マーシー/マーク・フリー他界。享年71。人生ハード・モードだったにもかかわらず元気なメインストリーム・メタルにも優しいメロディック・ロックにもよく馴染む美声で活躍した個性派シンガーを偲ぶ
マーシー・フリー(Marcie Free)が71歳で他界した。
訃報で一番意外に思ったのは「けっこうお歳を召していらっしゃったんだなあ……」ということ。なにしろ彼女はUNRULY CHILDの活動でもつい最近までまったく年齢を感じさせない美しいハイトーン・ヴォイスを聞かせてくれていたから。
カーマイン・アピス率いるKING KOBRAの美形フロントマン、マーク・フリーとして華々しくデビューを飾ったのはLAメタル華やかなりし84年。トランスジェンダーであることをカミングアウト~性転換してマーシー・ミシェル・フリーとして再出発したのが90年代前半。カミングアウト以前は性同一性障害で苦しんだというが、KING KOBRAでもその後元ALCATRAZZのヤン・ウヴェナらと結成したSIGNALでも、マーク・フリーの澄んだハイトーン・ヴォイスは明るく力強く美しかった。
STONE FURY~WORLD TRADEのブルース・ゴーディが立ち上げたUNRULY CHILDの91年スタート時に参加したもののわずか1年あまりでバンドを離れざるを得なかったのも、彼(彼女)のトランスジェンダー問題から生ずるさまざまな障害が原因だったという。時代はその手の問題にはいまよりはるかに無理解だった。
その後ソロ・シンガーとして地道な活動を続けたマーシー・フリーは2010年のUNRULY CHILD再始動に参加、以降21世紀のメロディアス・ハード・ロック界を代表する美声シンガーとして活躍してきた。
91年UNRULY CHILDスタート時からの長い付き合いとなるメロディック・ロック仲間のジェイ・シェレン(ds/HURRICANE、SIRCLE OF SILENCE、WORLD TRADEなど、現YES)がフェイスブックに追悼の辞を寄せている。
「昨夜、愛する友人でありアンルーリー・チャイルドのバンドメイトであるマーシー・フリーが逝去したという知らせを聞き、言葉が見つからなかった。胸が張り裂ける思いだ。
ブルース(ゴーディ:g)、ガイ(アリソン:key)、ラリー(アントニーノ:b)――家族同然に大切に思っている彼らも、私たちのマーシーを失い打ちのめされている。私たちは1992年に共にUC(アンルーリー・チャイルド)を始め、この何十年もの間、今日に至るまで友情と音楽制作を続けてきた。
マーシーは見る者を驚嘆させる存在だった。限界を知らず比類なき歌声、真に唯一無二の才能、そして私が知る中で最もオープンで美しい魂の持ち主だった。
胸が張り裂けそうでこれ以上言葉が出ない。
バンドメイトのブルース、ガイ、ラリーへ。君たちを愛している。マーシー、君も愛している。きみはいつもずっと天使だったけど、いま翼を手に入れたんだね」
かつてマークだったころもパワフルで卓越したフロントマンでした。
長年にわたって素晴らしいメロディック・ハード・ロック/メタル体験をありがとう。ご冥福をお祈り申し上げます。
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