【BURRN! 7月号ちょい読み】
THE BLACK CROWES──2夜連続公演で見せた “ライヴ・バンド” の真髄
BY YUMIKO HABA/BURRN!
4月半ば、THE BLACK CROWESが日本にやって来た。東京2公演のみということで、平日にも拘らず地方から馳せ参じたファンもいただろう。両日、米国サンフランシスコを拠点とするシューゲイザー・バンドTHE ASTEROID NO.4が18時45分からオープニングを務めたので、主役の登場時間は19時40分。勤め人が仕事を終えて台場に駆け付けるにはありがたい設定と言えるかもしれない。予定の時間きっかりに暗転した場内にIAN DURY & THE BLOCKHEADSの “Sex & Drugs & Rock & Roll” が流れる中ステージに現われたバンドは、1992年の2ndアルバム「THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION」からの “No Speak No Slave” で約3年半ぶりの日本公演をスタートさせた。
のっけからクリス・ロビンソン〈vo〉の喉は絶好調。機嫌もすこぶるよさそうで、楽しげにステップを踏んで踊っている。リッチ・ロビンソン〈g〉はバンマスの役目に徹し、ソロを下手にいる長髪のギタリストに譲った。そのニコ・ベレシアルトゥアはアルゼンチン出身で、2023年初頭よりツアーに参加しているというから日本には今回が初お目見えだが、ロビンソン兄弟が認めるからには腕に不足のあるはずもない。ちなみに現在のバンドはベースが元BURNING TREEでCHRIS ROBINSON BROTHERHOODにも参加していたマーク “マディ” ダットン、ドラムはカリー・シミントン、キーボードはエリック・ドイチュで、マッケンジー・アダムスとレズリー・グラントの女性コーラス隊もいるというラインナップだ。
前回の来日公演の後に作られた2024年の「HAPPINESS BASTARDS」からの “Rats & Clowns”、今年3月に出た最新作「A POUND OF FEATHERS」からの “Cruel Streak” といった曲は当然ながらライヴで聴くのは今回が初めてだが、いずれも彼ららしいロックン・ロールで、クリスの活き活きとした歌いっぷりが気持いい。そのクリスに「ヘイ、リッチ!」と声を掛けられ、リッチがすかさず始めた “Jealous Again” のリフに一際大きな歓声が湧く。バンドのデビュー・シングルにしてライヴ定番曲であり、1st「SHAKE YOUR MONEY MAKER」の完全再現が目玉だった前回の来日公演でも当然プレイされていたが、何度聴いてもこの小気味いいロックン・ロールには自然と体が揺れる。同じく1stからの “Sister Luck” では一転してスローなグルーヴを押し出していて、重厚なアンサンブルの上でクリスが太く伸びやかな歌声を聴かせて観衆を魅了した。
2ndからの “My Morning Song” を挟んで、クリスが「『AMORICA』アルバムは好き?」と会場に問い掛け、1994年の3rdから “Nonfiction” と “Wiser Time” が披露される。後者はキーボード並びに2本のギターそれぞれの聴かせどころもたっぷり用意されたライヴならではのロング・ヴァージョンで、フロアは極上の演奏に酔いしれた。その観衆を見渡して「質問がある」と言ったクリスの口から出たのは「オーティス・レディングって知ってるかい?」という言葉で、勿論盛大な反応を見せたオーディエンスは“Hard To Handle”を大いに楽しんだ。1stアルバムに収録されたこのカヴァーが大ヒットしたことが、最初期のこのバンドの認知度を高める大きなきっかけになったのだ。元々の曲の素晴らしさもさることながら、これを選んだセンスと、バッチリ自分のものにしてみせるクリスの咀嚼力も見事と言うほかない。この曲のサビではファンも自分達に任された合唱パートをしっかり歌い切り、クリスから「Great singing!」と誉め言葉を頂戴した。
ここで一旦クリスがステージを去り、リッチのソロ・タイムとなって彼がヴォーカルも担当したのはVELVET UNDERGROUNDのカヴァー “Oh! Sweet Nuthin'” だった。1970年のアルバム「LOADED」でも中心メンバーのルー・リード〈vo, g〉ではなくダグ・ユール〈b, key〉が歌っていた曲だ。しっとりとしたグルーヴィーな曲を歌い上げ、ギター・ソロもじっくり聴かせて拍手を浴びたリッチを、ステージに戻ってきた兄がフルネームで呼んで称える。そしてクリスがコールしたのは “Soul Singing”、2001年の「LIONS」からの曲で、先ほどのリッチのヴォーカル曲でも大いに活躍した女性コーラス隊がサビでクリスと掛け合いを繰り広げるような形で場を盛り上げた。
曲を終えて「サンキュー」とクリスがひと言発してから少し間を置いておもむろにリッチが弾き始めたイントロに、場内から嘆息まじりの歓声が上がる。初期の名曲 “She Talks To Angels” だ。ロビンソン兄弟がMR.CROWES GARDENと名乗ってバンド活動を始めた当時に書かれた曲で、その頃リッチは15歳。なんと早熟な…と思わずにはいられないが、天才は最初から天才ということか。それから40年以上、途中には兄弟の不仲でバンドが消滅していた時期もあったせよ、関係が修復されて今もこうして活動を続けてくれているのはファンにとって(そしておそらく本人達にとっても)幸せなことだ。しかもここ2年で2枚もアルバムを出すなど、誰が予想していただろうか。ステージ上の至極ゴキゲンなクリスの様子を眺めている限り、またすぐにアルバムを作って日本に舞い戻ってくれそうな明るい予感しかしない。
とはいえ、近作からの曲は冒頭で1曲ずつプレイしたのみで、ここからは初期曲の畳み掛けでラストスパート。2ndからの “Thorn In My Pride” はクリスのハーモニカ・ソロも含めた各人の見せ場たっぷりのジャムで大いに盛り上がり、1stからの “Twice As Hard” はリッチが最初のリフを奏でただけでも歓声が湧く。2ndに戻っての “Remedy” では場内が一体となって心地好いグルーヴに浸り、ショウ本編が終了したのは開演からおよそ100分後のことだった。アンコールに出てきたクリスは「BEATLESは好きかい?」と尋ね、肯定の声に「じゃあSTONESをやるよ」という天邪鬼な反応でROLLING STONESの1971年の曲 “Bitch” を繰り出し、1日目のロックン・ロール・パーティーを締め括ったのだった。
続きはBURRN! 2026年7月号で!
2. Cruel Streak
3. Pharmacy Chronicles
4. Do the Parasite!
5. High & Lonesome
6. Queen of the B-Sides
7. It's Like That
8. Blood Red Regrets
9. You Call This a Good Time?
10. Eros Blues
11. Doomsday Doggerel
THE WORLD'S HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINE
BURRN! 2026年7月号
<EXCLUSIVE COVER STORY:巻頭特集>
◆ARCH ENEMY
ニュー・シンガーと共に4月緊急来日、東京で迎えた世界ツアーの千穐楽をリポート! ローレン・ハートとマイケル・アモットとの個別インタビューで占う彼らの“新時代”
<EXCLUSIVE INTERVIEW:インタビュー記事>
◆EVANESCENCE
華麗なるモンスター・バンド、約5年ぶりの新作「SANCTUARY」リリース!
◆CRASHDÏET
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昨年12月に6thソロを発表した元KISSのピーター・クリス、独占会見10ページ!
◆ANGERS
日本ならではのヘヴィ・ロック作を完成させた東京のゴシック・メタル・バンドを直撃!
<SPECIAL EDITION:特別企画>
◆METALLICA「RELOAD」リマスター新装盤リリース記念企画
「RELOAD」でMETALLICAが見せた変貌とその意義を増田勇一氏が再検証!
◆特別連載『TALES FROM THE FRONTLINE』
英国人記者ハワード・ジョンソンの回顧録:PANTERA
◆特別連載『All Aboard!:Memories of Ozzy Osbourne』
シャリー・フォグリオ記者によるオジー・オズボーン追想コラム第7回!
<SPECIAL LIVE REPORT IN JAPAN:ライヴ・リポート>
◆HELLOWEEN
40周年ツアーで来日したPUMPKINS UNITED、圧巻のショウを徹底リポート!
◆THE BLACK CROWES
2夜連続公演で見せたライヴ・バンドの真髄…3年半ぶりの極上R&Rパーティー!
◆DIR EN GREY
「MORTAL DOWNER」リリース直後に開幕したツアーで5人が証明したもの
◆HOT MILK
英国の男女混成エモ・パワー・ポップ・バンド、9ヵ月ぶりの単独来日が実現!
◆Zilqy
注目の “ブライテスト・ホープ” が今後の躍進を予感させたツアー・ファイナル!
◆MAYHEM
北欧ブラック・メタルの象徴的存在による約3年ぶりの来日公演をリポート!
<METAL FOCUS:メタル・フォーカス>
◆Mardelas
『Bounty Hunt Tour 2026』ファイナルを迎えたメンバー達のコメントを紹介!
<ポスター>
◆THE BLACK CROWES
※今月の『そこでだ、若旦那!』も立川談四楼師匠の病欠により、“落語評論家:広瀬和生”が代打で執筆! ウイリアム・ヘイムス氏の撮影裏話『Man Of Two Lands』、元BURRN!編集部員の奥野高久氏がHM/HRの歴史について綴る『WAKE UP AND SMELL THE RECORD』といった新コラムも好評連載中! 増田勇一氏のコラム『MUSIC LIFE』、喜国雅彦氏の『ROCKOMANGA!』、オーディオ専門店『ザ・ステレオ屋』店長・黒江昌之氏の『THE STEREO XXCKING』、梶原崇画伯の部屋、書評(古屋美登里氏)・映画評(岩沢房代氏)やアーティスト(ARCH ENEMY/SPIRITUAL BEGGARS他のマイケル・アモット、元CATHEDRAL/『Rise Above Records』主宰のリー・ドリアン、BE THE WOLF/FROZEN CROWN他のフェデリコ・モンデッリ)によるコラムなど、読みものコーナー充実!!
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BURRN! 2026年7月号
A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2026年6月5日発売
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