【BURRN! 6月号ちょい読み】
陰陽座──久々のライヴ・アルバムで魅せるバンドの本質
BY KYOSUKE TSUCHIYA
アルバム「吟澪御前」を引っ提げて、昨年秋に行なわれた国内ツアー『吟澪』の千秋楽となった札幌公演の模様を収めた「吟澪灑舞」が、去る3月18日にリリースされた。映像作品はそのつどリリースされてきたものの、ライヴ・アルバムとしては20年ぶり。その時間経過に驚かされるが、こういった実況盤でこそ、陰陽座のパフォーマンスの本質的な魅力が見出せる面もある。実際に各地でそのステージを観た人は、改めて楽しかった空間を思い起こすに違いないが、逆に初めて彼らの音楽に触れるアイテムとして、このアイテムを選んでみるのも適当だろう。制作過程を始めとして、本作にまつわる様々なエピソードをリーダーの瞬火〈b, vo〉に語ってもらった。
──映像作品はコンスタントに発表されてきましたが、ライヴ・アルバムとしては20年ぶりになることにまず驚きました。ここ何年もの間、音楽業界的には、ライヴ音源よりもライヴ映像のほうが商品としてセールスが期待できるということで、レコード会社もDVD/Blu-rayを優先する意向があったと思いますが、解釈としてはその流れの中にあったと捉えていいのでしょうね。
瞬火(以下M):僕の見解としても「そうだったんでしょう」という言い方になるんですけど、僕は元々、ライヴ・アルバム・マニアで、ちょっとでも好きになったバンドにライヴ盤があるんだったら絶対に聴きたいと思うタチなんですよ。だから、自分たちのライヴ・アルバムが出せるんだったら、いくらでも出したいと思うんですが、おっしゃるとおり、やっぱり時代の変化ですよね。ライヴ作品にしても映像ありきで、メーカー的にも音だけではあまりアピールしないのではないかと。それにファンの方にも、できれば画を観たいというニーズがあって。だから、陰陽座としても、お陰様でライヴ映像はたくさん出させてもらいましたけど、その一方で音だけのライヴ作品は出さなくなっていって、気がついたら20年と。本当に自分でもびっくりしましたね。
──最近では、ライヴ映像作品を出すことが、むしろトレンドではないという考え方になってきていますよね。音源と同様にこちらも配信という形態での視聴が浸透しつつあって。
M:パッケージの時代ではないということですよね。世代的には、好きなバンドのライヴ映像なんてものが観られること自体、ものすごく特別なことでしたし、それがないからライヴ・アルバムで想像を膨らませていた面もあったと思うんですよ。ただ、今はちょっとしたライヴも配信されて、会場に行かずとも画で観られてしまうし、なんだったら、手持ちのスマホで撮ったものがSNSを駆け巡って、それを目にしてライヴを観たような気になっちゃうところもありますよね。当たり前に観られるのは幸せかもしれませんが、特別感はない気はしますよね。そこに来て、じゃあ音だけってのはどうなんだと。久しぶりにライヴ・アルバムというものを作らせてもらってやっぱり思うのは、基本的にバンドのスタジオ・アルバムには画はないですし、楽曲としての作品という意味では、音だけで聴くのが普通なわけですよね。その意味では、ライヴ・アルバムというのは、ライヴを疑似体験するというよりは、ライヴというトラックに没入する、つまり、スタジオ盤を聴く行為にどっちかというと近いような気がしてて。だから、今回の「吟澪灑舞」で映像がないのを嘆くファンの方の気持もよくわかるんですけど、一度、ライヴ音源作品というものの没入感を味わって欲しいなとは強く思いますね。
──陰陽座のファンに限らずですが、時代を考えれば、今やライヴ・アルバム自体に触れたことがない人がいてもおかしくないわけですからね。
M:そうですね。ハード・ロック/ヘヴィ・メタルは、まだ根強くライヴ・アルバムが発表されているジャンルではあると思うんですが、「吟澪灑舞」で初めてライヴ・アルバムを体験してもらえたとしたらとても嬉しいですし、歴史的なライヴの名盤も山ほどありますから、そういうものに触れるきっかけにもなったら本当に嬉しいですね。
──瞬火の思うライヴの名盤を挙げるとしたら、どんなものがあるのでしょう?
M:それはかなり贔屓目も入ってますけど、まずわかりやすくJUDAS PRIESTで言うと「IN THE EAST」と「PRIEST...LIVE!」。70年代の「IN THE EAST」はドライでちょっと生々しい音で、80年代の「PRIEST...LIVE!」は派手でスタジアム感がある、アンビエントが効いた音像で、音の方向が違うんですけど、どちらもすごく象徴的な名盤ですよね。でも、本当に枚挙に暇がないですよ。IRON MAIDENで言えば「死霊復活(LIVE AFTER DEATH)」とか、あとは……これですよ。(と言いながらCDを掲げる) Y&Tの「YESTERDAY & TODAY LIVE」。めちゃくちゃいいんですよ。(笑)
続きはBURRN! 2026年6月号で!
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「吟澪灑舞」
キングレコード
2026年3月18日発売
1. 澪
2 . 吟澪に死す
3. 深紅の天穹
4. 鬼神に横道なきものを
5. 毛倡妓
6. 誰がために釡は鳴る
7. 大いなる闊歩
8. 星熊童子
9. 紫苑忍法帖
10. 故に其の疾きこと風の如く
11. 地獄
12. 鈴鹿御前 - 鬼式
13. 大嶽丸
14. 鈴鹿御前 - 神式
15. 組曲「義経」~悪忌判官
16. 邪魅の抱擁
17. 三千世界の鴉を殺し
18. 焔之鳥
19. 鳳翼天翔
20. 火車の轍
21. 舞頚
22. 羅刹
23. 無礼講
24. 悪路王
【DISC 2】
1 組曲「義経」~悪忌判官
2 邪魅の抱擁
3 三千世界の鴉を殺し
4 焔之鳥
5 鳳翼天翔
6 火車の轍
7 舞頚
8 羅刹
9 無礼講
10 悪路王
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THE WORLD'S HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINE
BURRN! 2026年6月号
<EXCLUSIVE COVER STORY:巻頭特集>
◆ERIC MARTIN
MR.BIGの「HEY MAN」を完全再現する30周年記念ライヴで間もなく来日!
エリック・マーティンが“あの時代”への想いを語り尽くす超ロング・インタビュー!!
<EXCLUSIVE INTERVIEW:インタビュー記事>
◆AT THE GATES
アンダース&ヨナス・ビョーラー兄弟がトーマス・リンドバーグ最期の日々を語る!
◆DIMMU BORGIR
ノルウェーのエクストリーム/ブラック・メタルの伝説、8年ぶりの新作が完成!
◆陰陽座
『吟澪』ツアー・ファイナルを収録したライヴ・アルバム「吟澪灑舞」リリース!
◆PaleNeØ
多様で多彩なモダン・メタル・バンド、“新たな旅立ち”となるマキシ・シングル発表!
◆CONFESS
CRASHDIETに新加入したVoが率いるスリーズ・メタル・バンド、新作4th発表!
◆JAY BUCHANAN
RIVAL SONSのフロントマン、ジェイ・ブキャナンが初のソロ作をリリース!
◆FROM ASHES TO NEW
今日的ニュー・メタルの担い手が3年ぶりの第5作で示した進化の背景とは…!?
◆FOR MY PAIN...
フィンランドのゴシック・メタル・バンドが復活、23年ぶりの2ndリリース!
◆CONCERTO MOON
BETWEEN LIFE AND DEATH」10周年の完全再現ライヴを作品化!
<SPECIAL EDITION:特別企画>
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MANOWARに創設から関わったギタリスト、ロス・ザ・ボスに捧げる追悼特集
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英国人記者ハワード・ジョンソンの回顧録:WHITE ZOMBIE
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スウェーデン産メロディック・メタル・バンド“最後の来日公演”をリポート!
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BURRN! 2026年6月号
A4判/144頁/定価1,200円(税込)/2026年5月2日発売
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