【BURRN! 1月号ちょい読み】

SLASH──最新ライヴ盤に伴うインタビューで明かすブルーズ愛

昨年夏のブルーズ・フェスティヴァル・ツアーを自ら企画し
そのパフォーマンスを完全収録したライヴ作品をリリース!
スラッシュが独占直撃インタビューで明かした“ブルーズ愛”、
そしてオジー・オズボーンやエース・フレーリーへの想いとは!?


BY YUMIKO HABA/BURRN!

昨年5月にソロ名義でブルーズ・カヴァー・アルバム「ORGY OF THE DAMNED」をリリースしたスラッシュ<g>は、その夏、自身が企画した『S.E.R.P.E.N.T. FESTIVAL』ツアーで全米を巡回した。このフェスのタイトルは、Solidarity(結束)、Engagement(関与)、Restore(復活)、Peace(平和)、Equality(平等)、N(and)、Tolerance(寛容)の頭文字を取っており、今の時代にこそ必要とされる精神を並べてまっとうな理念が示されているが、繋げればserpent(蛇)で、かつて大蛇をペットとして飼っていた(その後、生まれた子供が蛇にのまれるといけないと動物園に寄贈した)スラッシュらしい遊びも効いている。

 そのツアーでのコロラド公演を収めたアルバム「LIVE AT THE S.E.R.P.E.N.T. FESTIVAL」が、このほどソニーよりリリースされた。“GUNS N' ROSESのメンバー” のスラッシュに取材を申し込んでも、アクセル・ローズ<vo>の許可が必要だということで実現は絶望的なのだが、“ソロ・アーティスト” のスラッシュは取材には協力的だ。今回も、貴重なチャンスを逃してはならじとソニーを通じてインタビューを願い出たら、ライヴ・アルバムの発売元『earMUSIC』の担当者は「基本的にスラッシュの取材稼働は予定されていないが、BURRN!は特別なので交渉してみる」と頑張ってくれて、GUNS N' ROSESの南米ツアー中に20分の取材枠が確保された。実は同時期に、GUNS N' ROSESの同僚ダフ・マッケイガン<b>もソロのライヴ盤「LIGHTHOUSE : LIVE FROM LONDON」をソニーからリリースしたため、当然取材を申し込んだのだが、こちらはレーベル担当者もマネージメントもスラッシュとは異なり、応じてもらえなかったのが残念至極。ダフにもこの機に訊いてみたいことは沢山あったのだが……。Zoomだが音声のみで映像はなし、というのはスラッシュの取材ではいつものことで、僅か20分でもインタビューのために時間を割いてくれたのはありがたい。早速始めよう。



——こんにちは。またお話し出来て嬉しいです。調子はいかがですか?

スラッシュ(以下S):
こちらこそ、また君と話せて嬉しいよ。GUNS N' ROSESで南米をツアーしているところなんだ。今はブラジルにいる。

——「LIVE AT THE S.E.R.P.E.N.T. FESTIVAL」のリリース目前ですが(註:取材を行なったのは10月下旬)、コロラド州デンヴァーで収録したのには何か特別な理由があったのですか?

S:
う〜ん、それはいい質問だね。俺達はただ、どこかのショウでレコーディングと撮影を行なうことを考えていて、それをどの町でやるかは決めていなかった。どこでもよかったんだ。デンヴァーはツアーの中間地点で、早過ぎもせず、遅過ぎもせず、ちょうどいい時期だったんじゃないかな。それに会場も凄くいい感じだった。

——このツアーはあなたが企画し、キュレーターを務めたんですよね? 一番大変だった点は?

S:
何もかもスムーズに運んだよ。一番大変だったのは、様々なバンド達を出演させる手配をするところかな。ツアーを通じてずっと同じバンドだけが出ているというわけじゃなかったからね。一定の期間でラインナップは入れ替わっていた。だから、それが一番複雑で厄介だったと思う。

——このツアーを日本やヨーロッパ、南米などに持っていくことは考えませんでしたか?

S:
それは絶対にいつかやりたいと思っている。まだ実現出来ていないけどね。今の俺にはGUNS N' ROSESもあるし、(ソロ・バンドの)THE CONSPIRATORSもあるし、ブルーズのプロジェクトもあって手一杯なんだ。いずれ海外でツアー出来るタイミングがないかと探しているところだよ。なるべく早いうちに実現させたい。

——「THE ORGY OF THE DAMNED」を作る際、テディ・アンドレアディス<key,vo>は全曲自分が歌う気でいたんですよね? このツアーでタッシュ・ニール<g,vo>とヴォーカルを分け合うことについては、すぐに受け入れたのですか?

S:
テッドのことを言ってるのかい? そうだな、アルバムを作ることになった当初、一瞬だけそんな話にもなったけど、俺はすぐに大勢のゲスト・シンガーを招くことにしてしまったから……。だって、その方が興味深いものになると思ったからね。それで、そうやってアルバムを作ったわけだけど、ツアーに出ることになった時は、タッシュとテッドがお互いに歌いやすい曲を分担するということで、凄くスムーズに決まったよ。

——アルバムに参加したゲストの中で、ツアー中のステージにも登場した人はいましたか?

S:
ロサンゼルスではクリス・ロビンソンが来てくれて、“The Pusher” を歌ったよ。あとは……ちょっと待って、思い出そうとしているんだ。ああ、ニューヨークでも誰かが出てくれたな。でも誰だっけ? ちょっと待って、思い出せない。憶えているはずなんだけど、今どうしても名前が出てこなくて。そうだ、ニューヨークではドロシーが “Key To The Highway” を歌ってくれたんだった。あれ? 確かその日は2人ゲストを呼ぶことになっていたのにな。フロリダではブライアン・ジョンソンが出てくれるはずが、結局彼がフロリダに着く時間を考えるとショウには間に合わないということになった。もう1人、ベス・ハートも何かしらの事情で飛行機に乗り遅れて、ショウに参加するはずだったのに話が流れたことがあった。だから結局、ステージにも出てきてくれたのはドロシーとクリス・ロビンソンだ。

——ギタリストのあなたにとって、ショウのハイライトはどこでしたか?

S:
ショウ全体がハイライトだったと言える。とにかく楽しかったから。THE CONSPIRATORSとのショウや、今まさにGUNS N' ROSESとやっていることとも全然違う、リラックスした雰囲気のショウだったんだ。凄く気楽で、ずっとジャムっているような感じだった。だから、俺にとってはショウそのものがハイライトだったよ。あとは、様々なアーティスト達にツアーに参加してもらえたことだ。誰が出演したか、今はその名前を全部思い出すことも出来ないけど。(苦笑)

——ツアーでもプレイされたインストゥルメンタル・ナンバーの “Metal Chestnut” はアルバム中唯一のオリジナル曲でしたね。あれは何にインスパイアされて書いた曲なのですか?

S:
あの曲を書くインスピレーションになったのは、ギリギリの段階でもう1曲必要だと言われたことだった。アルバムのレコーディングをしていた時、いや、その前にプリプロダクションをやっていた時だったかな? マイク・クリンク(プロデューサー)が、「なあ、ここに入れられるオリジナル曲はないのか?」と言ったんだ。俺はオリジナル曲を入れることなんて考えていなかった。シンガーの誰を呼ぼうか、カヴァー曲のアレンジをどうしようか、ということで頭が一杯で、オリジナル曲を書く余裕なんてなかったんでね。でも、マイクにそう言われた俺は、「勿論あるよ」と答えていた。(笑) その晩に思いついたリフを持ってきて、それを曲に仕立てたのがあれだ。皆で急いで覚えて、即興的に、インプロヴィゼーションって感じでやったものだ。“Metal Chestnut” というタイトルにしたのは、スタジオでレコーディングしている時、誰かがインターコムでそう言ったように聞こえたから。本当は違う言葉だったんだけど、俺の耳には “Metal Chestnut” と聞こえて、それがキュートな名前になると思ったんだ。

今ずっと、フェス・ツアーに参加してくれたアーティスト達の名前を思い出そうとしてたんだけどさ……突然頭が真っ白になって名前が出てこなかったんだ。ウォーレン・ヘインズが参加してくれたのは嬉しかったな。あっという間に終わってしまった感じのツアーだったけど、サマンサ・フィッシュも出てくれて、彼女とはステージで共演もした。ウォーレン・ヘインズとも、お互いの出番に一緒にステージに上がった。あと、ケブ・モーも。そう、その名前を思い出そうとしてたんだよ。ケブ・モーも最高だった。彼とも一度だけ、一緒にプレイした。いや、あれは本番のステージじゃなかったか。とにかく、ツアー全体の中でもハイライトの1つと言える瞬間だったよ。おっと、忘れるところだった、エリック・ゲイルズも参加してくれて、彼とのジャムも最高だった。

——アルバムに入っていない曲、例えば “Stone Free” や “Shake Your Moneymaker” といった曲は昔からSLASH'S BLUES BALLでカヴァーしていたレパートリーなのですか?

S:
それは曲によりけりだな。“Shake Your Moneymaker” は90年代にBLUES BALLでプレイしていた定番曲だった。凄く自由で緩いジャムみたいな曲だから、セットリストに組み込みやすかったんだ。“Stone Free” はBLUES BALLでやっていたわけではないけど、(ジミ)ヘンドリックスの曲で、俺はポール・ロジャースとレコーディングしたことがあるし、今回のツアーのセットにクールにハマると思ったんだ。“Big Legged Woman” はフレディ・キングのリフが最高だから、いつかまたブルーズ・アルバムを作ることになったらきっとレコーディングすると思う。



続きはBURRN! 2025年1月号で!

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THE WORLD'S HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINE

BURRN! 2026年1月号

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ソロ来日目前! MR.BIGの “フィナーレ” 以降味わった悲喜こもごもとは!?

◆SLASH
自ら企画した昨年夏のブルーズ・フェス・ツアーよりライヴ作品をリリース!

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2号連続インタビュー後編:マーク・トレモンティが新作制作の裏側を語る!

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◆特別連載『TALES FROM THE FRONTLINE』
英国人記者ハワード・ジョンソンの回顧録:STATETROOPER



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◆THE HELLACOPTERS
約25年ぶりの来日が実現、2時間に及んだ疾風怒濤ライヴをリポート!

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BURRN! 2026年1月号

A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2025年12月5日発売

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