【BURRN! 12月号ちょい読み】

CARCASS──リヴァプールの残虐王、ドラマーの苦境を乗り越えて堂々の来日

BY TAKA OKUNO

CARCASSが復活第2弾にして2022年発表の通算7作目の最新作「TORN ARTERIES」に伴う来日公演を行なうのは今回が三度目。1回目は2003年の『LOUD PARK』出演時、2回目は2024年の単独公演、そして3回目が今回の東京での2公演ということになる。2026年夏の欧州フェスティヴァル巡業ではダニエル・ウィルディング〈ds〉は不参加、代役として元BODOM AFTER MIDNIGH他〜現OPETHのヴァルッテリ・ヴァユリュネンが同行していたが、その夏のツアーを終えたCARCASSは今秋のアジア/オセアニア・ツアーの全日程をキャンセルすることを公表した。既報のとおりダニエルの家族が大病を患っており、ヴァルッテリにもOPETHでの任務があり、他に代役の目途が付かない、というのがその理由だった。しかし、ダニエルの意志により「日本公演だけは行ないたい」との連絡がCARCASS側から入り、それを受けた招聘元のクリエイティブマン・プロダクションと日本での所属レーベルであるトゥルーパー・エンタテインメントは当初の予定どおり準備に取り掛かった。「アジアやオセアニアを何週間も廻るのは不可能だが、日本滞在は長くても3日ほど」というダニエルの判断に基づいての日本公演決行だった。そうした困難な状況下においてダニエルは頭を悩ませたはずだと察するが、その決断に深く感謝したい。

その東京公演、収容人員3,100人の豊洲PITと、350人の代官山SPACE ODDにて開催された。欧米で言うところのシアター・クラスの会場と、すし詰めのクラブという両極端の2公演だったが、ここでは豊洲PIT公演の模様をメインにリポートをお届けする。

数十もの手術器具が放射線状に並べられた復活第1弾「SURGICAL STEEL」(2013年)のアートワークがバックドロップに掲げられ、2020年発表のEP「DESPICABLE」収録の “The Living Dead At The Manchester Morgue” がイントロに流れる中、メンバー4人が登場、「SURGICAL STEEL」収録の “Unit For Human Consumption” でショウはスタートした。切れ味鋭いギター・リフをフィーチュアしたスラッシュ・メタル寄りの曲であり、ボストン出身のスラッシュ・メタル・バンド、WARGASMによる1988年発表作「WHY PLAY AROUND?」収録の “Undead” からインスピレーションを受けたコーラス・パートのギター・リフのスリリングさはツアーを重ねる毎に強化されている。中間のブレイク・パートを挟んでのギター・ソロは基本的にアルバムどおりだが、幾らかインプロヴィゼーションも加えられているように聞こえた。

その “Unit〜” にメドレーで続いたのは1993年発表の4thアルバム「HEARTWORK」の幕開け曲 “Buried Dreams” であり、イントロ・パートが轟くと場内に歓声が上がった。ジェフ・ウォーカー〈vo,b〉の咆哮はアルバムで聴かせたものよりも低く野太いと印象。ビル・スティアー〈g,vo〉はアルバムどおりのソロを披露、ジェイムズ・ブラックフォード〈g〉はマイケル・アモットによるワウワウを効かせた泣きのソロをきっちり再現している。ドラマーのダニエルはオリジナルのケン・オーウェンによるもはやドラム・リフとも呼ぶに相応しいキャッチーなリズム/グルーヴを勿論再現してみせる。

“Buried Dreams” が終わるとCARCASSファンには御馴染みのSEが流され、これにも歓声が上がった。SEにカットインで繰り出されたのは勿論、“硫酸どろどろなんでも溶かす” との邦題がチャーミングが “Incarnated Solvent Abuse” である。単音フレーズによる奇怪で捻じれた変則リフとブラスト・ビートとのコンビネーションは2026年の段階においてもインパクト絶大であり、この曲を書いた当初、ビルとマイケルのギター・コンビ2人は揃ってまだ20代前半という若さだったという事実にも改めて驚かれる。ビルは自身のソロを勿論再現、ジェイムズもマイケルの残したソロを忠実になぞっている。「曲の中の曲」と機能しているギター・ソロを他人が勝手に改編することは許されざる行為、と認識してのことだろう。

続きはBURRN! 2026年12月号で!

THE WORLD'S HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINE

BURRN! 2026年12月号
 

<EXCLUSIVE COVER STORY:巻頭特集>
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◆CARCASS
“リヴァプールの残虐王” が約2年半ぶりに来日。ライヴ・リポートと併せてビル・スティア—<g,vo>の独占インタビューも掲載。

◆LOVEBITES
最新作「OUTSTANDING POWER」を引っ提げて7月にEU/UKから始まった『OUTSTANDING TOUR』のジャパン・レグのエンディングを飾った東京・Zepp Hanedaでの2daysの模様をリポート。


BURRN! 2026年12月号

A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2026年12月5日発売

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