世界最大にして最強のメタル・クルーズ『70000TONS OF METAL』体験記 最終日

今年で9年目となる世界最大にして最強のメタル・クルーズ『70000TONS OF METAL』。2019年は1月31日から2月4日にかけて中南米のリゾート地ハイチへ向けて満員のメタルヘッズを乗せて出港した。最終回!

泣いても笑っても今日が最後!『70000TONS OF METAL』の最終日!!



さて、いきなりですが
寝坊してしまいました...。

4日目の『POOL DECK STAGE』のトップに出演のVISIONS OF ATLANTISを観ようと思っていたのですが、目が覚めて時計をみたら丁度終了の時刻。
寝たのは6時位だったけど目覚ましなくても起きられるだろうと思ってた私が甘かった...。
でも過ぎてしまった時間は仕方ない、いつかまたチャンスはやってくるさと自分で自分を慰める。

ということで今日もまずはタイムテーブルと睨めっこが始まる。
4日目のタイムテーブル

各種クリニック・イベントも取り揃えています



今日もライヴ以外のイベントがいくつか用意されている。
まず担当楽器ごとのクリニックが用意されていて、自由に参加できる。
タダだし、整理券なんてものもない。

部屋を出た頃に丁度デッキ4のラウンジでELUVEITIEのファビエンヌ・エルニとヨナス・ウルフの二人によるソングライティングについてのクリニックをやっていたのでちょっと覗いてみる。

会話は英語で行われているので英語が堪能でないと内容の把握は厳しいが、ミニ・ライヴもやっているのでファンならば楽しめるはず。

このクリニックでもヨナスが何曲がギターを弾きファビエンヌは美しい声を聴かせ、うっとりと耳を奪われた。
クリニックの様子

死臭漂うステージ CONVULSE



この日一番初めに観たのは『STUDIO B』にトップで出演のCONVULSE。
フィンランドの初期デス・メタル・シーンを語るに外せない重要バンド。
前年2018年には来日公演も行っている。

昼前のこんな時間から死臭漂う濃厚でプリミティヴなデスメタルを聴いているという状況に少し可笑しくなってしまったが、CONVULSEの重厚でオールドスクールなでサウンドは最高だった。
ステージのユハ・テレニウス<b>のシャツを観ると来日公演記念シャツを着ていてビックリ。
ライヴが終わってからシャツについて彼に訊いたら、日本のファンや出来事すべてが忘れられなくて大切に着ているのだとか。この日のステージを日本人が観る観ないといったことは関係なく、思い出と共に立っているという。
ちょっと感動した。

泣かせられたCONVULSEのステージ、もうすぐ昼になる時間の出来事だった。
CONVULSEセットリスト
CONVULSE

美女と野獣 TRISTANIA



『POOL DECK STAGE』ではTRISTANIAがスタート。
ピーカン照りの中で聴くシンフォニックなゴシック・メタルも悪くない。

男女ツイン・ヴォーカルの片割れ、ヴィベケ・ステーネが脱退してからちょっと…と言う人もいるが、現在のマリアンジェラ・デムルタスも悪くない。
陰のある荘厳な美しさは後退したが、メランコリックなキャッチーさとほんのりと漂うエスニック感は今のマリアンジェラのスタイルにハマっている。

ステージではマリアンジェラとデス・ボイスを操りスキンヘッドでいかついクジェティル・インゲブレトセンとの対比も強烈なインパクトを与えている。
見た目そのまま美女と野獣だ。
それは見た目だけでなくサウンドでも同様である。

曲も1stアルバムからやらなかったのは残念だが、ベスト的選曲に満足した。

TRISTANIAセットリスト

TRISTANIA

DIVE or DIE!盛り上がるダイビング・コンテスト!



TRISTANIAのステージ裏に人が続々と集まってくる。
このステージ終了後は、多くの人が楽しみにしているダイビング・コンテストがあるのだった。
単純にプールに飛び込み、眺めて楽しむってだけなんだけど、『70000TONS』の空気にはぴったりだ。
だって私も含めてこんなアホラシイこと好きそうだし。

司会進行は元GWARのキム・ダイラ。このためだけに乗船したのだとか。
ジャッジは『70000TONS』出演のアーティストの皆さまが務める。

豪快なダイビングにはヤンヤの大歓声と拍手の嵐がドッと会場を包む。
しょぼいダイビングには容赦ないブーイングが浴びせられる。

会場となるプールをグルっと観客が取り囲み、場所を確保するのは結構骨が折れる。
見晴らしの良い場所が丁度空いたのでちょっと覗いてみましょうか。

ダイビ~~ンな写真。

写真よりも動画の方が伝わるかなと。
ということで動画も2本。

ネタも仕込んで派手にダイブするとやっぱり盛り上がりますね。

アカペラ・メタル!? VAN CANTO



ダイビング・コンテストは大盛り上がりで笑わせてもらったけど、途中離脱して『ROYAL THEATER』へ。

かなりのファンを集めていたのはアカペラ・メタルのVAN CANTO。
6人ヴォーカルにドラマーという7人編成のバンドでメタルをアカペラで歌うというコンセプト。
やったもん勝ちというイメージはあるが狙いは斬新だなと思った。

到着した時にはラストの曲でIRON MAIDENの"Fear Of The Dark"が始まるところ。
ドラムが妙に耳についたが、いくつも声が重なり合ったりハモッたりで面白い仕上がりとなっている。知っている曲だからこそより強調されている。

曲が終わって集まったファンからは「ブラボー!」といった万雷の拍手が沸き起こった。

VAN CANTO

ステージ裏側もバッチリ!全てのチケットがVIPチケットの『70000TONS OF METAL』



RIOTを観るべく『POOL DECK STAGE』に戻ると彼らの登場にはちょっと早い時間だった。
屋外のステージは丸見えなので登場前の貴重なシーンやアーティストの様子を観ることが出来る。
ということでそんな景色もレアだろうなとパシャリ。写真を撮っていることに気が付いたRIOTの皆さま、手も振ってくれました。

また、パフォーマンス中であればステージ後ろからファンがどんな感じで盛り上がっているのかもアーティストに近い視線で体験出来る。

アーティストに会えるだけでなく、こういったステージ裏の様子も見ることができるのは『70000TONS』の魅力である。「全てのチケットがVIPチケット」とのキャッチコピーは伊達ではない。
登場前のRIOTの皆さま カメラに向かって手を振るマイク・フリンツ
こんな感じでアーティスト越しに盛り上がるファンの様子をみることも出来る
『POOL DECK STAGE』のスタッフ 暑い外のステージでも着込んだパッチGジャンに仕事と言うこと以上にヘヴィ・メタルへの愛と誇りが感じられる
 

青空の下でシャイン・オン! RIOT



この日のRIOTもサイレンからのSEでスタート。
ドン・ヴァン・スタヴァン<b>のマイクスタンドにはジョニーを思わせるアザラシのぬいぐるみが設置されている。

澄んだ空の下、ステージに駆け込んでくるメンバー。
そして“Victory”、"Flight Of The Warrior"へと流れていく。
ファンも青くて気持ちの良い空の下で声高らかに歌い、ヘッドバンギングしている。

“Black Leather and Glittering Steel”、“Angel Eyes”と疾走系の曲が晴れた空に響く。
“Bloodstreet”では女性フルート奏者が登場、長い髪をなびかせての演奏に喝采を浴びる。
前回のセットリストから外れていた、少しポップな“Take Me Back”もプレイされていた。

ラストは“Warrior”、“Thundersteel”と名曲2連発でフィニッシュ。
トッド・マイケル・ホール<vo>は上半身裸となり、アポロの様な肉体美を披露しての熱唱だった。
RIOTセットリスト
RIOT

豪華メンバーによるセッション 「ALL STAR JAM」



『ROYAL THEATER』ではこの日のウリにもなっている「ALL STAR JAM」セッションが行われている。
豪華出演メンバーでヘヴィ・メタルやハード・ロックの名曲たちをジャム・セッションするという企画。
お祭り騒ぎにはピッタリの内容である。
豪華メンバーがその時限りの編成でパフォーマンスするというのは確かに魅かれるのだけど...。

やっぱりカバーはカバーなんだなと。
豪華メンバーで素晴らしい演奏だったとしても、それ以下でもそれ以上でもないんじゃないかなと。

楽しかったけど、いくつか観て会場を後にした。
と言っても、SOULFLYのマックス・カヴァレラの歌うANVILの“Metal On Metal”は観とけばよかったかなと少し後悔したり。
「ALL STAR JAM」のセットリスト どんなメンバーでどんな曲をやるのかなと
「ALL STAR JAM」セッションの様子。DIOの"Holy Diver"をプレイ中。

巨大な「バイバイ・ケーキ」は超美味しい!



ちょっと辛口なことを書いたので「甘い」話も。

実質上の最終日ということでこの日は巨大な「バイバイ・ケーキ」が『WINDJAMMER CAFÉ』で振る舞われる。
後から聞いた話だと、「ウェルカム・ケーキ」も乗船初日にここ『WINDJAMMER CAFÉ』で振る舞われていたらしい……知らなかった、ガックリ。

「バイバイ・ケーキ」の記念写真を撮った後、舌鼓を打つ。
連日ここ色々なスイーツを食べたけど、このケーキが一番美味だった。
巨大な「バイバイ・ケーキ」 本当に美味しかった!

スウェーデンのデス・メタル界重鎮によるスーパー・バンド BLOODBATH



『POOL DECK STAGE』ではBLOODBATHがファンを集めていた。

スウェーデンのデス・メタル界の重鎮たちによるスーパー・バンドで、痛いところに手が届くオールド・スクールなデスメタルをプレイ。
何の装飾もいらない、ただただシンプルに暴虐的かつ冷酷な純度の高いデスメタルにファンは狂気の歓声を上げる。

バンド名をイメージしたかの様にメンバー全員血のりで顔は真っ赤。そういったところもデスメタル・ファン心理をくすぐるのだ。
どこまでも続く様なカラッと晴れた青い空のしたで、こんなデス・メタルを聴くのも悪くないね。
BLOODBATHセットリスト
BLOODBATH

『STAR LOUNGE』を焼き尽くす NIGHT DEMON



さて、「ALL STAR JAM」とBLOODBATHのプレイ時間が被っていてどれを観ようか頭を悩ませていたが、これにもう一つ、NIGHT DEMONも同じ時間帯という私にとってトホホな状況だった。
「ALL STAR JAM」からBLOODBATHに流れて最後にNIGHT DEMONがプレイしている『STAR LOUNGE』へ。

ショウは終盤戦。
ステージ前はぎゅう詰めで熱気でムンムンとしており、バンドに向けられてかなりの声援も飛んでいた。
会場に到着した時は例の死神風のキャラクターが登場して、ファンを煽っているところ。

続いてジャービス・レザービー<b,vo>は「裏では豪華メンバーがセッションをやっているけど、俺達のライブに来てくれてありがとう!」と感謝の言葉を述べる。

そしてここにいる人たちへ俺たちの気持ちとプレゼントだと、BLACK SABBATHの“War Pigs”とIRON MAIDENの“Wasted Years”をプレイ。
サプライズな名曲の熱演にファンは会場響き渡る大きな声で歌いまくって応える。
先程のセッションでは少し辛口なことを書いたけど、こういったカバーはあり。
本当に勝手でごめんなさい。

数曲しか観ることは出来なかったがNIGHT DEMONにはこの日もKOさせられた。
NIGHT DEMONセットリスト これも見辛くてすまんです。
NIGHT DEMON

船上の空気がヤツラを変貌させた! OBITUARY



『POOL DECK STAGE』ではOBITUARYがプレイ中。
その前がBLOODBATHだったことを考えるとデスメタル・ファンにとっては嬉しく濃い流れである。

過去に何度か出演しているOBITUARYは、今回の乗船をかなり楽しみにしていたようで、『70000TONS』出演のアニメーションなんてものを作っていた。下部に貼り付けているので興味ある方はご覧あれ。
楽しい気持ちはステージにも表れていて、ズルズルのデスメタルをプレイしながらもニコニコでステージに浮き輪を持ち込んだりで大騒ぎ状態だった
フロアのファンはヤジやら歓声やらで忙しい。
日本でのライヴは常にクールな表情でプレイしていたので、レアなシーンを観ることが出来た。
かなり笑わせてもらった。
OBITUARYセットリスト
OBITUARY

アスレチック・ロックは今も健在 RAVEN



『STUDIO B』ではRAVENが元気に演奏中!

ジョンとマークのギャラガー兄弟はステージを走り回り、表情を作りファンを煽りと大騒ぎ!
ステージを転がったり、お互いの楽器をこすり合わせたりなんてことも。

新加入のマイク・ヘラー <ds>がサウンドのカギを握っている感じで、ファストかつラウドのドラミングでジョンとマークをグイグイと引っ張っていく。
そんなマイクにしっかりついていくギャラガー兄弟も凄いなと。
もうかなりの年齢だし。

ラストの出し惜しみはしない名曲による畳みかけも見事。
彼らの生き様すら感じさせるステージだった。
RAVENセットリスト
RAVEN

眺めても良し、仮装しても良し 最終日はコスプレで楽しもう



この日は最後ということで仮装して最後のお祭り騒ぎといった人たちも多い。
今年の仮装はやや大人し目とのことだったが、それでも僕の目を楽しませてくれた。

日本のアニメ・キャラやゲーム・キャラの仮装している人もいる。
特にピカチュー軍団はKALMAHの特に大暴れしていた。

これも何枚か写真を撮ったのでどうぞ!
仮装しているファンの皆さまの写真

パッチGジャンはもう古い? 最新メタル・ファッション!



王道からマニアックまで様々なメタルTシャツに身を包み、自分の好きなバンドのパッチを縫い付けたGジャンを誇らしげに着ているファンも多い。
そんな彼らを見ているだけでも楽しい『70000TONS』。

そして、そいつはいきなり私の前に現れた!

私の乗っていたエレベーターに乗り込んでいたその男。
下半身を見れば黒いフンドシにビッチリのメタル・パッチ!
呆気に取られてフリーズした私の前で彼は漢らしく手にした飲み物をグイっと飲み干したのだった。
時代はここまで来たのかと…。

ヴァイキングの衣装なのだと思うが、日本人にはフンドシにしか見えないこの姿、かなりのヴィジュアル・ショック。

これからだ日本メタル男子のトレンドは「赤フンにパッチ」だと断言しよう!
時代もここまで来たのかと。日本男子なら赤フンにパッチ貼り付けて『70000TONS」に乗り込め!

様々なモッシュ軍団とピカチュー軍団が大暴れ KALMAH



かなりのファンを集め終始盛り上がっていたのは『POOL DECK STAGE』に出演のKALMAH。

ブルータルさを内包しスラッシュ・メタルばりの疾走感で芳醇なメロディと共に疾走していくサウンドで、メロディのサジ加減も絶妙でアグレッションとの対比も見事だ。

終始ファンの盛り上がりもかなりのもので、“Moon of My Nights”ではフロアを一周する勢いの通常モッシュ、ジェンカの様に肩を組んでかなり大きな輪を作ってのモッシュ、横一列に肩を組んでの花いちもんめモッシュと、様々なモッシュが展開されていった。

フロアではピカチュー軍団が彼らの音楽に合わせ、体をぶつけ合って大騒ぎ。そこにニンジャ・タートルズのようなコスプレ軍団も乱入し、狂騒にガソリンを注いでいく。

激しいライヴとファン達、本当に楽しかった。
KALMAHセットリスト
KALMAH

豪華客船を海賊船に一変させた ENSIFERUM



KALMAHのファンがそのまま残って登場を待っていたのはENSIFERUM。

フォーク・トラッドと言った要素を勇壮なメロディと共にギュッと凝縮してアグレッションをもって叩きつけてくる。
先のKALMAHがスピード感としたらENSIFERUMは男臭いキャッチーさといった感じになる。
オープニングを飾るのはメタル賛歌“For Those About to Fight for Metal”。ファン達は拳を強く握りしめ、力強く、雄々しく歌い上げる。

クルーズ船ではなく、嵐の中を突き進む海賊船にでも乗った気分とは言い過ぎだろうか。
会場一体となった盛り上がりは気分を高揚させた。
ENSIFERUM

UKスラッシュ・メタルの誇り ONSLAUGHT



ENSIFERUMで盛り上がる会場を後にONSLAUGHTを観るべく移動した。
到着すると1曲目の“Born For War”の途中だった。

この日のセットは「1曲を除いて」全てが再結成後の曲である。
その1曲は“In Serch Of Sanity”。
現ヴォーカリストのサイ・キーラーが一時脱退した後、スティーヴ・グリメットが歌っていた曲である。
そして今、この船にはGRIM REAPERのメンバーとしてスティーブが乗船している。
「もしかしたら...」とも思ったが、残念ながらそれはなかった。

しかし、サイの歌うダーティなこの曲も悪くない。

彼らのライヴはガッツに溢れ、スラッシャー達が血をたぎらせる素晴らしいステージだ。
まもなくリリースされる作品も楽しみである。
ONSLAUGHTセットリスト
ONSLAUGHT

豪華なコース・ディナーも無料! 『MAIN DINING CAFE』



『70000TONS』最後のディナー。
いつもお世話になっていた『WINDJAMMER CAFÉ』ではなくコース料理を提供してくれる『MAIN DINING CAFE』へ行った。
コース料理であろうがチケット代に含まれているので無料だ。
アルコール類や一部の飲料は有料となるが、その場合はちゃんと伝えてくれる。

スタッフに案内される際、「混んでいたら相席でお願いします」とのことだったが、相席となりメタル交流することに。
見た目は医者か弁護士といったナイス・ミドルな夫婦の好きなバンドがGOREFESTに驚いた。

残念ながら日本語メニューはないので英語のメニューを見てなんとなく注文。
ここでの食事は流石の味で舌を唸らせたが、コース料理なので食事が終わるまで少々時間がかかってしまう。
1時間近くかかると思うので、タイムテーブルと睨めっこが必要だね。

豪華クルーズ船に乗った紳士淑女が優雅に食事を楽しむ場所に、メタルヘッズがひしめき合い盛り上がる様子は、下の動画を御覧ください。
『MAIN DINING CAFE』のある場所
『MAIN DINING CAFE』の内部。この内装にのまれビビる私。(笑)
メニュー 頑張って英語を読むしかない
ちょっと贅沢な気分になるコース料理 これもチケット代含まれているとは...

カヴァレラ兄弟がステージに立つ RETURN TO ROOTS



『MAIN DINING CAFE』のコース料理のよって予定が少し狂う。
PESTILENCEのライヴを観ることが出来なかった。
マックスとイゴールのカヴァレラ兄弟によるプロジェクトのステージもギリギリ間に合うかどうかで、ちょっと焦ってしまった。

このプロジェクトのレポは『BURRN!』本誌で書いているので、ここでは少しだけ。

RETURN TO ROOTS、このプロジェクト名でお分かりだと思うが、SOULFLYのメンバーをバックにカヴァレラ兄弟がSEPULTURAの「ROOTS」時代の曲をプレイするというもの。
このコンセプトで2016年から2017年にかけてツアーしており、2018年からは『BENEATH THE REMAINS』と『ARISE』からの楽曲もセレクトしている。

SOULFLYとSEPULTURA似ている様でやっぱり違うバンドなんだなと、両者のステージを観て感じた。
SEPULTURAはやっぱりスラッシュ・メタル。
バックメンバーはSOULFLYでもスラッシュ・メタル色が曲からジワジワとにじみ出ている。

超満員のフロア、蜂の巣をつついたような状態の中で、カヴァレラ兄弟がSEPULTURA時代の曲をプレイするのはスペシャルなことなのだと感じた。
RETURN TO ROOTSセットリスト
RETURN TO ROOTS

デス・メタル・マニアックス VOMITORY



コアでマニアックなファンが小さな会場に集結している。
『STAR LOUNGE』では今年最後の出演となった再結成VOMITORYが登場した。


そのサウンドは押しの強いオールドスクールなブルータル・デス・メタル。
こってりとした味付けながらも、すっと耳に入ってくるギターで上手くバランスとコントロールがされている。
キレッキレの演奏とスピード感で、デスラッシュ的展開を見せる曲もあり、アグレッションを生み出す要素が凝縮されている。
フロアの観客を跡形もなく粉砕するかのようなサウンドに大満足。
VOMITORYセットリスト

イントロダクション  出港の地フォートローダーディール



本誌のレポートからも流れてここを読んでくれている方もいらっしゃるかと思うが、まずは『70000TONS OF METAL』(以下:『70000TONS』)とは何かをざっくりと説明すると「大型クルーズ船を借り切って、そこでメタル・フェスが開催される」ということ。

恐らく多くの方がこのイメージで、実際に体験した人以外はそれ以上でもそれ以下でもないのではないかと思う。

私も実際体験するまではその一人、むしろ大型クルーズでやることに何の意味があるのだろうという思いが強かったので、マイナスのイメージが強かった。
しかも今回は取材がメイン、楽しめることはないなと…。

そんな私だったが実際体験したら、「『70000TONS』ってこんなにも楽しいものだったのか!」と180度その思いを覆させられた。
「リピート率が70%を軽く超えチケットが毎回即完売」というもの至極当然と思う。

前書きが長いとイライラしている人もいらっしゃると思いますので、この『70000TONS』で何があったのか初日から書いていきます。
VOMITORY

圧巻のパフォーマンスが再び ELUVEITIE

ELUVEITIEセットリスト
ELUVEITIE
『POOL DECK STAGE』は、最後の夜ということで盛り上がり続けていた。
少々お腹が空いたと思っていると、会場内ではピザやポテトなど軽食が配布されていた。
至れり尽くせりである。

『70000TONS』が最高の場所になっているのは、多くのスタッフが至る所で働き、活躍しているからであろう。
酔った少し面倒な客でも誠実丁寧に対応している。

最終日、そんなスタッフと客が一緒になって楽むシーンを見た。
「仕事をしろ!」なんて野暮なことは誰も言っておらず、肩を組み、共に笑顔でステージを観ているシーンもあった。
小腹を満たしてくれた給仕係 仕事しながらちょとだけ楽しんでたりも。

王者の魂 ACCEPT



今年の『70000TONS』、大トリを務めたのはACCEPT。

この模様については『BURRN!』本誌で書いたが、会場いっぱいのファンだけでなく、カメラマンや取材陣、スタッフ関係者、そしてセキュリティまでもが大きく口を開き、共に歌っていた。
深夜のステージであったが、場内が一体化し、響く歌声は感動的であった。

ステージを観ていても楽しいし、一緒に歌えば胸をアツくさせてくれるACCEPTのパフォーマンスは、大トリに相応しい。
何度も鳥肌が立った。

そんなフロアを眺め、嬉しそうな笑顔でプレイしているメンバー達にある種の凄みのようなものを感じた。

長く続ける、ピーター・バルテス<b>が脱退をも乗り越えていこうとするバンドの原動力は、愛するファンと一緒にこんな光景をもっと作り上げていきたいからからなのではないか。

そんなことを思いながら私も会場と一体となるべく、名曲の数々を合唱していた。
ACCEPT

まだまだ夜をぶっ飛ばそうぜ!



ACCEPTのステージが終わると主催者がまだ熱気の冷めぬステージに登場。
ファンに感謝の言葉を述べ、10周年となる来年はメキシコが寄港地となることが発表された。
場内には大きな拍手と歓声、ステージ前に集まった笑顔のファン達にめがけ、主催者がダイブしてこのクルーズは終了となった。
観客達が“もっと高く!”と、体を支える姿が印象的であった。
〆の挨拶も終わり、あとは部屋に戻って寝るだけ……なんてことはない。

まだまだ夜は始まったばかりだぜとカラオケに最後の夜のパーティと楽しんでいる人も多い。
しかし、もうついていく体力はなかった。
まだまだ盛り上がる人々。今気が付いたけど左の帽子被ってる男、初日の盛り上がってたファンの人じゃない?

メタル天国、夢の様な『70000TONS OF METAL』を体験して



最後に。

翌朝、下船前に『WINDJAMMER CAFÉ』にて軽く朝食。
昨日まではワイワイと楽しそうに騒いでいたみんなの声も今日はどこか寂しい感じだった。
別れの挨拶をしている者、来年の再会を約束している者も多い。

昨日まで入り口で歌っていた「手洗いおじさん」も今日はビシっと制服を着用し、無言で静かに掃除している。
スタッフにとっても『70000TONS』は特別なイベントだったのだろう。
その姿に夢の日々の終わりを感じ、現実に戻る寂しさを感じた。

帰国後、『70000TONS』の楽しさを思い出す。

出演アーティスト、ホスピタリティ、充実した食事、ビーチでのバカンス……。

理由は様々あるが、一番は「愛」だったのではないか。
クルーズ期間中、喧嘩はおろか小競り合いも言い争いもなかった。
皆、いつでもどこでもニコニコ楽しそうに笑ってきたし、誰もがフレンドリーに接してくれる。
そんな場所を作り上げたのは『70000TONS』スタッフのビジネスを超えた「愛」だったのではないか。

メロイック・サインが空に向かって無数に突き上げられた、あの光景。

そこに何があったのか?

実際に体験してみれば、「あなた」もその答えを発見できるかもしれない。
VOMITORY
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