LOUD PARKリポート/PARKWAY DRIVE──炎渦巻くヘッドライン・ショウ


午後7時20分、アルティメット・ステージはついにクライマックスを迎えた。そして、この祭典を締め括るべく登場したPARKWAY DRIVEの約80分間にわたる熱演を通じて感じさせられたのは、このバンドがここ数年で急速にヘッドライナー級のバンドに成長を遂げたわけではなく、ようやくこのバンドのすごさをここ日本で実感できる機会が巡ってきたのだ、ということだった。
ぎょっとさせられるほどの爆裂音を伴いながら “Glitch” でスタートを切ったショウは、彼らがこれまで発表してきた全7枚のオリジナル・アルバムのうちデビュー作の「KILLING WITH A SMILE」(2005年)と第3作の「DEEP BLUE」(2010年)を除く各作品からバランス良く選曲しつつ、去る5月に配信リリースされた最新曲 “Sacred” も盛り込んだ形で構成されていた。昨年は母国オーストラリアにて結成20周年のアリーナ・ツアーを実施し、日本上陸の前週まで続いていた欧州ツアーでもアニヴァーサリー色の濃いショウを重ねてきた彼らだが(デビュー作収録曲のメドレーなども盛り込まれていた)、この『LOUD PARK 25』に向けては、特別な演奏プログラムを用意してきたようだ。実際、フルサイズのものを単純にコンパクトに纏めるのではなく、初めて彼らのライヴの目撃者となる観客の割合が高いことも意識しながら、このバンドの特性が伝わりやすい内容になっていたように思う。
それは演出面についても同じことで、さすがにフルサイズのステージ・セットが持ち込まれたわけではなかったが、それでもステージ上に噴出する炎の量や頻度には凄まじいものがあった。普通ならば「この曲のイントロで炎が」といった記述をすべきところだろうだが、それができないのは、むしろ火気とまったく無縁のまま終わった曲のほうが少ないほどだったからだ。しかも、炎が噴き出すたびに思わず「おお!」と声が漏れ、のけぞりそうになる。なにしろスタンド席から観ていてもその熱さがリアルに伝わってくるからだ。
彼らのライヴ・バンドとしての屈強さについては2023年4月の『KNOT FEST JAPAN 2023』出演時にも充分に証明されていたし、客観的にも主観的にも彼らこそが2日間にわたり開催された同フェスでのベスト・アクトだったように思う。ただ、今、目の前で繰り広げられている光景を見てしまうと、あの時のライヴでさえダイジェスト版に過ぎなかったのだと感じさせられる。今回もヘッドライナーであるとはいえ、フェスにおいては当然ながらさまざまな制限が伴っているわけで、これでもまだフル・スケールの状態ではないのだ。そう考えるとなんだか恐ろしくなってくる。
そうした凝縮感のあるライヴだけに、どの楽曲も各々の役割を完全に果たしながら場面を次へと繋いでいく。そして彼らのライヴには、キラー・チューンの連発で火に油を注ぎ続けていくような突進力もあるが、ストーリー性とまでは言わずとも、しっかりとした脈絡がある。それが彼らを一介のメタルコア・バンドではなく、アリーナ・ロック・バンドとして成立させているように思う。
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