現・元FATES WARNINGのメンバーを擁するメロディック・メタル・バンドA-Zがデビュー! ヴェテラン・ドラマーのマーク・ゾンダーにインタビュー!
マーク・ゾンダー(以下M):僕はバンドをやるのが好きで、長年の間に何度もやってきた。2007年には自分のバンドSLAVIORをやってみたよ。自分が録音したドラム・グルーヴを元に一緒に楽曲を作ってくれるミュージシャンを見つけてバンドをやってるんだ。僕は、曲作りのきっかけになると思える色々なアイディアをたくさんの時間を掛けていつも録音してるんだよ。
──このA-Zは、実際にはどのような形でメンバーが集められ、曲が出来上がっていったのですか?
M:最初はマット・ギロリー (key/DALI'S DILEMMA)に電話したんだけど、彼は忙しいということで、ヴィヴィアン・ラルー<key>の連絡先を教えてくれたんだ。で、ヴィヴィアンに連絡して、僕が何をやろうとしているかをじっくり説明したんだ。ちょっとプログレッシヴで、捻りのあるコマーシャルなハード・ロック・バンドがやりたい、とね。一番重要なのは、誰もが入り込めるコーラスと強力なサビだ。僕は一般大衆に受け入れられるバンドを作ってみたかったんだ。限られた一部の音楽ファンだけじゃなくてね。ヴィヴと僕で何曲か作ったところで、フィリップ(バイノ/b)を迎え入れた。僕がドラムを叩くならフィリップがベースで決まりだ。そしてヴィヴがヨープ(ウォルターズ/g)を連れてきた。彼らはずっと何年も一緒にやってるんだ。ヴィヴとヨープにも曲のアイディアを持ち込んでもらって、彼らと僕のアイディアを足して何曲もできたよ。みんなの貢献は大歓迎さ。
M:ヴィヴに僕のドラムのアイディアを送って、彼が自分のアイディアを送り返してくれた時に、僕達の間にはマジックがあると判って、素晴らしい楽曲が作れると確信したんだ。僕達の間には「何がやりたいか」に関して共通理解があった。ヴィヴはヨープと何年もプレイしていて、ヴィヴが彼に曲を送って、それにギターを入れてもらえば、そこにマジックが起きることが確認できるよ。本当に素晴らしいサウンドで、やりたかったことそのままなんだ。全員の貢献が重要なんだよ。ヨープが僕と一緒に制作したマテリアルもあれば、ヴィヴが持っていた曲を僕達みんなで再アレンジした曲も1曲ある。楽曲制作はバンドの賜物なんだ。
──ベーシストのフィリップとはWARLORDでも一緒にプレイしていましたね。
M:ああ。誰がベーシストに相応しいか?という疑問は不要だよ。フィリップがどれほどプロフェッショナルで素晴らしいミュージシャンかは言葉では語りつくせないくらいさ。さらに重要なのは、彼が僕の素晴らしい友人だということ。彼は僕が自分のプロジェクトを制作している期間、正気を保てるように本当に助けてくれるんだ。最初にドラムの一発目のリフを叩いてから、実際にアルバムをリリースして、プロモ・ビデオとかを制作して公開するまで、大量の仕事があるから、大変なんだ。
──そして、最後のピースとしてシンガーのレイ・アルダーが参加します。彼はFATES WARNINGの現フロントマンで、あなたもFATES WARNINGで1989年から2005年までの16年間、彼と一緒に活動して、6枚のアルバムを制作しましたね。レイとあなたが久しぶりに活動を共にすることにファンは喜んでいます。彼がこのバンドに参加した経緯を話してもらえますか?
M:本当に色々なシンガーを当たってみたんだけど、あまり上手くいかなくてね。レイとは長いこと話をしてなかったけど、彼に電話をして、僕が今やってることを説明してみたんだ。彼がこういったコマーシャルなハード・ロックが好きなことは知っていたからね。それで、僕は何曲かの素材を送って、彼が送り返してきた最初のものが“Rise Again”になったんだ。その時、僕達の間にはマジックが存在していて、凄く特別なバンドが誕生すると確信したんだよ。
──レイはすべての作詞を担当していますが、彼がバンドに参加した時にはもう曲は出来上がっていたのでしょうか?
M:ああ。ただ、バンドというものはヴォーカルを念頭に置いて、シンガーに受け入れられるように作曲すべきなんだけど、今回はレイにまず1曲送って「好きなようにしてくれ」と言ったんだ。僕はあらかじめ彼に「こういう風にしてくれ」みたいな注文は一切付けなかった。100%クリエイティヴな状態でいてもらいたかったからね。それが、バンド全員がクリエイティヴになれる本当のやり方なんだよ。
──レイはあなたと再びバンドを始めることをとても喜んでいるみたいですね。あなた自身は再びレイとプレイしてみて、どんな気分ですか?
M:僕も本当に楽しんでるし、彼が今までと違ったスタイルの楽曲を書いて歌うのを見るのは嬉しいね。彼と話をするのも面白いんだ。
──A-Zというバンド名はレイのアイディアだそうですね?
M:名前を決める作業は、常にバンド結成時の難関だよね。ある日、レイが「A-Zはどう?」と言ったんだ。彼がどういう意味で言ったのか、単にAlder-Zonderなのか、それとも音楽のすべてを表わすA-Zなのか、よく判らなかったけど、それで行こうとなったんだ。
M:今回のアルバム制作は、「断固として僕がやりたいようにやる!」と自分に言い聞かせて始めたんだ。生ドラムのセットをプレイした以外にも、FATES WARNINGでも使用した様々な電子楽器やサウンド・エフェクトも使ったよ。できる限りクリエイティヴであろうとしたんだ。さらに、僕のパートの場所や空間をなるべく使って、楽曲をソリッドにして、ドラムが常にグルーヴと感覚を先導する役割を果たすように心掛けたよ。
──楽曲には当然ながらFATES WARNINGを連想させる雰囲気もありますが、大きな特徴としてはポジティヴなメロディに溢れていることだと思います。これはFATES WARNINGのファンを超えたあらゆるロック・ファンやメタル・ファンにアピールするポイントだと思います。あなたはどう思いますか?
M:思うに、FATES WARNINGと対比できるのはレイのヴォーカルと僕のドラムだけじゃないかな。楽曲はまったく違ったものだし、君が言うように、もっとずっとポジティヴでアガるサウンドだ。目標はもっと幅広いオーディエンスにアピールすることだからね。今回のアルバムでは、強力なサビとキャチーなコーラスでそれを上手く達成できたと思うよ。
──アルバムを代表する曲として、“Trial By Fire”“The Machine Gunner”“Stranded”の3曲のビデオが作られましたが、この3曲についてコメントをいただけますか?
M:“The Machine Gunner”が1stシングルで、最初にみんなに聴いてもらうべきハイ・エナジーなロック・ソングだ。まずは、僕達が純粋にパワーとエナジーに溢れたバンドだと思ってもらわないといけないからね。僕達の過去のバンドとの類似性なんて払拭しなきゃいけない。2ndシングルの“Trial By Fire”はたぶん最もキャッチーで、みんなが気に入る1曲だろう。壮大なコーラスを入れて曲のクオリティをぐっと高めたんだ。3曲目の“Stranded”は、レイの一番のお気に入りで、このバンドの少し違った側面を映し出している。
M:(日本の所属レコード会社である)ルビコンもアルバムのアートワークとレイアウトを気に入ってくれたようで、とても嬉しいよ。ヘヴイ・メタルのレーベルが期待するような、いつものスタイルじゃなかったと思うけど、僕達はありがちなバンドとは違うからね。僕は突出して注目を集める、何かしら他とは違う感じが欲しかった。最初は他のアーティストを色々と当たったんだけど、シンガー探しと同じで良い人が見つからなくてね。そこで、レイに久しぶりに連絡したのと同じように、ヒューにも電話してみる決心をしたんだ。その電話では、当たり障りのない日常の挨拶を交わした後、彼が僕のバンドがどんな感じなのか訊いてきたから、それを説明して、バンド名も尋ねられたんで、それも教えて電話は終了した。すると、ほんの20分くらい後に彼がアルバム・カヴァーを送ってきたんだよ。それは僕が考えていたとおりのやつだった。気に入ったよ。その後で、ブックレットのデザインのレイアウトとか詳細を詰めていったんだ。トップ・プロフェッショナルと一緒に仕事をするのはいつだって最高だよ。
──話は変わりますが、あなたが在籍していたWARLORDの創始者でありソングライターでもあったウィリアム・ツァミス<g>が昨年亡くなって、バンドは活動停止を余儀なくされましたね。ウィリアムとはどんな思い出がありますか?
M:僕の彼との思い出はすべてが素晴らしくて良いものばかりだよ。彼はただただ偉大な人物で、信じられないくらいの才能の持ち主だった。世間は彼こそが、ウィリアムこそがWARLORDだったということを認識する必要がある。僕はたまたま彼に付いて行っただけなんだ。僕にはしっかりと記憶がある。全部がポジティヴなものだよ。僕達が出会った最初の頃の演奏から、最後のライヴまでね。すべてが良い思い出だよ。
──2013年のWARLORDの再結成ライヴの映像を観たのですが、観衆は熱狂しているのに、ウィリアムはプレイしている時もMCで喋っている時も、まったく笑顔を見せないのが印象的でした。彼はどんな人だったのでしょうか? ちょっと気難しい人だったとか?
M:いやいや、全然気難しくなんかないよ。彼は僕が一緒にプレイした中で最もプロフェッショナルで最も情熱的なミュージシャンだった。いつも楽しんでいたよ。単に彼がいつも満面の笑みを浮かべているタイプの人間じゃなかっただけさ。だから、それらのライヴ・ギグでも彼はとても満足していたよ。
──そうなんですね。さて、A-Zとしては、アルバム・リリース後にライヴをやる予定はありますか?
M:ああ、今まさにライヴのプランを立てているところなんだ。バンドがライヴでプレイするというのはとても重要で、それによって本当の意味でアルバムに生命を与えることができるからね。
──最後に、日本のファンにメッセージを。
M:僕がこのバンドを組もうとしていた時、日本のファンは僕達のサウンドを気に入ってくれるだろうか、ということが常に頭の中にあった。日本で良さが認められて受け入れられるということは、僕達が正しい方向に向かっているという証拠だからね。日本のみんなになるべく早く会えることを願っているよ。
「A-Z」
2022年9月7日発売
<収録曲>
01.Trial By Fire 5:11
02.The Far Side Of The Horizon 5:50
03.The Machine Gunner 3:48
04.Rise Again 4:52
05.Window Panes 3:56
06.Run Away 4:37
07.Stranded 4:43
08.At The Waters Edge 3:50
09.Borrowed Time 4:43
10.Sometimes 4:10
11.The Silence Broken 5:05 *
*日本盤/欧州盤ボーナス・トラック
※以下、メーカー・インフォメーションより。
現FATES WARNINGのレイ・アルダー(vo)と
元メンバーのマーク・ゾンダー(dr)が組んだスーパーバンド、
待望のデビュー作をリリース!
2020年に13作目となる新作『Longday Goodnight』(RBNCD-1320)をルビコンよりリリースしその健在振りを見せつけた伝説のバンド"フェイツ・ウォーニング"に1988年のアルバム『No Exit』から参加し、今や完全にバンドの顔なっているヴォーカルのレイ・アルダーが、やはり伝説のアメリカン・エピック・メタル・バンド『ウォーロード』のオリジナル・ドラマーで1989年の『Perfect Symmetry』から2005年の"FWX"まで16年に渡って6枚のプログレッシヴな作品に貢献したマーク・ゾンダーと結成したニューバンド!
バンドの名のA -ZはAlderのAとZonderのZという意味、そしてこのバンドが持つその音楽性の幅広さを表したダブル・ミーニングから来ている。マークは「これはアルバム1枚をリリースして終わる単発のプロジェクトでは無く、今後何枚もアルバムをリリースしていくパーマネントなバンドである」と公言している。
彼ら2人以外のメンバーも強力で、ベースは後期WARLORD、スティーヴ・ヴァイとも長くプレイしてきたテクニシャン、フィリップ・バイノー。ギターはLOIN MUSICから多数のソロ作を出し地元では"RUSH"のトリビュート・バンドもやっているオランダ人のヨープ・ウォルターズ。キーボードはギターのヨープと共に彼自身のバンド "LALU" でも活動するフランス人のヴィヴィアン・ラルーが務める。
音楽性は、歌メロ重視、そしてメンバーの内2人がヨーロッパ出身なだけあって、欧州の湿り気を感じさせる佳曲が目白押しだ。FATS WARNINGやWARLORDのファンだけでは無く、RUSH、DREAM THEATERやDGM、そしてCIRCUS MAXIMUS、更にメロハー寄りのメタル・ファンにも是非お勧めしたい内容だ。
アルバムのミックス、マスタリングは多くの作品に関わる実力者、シモーネ・ムラローニ(DGM)!そして特徴的なアルバム・カバーはRUSHを始めFATES WARNING,DREAM THEATER等、多くの作品を制作してきた奇才、ヒュー・サイムが担当!
ライナー: 歌詞・対訳付き レイ・アルダー最新インタビュー掲載 *ジャケット・ステッカー封入
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