【BURRN! 2月号ちょい読み】

MEGADETH──最終章をデイヴ・ムステインが語る

MEGADETHの波乱に満ちた物語が、ついに最終章に突入しようとしている。勿論どんなに長いストーリーであろうといつかはかならず終止符が打たれることになるわけだが、近年においても「DYSTOPIA」(2016年)、「THE SICK,THE DYING...AND THE DEAD!」(2022年)ときわめて充実度の高い作品を世に送り出し続けてきたこのバンドが、今ここでこうした局面を迎えることになろうとは思ってもみなかった。

この1月23日に発売を迎える彼らの新作アルバム「MEGADETH」は、前述の2作で大きな貢献を果たしていたキコ・ルーレイロに代わる新ギタリストにテーム・マントゥサーリを迎えた体制での初の公式音源であると同時に、このバンドの最終作になることが、首謀者であるデイヴ・ムステインにより認められている。ここにきて初めてセルフ・タイトルが掲げられている事実、バンドを象徴するキャラクターであるヴィック・ラトルヘッドが炎に包まれたアートワークからも、ある種の覚悟、決意を思わせる強い意志が伝わってくる。そしてこの作品に伴うツアーが、そのままMEGADETHとしてのフェアウェル・ツアーになることもすでに公言されている。

最期を見据えた状態で新たな作品を完成させた今、果たしてデイヴの胸中にはどのような想いが渦巻いているのだろうか。正直に言えば、それを探ろうとするのはなかなか気の重くなることでもある。しかし、どうしても彼自身の口から真意を聞き出したいという気持がそれを上回っていることも間違いない。そして11月下旬のある日、僕はZOOMを介して彼に話を聞くことになった。当然ながらお互いそれぞれの自宅に居る。ごく日常的な環境と、これから始まろうとしている会話の内容の重さにギャップを感じながら、僕は意を決して最初の質問を投げかけたのだった。


──待望の最新アルバム「MEGADETH」に関する詳細についてお訊きする前に、すでに報じられている「このアルバムがMEGADETHの最終作になり、2026年から始まるツアーがフェアウェル・ツアーになる」という件について確認させてください。こちらとしては信じたくない気持で一杯なんですが、これは事実なんでしょうか?

デイヴ・ムステイン(以下D):
ああ、事実だ。実はアルバムのレコーディングの最中に手の調子が悪くなり、かなり大変な日々を送ってきた。改めて言うまでもなく、MEGADETHの楽曲はハードで攻撃的なものばかりだ。だからそこでマネージメント側にも「正直、どれだけ続けられるかわからない」と通告したんだ。スタジオワークでもしんどいというのに、ツアーに出たらそれ以上に辛いことになるのは目に見えているからな。

俺自身、これまで「これが最後になる」なんて考えたことはほぼ皆無だったけれど、言ってみれば、毎日重量挙げでもしているかのような生活を続けてきた。そこで「俺はこの先、どれくらい続けられるんだ?」と考えてみたら、自分でもよくわからなくなってしまい、結果、「最後だ」と口にせずにはいられない自分がいた。当然、それを言いたくない自分もいた。同時に、誰かに「辞めちゃ駄目だ!」と言って欲しいという気持もどこかにあったのかもしれない。

だけど、この手を見てもらえればわかるだろうと思う。(と言いつつ、画面越しに手のひらを広げてみせる) ここに1本の線が入ってるだろ? これはデュピュイトラン拘縮(Dupuytren's con­t­ra­cture)という進行性の疾患なんだ。しかも以前には首の骨を痛めたこともあるし、喉頭がんにもなった。まさしく満身創痍というやつだ。自分でもこんなことを言う日が来るとは思っていなかったけれど、同時に、こんなに自分が長生きするとも思っていなかった。そこで今回、こうして最高のアルバムもできたことだから、最高の状態のままでバンドを終えることにしたんだ。

──バンドが最良の状態で終止符を打つ、ということなんですね?

D:
ああ、それが俺達の下した決断だ。これほどのアルバムを作った後だけに「何故ここで終わらせるんだ?」と疑問に思われるのもわかるけれど、逆にここで止めちゃいけないという理由もない。今こそ世界中を廻って、たくさんの友達に感謝を伝えればいい。それをするにはいいタイミングだ。成功ばかり追い求め、鼻先の人参だけを追っていたら、大事なことをどんどん見落としてしまうことになるからな。

それこそ日本に行っても、今となっては俺には友達と会う時間さえない。アメリカのバンドの多くは日本に行くたびに大阪のROCK ROCKとか、東京の有名なクラブに通うものだけど、もはやそういった場所にも足を運べなくなってきた。コンサートを終えた後の会食以外、最後に日本で楽しいことをしたのがいつだったかも思い出せないくらいだ。できることなら本当は、ライヴが終わったら日本のバンドをチェックしたり、ナイトライフを楽しんだりしたい。でも今は、公演会場とホテルの間を往復し、駅に向かって次の新幹線を待つだけ。本当は人と会って過ごす時間をもっと楽しみたいのにね。案外寂しいもんなのさ。

──……。さきほどの発言からすると、レコーディングの途中段階でこれを最終作にするという覚悟を決めたわけですよね? そこでアルバム制作に向けて高めていたモチヴェーションを保つのはなかなか大変なことだったのではありませんか?

D:
いや、考え方自体は変わらなかった。これを最後にすると決めた後も、ただただ最高のMEGA­DETHのアルバムを作ろうとしていただけだ。それに、最初のうちからテームには言ってあったんだ。「ファンはおまえに注目しているし、すごいギター・ソロを期待しているはずだから、今回はソロをたっぷり入れよう。楽しみながら取り組もう」とね。

結果、その方向で進めていく途中段階で、俺が「これで最後にする」という話をしたわけだけど、それによって誰かの演奏が手抜きになったとか、そういうことは一切なかった。みんな心からのプレイを続けてくれた。実際にアルバムを聴けば、全員のパフォーマンスがとんでもなくエネルギッシュだってことがわかるはずだし、ビデオなどからも全員が楽しんでやっていることが伝わるに違いない。メタル・バンドでありながら笑顔でやっていたというのもめずらしい話かもしれないな。「ニヤニヤするな!」「怒りを露わにしろ!」「お互いが好きだとか言うな!」と命ぜられるのが普通だろうから。(笑)

続きはBURRN! 2025年2月号で!

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2026年1月23日発売
1. Tipping Point
2. I Don't Care
3. Hey, God?!
4. Let There Be Shred
5. Puppet Parade
6. Another Bad Day
7. Made to Kill
8. Obey the Call
9. I Am War
10. The Last Note
11. Ride the Lightning

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BURRN! 2026年2月号

●BURRN!特製アーティスト・ロゴ・ステッカー付!
●巻頭大特集:MEGADETH…最終作「MEGADETH」の全貌を遂に明かすデイヴ・ムステイン直撃インタビュー!
●海外ライヴ・リポート:HELLOWEEN/SABATON
●独占会見:ヤングブラッド/トーマス・ラッジ他
●ライター陣が選ぶ2025年度マイ・ベスト/2026年の展望
●来日:マイケル・モンロー/OPETH/HALO EFFECT/AVANTASIA/エドゥ・ファラスキ&ロイ・カーン他
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A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2026年1月7日発売

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