IRON MAIDEN:スティーヴ・ハリスが語るバンドの現状と未来

IRON MAIDENとは何か? イーストロンドン出身のヘヴィ・メタル・バンドIRON MAIDENは、1975年にベーシストのスティーヴ・ハリスによって結成された。今年で結成50周年を迎える彼らは、このジャンルのレジェンドとしての地位は永遠に揺るぎないものと確信している。音楽のトレンドは移り変わるものだが、古き良き、頼りになるIRON MAIDENは常にそこに存在し、自らが作り上げた音楽スタイルで世界中のスタジアムを満員にしている。流行にはまったく興味がなく、おそらく意識することもない。何百万人ものファンが熱狂する音楽とライヴ・ショウを生み出す能力は、相変わらず信頼に値する。

MAIDENは、なぜ音楽業界の気まぐれとは無縁のままなのだろうか? MAIDENの組織内のマネージメント・チームの一員として仕事をしたことがある私には、もしかしたら、それに関する答えを提供出来るかもしれない。IRON MAIDENは常に2人の男が動かしてきた。スティーヴ・ハリスと、バンドの唯一無二のマネージャーであるロッド・スモールウッドだ。MAIDENがインディペンデントで出した最初のEP「THE SOUNDHOUSE TAPES」を聴いたスモールウッドは1979年にこのバンドを引き受け、すぐにメジャー・レーベルの『EMI Records』とのレコード契約と『Zomba Mu­sic』との出版契約をバンドにもたらして、その資質を証明した。スモールウッドとハリスの意見は常に総てにおいて一致していたわけではなかったが、2人が共有していたのはIRON MAIDENに対する絶対的な情熱であり、このバンドが何を達成出来るかに関する頑固なまでの信念であり、MAIDENの旅の方向性にはいかなる外部からの影響も受け付けないという決意だった。スモールウッドは、この不屈の精神を、ずばり「プライドとエゴ」と要約した。

私がMAIDENのマネージメントである『San­ctu­ary Music』の組織内で仕事をしていた1990年には、MAIDENは既に世界的にロックの主要バンドの1つとしての地位を確立していたが、それでもハリスとスモールウッドにはまだやり始めたばかりだという感覚があった。そして、私達は今、それから35年後の世界にいる。IRON MAIDENはかつてないほどビッグになっているし、毎年3ヵ月間を掛けて行なわれるスタジアム・ツアーは、間違いなく、どんなメタル・ファンのカレンダーにも目立つように書き込まれている。

だが、スティーヴ・ハリスは、彼のバンドの素晴らしい成功や驚くべき長寿の理由や原因を分析することに長い時間を費やしたりはしない。「俺達は俺達がやるべきことをやる。それだけだ」と、彼はいつもの率直な口調で私に言う。私は、これまでの長年の間に、多くの様々な国々で、とても長い時間を彼と談笑しながら過ごしてきた。彼がほぼ一晩中、延々とジョークを放ち続けて私を眠らせなかったせいで、ベルファストからの飛行機に乗り損なったことも一度ある。

『KERRANG!』や『METAL HAMMER』、そして勿論BURRN!といった雑誌には、私が彼にインタビューをした記事が数え切れないほど掲載されている。ある時、彼が予告なしに『KERRANG!』編集部のオフィスに現われ、MAIDENのアルバムについて否定的な記事を書いた同僚ライターをぶん殴ってやると罵った時、私は全力で彼を止めた。どのアルバムの時だったかは憶えていないが。

IRON MAIDENのサッカー・チームで、スティーヴとは数え切れないほどサッカーをした。驚くべきことに、彼は69歳になってもまだサッカーを続けている。一方、私は彼よりかなり年下だが、数年前にサッカーから引退した。おそらく、それは多くのことを物語っている。スティーヴ・ハリスは私が今まで出会った中で最も意志が強く、ひたむきな男の1人だ。彼の世界観は、「不可能なものは何もない」という『Adidas』のあの有名な広告フレーズが、最も的確に表現している。

IRON MAIDENは8月2日にポーランドのワルシャワで『RUN FOR YOUR LIVES WORLD TOUR』のヨーロピアン・レグを完走した。大抵のミュージシャンなら、家でのんびり儲けた金額の勘定でもしたいと思うものだろう。だが、スティーヴは1日も休まず、彼の“もう1つのバンド”であるBRITISH LIONで数多くのライヴを行なうことを選んだ。音楽に対する彼の情熱は、明らかに、これまでと同じように赤々と燃えているのだ。そのことは、我々の最新インタビューのために彼から連絡が入った時にも明白だったし、私達の会話は、実際のところ、パブでの友人同士の長いお喋りという感覚のものになる。

実は、この会話はハリーがくれた二度目の電話で行なわれたものだ。我々は互いを熟知している間柄なので、広報担当者が彼のために仲介の労を取る必要はないのだが、唯一の問題は、最初に彼が私に電話を掛けてきた時、私は地元のスーパーマーケットで買い物をしている最中だったことだ! だが、その2日後、私が机の前に座り、古くからの友人とのお喋りを楽しみに待っていた時、電話が鳴った…。


続きはBURRN! 2025年11月号で!

〇〇〇〇〇〇〇〇〇●

THE WORLD'S HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINE

BURRN! 2025年11月号

〈EXCLUSIVE COVER STORY:巻頭特集
IRON MAIDEN
『RUN FOR YOUR LIVES WORLD TOUR』欧州レグを終えたスティーヴ・ハリスがバンドの現状と未来を赤裸々に明かした独占ロング・インタビュー!

<EXCLUSIVE INTERVIEW:インタビュー記事>
HALESTORM
過去最高地点へと歩みを進める3年ぶりの新作「EVEREST」リリース!

TESTAMENT
ベイエリア・スラッシュのヴェテランが13作目のオリジナル・アルバム発表!

AMORPHIS
フィンランドのメランコリック・メタルの最高峰、2ヵ月連続露出のパート2!

PARADISE LOST
英国ゴシック・メタルの元祖が悲哀と絶望の中に一筋の光が見える新作を完成!

LIV MOON
AKANE LIV率いるシンフォニック・メタル・バンドが7thフルをリリース!

GUS G.
歴代2番目に長くオジー・オズボーンのギタリストを務めたガス・Gが語る思い出!

DAVID ELLEFSON
オジー逝去の翌日、“最終公演”に参加したデイヴィッド・エレフソンを緊急直撃!

MANTAS VENOM JAPAN
VENOM結成メンバーのマンタスと日本ブラック・メタル界の精鋭が集結!

LORDS OF NWOBHM
来年1月、伝説の英国メタル・ミュージシャン達が一堂に会して日本公演を敢行!

CERVETERI
群馬を拠点とするメロディアスなハード・ロック・バンドが3rdアルバム発表!

AZNIG
日本人とインドネシア人がオーストラリアで出会って誕生したバンドがデビュー!

明日の叙景
独自の美学をもって激情を体現する話題のバンドの音楽的背景と素性を探る!



特別企画〉
回想1975:増田勇一×広瀬和生
今からちょうど50年前──ハード・ロックが転機を迎えていた時代を検証!
②再考:NWOBHM
HM/HRの多様化と極端化が更に顕著になったあの時代を振り返る!

〈特別連載〉
『Remembering Ronnie James Dio : Brother, Father, Teacher, Friend.』
シャリー・フォグリオ記者が周辺の人々に取材して綴るロニー回想録、第62回!

『TALES FROM THE FRONTLINE』
英国人記者ハワード・ジョンソンの回顧録:CHEAP TRICK


<SPECIAL LIVE REPORT IN JAPAN:ライヴ・リポート>
聖飢魔Ⅱvs BABYMETAL〜悪魔が来たりてベビメタる
メタル界の悪魔とメタルの神“キツネ様”が遂に激突! 世紀の対決の結末とは!?!

HOT MILK
英国のエモ・パワー・ポップ4人組、1年9ヵ月ぶりの再来日で『サマソニ』出演!

BEAT
80年代KING CRIMSONを超絶プレイヤー陣が蘇らせる“真夏の夜の夢”!

DIZZY MIZZ LIZZY
デンマークのトリオ、一夜限りのライヴでデビュー・アルバムの全曲を披露!

ULI JON ROTH
天空からの使者ウリ・ジョン・ロートが美しく壮大な唯一無二のライヴを披露!

GENKI SESSION 2025
年に一度の恒例イベントで人見元基の“世界最高峰のヴォーカル”を堪能!

POSTER:ポスター〉
Michael Schenker

※ウイリアム・ヘイムス氏の撮影裏話『Man Of Two Lands』、元BURRN!編集部員の奥野高久氏がHM/HRの歴史について綴る『WAKE UP AND SMELL THE RECORD』といった新コラムも好評連載中! 増田勇一氏のコラム『MUSIC LIFE』、喜国雅彦氏の『ROCKOMANGA!』、落語家・立川談四楼師匠の『そこでだ、若旦那!』、オーディオ専門店『ザ・ステレオ屋』店長・黒江昌之氏の『THE STEREO XXCKING』、梶原崇画伯の部屋、書評(古屋美登里氏)・映画評(岩沢房代氏)やアーティスト(ARCH ENEMY/SPIRITUAL BEGGARS他のマイケル・アモット、元CATHEDRAL/『Rise Above Records』主宰のリー・ドリアン、BE THE WOLF/FROZEN CROWN他のフェデリコ・モンデッリ)によるコラムなど、読みものコーナー充実!!

ニュースやアルバム・レビューほか情報も満載です!


BURRN! 2025年11月号

A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2025年10月3日発売

この記事についてのコメントコメントを投稿

この記事へのコメントはまだありません

BURRN! 2024年10月号

BURRN! 2024年10月号

1,800円
BURRN! 2024年6月号

BURRN! 2024年6月号

1,000円
ザ・ライズ・オブ・プローラー アイアン・メイデン ファースト・テン・イヤーズ

ザ・ライズ・オブ・プローラー アイアン・メイデン ファースト・テン・イヤーズ

3,300円
アイアン・メイデン読本

アイアン・メイデン読本

2,200円

RELATED POSTS

関連記事

LATEST POSTS

最新記事

ページトップ