RICHIE KOTZEN:数度の延期を経てようやく実現した来日公演をレポート

 6月初旬、リッチー・コッツェン<vo,g>のソロ来日公演が行なわれた。やっと、である。本当は5年前、自身の50歳を祝って50曲入りという凄いヴォリュームで仕立てた「50 FOR 50」を引っ提げて2020年11月に来日するはずだったが、その公演は2021年5月、2022年2月と延期され、それでもまだコロナ禍が終息に至っていなかったことから遂には開催が見送られた。最初に決まっていた日程で無理だからとあっさり諦めるのではなく、二度に亘って日程をずらしてまでも来日公演を実現させようとする本人及び関係者一同の熱意に心強さを感じていただけに、結局中止になってしまった時には、そういった人の想いというものでは太刀打ち出来ないコロナ禍の脅威をなおさら強烈に思い知らされた気がしたものだ。

 その後リッチーは、ビリー・シーン<b>とマイク・ポートノイ<ds>とのトリオTHE WINERY DOGSで2023年2月にリリースした「Ⅲ」に伴うツアーの締め括りとして同年11月に来日を果たしているが、それと相前後してマイクの古巣DREAM THEATERへの復帰が決まったので、当分はTHE WINERY DOGSの活動が再開されることはないだろう。2019年頃からLAでの“ご近所付き合い”が縁でスタートしたエイドリアン・スミス<g,vo>とのユニットSMITH/KOTZENでは今年4月に2nd「BLACK LIGHT/WHITE NOISE」をリリースしたところで、ライヴに向けての期待も高まっているが、こちらはエイドリアンが現在IRON MAIDENでワールド・ツアーに出ているため、SMITH/KOTZENとして活動する余地はしばらくなさそうだ。その間は自分でやれることをやるのみ、とばかりにリッチーは昨年9月に最新ソロ作「NOMAD」をリリースしており、それに伴うツアーという形で今回、4年7ヵ月越しでソロ来日公演が実現に漕ぎ着けたわけだが、「50 FOR 50」も「NOMAD」も輸入盤として発売されたのみで日本のレーベルから出てはいないことを考えると、こうしてライヴに確実に観客を呼べるソロ・アーティスト、リッチーの人気の根強さは驚異的と言っていいかもしれない。

 6月2日に大阪公演を行ない、翌日東京に移動してきたリッチーをフォトグラファーのウイリアム・ヘイムス氏と広瀬編集長ともども会場の入口で待ち受け、まずは彼に『MR.BIG写真集 BY WILLIAM HAMES』を贈呈。「え、俺がもらっていいの?」「勿論、あなたもメンバーだったんですから」と、一昨年のTHE WINERY DOGS来日時に『ALL ABOUT MR.BIG』を渡した際と同じやり取りが繰り返され、懐かしそうにページをめくっていたリッチーはふと手を止めて、「この靴、まさに今履いてるやつだ」と言った。四半世紀前から同じ靴を履き続けているとは、好みがブレないというか、物持ちがいいにも程があるというか。当時のMR.BIGをアメリカまで取材に行った編集長や、その靴よりも付き合いが古く1989年のデビューの頃から知っているというヘイムス氏としばし歓談したリッチーは、サウンドチェックに行かなきゃと言って会場の中へ姿を消した。

 開演はそれから約2時間経った午後7時過ぎ。ステージに現われたリッチーがおもむろにスタートさせた幕開けの1曲は、2011年作「24 HOURS」からの“Bad Situation”だ。

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