEATH WALKS BEHIND YOU」が最も人気が高く、サイケでヘヴィな音像が後のドゥーム・メタルにも影響を与えた本作こそが歴史的重要作。今回アップされた “Vug” “Sleeping For Years” “I Can’t Take No More”(これのみ1972年とクレジットされているが、カンとハモンドは前年に脱退しているはず)の3曲はこの時期の映像だ。

ご覧いただければわかるように今時のテクニカル・メタル勢すら裸足で逃げ出しそうなほど演奏のキレが壮絶で、特に狂ったように弾きまくるカンが恐ろしい。余談だが後にカンはTHIN LIZZYがゲイリー・ムーアが脱退して正式に4人組になる直前、穴埋めとして1971年のヨーロッパ・ツアーでアンディ・ジーと共に仮状態のツイン・ギター編成を披露したこともある。

今回アップされたもう1つの映像 “Black Snake” は1972年の収録で、前年発表の「IN HEARING OF ATOMIC ROOSTER」収録曲。このアルバムは「DEATH〜」の3人にピーター・フレンチ〈vo〉を加えたラインナップで録音されたが(“Black Snake” のヴォーカルはクレイン)、この時点でスティーヴ・ボルトン〈g〉、リック・パーネル〈ds〉、そしてジャズ・ロックの名門COLOSSEUM(ゲイリー・ムーアがいたCOLOSSEUM IIではなく “I” の方)を経たクリス・ファーロウ〈vo〉による新生ATOMIC ROOSTERが誕生。クレインがソウル/R&B色を強めたために他のメンバーが総入れ替えとなってしまったが、この年に発表した「MADE IN ENGLAND」はまた別の魅力を示した名作だ。

この1972年時期の映像は、2018年にドイツの再発専門レーベル “Repertoire” が発売したコンピレーションでもDVDにまとめられている。

ON AIR - LIVE AT THE BBC & OTHER TRANSMISSIONS
【CD1: BBC Radio 1 - Live In Concert (Paris Theatre, London,27/07/72)】
1.Breakthrough
2.Stand By Me
3. People You Can’t Trust
4. A Spoonful Of Bromide Helps The Pulse Rate Go Down
5. All In Satan’s Name
6. Devil’s Answer

【CD2: Beat Club (1972)】
1. Save Me
2. Sleeping For Years
3. Vug
4. Tomorrow Night
5. I Can’t Take Any More
6. Black Snake (Version 1)
7. Breakthrough (Version 1)
8. Black Snake (Version 2)
9. Breakthrough (Version 2)
10. Breakthrough (Version 3)

【DVD: Beat Club (1972)】
1. Save Me
2. Sleeping For Years
3. Vug
4. Tomorrow Night
5. I Can’t Take Any More
6. Black Snake (Version 1)
7. Breakthrough (Version 1)
8. Black Snake (Version 2)
9. Breakthrough (Version 2)
10. Breakthrough (Version 3)

なおATOMIC ROOSTERは80年代以降に何度かの再結成と分裂を繰り返し、クレインが急死したことで再結成は 2016年にボルトンとフレンチが中心になって復活。昨年には42年ぶりのスタジオ・アルバム「CIRCLE THE SUN」をリリースしている(フレンチはすでに脱退)。かつての呪術的な妖しさは薄れてしまったが、ファジーなプログレッシヴ・サウンドが初期ATOMIC ROOSTERにしっかり近づいているという驚きのクオリティだ。

CIRCLE THE SUN
ATOMIC ROOSTER
「CIRCLE THE SUN」

Esoteric Antenna
2025年
1. Fly Or Die
2. Circle The Sun
3. Never 2 Lose
4. Walk With Me
5. Rebel Devil
6. No More
7. Pillow
8. Last Night
9. First Impression
10. Blow That Mind
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