ROYAL HUNT 来日インタビュー:アンドレ・アンダーセン(key)

(左から)アンドレアス・パスマルク(b)、ヨナス・ラルセン(g)、マーク・ボールズ(vo)、アラン・ソーレンセン(ds)、アンドレ・アンダーセン(key)

インタビュー&文●奥村裕司 Yuzi Okumura
通訳●川原真理子
写真●Yuki Kuroyanagi(except※)

様式美鍵盤巨人、アンドレ・アンダーセン率いるROYAL HUNTが7年振りに再来日! 4月上旬に大阪、東京にて2公演を行なった。ただ、色々と謎の多い来日だった…と言えるかもしれない。何故なら、現時点での最新アルバム(連作)『DYSTOPIA』2部作(2020年&2022年)のリリースからはかなり期間が空いていて、だからといって近々新作を予定しているのでもなく、タイミング的にちょっと微妙だったし、何より、看板シンガーのD.C.クーパーを欠いていたバンド・ラインナップが、悪い意味で注目を浴びてもいたからだ。さらに、ツアー・タイトルに“REVIVING THE CHAPTER”とあり、『PARADOX』(1997年)の全曲再現をやったのも、「何で今…?」と、多くのファンを不思議がらせた。

まぁ、D.C.の代わり(?)にやって来たのはマーク・ボールズで、彼とて元メンバーではあり、『DYSTOPIA』2部作にもゲスト参加していた、れっきとした(?)“ファミリー”の一員なのだが。ちなみに今回の来日メンツは、アンドレ(key)&マーク(vo)に加えて、ヨナス・ラーセン(g)、アンドレアス・パスマーク(b)、アラン・ソーレンセン(ds)という5名。(女性コーラスなどは帯同せず)『DYSTOPIA』2部作とはドラマーも異なっているが、アランとて元メンバーだし、“ファミリー”と言えば間違いなくそうなのだろう。

いや…ショウ自体は言うまでもなく素晴らしかった。マークはちょいちょいカンペをチラ見していたし、バンドとしてもちょっとしたミスはあったものの、言わずもがな『PARADOX』パートは見事だったし、新旧レパートリーを織り交ぜたショウ後半(第2部)&アンコールも大いに盛り上がりまくった。それでも、マークがいるのに、彼が歌った『PARADOX Ⅱ:COLLISION COURSE』(2008年)&『X』(2010年)から1曲もやらなかったのは、やはり気になってしまう…。 そこで──2公演を終えたアンドレをつかまえ、今どうして『PARADOX』再現だったのか、D.C.はまだ在籍しているのか…など、色々と質問をぶつけてみた…!

──久々の来日公演を終えていかがですか?

アンドレ・アンダーセン:素晴らしかったよ! 日本に戻ってこられたのも良かったし、会場は小さかったけど、ステージは最高でとっても楽しかったな。2018年以来、実に7年振りだったんだからね! 俺としては東京公演の方が良かったけど、ヨナス(・ラーセン)にとっては大阪の方がちょっと良かったようだ。それについては、(大阪から東京へ戻ってくる)新幹線の中で3時間みっちり話したよ。

──ヨナスは、東京ではショウ前に機材トラブルがあったようですね?

アンドレ:ああ、ちょっとね。機材の一部がダウンしてしまったんだが、上手く切り抜けた。それもあって、彼にとっては大阪の方がクールだったんじゃない? 俺は真逆だったけどね。大阪は超暑くて、キーボードが汗まみれになり、指がちょっと滑ったりもしたし。まぁでも、全体としては大いに楽しんだよ。

──ヴォーカルはマーク・ボールズでしたが、元々はD.C.(クーパー)と来る予定だったのでしょうか?

アンドレ:そうだよ。彼が来られればイイな…と思っていたけど、残念ながら健康上の問題でそれは叶わなかった。

──D.C.は病欠? それともケガでもしたのですか?

アンドレ:脚を骨折したんだ。しばらく前にね。ただ、骨折自体はそう深刻ではなかったんだが、そのあと飛行機に乗った時、血栓が出来てしまったらしい。それって、特に長時間の飛行機移動をするとかなりの危険を伴う。それで投薬治療が行なわれ、医者からも飛行機に乗るのは避けるよう忠告されたのさ。つまりはドクター・ストップ──それが理由だね。

──では、マークは急遽呼んだという感じだったのですね?

アンドレ:言ってみれば、そんな感じだったかな。最後の最後になって…というワケではなかったけど、なかなかタイトだったよ。ただ、プログラムは既に組まれていてね。日本へ来る少し前に(デンマークで)“Epic Fest”に出演したんだけど、その際、先方から『PARADOX』全曲再現をやってくれ…と言われていたのさ。それについては俺達も「分かった。問題ない。『PARADOX』と新しめの曲をやろう」ということになった。そして2日間の日本公演がその直後に決まったんで、そのためにまた別のセットを用意することは出来なかったんだよ。しかもD.C.が来られないという事態にもなり、(現メンバーでない)マーク・ボールズとアラン・ソーレンセンが参加することになった。少なくとも日本では『DYSTOPIA』(2部作)からの曲をやった方が理に適っていたと思うけど、(スケジュールが)ちょっとタイトだったこともあり、安全策を採ることにしたんだ。
──『DYSTOPIA』2部作もですが、せっかくマークが歌うのであれば在籍時の2枚(『PARADOX II』&『X』)からの曲も聴きたかったです。

アンドレ:さっきも言ったように、スケジュールの問題があったからね。マークと一緒に作った2枚のアルバムからやることだって楽勝で出来たけど、『PARADOX』(全曲再現)をやることが既に決まっていて、事前にそう準備されていたんだよ。D.C.が歌うことを前提に準備していたんだから、最後の最後になってセットリストを変えるのは無理だった。どのみち“Epic Fest”のために既に準備されていたから、そこから5曲も6曲も入れ替えるようなことはしたくなかったんだ。
──その“Epic Fest”の時とは演目を入れ替えましたね?(※デンマークでは新旧レパートリーでショウを始め、後半に『PARADOX』再現をやったが、日本では逆だった)

アンドレ:どうしてそれを知っているんだい…?

──インターネット上に何でも書いてありますから(笑)。

アンドレ:ああ、そうだな。もはやサプライズなんて不可能だ! みんなすべてを知っている!!(苦笑)

<<東京公演/2025年4月8日(火)/渋谷WWWX: SETLIST>>
[第1部]
1. Intro(SE)〜The Awakening 2. River Of Pain 3. Tearing Down The World 4. Message To God 5. Long Way Home 6. Time Will Tell 7. Silent Scream 8. It's Over
[第2部]
1. Martial Arts 2. Half Past Loneliness 3. The Art Of Dying 4. One Minute Left To Live 5. Flight [Encore] 1. A Life To Die For〜Outro(SE)

──いや、多くのファンが「デンマークではショウ後半に『PARADOX』再現をやったのか!」とチェックしていたでしょうから、いきなり『PARADOX』から始まって逆にビックリしたのでは?(笑)

アンドレ:それこそがサプライズだったというワケか!(笑) いや、“Epic Fest”の時もおかしかったんだ。事前に“PARADOX SPECIAL”とアナウンスされていたから、みんな『PARADOX』での幕開けを期待していた。それなのに俺達は別の曲でショウを始めたのさ。しかも4曲目をプレイする際、俺が「次が本日最後の曲だ」とMCしたから、みんな「おい、まだあと1時間もあるのに…!」と叫んだり、文句を言ったりしたんだ。すると、そのあとに『PARADOX』全曲が続いた…というワケさ(笑)。
※ ▲ROYAL HUNT 1997:(左から)スティーン・モーゲンセン(b)、アンドレ・アンダーセン(key)、D.C.クーパー(vo)、ヤコブ・キエール(g)
──なるほど(笑)。ちなみに、D.C.は脱退したワケではないのですよね? ファンとしては「このままD.C.が去ってしまい、マークが復帰するのでは?」といった心配もあるようですが…。

アンドレ:この35年間というもの、そういった質問をずっとされているよ(苦笑)。いや…どうなるのかは誰にも分からない。今はこれ以上、何も言いたくないね。俺としてはD.C.が回復して戻ってくることを願ってはいるけどさ。実は昨晩も彼から連絡があったんだ。夜中の3時amに…! あのバカ…ったら、まったく!!

──(笑)。

アンドレ:だから、まぁ大丈夫だとは思うよ。しかし、ああいったこと(ケガ)が状況を変えることだってあり得ないワケじゃない。現状ではまだD.C.は在籍しているし、マークは単なる助っ人だ。ありがたいことに2年前にはケニー(・リュプケ)がシンガーを務めてくれた。URIAH HEEPのサポートをやった時だったよ。あの時はマークの都合がつかなくて、ヘンリック(・ブロックマン)も都合がつかず、もちろんD.C.もダメだった。そこで「ケニー、お前だ…!」となったのさ。「(本番まで)何日ある?」「4日ぐらいかな」…って(笑)、そういうこともままあるよ。そう、このバンドはファミリーで回しているからな。みんなお互いに知っているし、いつものメンツとも言えるし、みんなで楽しくやっている。昔のようなプレッシャーなんかない。今はずっとリラックスしている。みんなでそうやって楽しんでいるんだ。
──もうこうなったら、MICHAEL SCHENKER FESTのように歴代シンガーを全員呼んで一緒にやるのも良いかもしれませんね?(笑)

アンドレ:ああ、アレね。知ってるよ。ドゥギー・ホワイトとはよく話をしているから。だって、ドゥギーも(『PARADOX Ⅱ』にゲストとして)参加しているだろ? アレは楽しそうだな。マイケル・シェンカー本人はどうか知らないけど、他の連中は楽しんでいるよね。でも、そういった話もしてはいるんだ。『DYSTOPIA』(2部作)をそんな風にやろうか…と、以前に話し合ったことがある。あとは、ジョン・ウェストをどこに入れるか…ってハナシだな。でないと、彼が腹を立ててしまうから(笑)。いや、今回ジョンを呼ぶことだって出来たんだよ。

実際、(日本へ)出発する3日前にジョンからメールがきてね。「マーク・ボールズを呼んで楽しんでるみたいだな? 俺も呼んでくれよ!」ってさ。でも、「それはダメだ! もしかしたら、次回はそう出来るかもしれないけど…」と返信した。実際、どうなるかなんて誰にも分らないしね。まぁ、どうせやるのなら(歴代メンバーを)全員揃えたい。呼べるヤツはみんな呼びたいんだ。(シンガーだけではなく)スティーン(・モーゲンセン/b)とかJ.K.(ヤコブ・キエール/g)にも戻ってきてもらいたい。そして、(デンマークの)コペンハーゲンでそれをやる。もちろん撮影もするよ。色んなラインナップを映像作品に収めることが出来たら超クールだな!(笑)

そんなことを話したのは2〜3年前だったっけ…。ほんの遊びのつもりだけどさ。コペンハーゲンにあるAmager Bioという素晴らしいライヴ会場の連中とは友達でね。俺達はそこで沢山レコーディングも行なっている。オーナーも「いつでも良いから!」と言ってくれているんだ。1500人ほど収容出来る素敵な会場で、仕切りがとても良いから、もしそこでやれたら最高だけどなぁ。その時は、シンガーだけじゃなく、ベーシストも4〜5人揃えなきゃ(笑)。ああ…でも、俺はずっと出ずっぱりになってしまうか〜。他のパートは交代していけばイイけど、鍵盤はひとりで全てをコナさないといけないから…!(苦笑)
──今回のショウですが、『PARADOX』全曲のアレンジは以前にD.C.とやった時(2011年)と同じでしたか?

アンドレ:うん。全く同じだ。曲間のSEなんかも含めてね。でないと、みんな混乱してしまうから(笑)。

──スクリーンをフルで使い、沢山イメージ・イラストを映し出していましたが…?

アンドレ:ああ、アレは新しい試みだ。以前にはやっていない。ああいったスクリーンはどんどん普及していて、もうそんなに珍しいことじゃないから、やってみようと思ったのさ。昔みたいにバックドロップを何枚も持ってツアーに出るバンドなんてもういないよ。俺のところには昔のバックドロップが7〜8枚はまだ残っているがね。でも(ツアーに持ち出すには)超重いから、今じゃスクリーンを使うのが一般的だ。それで『PARADOX』は8曲入りなんで、各曲に色を持たせることにした。でも以前は、ライティング担当と各曲の色について話し合ったものさ。「River Of Pain」は当然赤だし、この曲は青、コッチは…といった感じでね。
でも、俺達はPINK FLOYDじゃない。それに、今どきは各曲の内容を反映したクールなイラストを使う方が簡単だよ。バンドのメンバーも全員がそれに賛成してくれて、彼等もイラストをもっと欲しがっていた。その方がゴージャスに見えるから…って。ただし、結局のところ肝心なのはバンドだから、同じ曲に5つも背景を用意しても仕方ないし、各曲につきイメージ・イラストを1つずつ使うことにしたんだよ。

──あの讃美歌から始まる“再現”はほとんどの曲がオリジナル・ヴァージョンとはかなり違っているので、リメイク・アルバムとしてスタジオ・レコーディングするのも良いのではないですか?

アンドレ:ああ、リメイクね。それって超流行ってるヤツだな。でも、そういうのはハリウッドに連絡してくれ。あっちでは続編とかリメイクとかそんなのばっかりだからさ。まぁ、それもアリっちゃアリだけど…どうかな? 俺自身はリメイクとかリレコーディングがあまり好きではなくてね。それだったら新しいことをやる。でも…アリかもしれないな。セットアップが違って、バンドの雰囲気がそれを求めるのであれば、やらない手はないかも…。俺は好きじゃないけど、やるかもしれない。まだ何とも言えないな。

──もしやるのであれば、そこにも歴代シンガーを全員参加させると面白いのでは?

アンドレ:何だって? 『PARADOX』を5ヴァージョン作れってか?(笑)

──5枚組ボックスとか良いかも?(笑)

アンドレ:なかなか良いアイデアだ!(笑)

──是非ご検討ください(笑)。

アンドレ:そういえばジョン・ウェストがバンドにいた頃、コペンハーゲンのクラブでやったライヴにスティーンとヘンリックとケニーが飛び入りしたこともあったな。確か「Wasted Time」の時だった。ジョンが「おいブロックマン…来いよ!」と呼び込んで、2人で歌ったんだ。同じようにスティーンも呼び込み、多分「Message To God」だったと思うけど、あとJ.K.もやって来て、ソロを弾いてくれたんだっけ。
※  ▲『CLOWN IN THE MIRROR』(1994年)頃。(左から)スティーン・モーゲンセン(b)、ケネス・オルセン(ds)、ヘンリック・ブロックマン(vo)、アンドレ・アンダーセン(key)、ヤコブ・キエール(g)
そのあともジョンは、「他にも元ROYAL HUNTはいないか〜?」と言っていたよ(笑)。楽しかったな。コペンハーゲンでライヴをやると楽しいのは、そういうことが度々起こるからさ。誰が飛び入りしてくるか分からないスリルがあるんだ(笑)。

──個人的には、またJ.K.の泣きのソロが生で聴きたいです。

アンドレ:そうだな。彼はそれが得意なんだ。以前、ヨナスとJ.K.の2人で「Message To God」を一緒に弾いたこともあったよ。最後のソロをJ.K.が弾いたんだったかな。あと彼は、『A LIFE TO DIE FOR』(2013年)でも1曲ゲストでギター・ソロを弾いてくれたな。彼は最近も曲を沢山書いていて、動画を公開したりしている。ライヴはあまりやっていないようだけど。今もあのスタイルは変わっていないよ。とってもJ.K.らしいサウンドを出している。ソロの弾き方だって何だって、何も変えないし変えさせない。「ちょっと違うことをやってみないか?」と言ってみても返事は「やらない」だから、「そうか、分かった」と納得するしかないんだ(笑)。凄いコダワリだよね。

──ところで、今回の来日のタイミングでEPを出す計画があったと聞きました。制作は遅れているのでしょうか?


アンドレ:今年の9月にリリースする予定だ。レコーディングされた音源は沢山あるんでね。新曲もあるし、コペンハーゲンのAmager Bioでやったライヴのフル音源もあるから、それも幾つか収録可能だよ。あと、アンプラグド・ヴァージョンも2〜3あるし。そいういった音源をちょっとずつ集めようかと思っている。

──新曲ももう録り終えているんですね?

アンドレ:ほぼ終わっているよ。あとは整理すればイイだけだ。まだミキシングしていない曲もあるし、どの曲を使おうかまだ決めかねているんだけど、そろそろ諦めないと…かな?

──そのEPに新曲は何曲入っているのでしょうか?

アンドレ:それはまだ言えない。サプライズさ。もしかしたら0.5曲かもしれないし(笑)。
──新しいフル・アルバムの構想は?

アンドレ:それは多分、来年になるだろうな。今年は無理だけど、来年になれば何とかなると思う。俺としては来年の春には何か出したいと考えている。『DYSTOPIA』が2部作だったんで、今のところはまだ取り掛かる気になれないけど(笑)。いや、曲(のアイデア)は山ほどあるんだよ。レコーディングしてあるモノもあれば、大まかなデモだけのモノもある。いわばカオス状態だね。当然、新曲にも取り組むことになるよ。素材はあるから。ここ半年間ほど、かなり多作状態にはなっていてさ。レコーディングしたり、アイデアを交換したりしてきたんだ。

──アンドレはいつも曲を書いているタイプでしたっけ? それとも曲作りは集中してやるタイプでしょうか?

アンドレ:しょっちゅう書いているよ。ただ、いわゆる“仕事”って感じではない。“仕事”モードになるのは、(色々なアイディアの)整理を始める時なんだ。全体像を掴む時…とも言えるかな? そのモードになると、ようやく“仕事”になる。でもリフとかサビ、メロディや歌詞を書く曲作りそのものは、絶えず行なっているよ。まぁ、時と場合によるけどね。ヨナスと一緒に作ることもあるし、電車に乗っていて誰かの会話を耳にしたら、興味をソソるくだり、おかしいくだり、悲しいくだりがあって、突然歌詞のアイデアが湧いたりすることもある。だから曲によってまちまちだけど、俺にとって歌メロはとても大切だ。リフやビートももちろん曲の一部だけど、メイン・メロディこそが重要だから、誰が歌うのか、どう歌うのかをよく考えないといけない。

──自分でリード・ヴォーカルを執ることを考えたりは…?

アンドレ:それはないな。バッキング・ヴォーカルはかなりやっているけど、クレジットされたことはない…というか、ワザとそうしているんだ。俺は悲惨なシンガーだからな(笑)。ひとつだけ分かっていることがある。どういうワケか、俺はシンガーと上手くやっていくことが出来るのさ。これまでにD.C.、ドゥギー、マーク、ジョン・ウェスト、イアン・ペリー、マッツ・レヴィンなんかと一緒に仕事をしてきたけど、何故だか彼等とは気持ちが通じ合うんだよな。まぁ、俺みたいな酷い声の持ち主でも、どう歌ってもらいたいか伝えることは出来るし、彼等に理解してもらうことも可能だ。それでいつも上手くいくんだよ。
──先ほど誰が歌うのか…という話が出ましたが、いま書いている新曲はD.C.を念頭に置いているのでしょうか?

アンドレ:理論上は誰だって歌えるさ。声域内であればね。でももちろん、曲を作っている時は何らかのイメージを思い描いているよ。みんな素晴らしいけど、表現の仕方はまちまちだから。音を長く伸ばして言葉数が少ない方が好きなシンガーもいれば、その真逆のシンガーもいる。マーク・ボールズはクラシックっぽい歌い方をするし、ジョン・ウェストはかなりR&Bに寄っていてブルージーだ。そしてD.C.はその中間かな。何らかのイメージがある方が助かるよ。ただ、元々は別のシンガーのために書いた曲を他の誰かに歌ってもらうこともある。その場合は手を加えないといけないけどさ。メロディはそれほどでもないけど、歌詞と見せ方全般は変えないといけないんだ。まぁ、大勢のシンガーから選べるなんて俺はラッキーだな!(笑)
──次のアルバムのコンセプトについてのアイデアはもうありますか?

アンドレ:今のところはまだないなね。『DYSTOPIA』(2部作)みたいな大作を作るのは凄く大変だから、次のアルバムではコンセプトを持たない短めの曲をやることになりそうだ。最後の最後になってまた気が変わるかもしれないけど。アルバムがまとまり出したら、誰かが興味をソソる何かを提示してくるかもしれないし。特にアンドレアス・パスマークは素晴らしい耳の持ち主だから、歌詞なりビートなりサウンドに彼が何らかの共通項を感知したら、コンセプト・アルバムになることも考えられる。でも現時点での予定では独立した曲を沢山入れようと思っているよ。

──先に出るEPも含め、楽しみに待っています!

アンドレ:ああ、そうだな。楽しみにしていてくれ…!!
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