『政則十番勝負』開催記念! “鋼鉄神”伊藤政則インタビュー Part.2
2016年11月からタワーレコード渋谷店、2017年7月のタワーレコード難波店にて開催された伊藤政則氏のメモラビリア展、さらに昨年、2018年9月にはその集大成として、4日間限定でタワーレコード渋谷店にて『MASA ITOメモラビリア・フェスト –THE FINAL- “メタル聖地巡礼”』が行われ、全国から多くの来場者が詰めかけた。この開催期間中、B1FのCUTUP STUDIOにて豪華ゲストを招いてのトーク・イベントが行われ、全日ソールド・アウトの大盛況となった。
今回はその「メモラビリア・フェスト」の1周年として、前回好評だったトーク・イベントを、10日間/10組の各界著名なゲストを招き開催される。『政則 十番勝負 <メモラビリア・フェスト 1st アニヴァーサリー>』と題された、たいへん気になるこのイベント、一体どんな内容となるのか? 今回はPart2の出演者について伺っています。
※Part.1のインタビューはこちら。
https://burrn.online/interview/263
Part2初日“世界を翔けるロック・ギタリスト”
──さて『政則十番勝負』Part2のラインナップを紹介していただきます。
伊藤政則 9月25日(水)はマーティ・フリードマン。彼とは古くからの知り合いだからね。NWOBHMの時代、彼がハワイでヒゲ生やしてやっていたVIXENの頃ね。
──マーティさんと喋るのは久しぶりになるんじゃないですか。
伊藤 うん、去年の『HEAVY METAL SOUNDHOUSE』はDJとしての出演だったからね。ラジオのリスナーにどんなことを訊いて欲しいか、どんなテーマで話をして欲しいのか、番組を通じて問いかけをすることも考えているよ。もちろんマーティだけじゃなく、10組の出演者への質問をね。
──それは面白いですね。マーティさんはもはや日本人ですし、通訳要らないですよね。
伊藤 通訳なんか要らないよ。でもMEGADETHのことは、正直どれくらい訊いていいのかわからないな。たぶん訊いちゃうと思うけど。
──MEGADETHはたいへん興味深いポイントであります。
伊藤 去年の『HEAVY METAL SOUNDHOUSE』でサイン会やった時に、MEGADETHのCDにサインしながら“MEGADETHには戻らないよー”って笑っていたらしいよ。わかってるって、そんなことは(笑)。
レジェンド降臨、オールナイトニッポン、そしてラジオを語る
──続いて26日(木)は亀渕昭信さんです。
伊藤 “ラジオ”というテーマをひとつの軸にしたかった。『オールナイトニッポン』のDJで、現在も現役の方って亀渕さんぐらいじゃないかな。
──あ、そうですか?
伊藤 今仁哲夫さんや斉藤安弘さんは最近あまりお見かけしないし、高嶋ひでたけさんの番組も終わってしまったし(※01)。おそらく亀渕さんだけだよ。
──僕の世代だと亀渕さんは作る側の人だったんですよね。編成をされていたと思うんですけど、そのうち中古の洋楽シングル盤を漁るようになると、結構な確率で亀渕さんがライナーノーツを書いていらっしゃって、それで名前を知るようになるんです。
伊藤 そりゃそうだ。亀渕さんは60年代にサンフランシスコに住んでいたんだよ。フィルモアの近くだっていう話で、凄いコンサートをたくさん観たらしいよ。
──それは凄いでしょうねえ。ジェファーソン・エアプレインとか。
伊藤 もちろん。すでにニッポン放送に入社していたけれども、一年間だけ休みをもらってサンフランシスコに住んでいたらしいよ(※02)。ジミヘンやジャニスが出演していた『モンタレー・ポップ・フェスティバル』を観に行ったというんだから凄いよね、だって60年代だよ?
──1ドル360円時代に。
伊藤 そうだよ、これはもう面白すぎるよ。もちろん僕が中高生の頃に聴いていた『オールナイトニッポン』のパーソナリティ時代の話も訊きたいんだけどね。あの頃、毎週何万通ものハガキが届いていたというんだから。
──社会現象ですよね。
伊藤 そう。亀渕さん曰く、“深夜放送は現在のSNSである”と。凄くわかりやすくて、なるほどと思ったよ。亀渕さんが動いたからこそビアフラの子どもたちに物資を送ることになったわけだし(※03)。それに重要なポイントはね、当時のリスナーって中高生が中心なんだよ。ビックリだよ。radikoあるわけじゃないのに、中学1年とか2年生が熱心に聴いていたんだよ。
──僕も中学生の頃、眠い目をこすりながら『ビートたけしのオールナイトニッポン』を聴いていました。
伊藤 僕は亀渕さんがディレクターとして担当していた番組をよく聴いていたよ。モコ・ビーバー・オリーブ(※04)の『ザ・パンチ・パンチ・パンチ』とか。雑誌の『平凡パンチ』がスポンサーでね。なんと言っても僕の『TOKYOベストヒット』の時は編成部局長だよ。凄いんだよ、番組がつまらないと思うと、スタジオに亀渕さんから電話がかかってくるんだよ。ディレクターが出るとすげえ怒られるの、“そういうんじゃねえだろ!”って。もう本当に怖いんだから。気軽に“カメちゃん”なんて呼べないよ。僕は放送人として大尊敬している。
──相当興味深い話が聞けそうですね。
伊藤 亀渕さんを担ぎ出せたのは大きいなあ。あと『箱根アフロディーテ』(※05)を仕掛けた人でもあるわけだからね。
──日本における最初期に行われた伝説の野外フェスですね。
伊藤 そうだよ、内田裕也さんの『第1回ワールドロック・フェスティバル』より先だから(※06)。アンプ等の機材をリヤカーで運んだらしいよ、丘を越えて。
──あのフェスにはいろんな伝説がありますよね。
伊藤 実はニッポン放送はピンク・フロイドのライヴを録音していたらしいんだよ。その辺の話も含めて、いろいろ探っていきたいね。
TOKYOベストヒットvsてるてるワイド
──そして28日(金)は吉田照美さんです。
伊藤 吉田さん、今bayfmで番組やっているんだよ(※07)。だからbayfmの編成部長に話を通してもらった。すぐ返事が来て、出演OKしてくれたよ。初めてのFM番組なんだってね。
──え、初めてなんですか。
伊藤 文化放送出身の人だからね。昔、『PEPSI ROCK ON CLASH』(※08)ってイベントがあった。文化放送がペプシとタイアップしたイベントでね。フィルムコンサートだね。このイベントの壮行会が文化放送で行われて、その時の司会が吉田照美さんだった。出演は僕の他に大貫憲章さん、セーラ・ローウェルさんとか、他にも大森庸雄さんとかいたな。ひとりひとり出演者を紹介していく時、「私の裏で番組をやっている伊藤政則さんです」なんて言われたのを覚えているよ。その後、ラジオでは共演することはなかったけれども、数年後に『夕やけニャンニャン』(※09)で一緒に仕事することになるんだよ。
──不思議な縁ですよねえ。
伊藤 そうなんだよね。ライバルでありながら共演者になるという。
──この日は超プロフェッショナルな喋り屋対決を期待したいですね。“関節技博覧会”と呼ばれたヴォルク・ハンVSアンドレイ・コピィロフのような名勝負、もしくは田園コロシアムのスタン・ハンセンVSアンドレ・ザ・ジャイアントのような肉弾戦を期待したいです。
伊藤 なんだよそれは(笑)。
──ま、要するに言葉の応酬というか。
伊藤 照美さん、バリバリ現役だからね。
──伊藤さんも現役ですし、お互いキレキレですから。
伊藤 まあね。それに文化放送とニッポン放送の聴取率争いというのもひとつの話題として面白いんじゃないかな。一応、この日に持っていくよ、吉田照美さんの『てるてるワイド』に勝った証拠品、ニッポン放送からもらったトロフィーを(笑)。
──面白いです。それにしても、あの頃はTBSが弱かったという、ちょっと今では信じられない時代だったんですよね。
伊藤 うん、強かったのはニッポン放送で、朝からずっと勝っていたんだけど、夜帯だけ負けてたんだよ。それは文化放送で照美さんの『てるてるワイド』があったから。で、全日勝つために、三宅裕司と僕を投入したという。ニッポン放送はやる時はやるんだよ。だけど、今ではねえ…。
あまりにも濃すぎるプリースト愛
──28日、土曜日はいのうえひでのりさん。かなりのメタル好きなんですよねえ。
伊藤 『メタルマクベス』(※10)の開場時のBGMを聴けば、いかにメタル好きかわかるよね。とくにJUDAS PRIESTが好きすぎて、とにかく濃いんだよ。
──『メタルマクベス』はオープニングが“Heavy Duty”でラストが“Defenders Of The Faith”ですからね。劇場用プログラムに伊藤さんといのうえさんの対談が載っているんですけど、それだけではちょっともったいないですよね。
伊藤 うん、あのプログラムだけではもったいないよ。あそこまでプリーストが好きだということは、もっと広く多くの人に知ってもらうべきだね。あと昔、大阪でバッタリ会って、いのうえさんと古田新太さんと一緒に飲みに行ったことがあるらしいよ。
──それはどういう流れだったんですか。
伊藤 なぜだかわからない。記憶は少しだけ。彼らは昔から大のメタルファンだった。
──え、ファンと飲みに行ったんですか。
伊藤 みたいだね(笑)。大阪で声かけられて、居酒屋にね。少しだけ覚えてるんだけど。プリーストの『TURBO』が出た辺りだから1986年だよ。いのうえさんってプリーストのTシャツ100枚くらい持っているみたいね。
──そんなに種類あるんですか!
伊藤 あるみたいだね。彼は大阪で舞台の千秋楽があるのに『DOWNLOAD JAPAN』も行ったらしいし(笑)、そんなプリーストへのこだわりを語って欲しいね。
夢劇場を語り尽くす!
──最終日は29日(日)です。
伊藤 このイベントの最後を飾るのは岸博幸さん。元経済産業省の官僚で、今や経済評論家としてテレビなどで活躍され、そして、慶應大学で教授もやっている人物。
──今朝もテレ朝の番組にコメンテーターとして出演してらっしゃいました。
伊藤 Dream Theater好きということは以前から知っていたんだけど、彼とは結構趣味が近くて、VOLBEATも好きって言ってたよ。この人凄いんだよ、『The Astonishing』ってコンセプト・アルバムの完全再現をイタリアのミラノで観たらしいよ。僕もこの時ミラノに行ってたんだけど、会場では会わなかったけど。さらにDream Theaterが中国公演をやった時に、なかなかチケットが取れなかったんだって。そもそもチケットの取り方もよくわからないので、知り合いに頼んだんだって。経済産業省時代によく中国へ行っていたから、華国鋒元首相(※11)の息子と知り合いなんだよ。それで共産党のお偉いさんの息子に連絡したんだって。
──ええっ。
伊藤 で、共産党が車を手配してくれて、会場まで送り迎えしてくれたんだって。物凄く寒かったから、開演直前まで車の中で待機させてくれて、それで中に入ったら最前列だったとか。
──なんとも凄い話ですね…。
伊藤 中国は共産党にコネがあるかどうかですべてが決まるという(笑)。驚いたよ。
──あと、メタル経済を上向きにしたいんですがなんとかなりませんかね。
伊藤 それこそ岸さんの専門だからね、その日に相談してみよう。という10人です。
──他に何かお知らせはありますか。
伊藤 VIPチケットあるんだよ。最前列から4列目までの56席限定。これを買うと、5日間通しで席が同じになるんだ。
──いいですね、学校に通うみたいな感じで。
伊藤 Part2のチケット先行発売も番組でやるからチェックだよ!
<脚注>
(※01)『高嶋ひでたけのあさラジ!』が2018年3月で終了、現在はニッポン放送で2019年4月15日から毎月1回『高嶋ひでたけのオールナイトニッポン月イチ』を担当している。
(※02)亀渕氏は1966年10月から1年間、現地のラジオや音楽を勉強するため渡米している。
(※03)1970年、ナイジェリア南東部のビアフラの難民が食糧危機により異常な飢餓状態に陥っており、亀淵氏が番組で「ビアフラに沢山の米を送れるように、外務大臣に手紙を出そう」と呼びかけたところ、約2000通もの手紙が外務省に届いた。これがきっかけとなり政府は約5000トンの米をビアフラに送ったという『オールナイトニッポン』伝説のエピソードのひとつ。
(※04)1968年6月から1982年12月までニッポン放送の夜の23時台で放送されていたラジオ番組『ザ・パンチ・パンチ・パンチ』の初代パーソナリティ。高橋基子「モコ」、川口まさみ「ビーバー」、シリア・ポール「オリーブ」の3人。このメンバーで1969年に“わすれたいのに”レコードデビュー。高橋基子は後にタレント、DJとして活躍。川口まさみはラジオパーソナリティの他、女優として映画、TVドラマ、バラエティ番組に出演した。シリア・ポールは女優として活動する他、大瀧詠一のプロデュースで1977年にソロ歌手としてアルバムとシングル“夢で逢えたら”をリリースする。
(※05)日本初の野外フェスティバル。ニッポン放送の主催で1971年8月6・7日の2日間、箱根芦ノ湖畔の成蹊学園乗風台の広大な敷地で行われた。出演はピンク・フロイドのほか、1910フルーツガム・カンパニー、バフィー・セントメリー、渡辺貞男クインテット、菊池雅章クインテット、稲垣次郎とソウル・メディア、佐藤允彦トリオ、山下洋輔トリオ、ハプニングス+クニ河内、成毛滋&つのだひろ、モップス、ダーク・ダックス、トワ・エ・モア、赤い鳥、ズーニーブー、尾崎紀世彦、長谷川きよし、本田路津子、北原早苗、南こうせつとかぐや姫、グリーメン。
(※06)1974年8月に『ワンステップフェスティバル』、1975年8月に『第1回ワールドロック・フェスティバル』が開催される。
(※07)『TERUMI de SUNDAY!』(bayfm/毎週日曜日9:30~)
(※08)当時のイベント招待状。
(※10)原作はウィリアム・シェイクスピア、宮藤官九郎の脚色、いのうえひでのり演出による劇団☆新感線の公演。
(※11)毛沢東死後、中国の最高指導者となった人物。
2019年9月25日(水)
「世界を翔けるロック」
出演:マーティ・フリードマン(ギタリスト)
18:30 open/19:30 start
2019年9月26日(木)
「伝説のオールナイトニッポン、そして、ラジオを語る」
出演:亀渕昭信(元オールナイトニッポン・パーソナリティ、元ニッポン放送社長)
18:30 open/19:30 start
2019年9月27日(金)
「Tokyoベストヒット vs 吉田照美のてるてるワイド」
出演:吉田照美(フリーアナウンサー)
18:30 open/19:30 start
2019年9月28日(土)
「PRIESTへの愛を語る」
出演:いのうえひでのり(劇団☆新感線 主宰/演出家)
17:00 open/18:00 start
2019年9月29日(日)
「夢劇場を語り尽くす」
出演:岸 博幸(慶応大学教授/経済評論家)
17:00 open/18:00 start
【インフォメーション】
■来場特典:各日来場者に日毎に絵柄が異なるキトライライヘイ氏による、伊藤政則氏をモチーフにしたデザインの缶バッヂプレゼント
■トーク・イベント会場限定グッズを販売
※グッズの事前ご予約、お取り置きは出来ません。
※お一人様の購入制限はございません。
※数量限定の為、無くなり次第終了となります。
■グッズ、ビール、もしくは書籍購入者には、毎日限定人数で、会場にて終演後、サイン会または撮影会も開催
*撮影用のカメラはご持参していただきますようお願いします。
【料金】
■VIPチケット(5日間通しチケット/伊藤氏直筆サイン入りラミネートパス付):12,500円(座席指定・税込)
*PART 1の5日間、PART 2の5日間の2種類あります
*ラミネートパス交換は、9/15から各イベント開催時の開場30分前から会場受付にて行います
■一般チケット:前売2,500円(座席指定・税込) 当日3,000円(座席指定・税込)
*未就学児童入場不可
【お問い合わせ先】
タワーレコード渋谷店
TEL:03-3496-3661
【注意事項】
※荒天や天災など主催者側の判断によりやむをえずイベントを中断・中止する場合がございます。その場合、商品の返却、代金の払い戻しはいたしかねます。
※主催者側の諸事情によりイベントの内容等の変更やイベント自体を中止させていただく場合がございます。
※小学生以上のお子様をご同伴の場合は、別途、お子様の分の「入場券」が必要になります。
※ラミネートパスをお持ちの方もご入場の際は必ずチケットをお持ち下さい。
※「入場券」をお持ちの方でも、当日係員の指示に従わない場合にはイベントへのご参加をお断りする場合がございます。
※注意事項に反する行為が見受けられた場合、及び 当日スタッフの指示に従っていただけない場合は、イベントを中止させていただく場合がございます。
※「入場券」は紛失されても再発行はいたしません。大切に保管・管理をお願いいたします。
※イベント開催時、ビデオ・ビデオカメラ・携帯電話などでの録音、録画、撮影は著作権保護の観点から、一切禁止となっております。撮影用補助機材の使用も禁止いたします。
※イベント中止・延期の場合、交通費、宿泊費などの補償はできません。
※会場内にはコインロッカー(1回300円)がございますが、数には限りがございます。
[主催]タワーレコード渋谷店[後援]bayfm[制作協力]株式会社シンコーミュージック・エンタテイメント[協力]ウドー音楽事務所
Supported by BURRN!
BURRN! PRESENTS『 THE伊藤政則』
丸ごと1冊、伊藤政則!
本誌特別編集による永久保存版!!
<巻頭特集:日英メタル・ゴッド対談>
伊藤政則×ロブ・ハルフォード
※『DOWNLOAD JAPAN 2019』での来日時に行なわれた、初対面から現在に至る思い出を語り尽くす最新インタビューをノーカットで掲載! その他、盛りだくさんの内容でお届けする一冊!
『THE伊藤政則』
2019年9月14日発売
A4判 オールカラー 124頁
1,320円(税込)
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