追悼:AT THE GATESで激烈音楽シーンを牽引したトーマス・リンドバーグ、享年52

AT THE GATESのヴォーカリストとして活躍したトーマス・リンドバーグが9月15日に死去。享年52。今年8月、2023年以来ガンと闘っていたことを公表してからちょうど1ヵ月、最も哀しい報せが届いてしまいました。

トーマスがAT THE GATESのシンガーとしてシーン最前線に浮上したのが90年代前半。ヨーロッパとここ日本でメロディック・デス・メタルという新たなスタイルが市民権を得ていく最中、バンドは解散してしまいましたが、そのエッセンスはイエテボリ・サウンドとして北米を始めあまねく全世界に波及。AT THE GATESは(図らずも解散が逆に神格化を促したこともあり)メロデス的方法論がメタルコア勢など後続に受け継がれていくムーヴメントを大いに盛り立てる立役者となりました。その後待望の再結成を果たした後、トーマスは同バンドのフロントマンの座を堅持する一方で数多のバンド/プロジェクトに手を貸していました。

①ギリシャから登場したNIGHTRAGE(当時のギタリストはガス G.)の1st作「SWEET VENGEANCE」に参加してこれ以上ない箔を与え…

②スウェーデンのクラスト・パンク・アクト:DISFEARの傑作「MISANTHROPIC GENERATION」(2003年)で暴虐デス&ロールにサウンドが移行していくバンドに強靭なアグレッションを注ぎ込み…
③ヨハン・リンドストランドが脱退した時期のTHE CROWNを大いに支え…
④デス・メタル/グラインドコアのオールスター・プロジェクト:LOCK UPにも当然のように加入し…

…といった感じで、「トーマス・リンドバーグが歌ってるから良いに違いない」という安心感すら与えるほどの活躍ぶり。エクストリーム・ミュージックがある意味ポピュラーになっていく時代を牽引したミュージシャンの1人と言って過言ではないでしょう。自分の色に染め上げてしまうほどに強烈で、どこか悲哀すら感じさせる咆哮が失われてしまったことが残念でなりません。稀代のデス・メタル・シンガーに最大級の敬意を表して。

AT THE GATES
「THE NIGHTMARE OF BEING」

2021年

<日本盤収録曲>
DISC 1

1. スペクター・オブ・エクスティンクション(SPECTRE OF EXTINCTION)
2. ザ・パラドクス(THE PAR  ADOX)
3. ザ・ナイトメア・オブ・ビーイング(THE NIGHTMARE OF BEING)
4. ガーデン・オブ・サイラス(GARDEN OF CYRUS)
5. タッチド・バイ・ザ・ホワイト・ハンズ・オブ・デス(TOUCHED BY THE WHITE HANDS OF DEATH)
6. ザ・フォール・イントゥ・タイム(THE FALL INTO TIME)
7. カルト・オブ・サルヴェイション(CULT OF SALVATION)
8. ジ・アブストラクト・エンスローンド(THE ABSTRACT ENTHRONED)
9. コスミック・ぺシミズム(COSMIC PESSIMISM)
10. エターナル・ウィンター・オブ・リーズン(ETERNAL WINTER OF REASON)

DISC 2(ボーナス・ディスク)
1. レッド(ライヴ)(RED (Live at Roadburn)) 
    *KING CRIMSONカヴァー曲
2.ザ・スカー(ライヴ)(THE SCAR (Live at Roadburn))
    *1stアルバム「THE RED IN THE SKY IS OURS」収録
3.コヤニスカッツィ(ライヴ)(KOYAANISQATSI (Live at Roadburn))
    *PHILIP GLASSカヴァー曲
4. ザ・バーニング・ダークネス(ライヴ)(THE BURNING DARKNESS (Live at Roadburn))
    *2ndアルバム「WITH FEAR I KISS THE BURNING DARKESS」収録
5. ダガ―ズ・オブ・ブラック・ヘイズ(ライヴ)(DAGGERS OF BLACK HAZE (Live in Stockholm))
    *6thアルバム「TO DRINK FROM THE NIGHT ITSELF」収録
6. デス・アンド・ザ・ラビリンス(ライヴ)(DEATH AND THE LABYRINTH (Live in San Francisco))
    *5thアルバム「AT WAR WITH REALITY」収録
7. ア・ステア・バウンド・イン・ストーン(ライヴ)(A STARE BOUND IN STONE (Live in San Francisco))
    *6thアルバム「TO DRINK FROM THE NIGHT ITSELF」収録
8. ヒーローズ・アンド・トゥームズ(ライヴ)(HEROES AND TOMBS (Live in San Francisco))
    *5thアルバム「AT WAR WITH REALITY」収録
9. ザ・ナイト・エターナル(ライヴ)(THE NIGHT ETERNAL (Live in San Francisco))
    *5thアルバム「AT WAR WITH REALITY」収録

Adrian Erlandsson - Drums
Jonas Björler - Bass
Tomas Lindberg - Vocals
Jonas Stålhammar - Guitar
Martin Larsson - Guitar
THE CROWN
「CROWNED IN TERROR」

2002年
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