【BURRN! 3月号ちょい読み】

VOW WOW──伝説を再確認させられた奇蹟の一夜

report by KYOSUKE TSUCHIYA
pix:Koichi Morishima

奇蹟の積み重ねが導いた奇蹟。そう称したくなるライヴだった。明確にVOW WOW名義で行なわれた2024年の川崎クラブチッタ(2日間)、2025年の東京ドームシティホールでの公演もチケットは即日完売していたが、それは誰にとっても想定内だったに違いない。2008〜2010年に散発的に行なわれた渋谷AXなどでの厚見玲衣〈key〉、山本恭司〈g〉、人見元基〈vo〉が一堂に会したセッションも同じ状況だったからだ。

しかし、キャパシティが7,000〜8,000人となる東京ガーデンシアターとなれば、少し話は違ってくる。コンサート・プロモーターが近年のチケット販売の動向から会場選定をしたのは間違いないが、往時のファンベースをそのまま当てはめれば、フルハウス状態になるのは当然とはいえ、過去と現在では時代は異なる。そういった中で出現した、最上段の客席まで埋め尽くされた壮観さ。伝説を再確認しに来たファン、初めて伝説に触れるファン。VOW WOWに対するいろいろな人たちの思いが形となって現われたのが、この光景だったのだと言っていいだろう。 

暗転して聞こえてきたのは “Premoniton”。幕が上がると、すでにメンバーは定位置におり、そのまま “Hurricane” が始まった。フロントの3人はすでに60代後半ながら、年齢による衰えなど微塵も感じさせず、むしろ成熟度を増した高い完成度で魅せるのだから恐れ入る。最高峰のハード・ロック・バンド。そう呼ぶに相応しい佇まいだ。

サポート・メンバーに恭司の息子である山本真央樹〈ds〉が迎えられていたのも注目点だった。彼の卓越したプレイアビリティは他のライヴで知っていたが、VOW WOWに寄せたのか、そのサウンドには亡くなった新美俊宏〈ds〉を想起させる重さもある。フレットレス・ベースを操る永井敏己〈b:ex.VIENNA, DED CHAPLIN〉の巧さも従前どおりで、以降の演目でも随所に魅了された。

 続く “Doncha Wanna Cum (Hanger 15)” が披露されたのは15年ぶり。今回の公演は『The 40 Years of VOW WOW III Celebration』と題されていたが、VOW WOWの音楽性が確立された代表作であり、世界に誇る屈指の名盤「III」(1986年)に収録されたこの曲のシャッフルのリズムに心地よく体を揺らすオーディエンス。彼らの多彩さがわかるマテリアルでもある。
「久しぶりだぜ!」といつもの口上で沸かせる人見。前回公演からすでに1年も経ていることに触れ、「そう思うとVOW WOWが解散(1990年)したのがほんの数ヵ月前のような気がしてしまう」と笑わせる。この緩いMCは彼のソロ・ライヴでもお馴染みだが、実演が始まれば途端にカリズマティックなシンガーへと変貌する。自在に歌い上げる “Don't Tell Me Lies” にしても、フェイクまで含めて味わい深い。ダイナミズムに溢れた音の起伏も、バンド・サウンドのみで構成されている特性と阿吽の呼吸で成立する個々の演奏の押し引きによって生み出されるものだ。

“Night By Night” は特に意外なセレクトだった。記憶が定かではないが、セットリストに組み込まれたのは「VIBe」(1988年)のリリース・ツアー以来の可能性もある。しかし、多くのオーディエンスはかつてと同じように熱く反応を返し、コール&レスポンス方式でタイトルを叫ぶサビも大いに盛り上がる。そういった反応を受けてのものだろう。人見は「楽しいなぁ」と笑顔を浮かべる。ここで真央樹を紹介、彼が33歳であることを明かし、「これで平均年齢がちょうど60歳」だと笑わせる。ただ、恭司も口にしたようにVOW WOWがロンドンを拠点に活動していた頃はさらに若かったのだから、これは若手ミュージシャンにとってみれば、隔世の感のあるエピソードかもしれない。

そして、「こんなのもやるよ」(人見)と「V」(1987年)から厚見が作曲した “Born To Die” が始まった。じっくり聴かせつつ、情熱的にも響く。内面を映し出したようなギター・ソロから、中間部にリズム隊を押し出したセクションが設けられたのは今回ならではだろう。ここに続いたキーボード・ソロにもまた魅了される。静から動へと移りゆく音世界。敏腕の集合体ゆえに表現できるアンサンブルという意味では、ここは前半のハイライトの1つだった。


続きはBURRN! 2025年3月号で!

SETLIST
1. Premonition(SE)〜Hurricane
2. Doncha Wanna Cum
3. Don't Tell Me Lies
4. Night By Night
5. Born To Die
6. You Know What I Mean
7. Mountain Top
8. Guitar Solo
9. Your're The One For Me
〜休憩〜
10. Vocal Solo
11. Don't Leave Me Now
12. Break Down
13. Keyboards Solo
14. Turn On The Night
15. Snow Flakes〜Pains Of Love
16. Nightless City
17. Go Insane
18. Shot In The Dark
〜encore〜
19. Rock Me Now
20. Shock Waves

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