【BURRN! 11月号ちょい読み】
NICKELBACK──マイク・クルーガーが語る最新作「EVERYTHING UNDER THE SUN」
BY YOU MASUDA
21世紀において誰よりも大きな成功を収めてきたロック・バンドのひとつ。1995年にカナダのアルバータ州ハンナで結成されてからの31年間を通じて全世界で6,000万枚近い累計アルバム・セールスをあげ、数十億回にも及ぶストリーミング再生回数を記録してきたNICKELBACKについてそんなふうに形容しても、誰も異論を唱えはしないだろう。
彼らが巨大な成功により手に入れたもののひとつに “時間” がある。他の追随を許さぬ実績を打ち立ててきたことで信頼を勝ち取り、あらかじめ設定された発売日から逆算された締切りに縛られることなく、完全に納得できるまで創作活動を突き詰めることが可能になったのだ。実際、前作にあたる「GET ROLLIN'」(2022年)は、そうした時間的制約のない状態で制作されている。ただ、そうした自由度の高さにも一長一短があるようで、同作完成当時にインタビューした際、ギタリストのライアン・ピークは次のように語っていた。
「自由には、良い面と悪い面の両方がある。勿論、自由を確保できているというのはアーティストにとって夢のような状態でもある。それこそ初期のうちはアルバムの制作期間もごく短かったし、あの頃はもっと時間が欲しいと思っていた。もっと時間がありさえすれば自分達が望んでいるものを形にできるはずだと信じていたんだ。だけど現実には、自由というのは “あればあるほどいい” というものではなくて、時間をかけずにサッと作ったほうが核心に触れられる場合もある。時間があり過ぎると、そこで分析的になり過ぎてしまい、結果的にあれこれやり過ぎてしまったり、逆に迷いが生じたりすることもある。俺の場合は、むしろ締切りがあったほうが上手くいくんだ。それまでにどうにかしようって、気合が入るからね」
その前作の発売から4年を経て、彼らにとって11作目にあたるオリジナル・アルバムが登場する。「EVERYTHING UNDER THE SUN」と題されたこの作品について、バンドのフロントマンであるチャド・クルーガーは「このバンドのすべての側面が詰まったアルバム。過去最高にハードにぶつかってくる曲もあれば、新たな挑戦をした曲、そして俺達が長きにわたって一緒にやってきた理由を思い出させてくれる曲もある」と語っている。実際、この作品には、例によって彼らならではの多様な楽曲が絶妙のバランスで配置されていて、初めて耳にする真新しい曲ばかりだというのに、長年聴き続けてきたフェイヴァリット・アルバムのような愛着感をおぼえさせられる。
そんな新作について、今回はベーシストのマイク・クルーガーに話を聞くことになった。言うまでもなく彼はチャドの実兄でもあるわけだが、近年のチャドはあまりメディアに登場しなくなり、もっぱらこのマイクがスポークスマン役を務めるようになってきている。ただ、こうした新譜完成のタイミングでのインタビューを任されているのは、彼が確実にバンド全体の事情を把握し、メイン・ソングライターであるチャドの意向と温度差なく作品の制作背景について語ることのできる人物だと見做されているからこそだろう。
筆者は2019年2月、彼らが自己2回目となる日本武道館公演を行なった際、開演前にバックステージで彼と話をする機会を得ているが、その時も彼は当事者としての意見と、一歩引いたところから全体を俯瞰で捉えているかのような視点を併せ持ちながら、ひとつひとつの質問に丁寧に答えてくれたものだった。今回はZOOMを介しての対話となったが、勿論そうした印象が変わることはなかった。ただ、この時の彼は、楽しい制作過程を経て充実したアルバムを完成させることができた歓びだけではなく、「今すぐにでも言いたいけれど、まだ口外するわけにいかない秘密」も同時に抱えていたのだった。
──今作、「EVERYTHING UNDER THE SUN」は一聴してNICKELBACKだとわかる作品であると同時に、初めて聴いた瞬間から愛着を感じさせられる1枚です。前々作の「FEED THE MACHINE」(2017年)は「ハード・ロック・アルバムを作りたい」という基本構想に則って制作されたものでした。そして前作「GET ROLLIN'」は「制作スケジュールに縛られることなく、本当に満足できるものができた時に出す」というスタンスで制作されたものでしたよね?
マイク・クルーガー(以下M):そのとおり。今、君が言ってくれたことはまったくもって正しいよ。
──その前作から4年を経ての登場となるこのアルバムを作るにあたって、事前にコンセプトやテーマといったものがあったんでしょうか? 制作スタンスなどに従来との違いはありましたか?
M:いや、むしろ今回は前作当時よりもさらに緩やかで、オープンな制作スケジュールだった。(笑) 作業はやりたい時にやり、休みたい時には迷わず休むことにしたんだ。より良いアイディアを捻り出すためにも、休養のための時間は充分に確保したほうがいいと判断したわけだよ。しかも俺達はこの制作期間において、どこのレコード会社とも契約していなかったから、俺達を急かすやつは誰もいなかった。どこかの会社の予算を使っていたわけじゃなかったからね。(笑)
──盲点でした。契約が浮いていたんですね?
M:そう。だから「何月何日までに完成音源を納品しなきゃならない」というような切迫感もまるで皆無だった。俺達はそのやり方が気に入っていたんで、メキシコのロスカボスにあるチャドの家で素敵な時間を過ごしたよ。そこにはちょっとしたスタジオがあるんだ。俺自身は今、カナダにある自宅のスタジオにいるんだけど、弟のスタジオはこっちにもあって、今回はそのスタジオでも、ロサンゼルスでも作業してきた。いろんなところで少しずつやってきたんだ。
このアルバムにコンセプト的なものは特にない。むしろコンセプト・アルバムとは真逆のもので、ありとあらゆるもの(=everything under the sun)が収められている。だからこそこのタイトルが付けられたんだ。まさにNICKELBACKにおけるあらゆるスタイルがここに提示されているからね。さまざまなものがブレンドされているんだ。
続きはBURRN! 2026年11月号で!
2. Bones For The Crows
3. I Already Know
4. Leave Me Behind
5. If I Don’t Go
6. Make Me Love You
7. Chasin’ Famous
8. Simple Song
9. Technicolor Steamboat
10. Lift Somebody Up
11. Bottled Dreams
12. Last Night Was Fun
13. I Would Have Left You (日本盤ボーナス・トラック)
THE WORLD'S HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINE
BURRN! 2026年11月号
<EXCLUSIVE COVER STORY:巻頭特集>
◆TMG
B'zの松本孝弘<g>を中心とする日米混合スーパーバンドが2年ぶりに再結集!
“SAYONARA”ツアーを開始する4人のメンバーに個別独占インタビュー!!
<EXCLUSIVE INTERVIEW:インタビュー記事>
◆NICKELBACK
今世紀において最もビッグなロック・バンドの前作から4年ぶりとなる第11作が登場!
◆ACCEPT
結成50周年を迎えたバンドの歴史の核心へと迫るウルフ・ホフマン独占会見パート2!
◆BLIND CHANNEL
フィンランドのバンドが活動休止を経て新体制で挑んだ会心作を引っ提げ、11月再来日!
◆FIVE FINGER DEATH PUNCH
結成20周年の節目を経て、これまでのあらゆる経験を昇華させた第10作をリリース!
◆AMON AMARTH
ヴァイキングの世界観の中で生きるメロディック・デス・メタルの巨人、通算13作目!
◆RACHEL BOLAN
SKID ROWのレイチェル・ボラン<b>がピュアなパンク/R&R愛に満ちたソロ作リリース!
◆VIOLET ETERNAL
日伊混合メロディック・メタル・バンドがデビュー作を遥かに超える2ndアルバム発表!
◆RUSSIAN CIRCLES
ポスト・メタルの代表バンドが紡ぐ“ヘヴィでダーク、耳障りでアングラ志向”の新作とは!?
◆NICK OLIVERI
KYUSS、QUEENS OF THE STONE AGE他のベーシスト、ニック・オリヴェリを直撃!
◆Rakshasa
日本の伝統文化を継承するメロディック・メタル・バンドが約4年ぶりに復活してEPを発表!
<SPECIAL EDITION:特別企画>
◆IRON MAIDEN来日予習講座
結成50周年を祝うツアーの歴史的意義を振り返り、セットリスト予習で日本公演に備えよ!
◆愛すべき「産業ロック」――普遍性という名のアイデンティティ
2026年現在の“ロック・ミュージックのど真ん中”を増田勇一氏が探る!
◆再考:イングヴェイ・マルムスティーン
今さら? 今だからこそ? 来日公演を大成功させたオリジネイターの偉大さを再確認!
◆特別連載『TALES FROM THKISS E FRONTLINE』
英国人記者ハワード・ジョンソンの回顧録:MOTÖRHEAD
◆特別連載『All Aboard!:Memories of Ozzy Osbourne』
シャリー・フォグリオ記者によるオジー・オズボーン追想コラム第11回!
<SPECIAL LIVE REPORT IN JAPAN:ライヴ・リポート>
◆『THE GREATEST ROCK FUKUOKA』
JOURNEY、LOUDNESS、NIGHT RANGER、HOUND DOG、RED WARRIORS、BAND-MAIDの豪華6組が登場! 福岡で開催された “大人向けのロック・イベント” をリポート!!
◆HAGANE
世界に通用するメタル・バンドとしての実力を見せた全国ツアーのファイナル公演!
◆八十八ヶ所巡礼
日本武道館で3人がいつもどおりに繰り広げた3時間の結成20周年記念ライヴ!
<POSTER:ポスター>
◆浜田麻里
※今月の『そこでだ、若旦那!』も立川談四楼師匠の病欠により、“落語評論家:広瀬和生”が代打で執筆! ウイリアム・ヘイムス氏の撮影裏話『Man Of Two Lands』、元BURRN!編集部員の奥野高久氏がHM/HRの歴史について綴る『WAKE UP AND SMELL THE RECORD』といった新コラムも好評連載中! 増田勇一氏のコラム『MUSIC LIFE』、喜国雅彦氏の『ROCKOMANGA!』、オーディオ専門店『ザ・ステレオ屋』店長・黒江昌之氏の『THE STEREO XXCKING』、梶原崇画伯の部屋、書評(古屋美登里氏)・映画評(岩沢房代氏)やアーティスト(ARCH ENEMY/SPIRITUAL BEGGARS他のマイケル・アモット、元CATHEDRAL/『Rise Above Records』主宰のリー・ドリアン、BE THE WOLF/FROZEN CROWN他のフェデリコ・モンデッリ)によるコラムなど、読みものコーナー充実!!
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BURRN! 2026年11月号
A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2026年10月5日発売
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