【BURRN! 6月号ちょい読み】
ANTHRAX──完全ソールドアウトした7年ぶりの来日公演
BY TACK MAEDA/BURRN!
ANTHRAXの来日は、2019年3月に千葉・幕張メッセで開催された『DOWNLOAD JAPAN』以来約7年ぶりだ。心待ちにしていたファンが多いのだろう。初日の東京公演は即完売。その後の名古屋、大阪公演も完売した。スタジオ・フル・アルバムは2016年の「FOR ALL KINGS」が最後なので、作品リリースに伴うツアーではないが、もはやこのクラスのレジェンドになるとそんなことはどうでもいいと言えばどうでもいい。ただ来てライヴをやってくれれば盛り上がる。
場内暗転後、IRON MAIDENの “The Number Of The Beast” がフルで流れ、その後ANTHRAXのライヴのオープニングSEとしても昔からお馴染みの “I Can't Turn You Loose” のBLUES BROTHERSヴァージョン(オリジナルはオーティス・レディング)が流れる。続いて聞こえてきたのは “Among The Living” のイントロだが、それが流れている間にステージに登場したスコット・イアン〈g〉、ジョナサン・ドネイズ〈g〉、フランク・ベロ〈b〉、チャーリー・ベナンテ〈ds〉の4人が演奏し始めたのは “A.I.R.” のイントロだった。最後にジョーイ・べラドナ〈vo〉が登場して歌い始める。しかしギター・ソロまで演奏したところで終わり、すぐさまフランクのベースによる小気味良いイントロが鳴り響く。“Got The Time” だ。ジョー・ジャクソンのカヴァーだが、ANTHRAXファンにとってはオリジナル曲のようなものだ。
ジョーイの再来日の喜びに満ち溢れたMCの後、スコットのリフから “Madhouse” が始まる。初っ端からこんなにキラー・チューンを連発していいのかよ?と思ってしまうくらいの大サーヴィスだが、いやいや、俯瞰すればANTHRAXには山ほどキラー・チューンがあることを思い出せる。ジョーイ在籍時の曲オンリーで、ジョン・ブッシュ在籍時の曲はやらなかったが、それでも充分すぎるほどだ。サビで演奏を一瞬止めて観客に「It’s a Madhouse!」と歌わせるのは昔からの定番だ。スコットが右手の人差し指をくるくる回してモッシュ・ピットを煽るようなしぐさをして始まったのは “Caught In A Mosh”。モッシュを賛美する曲ではなく、“気が付いたらモッシュの輪の中にいて身動きが取れなくなっているような状況” について歌った曲だが、それでもモッシュせずにはいられなくなるリズムの曲だし、バンドがそれを狙って書いたことは間違いない。今ではサークル・ピットと呼ばれることの方が多いモッシュ・ピットをメタルの世界で流行らせたのはANTHRAXである。
曲が終わると今度はスコットが久しぶりに日本に来ることが出来た喜びを述べ、続いて「くだらない質問だけど、お前らスラッシュ・メタルは好きか!?」と訊くと大歓声が起こる。ANTHRAXにも単純にスラッシュ・メタルと呼ばれたくない時期もあったわけだが、今や誇りを持ってその言葉を使っているのが嬉しい。しかし、スコットは観客の反応に満足せず、もう一度同じこと訊く。そして始まったのは、“Metal Thrashing Mad”。まだ5曲目なのに早くもノックダウンされそうな気分だった。青春時代が蘇り、興奮し、今の体力では制御しきれないほどのエネルギーが内から湧き上がり、倒れそうになった。そう、スコット、我々はやはりスラッシュ・メタルが好きだ。大好きだ。
2013年に加入したジョナサン以外の4人は還暦を過ぎているが(フランクは今ちょうど還暦)、演奏に衰えがないのもいい。非常にタイトでソリッドだし、切れ味も抜群だ。テンポは落としており、どっしりした印象を受けるが、それでもオリジナルのイメージが崩れるところまでは行っていない。ジョナサンは他の4人に比べればさすがに存在感という点では劣るが、SHADOWS FALLで活躍していた頃から高く評価されていたプレイは見事だった。ダン・スピッツが弾いたオリジナルのギター・ソロのイメージをなぞりつつ、よりテクニカルなスタイルにして弾いている。80年代においてはAC/DCの故マルコム・ヤング、SCORPIONSのルドルフ・シェンカー、そしてスコットがHM/HRの3大リズム・ギタリストだと思っていたが(そこにMETALLICAのジェイムズ・ヘットフィールドも入れるべきかどうか、よく迷ったものだ)、そのスコットとリフをきっちりシンクロさせることが出来るのも素晴らしいと思った。さらに驚かされたのは、ジョーイのヴォーカルだ。65歳とメンバー中最年長だが、その歌声には張りも力もあるし、ハイトーンもちゃんと出せていた。しかも、バンドは曲のキーを落としていない。“Metal Thrashing Mad” のようなそこかしこにハイトーン・パートがある曲も、オリジナルの歌メロのイメージどおりだった。勿論ハイトーンを出す前のパートで少し手を抜いて(というのは言い方が悪いとは思うが)力をためるというようなことはやっていたが、それはまあ致し方ない。
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