【BURRN! 1月号ちょい読み】

エリック・マーティン──MR.BIGの“フィナーレ”以降味わった悲喜こもごもとは!?

エリック・マーティン<vo>とのインタビューで気を付けることは、時間の余裕をたーーーーっぷり取ってZoomミーティングを設定する、その1点のみだ。今年2月、MR.BIGが『The BIG Finale! For­ever In Our Hearts』公演を終えた武道館のバックステージは大勢のゲストでごった返していて長話をするような状況ではなかったし、その後も特に彼に取材する機会がなかったので、12月のソロ来日を控えたタイミングで近況を聞いておこうかと軽い気持でインタビューに臨んだところ、挨拶を済ませて最初の問いを発した私は、気づけば1時間もただ相槌を打って彼の話を聞いていた。近況を聞くのが今回の取材の目的なので、それで正解なのだが、おしゃべりモンスター健在である。来年公開予定だという彼のドキュメンタリー映画ではどこまでしゃべり倒して、それがどのように編集されているのかも興味深いところだ。


──武道館の後はどう過ごしていましたか?


エリック・マーティン(以下E):MR.BIGの最後のショウを2月25日に終えて、サンフランシスコの家に帰って、服を全部洗濯して、10日後にはまたツアーのために荷造りしていたよ。ジェフ・スコット・ソート<vo>との南米ツアーがあったんだ。SPE­KTRAというジェフのバンドと一緒に廻ったんだけど、そのドラマーはMR.BIGの(2024年夏の)ヨーロッパ・ツアーで叩いてもらったエドゥ・コミナートだった。僕が彼のバンドと先に1時間やって、ジェフが1時間やって、最後に2人で2曲歌うという形でね。その1曲は “Mysterious” といって、彼がかつていた超有名なバンド、TALISMANの曲。彼がデュエット・アルバム(「THE DUETS COLLECTION VOL.1」/2021年)を作った時に僕はその曲を歌ったから知ってるんだ。それがショウのラスト・ナンバーで、ツアーは大成功。確か12公演くらいやったと思う。ジェフが帰った後も僕はブラジルで数日過ごし、それからイギリスへ飛んでデイヴィッド・コットレル<g>とアコースティック・ツアーをやった。…ちょっと待って、正確なことを話したいからパソコンでスケジュールを確認するよ。

あれっ、違った! MR.BIGのショウを終えた10日後にまず向かったのはヨーロッパだった。AVA­N­TASIAのリハーサルがあって、そのツアーをやったんだ。ブリュッセルにパリ、あとは主にドイツを廻っていたかな。どう発音するのか判らないような町もあった。エシュ=シュル=アルゼット(ルクセンブルクの町)で合ってるかな? ベルリン、バンベルク、ボーフム、ロンドン、プラハ等々。7週間半もヨーロッパをツアーしたんだ。で、それが終わった2日後にペルーのリマに飛んでプライヴェート・ショウをやって、ジェフとの南米ツアーを4週間。それが5月18日に終わって、2日ブラジルに滞在して、英国に飛んで、5週間のUKツアーをやって、家に帰ったのは6月14日だ。その後は7週間の休みがあって、8月上旬にはミシガンでソロのショウをやった。2公演でベースを弾いたのはTRIXTERのPJ・ファーレイで、その後の2公演はマルティン・モトニックっていうACCEPTのベーシスト。ギタリストはフリオ・メンドーサというブラジル人の新顔で、ドラマーはテッド・ニュージェントのバンドのジェイソン・ハートレス。彼らと10日間ほどショウをやって、1週間の休みを挟んでシカゴで1公演やって、9月の頭にインドネシアに飛んだ。

3〜4日リハーサルをしたんだけど、これがクールだったんだ。DEWA 19というバンドのショウで、彼らはインドネシアで一番有名なバンドなんだよ。僕がどうしてそれを知ってるかっていうと、Wikipediaにそう書いてあったから。(笑) ロック・バンドだけど、色んなジャンルの音楽をやっていて、ヘヴィ・メタルだったり、COLDPLAYのような要素もあったりする。そこのリーダーが大勢のスターに声を掛けて自分達のショウに呼んだんだ。MR.BIGからはエリック・マーティンとビリー・シーン<b>。EXTREMEからはゲイリー・シェローン<vo>とヌーノ・ベッテンコート<g>。他にはDREAM THEATERやSONS OF APOLLOにいたキーボードのデレク・シェリニアンや、確かクロアチア出身って言ってたかな、ディノ・ジェルーシックという素晴らしいシンガーもいた。元GUNS N' ROSESのロン “バンブルフット” サール<g>は今まで出会った人の中で一番のナイスガイだったよ。ヌーノはグラミー賞の授賞式でオジー・オズボーンのトリビュートをやることになったから、直前に参加出来ないことが決まり、代わりにやって来たのがスティーヴ・ヴァイ<g>だった。僕は彼には一度しか会ったことがなくて、初めて会った時は愉快で頭が切れるけど、ちょっと変な人だなと思ってたんだ。でも今回会ったら、凄く優しくて素敵な人だった。

そんな具合に大勢が巨大な倉庫に集まってリハーサルをやったんだけど、バンド自体が凄い大所帯のうえに、バンドのために働く人達はその10倍もいてね。100人以上もの人がいて、ギター・テクや音響担当、照明係にメイク担当、他には何の仕事でそこにいるのか判らないような人も多かったな。移動式トラックもあって、リハーサルからレコーディングしていたよ。スティーヴ・ヴァイとビリー・シーンが一緒にプレイしていた時は僕も思わずスマホで撮った。あの2人がデイヴィッド・リー・ロスのバンドにいた時のライヴは観たことがなかったんだ。スティーヴが彼のソロの曲をやっていて、すぐそばでビリーがプレイしていた。そこにバンブルフットも加わって、それからディノ・ジェルーシックが “Still Of The Night” を歌った。僕はビリーとバンブルフットとデレク・シェリニアンと、DEWA 19のドラマーとあと数人のバックアップ・シンガー達と “Daddy, Brother, Lover, Little Boy” と “To Be With You” をやった。あと “Just Take My Heart” もやったかな。ゲイリー・シェローンはディノ・ジェルーシックと一緒に “Mo­re Than Words” をやったんだけど、これは非の打ちどころのないヴァージョンだったな。ディノがギターを弾いて歌ったんだ。彼はQUEENの “Ano­ther One Bites The Dust” も歌った。他にも全員でステージに出ていってやったWHITE­SNAKEの曲があったと思うけど、どの曲だったかは思い出せない。僕はバックグラウンド・ヴォーカルを歌っただけだからね。


続きはBURRN! 2025年1月号で!

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THE WORLD'S HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINE

BURRN! 2026年1月号

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「THE MANDRAKE PROJECT」で二度廻った北米ツアーの最終公演!


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◆SCORPIONS
最新ライヴ作品を発表したバンドのリーダーが結成からの60年を語る!

◆ERIC MARTIN
ソロ来日目前! MR.BIGの “フィナーレ” 以降味わった悲喜こもごもとは!?

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自ら企画した昨年夏のブルーズ・フェス・ツアーよりライヴ作品をリリース!

◆MAMMOTH
ウルフギャング・ヴァン・ヘイレンが全パートをこなして3作目を発表!

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BURRN! 2026年1月号

A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2025年12月5日発売

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