最先端にして最高のHEAVY METAL体験 BABYMETAL『SUMMER SONIC2019 DAY.2』
BABYMETAL『SUMMER SONIC2019 DAY.2』
2019年8月17日(土)@幕張メッセ MOUNTAIN STAGE
Report by 倉田真琴
All Photos ©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.
自国でのフェスとはいえ、全英1位のアーティストを抑えてのヘッドライナーである。完全ソールドアウトとなった『SUMMER SONIC 019』の二日目、MOUNTAINステージのトリを飾るのが、日本が世界に誇るBABYMETALであるという事実。2013年からこのグループを追いかけてきた者として、素直に嬉しい。また、BMTHからのBABYMETALという超現代的メタルを体感出来るこの流れもたいへん素晴らしい。
加えて「2019年」という年に深い意味を感じたりもする。それは『SUMMER SONIC』の20周年であると同時に、2010年代の終わりの年でもあるからだ。時代がひとつの区切りを迎えると同時に、これから何かが始まりそうな予感を感じさせる。
例えば1969年にはウッドストックがあった。英国ではIRON MAIDENの自主制作盤「The Soundhouse Tapes」EPのリリースを皮切りにアンダーグラウンドからヘヴィ・メタルのバンドが次々に飛び出していったのが1979年のことだった。NIRVANAがSUB POPレーベルと契約し『BLEACH』をリリースしたのが1989年。以降も年代の終りには必ず何かが起きている。
1999年の日本では、モーニング娘。の“LOVEマシーン”が大爆発し、その後のアイドルシーンを築く起点となったし、2009年にはアニメ『けいおん!』によって“萌え”がより深く浸透、その後のアニメ隆盛に繋がったということも重要な出来事のはずだ。昨今は重要な出来事の認識に個人差があるのだろうけれども、それでもシーンが変革する何かが必ず起きていることがわる。だから今年がいかに重要な年であるはずなのだ。
そんな重要な年にサマソニ3日間がソールドアウトとなったのは実にメデタイことであるし、BABYMETALがMOUTAINステージのトリを飾るということにも何か意味があると考える。あと数ヶ月でもっと凄い何かが起こるかもしれないけれども。それでも2019年の意味を考えることは、たいへん興味深い。
なんてことを考えているうちに19時を迎えた。僕はフロア中央のやや後ろ寄りに陣取っていたのだが、暗転した瞬間に場内が沸騰する様子が見えた。
“前前前世はこっちじゃないぞ”と、巨大スクリーンに投影されていく文字に大歓声が巻き起こる。もちろん、フロアの誰もが、首の準備は万全であった。
サマソニ20周年を祝福する祭りに相応しい“メギツネ”からBABYMETALのステージはスタートした。
「ソレソレソレソレ」とフロアはお祭り騒ぎである。
続くキラーチューン“ギミチョコ!!”によって場内はアグレッシヴなカオスへ突入し、さらには最新曲“PA PA YA!!”(feat. F.HERO) で夏祭りを絶頂へと導いていく。その流れはあまりにも鮮やかであり、BABYMETALこそが国内最強アクトだ、と断言したくなるほどの快感があった。
しかし、まだショウの序盤である。こんなに飛ばしていいのだろうか…。
サポートを加えた3人によるパフォーマンスは、見た目のバランスが良い。
ちなみにサポートメンバーは、某国民的女性アイドルグループのコンサートに通い詰めていた経験のある筆者的には、馴染みの深い人物のようであるが、それはともかく。
3人によるパフォーマンスの安定感にあらためて驚いた。ずっと観続けている人は気付きにくいだろうが、僕はライヴ参戦に少々間隔が空いてしまっていたので、その実力をより強く感じることが出来たのだ。3人がステージを楽しんでいる様が手に取るようにわかったし、余裕の感じられるパフォーマンスに強力な安定が見えたのだった。
神バンドも以前よりもタイトに引き締まった演奏を聴かせており、いつの間にかBABYMETALのパフォーマンスが過去最高レベルに達していたことが確認出来た。それは弛まぬ努力と世界の様々な国々で戦い続けた結果ということか。その事実に感激してしまった。
やはりSU-METALの歌声が好きだ。どこまでも伸びていきそうな、しなやかな歌声を聴かせてくれる。そして彼女の瞳は真っすぐで、どこまでも遠くを見つめているようでもある。その視線の先にはどんな光景が広がっているのだろうか。幾多の困難を乗り越え、揺るぎない自信を全身に滾らせながら、いまなお前に進もうとする強い意志を感じる深い瞳である。
大人っぽく成長したMOAMETALの表情もさらに豊かなバリエーションを身に着けていた。時折、フロアの反応に機嫌よく笑顔をみせたりする。その笑顔に、あらためて底知れぬ魅力を感じてしまった。
“Elevator girl”で見せた3人の楽しそうな表情が印象に残った。BABYMETALのカワイイは健在どころか、最高で最強のカワイイに進化していた。オッサン殺す気か…そんな言葉がふと口をついて出てしまったほどである。
そのカワイイを身にまとった彼女たちのダンスもまた凄まじく、“キレッキレのダンス”なんて表現がもはや安っぽく感じてしまうほど、躍動感と説得力を備えている。
彼女たちはまだまだ若い。パフォーマンスにも容姿の美しさにも伸びしろがあるということなのだろう。まったく恐ろしい。
この日のハイライトは、“ヘドバンギャー!!”と“Road of Resistance”。
常に熱狂を生み出しているBABYMETALのライヴにおける最大の魅力が、この2曲に凝縮されている。
何万人いるのか知らないけれども、フロアの全員がヘドバンするのである。それはステージと観客が一丸となって創り出す見事なアートと言うしかない光景だ。ウォール・オブ・デスにおける肉体の激突もまた最高の瞬間だった。
場内の熱気はパイロのせいではなく、興奮した観客たちから発せられる巨大なエネルギーだ。その中に身を投じることはもはや快楽であると言ってもいいだろう。本当に湯気が立っているかのような、むせ返るような汗の匂いに塗れながらも、その空間で至高の快楽を味わっていた。
We are BABYMETAL!
彼女たちは夏の祭典を鮮やかに、爽やかに、そしてクールに華麗に駆け抜けていった。颯爽とステージを去っていく姿も相変わらずで、僕にとってこの夏最高の時間が終わってしまった。ああ、今年の夏は完全終了か……と思ったら、次回のライヴが発表されるわけで。毎回この演出にヤラれてしまうのであった。まったく。
BABYMETAL
<SETLIST>
01. メギツネ
02. ギミチョコ!!
03. PA PA YA!!
04. 新曲※インスト
05. Elevator girl
06. 新曲
07. ヤバッ!
08. Distortion
09. KARATE
10. ヘドバンギャー!!
11. Road of Resistance
All Photos ©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.
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