LOUDNESS World Tour 2018 RISE TO GLORY -RELOADED ライブレポート
2018年の締めくくりとなるLOUDNESSのライブが12月30日に東京EX THEATER ROPPONGIにて行われた。アルバム「RISE TO GLORY」完全再現、そして脳梗塞の後遺症からの完全復帰を目指している鈴木“あんぱん”政行<ds>の参加もアナウンスされたこの公演のチケットはSOLD OUTとなった。
Report by 別府“VEPPY”伸朗
Photos by Shigeyuki Ushizawa
約4年振り27作目となるアルバム「RISE TO GLORY」を2018年1月発売したLOUDNESS。そのアルバムと共に3月9日の北海道ZEPP SAPPORO公演から過去最大規模のワールド・ツアーを行ってきた彼らの2018年の締めくくりとなるライブが12月30日に東京EX THEATER ROPPONGIにて行われた。アルバム「RISE TO GLORY」完全再現というファン垂涎のモノで、現在も脳梗塞の後遺症からの完全復帰を目指している鈴木“あんぱん”政行<ds>の参加もアナウンスされたこの公演のチケットはSOLD OUT!多くのLOUDNESSファンが六本木に集まった。
二井原 実<vo>
開演時間を10分程過ぎた頃に場内暗転、ストロボにレッドとブルーのライトがステージを派手に照らす。バックドロップは「RISE TO GLORY」のジャケットが描かれたものが誇らしげに掲げられている。オープニングSEとして流れているのは「RISE TO GLORY」のオープニングを飾るインスト曲の“8118”、独特な緊張感を持つこの曲が更にショウの期待感を煽る。
ステージにはサポート・ドラマーの西田竜一<ds>が登場。そして愛機を片手に上手ステージ奥からは高崎晃<g>、下手ステージからは二井原実<vo>と山下昌良<b>が登場。派手なシンバルのカウントから“Soul on Fire”でショウはスタート、ノリが良くLOUDNESSらしいメロディもミックスさせたこの曲はオープニングにピッタリ。
満員の会場からはいくつもの手が上がり、二井原は両手を上げ煽り、コーラス・パートではファンにもっと大きな声を聴かせてくれといった感じで手を大きく広げアピール。
曲が終わり大きな拍手と歓声が上がると、どんなもんだいといった感じに二井原はサングラスをずらし満員の客席に目をやる。続いてヘヴィなリフとスラッシュ・メタルを思わせるリズムの組み合わせがユニークでアグレッシブな“I'm Still Alive”へと続く。曲調に合わせる様に点滅するストロボ・ライトの下でのパフォーマンス、山下はターンを決めたりドラムライザーにも上ったりとこの曲に合わせる様にステージをアクティブに駆け回る。こういった曲を聴くと今でもLOUDNESSはチャレンジャーなのだと感じる。
この2曲が終わり大きな歓声と拍手の中、二井原は「鳥肌立っているよ」と言い、来場したファンに感謝の言葉を続ける。そしてRISE TO GLORYの再現とそれに伴い本邦初公開の曲があると告げられると楽しみにしているといったファンの大きな拍手が沸き上がる。その本邦初公開の曲は3曲、さてどんなドラマが生まれるのか楽しみだ。
高崎 晃<g>
二井原が曲名を告げ“Go for Broke”のリフを高崎が刻む。曲に何か違和感を感じつつ立て直せるかとステージに注目していると、メンバーがお互いの顔を見つめ合いながら曲を進めていく。立て直せるか、崩壊するかギリギリに見えたが高崎は手を広げ、曲を止める。
「なかなか珍しいものが観れましたな」と二井原、そして高崎は「ええ感じやろ」とそれに被せていく。この日はニコニコ生放送の中継もあり「ニコ生の皆さん、忘れてください」と二井原が続く。
私も昔からLOUDNESSのライブは毎回とは言わずとも何回も見ているが、こんな風に曲がストップしたというのは記憶にない。LOUDNESSにとってはかなりレアな場面と言えるだろう。ミスをして演奏が止まったというのは勿論褒められたものではないが、これぞライブ!「生」ならではの魅力とも言える。個人的にはこんなレアな場面に立ち会えたことが逆に新鮮であった。そしてそのミスをいじりつつ、場をしらけさせることなくしっかりと「LOUDNESSの世界」を崩さなかったことに凄みも感じた。
再び曲名を告げ、仕切り直し、ファンもアクシデントに熱を冷ますことなくLOUDNESSの音楽を楽しんでいる。「カモン、ギター」と高崎のギター・ソロを呼び込むと、二井原はエア・ギターで合わせる。それを見る山下や西田はそれを楽しそうに見ながらボトムを支えている。
スタッフによって高崎の前にアコースティック・ギターがセットされる。二井原もアコースティック・ギターを持ってステージに登場、場内からは「長渕~!」という声がそこかしこから飛んでいる。「皆まで言うなっちゅう話や」とその声に突っ込みを入れ、笑いを誘う二井原。
「何かリクエストはありますか?歌わないけどね」と更に二井原は笑いを呼び込む。そしてアコースティック・ギターを爪弾き「遠く離れていても~♪」と歌い出す、名盤「DISILLUSION 」のラストを飾る哀愁の名バラード“Ares' Lament”だ。
私が先にいただいたセットリストには載っていなかったのでもしかしたらサプライズ的な曲だったのかもしれない。最初は二井原一人がプレイしていたが、暫くすると高崎もそれに加わり感動的に盛り上がっていく。「一緒に歌いますか?」と二井原に誘われてのコーラスの声は徐々に大きくなっていき、いくつも揺れている手が感動的な光景を生み出している。
そしてそのままメドレー形式で“Until I See the Light”へと流れていく。高崎の美しいアコースティック・ギターからヘヴィに展開していくミドル・ナンバーで、ヘヴィネスと哀愁が入り混じった不思議なテイストの曲でもある。
山下昌良<b>
「初めてやる曲です!」と二井原が告げたのは“The Voice”、少しメランコリックでヘヴィな要素もあり、哀愁と重厚さがミックスしたこれも不思議なテイストの曲でLOUDNESSならではの曲とも言えると思う。
曲が終わると心臓ドキドキですと彼らしい言葉を口にする二井原。そして次も初めての曲、作曲に時間がかかり二井原自身が一番好きな曲として紹介されたのは“No Limits”、メタリックで80年代 LOUDNESSテイストを感じさせる曲。ギター・ソロでは世界の高崎のタッピングに目を奪われる。
二井原がステージを離れると、浮遊感とオリエント感が入り混じり70年代ハード・ロック・テイストもあるインスト・ナンバーの“Kama Sutra”が始まる。そしてそのまま西田のドラム・ソロに突入。JUDAS PRIESTの“Painkiller”のイントロ風のものも織り込んだり、両手で派手にシンバルを叩くシーンもあったりと見せ場も多く、パワフルなドラム・ソロにファンもかなり引き込まれている。ソロが終わって二井原が「史上最強の助っ人ドラマー」と紹介していたが、それを証明するように大きな拍手と歓声が西田に向けられていた。
ここで正式メンバーである鈴木の状態についての報告も成され、エールが送られる。鈴木へも大きな拍手が沸き起こった。
タイトル曲である“Rise To Glory”がコールされ高崎のタッピングと共にスピーディな曲が始まる。ステージ下手ではお立ち台に立った山下が激しく首を振り、西田は重戦車の様なヘヴィなドラミングが腹に響く。ステージ前まで来た二井原に向かっていくつものファンの手が伸びる。そして二井原が煽るとステージに向かって伸びた手は拍手へと変わる。メロディアスさとヘヴィネスが折り重なる今のLOUDNESSを象徴する曲とも言える。
二井原が両手を上げるのを合図に曲は終わり、「速い曲いきますよ!ニコ生の皆さん、頭振れますか?」と会場だけでなく、この会場にやって来られなかったファンへも言葉を投げかけて始まったのは“Massive Tornado”。グリーンとレッドのライトが交差する中、高崎はグッと腰を落とした感じでザクザクしたリフを刻む。スラッシーで少しモダンなテイストのある曲。ステージのライトがブルーに変わる中、二井原はファンを煽り、西田は片手でメロイック・サインを決めつつ派手なドラムを叩く。山下は二井原と向かい合いながらビートを刻んでいる。
二井原が「もう一曲大好きなで、やったことない曲をやります。皆さん、頭振って盛り上がってくれると思います」と告げ、「お客さん、大丈夫ですか?LOUDNESS、大丈夫ですか?」と笑いを誘ってからこれまた初披露となったのは“Why and for Whom”。ヘヴィ・メタルならではの勇壮さと高揚感のあるナンバーで、これまで何故プレイされなかったのか不思議に思っていた曲。オリエント感も出しつつ様々な表情を表わす高崎のギターにも耳を奪われる。このまま「隠れた名曲」にしておくには非常に惜しい曲、是非レパートリーに加えて欲しい。
ショウはそのままヘヴィ・バラード調の“Rain”へと続いていく。曲名に合わせるかの様に深いブルーのライトの中でパフォーマンスするメンバー。ギター・ソロでは更に深く悲しみに包まれる感じで、ステージを照らすライトも更に深く青くなったかの様な錯覚に陥る。ソロが終わると一転レッドのライトに染まるステージ、情念が渦巻いている感じだ。
西田竜一<ds>※サポート
二井原が曲名を告げ、場内に和の風味タップリな鐘の音、そして高崎による和風音階のギターがそれに続く。いくつものメロイック・サインが突き上げられる中、高崎の切れ味鋭いギター・リフがスピーカーから放たれる、“The Sun Will Rise Again”だ。80年代のLOUDNESSテイストがあるが懐古的でなくモダンなテイストもしっかりと盛り込まれており、今を生きるLOUDNESSが作り上げた名曲。曲名と彼らの姿もダブる。この曲の高崎のソロは凄まじく、その姿は神というよりも鬼神という言葉の方が相応しい。ピンライトの中で二井原がロング・シャウトを決め、曲は終わりを迎える。
憂いに満ちたインスト曲“Requiem”がSEとして流れ、それに続く“King Of Pain”が西田の激しいドラミングと共に始まる。ヘヴィネスと共に疾走していく曲で高崎は何度もネックを突き刺す様にフロアに向け、何度も片膝を落としながらリフを刻む。山下はフィードバック・ノイズの中、ベースを鳴らし怪しい音世界を作り上げ、高崎と背中合わせになり激しいビートも刻む。
曲が終わり拍手が場内に鳴り響くが、あの曲のリフがその拍手を上回る様に刻まれる。彼らの初期の名曲“In The Mirror”が炸裂すると場内はヘッドバンギングの波が起きた様になる。高崎はモニターに足をかけリフを刻み、ソロを弾いている場面では高崎の後ろで信じられないとばかりに二井原が両手を広げる。高崎の鬼神のソロが終わると曲がストップし、二井原がもっと来いよとファンを煽る。場内からは割れんばかりの大歓声だったが、まだまだ声を出せるだろと二井原も高崎も両手を広げる。高崎は声が聞こえないぜと耳に手をやると、二井原はバイバイと手を振りステージを去ろうとする。歓声、笑い、ブーイングが交じり合う中、二井原を呼び戻すべく高崎がリフを刻み再び“In The Mirror”が始まると場内の熱が高まっていく。名曲は熱狂の中で終わりを迎えた。
メンバー紹介の後に二井原が1981年にバンドを結成してから37年目にして初めてライブ前に高崎の掛け声で円陣を組んだと述べる。「1回やってみたかった」「夢が叶った」と少し嬉しそうに語ると場内からは大きな拍手と歓声が二井原を包む。そして2019年もライブをガッツリやっていくと言い。マネージャーに止められているけど『ここだけ』で発表しましょうかと言えば賛成の歓声が沸き上がる。残念ながらニコ生が入っているから発表出来ないとしっかりオチを付けて笑いを誘うと、『近い内の発表を楽しみに』と告げる。
そして30周年記念盤特別エディションがリリースしたばかりの「JEALOUSY」タイトルの名前が上がる。「久しぶりに聴いたらムチャ良いアルバムですな」と二井原が言えば、「そんなに聴いていなかったんかいな?」と突っ込みを入れる高崎。それに「だって・・・」と二井原が笑いに繋げていく。この作品を最後に二井原が脱退したことを考えれば色々あったと思うが、こうして振り返りそれを笑いに昇華出来るということは今のLOUDNESSの良好な関係も感じさせる。
そして大合唱出来る曲としてコールされたのは“Long Distance Love”。爽やかなキャッチーさのあるポップな曲で、ワーナーミュージック期のLOUDNESSならではの曲とも言える。空気はガラッと変わったがレア曲のパフォーマンスからフロアからいくつもの手が上がり、曲が終わるとその反応に「最高です」と二井原が感謝の言葉を口にする。
そしてそのままワーナーミュージック期から彼らのアルバムの中でも人気の高い「HURRICANE EYES」からキャッチーでメロディアスなミドル・ナンバー“This Lonely Heart”が続く。二井原に導かれての拍手、そしてコール&レスポールで盛り上がると「愛してるぜ!」との言葉、そしてそれを合図する様にギター・ソロへと流れていく。
「今夜最後の曲です!」と言ってプレイされたのはこれも初期の名曲“Crazy Doctor”。歌う二井原と背中合わせになりリフを刻む高崎。山下はドラムライザーに上り、激しいビートを叩く西田と共にボトムを支えている。コーラスでは盛り上がる場内に向け二井原はマイクを向けて耳を手に当てる。曲が終わると愛機を高く天に突き上げる高崎、その横では「ありがとう!おやすみなさい!!」とファンに感謝の言葉を述べる二井原。大きな拍手と歓声の中、2時間のパフォーマンスを終えたメンバーはステージから一度姿を消した。
鈴木“あんぱん”政行<ds>
まだ聴きたい曲がある、そして肝心の「アノ人」がまだ登場していないとLOUDNESSを再びステージに呼び戻す拍手が鳴り止まない。
まずステージに登場したのは、「あの人」。そう、この日の出演をがアナウンスされていた鈴木“あんぱん”政行だ。場内から『あんぱん!』と声援がいくつも飛ぶ中、鈴木は両手を突き上げ彼のポジションであるドラム・セットへと感慨深げに座る。LOUDNESSの2018年の締めくくりとなるこの日、SOLD OUTとなった会場の景色は彼にとってどの様に映ったのであろうか?そしてファンの彼への声援はどう耳に入ったのであろうか?
ギターの音色と共に高崎がステージに登場、そして激しくライトがステージを照らす中でギター・ノイズを吐き出す。高崎が耳に手を当て、それを合図にライトがステージから場内に向けられるといくつもの手が上がる。高崎はそんな場内をグルっと見回すと、最後のノイズを一発放ち、彼らのテーマ曲とも言える“Loudness”のリフを刻む。鈴木を見ながら歌う二井原、そして鈴木がドラムを叩いているのが嬉しいと両手を広げ歓迎している。
曲が終わり、「あんぱん、鈴木!」と二井原が最後にステージに登場したメンバーを紹介するとこの日一番と思える拍手と歓声が上がる。そして先程までドラムを叩いていた西田をステージに呼び込む。ドラマー二人がステージに揃うと、「でかいよね、二人とも。でかいし、気持ち悪いよね」と二井原節が炸裂して場内は笑いに包まれる。
ステージにはドラム・セットが2セット並び、ドラム・バトルが始まる。鈴木、西田共に自身のポジションに座ると「どちらが先に叩く?」といった感じで顔を見合わせる。ドラム・バトルは鈴木からスタート。そして西田と続き、お互いをコミカルなやり取りで称えあいながら続いていく。そして、鈴木がマイクを通さない生声で「皆さん、聞こえますか?皆さん、LOUDNESSに元気な声を出してください!行きますよ!」と場内のファンに向かってメッセージを放つ。勿論、場内からは『聞こえてるよ!』といった返事代わりの大きな拍手と鈴木への声援が上がる。そして二人が同時にシンバルを鳴らし、この日最後の曲が始まる。
シンバルの音から始まるLOUDNESSの曲と言えば、そう名曲“S.D.I.”である。ステージに残りのメンバーが登場し、二井原は「今日は本当にありがとうございました!2019年もみんな、全国で会いましょうね!」と感謝の言葉を口にして最後の曲名をコールする。最後にプレイされる名曲に場内ヘッドバンギングとフィストバンギングで応える。シンクロ率が高まるドラマー二人、そんな二人を見ながら山下はドラムライザーに足をかけ野太いベースを鳴らし、二井原は降参といったポーズを見せる。その前では流れるようなギター・ソロを聴かせる高崎がいる。曲の最後には何度も「WE LOVE YOU!」と何度も叫び、2018年の締めくくるLOUDNESSのステージは終わりを迎えた。
エンディングのSEが流れる中、最後のお別れをファンに告げ、カーテンコール。そしてSOLD OUTになった場内とファンをバックに記念撮影。ステージからメンバーが去り、エンディングのSEが鳴り終わってもまだ場内は明るくならない。間髪入れずスクリーンが静かに下りてきて、昔の映像とサウンドが流れ始める。残ってスクリーンを見つめていたファンから「おおっ!」と大きな歓声が上がったのは「あれから30年…」という言葉に導かれて発表されたのは『LOUDNESS JAPAN TOUR 19』の日程。ライブ中に二井原がじらしにじらし、喉から出かかった言葉がここで発表となった。「HURRICANE EYES」と「JEALOUSY」の両作のタイトルが並び、この2枚の楽曲を中心に組んだツアーとなりそうだ。2019年もLOUDNESSから目が離せそうにない。
2018年12月30日@東京EX THEATER ROPPONGI
<SETLIST>
01 .Soul on Fire
02. I’m Still Alive
03. Go for Broke
04. Ares' Lament〜Until I See the Light
05. The Voice
06. No Limits
07. Kama Sutra 〜drums solo
08. Rise to Glory
09. Massive Tornado
10. Why and for Whom
11. Rain
12. The Sun Will Rise Again
13. Requiem〜King of Pain
14. In the Mirror
15. Long Distance Love
16. This Lonely Heart
17. Crazy Doctor
-encore-
18. Loudness〜drum solo battle
19. S.D.I.
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