【BURRN! 8月号ちょい読み】

DEFTONES──美学を見せつけた約15年ぶりの単独来日公演

BY TOMOYUKI YAMAZAKI

DEFTONESの音楽に流れる憂いの美学。1990年代のアメリカで生まれたヘヴィ・ロックの “新しい潮流” において、彼らは早くから異彩を放ってきた。

ヴォーカリストのチノ・モレノがKoЯnの「LIFE IS PEACHY」(1996年)に、DEFTONESの「AROUND THE FUR」(1997年)にはSOULFLY結成前のマックス・カヴァレラがゲスト参加し、LIMP BIZKITが「ヘッドフォンでDEFTONESを聴くぜ」とラップ。一緒にツアーやフェスに出演するなど、ひとつのコミュニティめいたものを形成していた。それぞれが際立った個性を持っていたが、DEFTONESはヘヴィ・リフを爆裂させながらもメランコリックなメロディを独自のアイデンティティとしてきた。

かつて “オルタナティヴ” や “ニュー・メタル” など、正直あまり当てはまらない呼ばれ方をされたこともある彼らだが、自らの音楽の志向性について、チノは1980年代イギリスのニュー・ウェイヴからの影響を明らかにしている。「当時のシンガー達には脆く切ない雰囲気があった」と彼はかつて筆者とのインタビューで語っており、シングルB面やトリビュート作などに提供した楽曲のコンピレーション「B SIDES & RARITIES」(2005年)ではDEPECHE MODE、THE CURE、DURAN DURAN、THE SMITHS、JAPAN、COCTEAU TWINSなどのナンバーをカヴァー、その原点へと立ち返っている。うねる重低音ギター・リフが沈み込みながら浮遊するサウンドスケープゆえにシューゲイザー系とも比較される彼ら、それはある程度正しくもあるのだが、大きな相違点がある。チノは “シューゲイズ” が意味するような、足下を見つめて歌う真似はしない。彼はまっすぐ前方を見据え、ステージを飛び跳ねながら吼えるのだ。

2016年の『KNOTFEST』以来となる日本のステージ。その前も2013年の『OZZFEST』だったり、本邦でもフェスの大観衆の前でプレイしてきた彼らだが、単独ツアーはいずれもクラブ規模の会場だった。それが今回は8千人収容の東京ガーデンシアターがソールドアウトという大躍進ぶり。彼らのアメリカ本国やヨーロッパでのショウならまだしも、日本でこの人気は驚きだ。元々のファンに加えてSPIRITBOXやSLEEP TOKENなど彼らの遺伝子を受け継ぐバンドのおかげで再評価の気運があったのでは?...とも考えられる盛況ぶりである。ドクロ顔の女性にヘビが忍び寄る絵柄の電光掲示板ポスターに導かれて会場に向かう観客は、パワー・メタル系ライヴと較べると若めで、女性の比率もかなり高い。インバウンド勢とおぼしき観客も多く、DEFTONESが幅広いファン層から支持されていることを実感させる。カタカナで大きく “デフトーンズ” とプリントされた黒Tシャツの群れを追っていくと、容易に東京ガーデンシアターに到着することが出来た。

アルバム「PRIVATE MUSIC」に伴うワールド・ツアーのオープニングは2パターンあり、公演によって新作から “My Mind Is A Mountain” か、それとも「AROUND THE FUR」から “Be Quiet and Drive(Far Away)” かというもの。今回は後者でスタート、お馴染みの曲で、観衆にDEFTONESが帰ってきた!と強く印象づけた。最初、PAトラブルでスピーカーがOFFになっていて音量が小さかったが、数秒後に轟音が噴き出してリカバリー。初手から盛り下がることはなく、むしろライヴ開始の昂ぶりをニ度も味わえてラッキー!というポジティヴな波動が伝わってきた。

いわゆるメインストリーム市場のヒット・シングルとは無縁の彼らだが、ファン1人ひとりにとってのキラー・チューンがある。10枚のアルバムから選りすぐったこの日のセットリストは、ほぼオールタイム・ベストといえるものだ。「KOI NO YOKAN」(2012年)から “Swerve City”、「DIAMOND EYES」(2010年)から “Diamond Eyes” など各作品のツボ曲が次々と披露され、身体を揺らすのを止める暇すらない。新作からの “Milk Of The Madonna” “My Mind Is A Mountain” などもいったん上り詰めたピークからテンションをキープ、熱気の塊で迎えられる。

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