来日を目前に控えたTHE WINERY DOGSのリッチー・コッツェンの最新インタビュー!
THE WINERY DOGS来日直前!
リッチー・コッツェンが明かす歌い手としてのルーツと
自己のスタイル確立までのプロセス。
THE WINERY DOGSの来日公演開幕がいよいよ迫ってきた。彼らにとって2023年はまさにツアーの年となったが、第3作にあたる「Ⅲ」の発売直後にあたる2月に始まったワールド・ツアーは、ここ日本で幕を閉じることになる。そして今回、日本上陸を前にリッチー・コッツェンと話をする機会を得たのだが、ここでは敢えて、ヴォーカリストとしての彼に語ってもらうことにした。何故なら、彼の歌い手としての魅力がこの超絶トリオの存在をより稀有なものにしていると思えるからだ。
――今回はギターのことではなく歌について訊かせてください。まず、あなたがヴォーカリストとして影響を受けてきたのはどんな人達でしたか?
リッチー・コッツェン(以下R):俺の影響は、R&Bとソウルに深く根ざしている。多くのソウル・シンガーを聴いて育って、それからロックをよく聴くようになったんだ。ロック畑で好きなのはロッド・スチュワートだね。彼の「EVERY PICTURE TELLS A STORY」は俺にとって大切なアルバムで、若い頃はロッドのように歌おうとしていた。ハスキーな歌声に憧れるようになった理由もそこにある。ポール・ロジャースも大好きだし、彼からはフレージングの面で影響を受けた。それから、テレンス・トレント・ダービー。彼からも多大な影響を受けてきたけど、実は仲のいい友達になってね。彼は、他のどのヴォーカリストよりも大きな衝撃を俺に与えたと思う。あとはデイヴィッド・カヴァデールとグレン・ヒューズ時代のDEEP PURPLE。特にアルバムでの2人の声が大好きなんだ。
R&B畑で言うと、SAM & DAVEのサム・ムーアからはとても影響を受けた。彼らの昔のレコードを聴けば、俺の声のトーンがあの手のソウルから影響を受けていることがわかってもらえるはずだ。今、名前を挙げた人達が俺の歌声をほぼ形成したと言っていいと思う。実際、10代後半とか20代前半の頃からずっとこんな感じなんだ。
――ギターの上達のためには「練習あるのみ」みたいなところがあると思いますが、ヴォーカルの向上のためには何が必要でしょうか。たとえばあなたのように歌いたいという人が目の前にいてアドヴァイスを求めてきたら、どんな助言をしますか?
R:俺は元々ヴォーカル畑の人間ではなく、他人から「歌うべきだ」と言われて歌い始めたんだ。そして本格的に歌を始めた頃は、自分の歌を録音することから始めた。最初は、さっき名前を挙げたようなヴォーカリスト達の真似をしていたけど、録音した自分の歌を再生して、詳細に分析していったんだよ。そこで「待てよ、この箇所の歌詞を歌っている時の歌い方は大好きだけど、他のパートは気に入らないな」と思ったら、気に入らない理由について掘り下げてみる。たとえばその部分の歌詞に共感出来てないんじゃないか、といった具合に深堀りしていくんだ。そうやって手を加えながら何度も録音を繰り返して、聞き返してみた時に惹き付けられるものが生まれるまで修正を重ねていく。
そうした作業を経ていくと、直感的にわかるようになるんだ。しばらくの間は頭で考えないとならなかったけど、しばらくそうやって続けていくなかでピンときた瞬間というのがあって、21歳になった頃にはあれこれ考える必要がなくなり、ただただ流れに任せることが出来るようになっていた。楽器を覚えるのと同じで、いろんなフェーズを経てきたんだ。目が覚めてすぐ歌える人もいるだろうけど、俺はそういう人間じゃなかった。時間をかけて自分を見つめて、ヴォーカリストとして自分が何者だったかを突き止めないといけなかったんだ。
――なるほど。喉という楽器はとてもデリケートで気まぐれなものでもあります。あなたが喉の健康を保つために心がけているのはどんなことですか? 移動やホテル滞在の続くツアー中は特に喉のコンディションを保つのが大変なのではないかと思いますが。
R:結局は睡眠がいちばん大事なんだ。喉を酷使するのが良くないんだよ。どんな時よりもライヴの後がいちばんダメージを受けやすいから、そこで重要なのは喋らずにおくこと。喋るにしても、あまり空気を吹き込まずに小さな声で喋るべきだ。会話は極力せずにおき、水分補給を充分に行ない、たっぷりと睡眠時間を確保すること。これはとても大事なことだ。でも、それ以上に重要なのは、正しく歌うことなんだ。喉に問題のあるヴォーカリストの大半は、正しく歌うことを身に付けていない人達だ。俺がこんなことを言うと変なふうに聞こえるかもしれないけど、喉にダメージを与えずにロックン・ロールを歌える方法というのが実はあるんだよ。
俺がそれを学んだのは、最初の頃、実際に喉を痛めてしまったからなんだ。あるソロ・アルバムを作っていた時に、いきなり声が出なくなったんだ。声が出るところまで回復しても、元には戻らなかった。医者に診てもらったところ、リンパ節がひとつ見つかったので手術を受けた。そして1年半後に声が元に戻ったんだけど、その後またしても同じ手術を受けた。その時になって、自分は何かとんでもなく間違ったことをしているんじゃないかと気付かされたんだ。
19~20歳の頃にはロン・アンダーソンというヴォーカル・コーチに教わっていたんだけど、俺はそのロンを訪ねて「一体どうしたんだろう?」と訊いたんだ。そして俺のアルバムを聴き、俺が目の前で歌うのを聴いた彼は、「間違った歌い方をしているから、喉を痛めるんだ。君には素晴らしい生まれながらの本能があるし、素晴らしいトーンも持っているが、喉を痛めずに君が求めるトーンを出せる方法を教えてあげよう」と言って、そのやり方を教えてくれた。彼はすでに亡くなっているんだけど、アクセル・ローズをはじめとする超有名なヴォーカリスト達に関わってきた人で、俺も多くのことを彼から学んできた。それは主に、いわゆるオペラ的な歌い方のアプローチで、それについて説明するとなると時間がとんでもなくかかるから今回は省略しておくけど(笑)、それによって俺は正しい歌い方を身に付けることが出来たんだ。
――デビュー当時のあなたはまずギターの腕前で評価と注目を集め、のちに「しかもヴォーカルも素晴らしい」と認められてきました。あなたの音楽遍歴においては、やはりすべてが「ギターありき」だったのでしょうか? それともギターを手にする前から歌うことは好きだったのでしょうか?
R:まずはギターから始めた。もちろん歌ってもいたけどね。自分のバンドを結成した時、俺よりも他のメンバーの声のほうが良かったんだ。俺がまだ若くて、年上のみんなは声が成熟していたというのもあると思う。15歳の時に始めたバンドはうまく行っていて、ちゃんと金も稼いでいたけど、バンドのメンバーはみんな20代前半で、素晴らしい声を出していた。1人はルー・グラムみたいだったし、スティーヴ・ペリーみたいに歌えるやつもいた。しかもバンドには女性ヴォーカリストがいて、彼女はアレサ・フランクリンもDIOも歌うことが出来た。つまり俺はヴォーカリストだらけのバンドにいたというわけ(笑)。それによって俺が歌うことは後回しになったんだ。しかも俺自身、当時は歌うことについてさほど真剣には考えていなかったしね。
だけど1990年に「FEVER DREAM」を作ることになった時、俺は歌モノを作ろうとした。インストゥルメンタリスト、つまり単なるギタリストにはなりたくなかったからだ。するとレコード会社の側から「君にリード・シンガーになって欲しい」と言われたんだ。その時から俺は、本格的に歌にも取り組むようになった。その時になってようやく「俺が好きな歌い手は誰だろう?」と思い、ロッド・スチュワートとかポール・ロジャースとか、さっき名前を挙げた人達のことを考えるようになり……そうやってこのスタイルが生まれることになったんだ。
――いずれにせよあなたには「ギターを弾きながら歌う」というスタイルが定着しています。たとえばギターを抱えずに歌った場合、あなたの歌唱には何らかの変化が起きるんでしょうか?
R:起きるよ。ギターがないほうがずっとうまく歌える。それは以前、やってみたことがあるんだ。2000年代半ばにFORTY DEUCEというバンドをやっていて、自分以外にギタリストがいて、俺は歌だけを担当していた。歌に専念出来てすごく楽しかったよ。その時も含めて、リード・ヴォーカルだけをやったことが過去に何度かあるんだ。俺はギタリストでありヴォーカリスト、その両方なんだと思っている。でも、誰かに歌ってもらうというのもアリだ。だからこそSMITH/KOTZENでエイドリアン・スミスとヴォーカルをシェアすることも楽しめているしね。
――THE WINERY DOGSでは歌詞もあなたがすべて書いていますが、どんな時に、どんなふうにして書いているのでしょうか? 普段から日記のように何かに書き付けていたりするのですか? もしくは締切りギリギリで思いつくまま一気に書くのでしょうか?
R:どちらでもない。不思議な話だけど、おのずと歌詞が出来上がるというケースがあるんだ。そういうことが起きた時は絶対に忘れないよ。ずいぶん前に“What Is”という曲を作った時も、ギターを手にしてコード進行を弾いていたら、勝手に歌詞が出来上がってしまったんだ。あれは、俺がこれまでに作ってきた曲の中でも最高の出来だと思う。逆に、歌詞がなかなか書けないこともある。だから特に決まった作り方をしているわけじゃないし「これが俺の作り方だよ」と言えるようなものはない。つまり無作為だからこそ出来る、という部分があるんだ。
取材/文:増田勇一
pix:Travis Shinn
11月24日(金)LINE CUBE SHIBUYA公演
大好評につきバルコニー席の追加販売が11/11よりスタート!
【料金】
S席¥11,000(全席指定/税込)
A席¥10,000(全席指定/税込)
バルコニー席(2F・3F)¥10,000(全席指定/税込)★追加
※ 手すりなどでステージ、演出の一部が見えづらいお席です。
※ 手すりが低いため着席でのご鑑賞を推奨いたします。
チケット情報はこちら
THE WINERY DOGS
JAPAN TOUR 2023
魂をスウィングさせながら激突する圧倒的グルーヴ。
ビリー・シーン、マイク・ポートノイ、リッチー・コッツェン、
ハードロック界のパワートリオが産み出す迫力のステージ!
大阪
2023年11月20日(月)Zepp Namba
18:00 open/19:00 start
<チケット>
・全席指定¥11,000(税込/ドリンク代別途)
<お問い合わせ先>
ウドー音楽事務所 大阪支社 06-6341-4506(月・水・金 12:00〜15:00)
<主催>
FM COCOLO/FM802
広島
2023年11月21日(火)BLUE LIVE HIROSHIMA
18:30 open/19:00 start
<チケット>
・スタンディング¥11,000(税込/ドリンク代別途)
<お問い合わせ先>
YUMEBANCHI(広島) 082-249-3571(平日12:00〜17:00)
名古屋
2023年11月22日(水)ボトムライン
18:30 open/19:00 start
<チケット>
・スタンディング¥11,000(税込/ドリンク代別途)
<お問い合わせ先>
CBCテレビ事業部 052-241-8118
ウドー音楽事務所 03-3402-5999 (月・水・金 12:00〜15:00)
<主催>
CBCテレビ
東京
2023年11月24日(金)LINE CUBE SHIBUYA
18:15 open/19:00 start
<チケット>
・S席¥11,000(全席指定/税込)
・A席¥10,000(全席指定/税込)
<お問い合わせ先>
ウドー音楽事務所 03-3402-5999 (月・水・金 12:00〜15:00)
<主催>
bayfm
公演詳細・チケット情報はこちら
「III」
2023年2月3日発売
<収録曲>
01. Xanadu
02. Mad World
03. Breakthrough
04. Rise
05. Stars
06. The Vengeance
07. Pharaoh
08. Gaslight
09. Lorelei
10. The Red Wine
※以下、メーカー・インフォメーションより。
HR/HM界のスーパートリオが放つ通算3枚目の新作が完成!
リッチー・コッチェン(G,Vo※ex MR. BIG、ポイズン )、ビリー・シーン(B※MR. BIG)、マーク・ポートノイ(Dr※ex ドリーム・シアター)によるスーパートリオが放つ、8年ぶりとなる通算3作目が完成!当代随一のテクニシャンたちによるプレイの応酬は勿論のこと、ストレートなロックサウンドが熱くさせる。これだけのキャリアを重ねた3人だが、所属していた(いる)グループとも、どことなく雰囲気が違い、新たな一面が垣間見えるのも特徴的な一枚だ。
ソニー・ミュージック
2023年2月3日発売
SICX-30163
2,750円
■1CD
■解説、歌詞対訳付き予定
■Blu-spec CD2仕様
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