【BURRN! 1月号ちょい読み】

NIGHT RANGER──最高の状態で臨んだ “最後の来日” をレポート

SPECIAL LIVE REPORT IN JAPAN

FAREWELL JAPAN The“Goodbye”Tour
NIGHT RANGER

ON 16TH OCTOBER 2025
AT BUDOKAN, TOKYO

「We are still NIGHT RANGER!」
今なお最高の状態にあるバンドが“最後の来日”で見せたもの


PIX & REPORT:YUMIKO HABA/BURRN!

<10/14@グランキューブ大阪>
1. This Boy Needs To Rock
2. Sing Me Away
3. Four In The Morning
4. Why Does Love Have To Change
5. Touch Of Madness
6. Sentimental Street
7. Rumours In The Air
8. High Road
9. Eddie's Comin’ Out Tonight
10. Call My Name
11. Growin’ Up In California
12. Night Ranger
13. High Enough
14. Reason To Be
15. Can’t Find Me A Thrill
16. Sister Christian
17. When You Close Your Eyes
18. Don’t Tell Me You Love Me
19. (You Can Still) Rock In America
——encore——
20. Goodbye
<10/16@日本武道館>
1. This Boy Needs To Rock
2. Seven Wishes
3. Faces
4. Four In The Morning
5. Sentimental Street
6. Interstate Love Affair
7. Sing Me Away
8. Touch Of Madness
9. The Secret Of My Success
10. Rumours In The Air
11. Call My Name
12. Eddie’s Comin’ Out Tonight
13. Crazy Train
14. Night Ranger
15. High Enough
16. Reason To Be
17. High Road
18. Can’t Find Me A Thrill
19. When You Close Your Eyes
20. Don’t Tell Me You Love Me
——encore——
21. Sister Christian
22. Goodbye
23. (You Can Still) Rock In America

アメリカン・ハード・ロックの雄、NIGHT RANGERが10月半ばに “最後の来日” を果たした。2022年10月にデビュー40周年記念ツアーで日本にやって来て3夜連続の東京及び大阪で計4公演を行なった彼らだが、今年3月に来日が発表されたと思ったら、そこに “フェアウェル・ジャパン・ツアー” と冠されていたのだ。バンドが最高の状態にある今だからこそ、そして日本にはそう気軽には来られないからこそ、最高の状態のままで有終の美を飾りたい…との決断で、その最後のステージは39年ぶりの武道館に決まった。

実は今回はその武道館公演だけをリポートする予定で、しっかり撮影させてもらおうと意気込んでいたのだが、数日前になって「頭3曲のみ」「アリーナ後方のPA卓のところから」「三脚などの固定物を置く余地はないので付近を動き回って撮るように」と通達されて意気消沈。背の低い私が客席の後ろでいくらカメラを高く掲げたところで、まともな写真が撮れるわけないじゃないの…。諦めきれずウドー音楽事務所を通じて交渉を続けつつ、せめてリポートの中身を少しでも濃いものにするしかないか、と急遽、大阪に行くことにした。ちょうど『炎 Vol.7』オジー・オズボーン追悼号の入稿と校了の間で、ピンポイントでこの日なら行ける!という日程だったのだ。結果的に私はその決断をした自分に感謝することになる。

大阪の会場に早めに着いたところ、ウドーのスタッフに「バンドに挨拶されますか?」と問われ、気軽に「あ、是非!」と答えたら(てっきり終演後の話かと思っていたが)なんと案内されたのは開演前のバックステージだった。ギターを提げたまま歩き回ってスタッフに「Tシャツのサイズが欲しいものと違う」と訴えているブラッド・ギルス<g>は、行きたがっていた万博(この前日に閉幕)に足を運ぶことは出来なかったようだ。ジャック・ブレイズ<vo,b>は「挨拶の日本語、これで合ってる?」と練習に余念がなく、ケリー・ケイギー<vo,ds>は「これが最後だと思うと悲しいけど、ベストを尽くすよ」と静かに微笑む。そんなバックステージで旧知のウドーのスタッフに挨拶ついでに「武道館での撮影条件が厳しくて…」と愚痴ったら、「そんな厳しいことを言うバンドに思えないけどなぁ。マネージャーに直接訊いてみたら?」と、ジャックの息子のジェイムズに引き合わされた。「頭3曲を後方から、というのが通常の規定なんだけど…」と最初は渋っていたジェイムズと話をした結果、「頭3曲はステージ前のピットから、あとはアリーナやスタンドの客席の後ろから」撮れることに! 大阪まで来た甲斐があった…と私はホッとして客席に向かった。

というわけで写真は東京で撮影したもののみだが、せっかくだから大阪公演もリポートしておこう。10月14日、グランキューブ大阪、いざ開演! しかし会場にはメンバー達の話し声が響くのみで、姿は見えない。やがて “Sing Me Away” や “Sentimental Street” “Sister Christian” のハーモニーを皆でさらう様子が流れ(映像で観たかったが)、“(You Can Still) Rock In America” のハーモニーも決めたところでジャックが「Here we go!」と一同に告げる。それでもまだバンドはステージに現われない。BEASTIE BOYSの “(You Gotta) Fight For Your Right (To Party!)” フル尺に続いてゴジラの登場テーマまで聴かせる勿体ぶったイントロの後、野太い声で呼び込まれてようやくバンドが登場、“This Boy Needs To Rock” でショウの火蓋が切られた。

途中のギター・ソロでDEEP PURPLEの有名リフが出てきたと思ったら、そのまま歌まで “Highway Star” をコピーする、というのは前回の来日時にもやっていたことだ。“This Boy〜”に戻って曲を終えると、エリック・リーヴィーのキーボードから “Sing Me Away” へ。ケリ・ケリー<g>がソロを弾く間、ジャックとブラッドは後方で仲良く肩を並べてノッている。“Four In The Morning” まで畳み掛けた後、「NIGHT RANGER is back!」と高らかに宣言したジャックは「大事な質問がある」と言い、1983年の2ndアルバム「MIDNIGHT MADNESS」から “Why Does Love Have To Change” をコールした。ケリー・ケイギーが力強い歌声を響かせ、バンドの面々も見事なコーラスでバックアップ。演奏でも歌でも最強のチームワークが発揮されるのが “NIGHT RANGERクオリティ” だ。

ジャックがブラッドに「ここにいる皆、クレイジーだよね」と話し掛け、彼らにはきっと “Touch Of Madness” が必要だよ…ということで、ブラッドのギターが唸りを上げる。大きな反応に気をよくしたジャックは「エーオ!」とコール&レスポンスを試みるも、少しやっただけで「これしか知らないんだ、ゴメンナサイ」と撤退。エリックを紹介して彼の呼び名の「E」コールを巻き起こし、今年が3rdアルバム「7 WISHES」の発売から40周年であることを説明して、Eことエリックにスタートさせたのは “Sentimental Street” だった。ケリーがじっくり歌い上げるメロディも、むせび泣くギター・ソロも、サビのブレイクのタイミングもハーモニーも文句なし。ラストはケリーの号令で2発、3発、果ては20発のキメを誰も数え間違えることなく揃えて終わった。

代わってジャックが歌う “Rumours In The Air” ではブラッドの代名詞的なアーミング使いが冴え渡る。そのブラッドが弾き始めたのは2014年の10thアルバムのタイトル・トラック “High Road” で、ジャックはサビの「Yeah, yeah, yeah」の合唱を観衆に練習させてから曲へ。キーボードも活躍し、ギター・ソロもハーモニーも実にNIGHT RANGERらしい1曲だ。一気に時を遡って1981年のサンフランシスコのクラブでの思い出を語ったジャックは、1stに入っていた “Eddie's Comin' Out Tonight” を紹介。本領を発揮したブラッドとケリ・ケリーの両ギタリストをジャックが称えたと思うと、エリックが可愛らしいピアノのイントロを奏で、同じく1stからの “Call My Name” ではジャックが主役に…と、役者揃いのこのバンドのショウはスポットライトが当たる場所が次々に替わり、観衆に退屈する暇を与えない。



続きはBURRN! 2025年1月号で!

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THE WORLD'S HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINE

BURRN! 2026年1月号

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ウルフギャング・ヴァン・ヘイレンが全パートをこなして3作目を発表!

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シャリー・フォグリオ記者によるオジー・オズボーン追想コラム連載スタート!

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シャリー・フォグリオ記者が周辺の人々に取材して綴るロニー回想録、第64回!

◆特別連載『TALES FROM THE FRONTLINE』
英国人記者ハワード・ジョンソンの回顧録:STATETROOPER



<SPECIAL LIVE REPORT IN JAPAN:ライヴ・リポート>
◆NIGHT RANGER
アメリカン・ハード・ロックの雄が“最後の来日”で見せたものとは…!?

◆DAMIANO DAVID
MANESKINのヴォーカリストが初ソロ来日! 独占インタビューはファン必読!!

◆THE HELLACOPTERS
約25年ぶりの来日が実現、2時間に及んだ疾風怒濤ライヴをリポート!

◆DYNAZTY
スウェーデンのメロディック・メタル・バンド、約8年ぶりに来日!


<POSTER:ポスター>
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BURRN! 2026年1月号

A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2025年12月5日発売

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