AMORPHIS:首魁エサ・ホロパイネンと新作「BORDERLINE」


フィンランドのメランコリック・メタルの最高峰AMORPHISの約3年半ぶり、通算15作目となるニュー・アルバム「BORDERLINE」が9月24日にリリースされる。デス・メタルからスタートし、プログレやフォークの要素も取り入れつつ、アルバム毎にスケール・アップしてきたが、ニュー・アルバムではこのバンドの曲そのもの、そしてメロディの美しさが強調されているように思う。いつも言っているようにトミ・ヨーツセン<vo>が加入した2004年以降は名作ばかりリリースしてきたバンドだが、「BORDERLINE」もいずれ名作と呼ばれるようになるだろう。今回2人のメンバーにインタビューを行ない、今月はまずエサ・ホロパイネン<g>が登場する。来月号にはサンテリ・カリオ<key>が登場する。
——「BORDERLINE」は、AMORPHISの曲そのもの、そしてメロディの美しさを強調したアルバムに仕上がっているように思いました。あなた方は、どのようなアルバムを目指したのでしょうか?
エサ・ホロパイネン(以下E):これまでと似たようなアプローチだったよ。ただ、「HALO」はどちらかと言えば少しプログレッシヴな作風だったと思うけど、「BORDERLAND」はもっとメロディアスで、曲によってはよりストレートな感触になったと思う。今回プロデューサーをイェンス・ボグレンからヤコブ・ハンセンに替えたんだけど、ヤコブと仕事をするのは初めてだったから、どんな風になるのか正直言って最初は判らなかった。でも、ヤコブにもイェンスと同じように、“master of puppets(人形遣いの名人)” みたいなところがあって、アルバムで使う曲も全部選んでくれたし、曲順まで決めてくれたんだ。
全体的には、AMORPHISとしては新鮮なサウンドになったと思う。そう、それこそが曲作りを始めた際に目指していたことだったんじゃないかと思う。
——ボーナス・トラックを除く10曲中7曲をサンテリ(カリオ/key)が書いていますが、結果的にこうなったのですか? それとも予め「今回はサンテリの曲メインでいこう」と決めていたのですか?
E:特にそう決めてたわけじゃないんだ。スタジオに入る前の段階で、デモが24曲くらいあった。かなりの数の曲があったんだよ。いつもみたいにみんなが何かしら曲を書いてて、サンテリも一杯送ってきたし、俺も山ほど送った。ベースのオーリ-ペッカ(ライネ)も、ギターのトミ(コイヴサーリ)も曲を送ってきたから、殆ど全員が何かしら曲を書いてたと思う。
で、今回はどうしたかというと、全部の曲をGoogleドライブにアップして、どの曲をアルバムに使うかヤコブに決めてもらったんだ。「誰の曲を多く入れよう」というような意図的なものがあったわけじゃない。バンド内でそういう話を始めるとキリがなくて、なかなか決まらないからね。(笑) だからこそ、今回はヤコブに委ねたんだ。結果的に凄くいいアルバムになったと思ってるよ。サンテリの曲には素晴らしいメロディが沢山入ってて、いいコントラストになってると思う。個人的にはトミ・コイヴサーリの曲やオーリ-ペッカの曲も何かしら入っていたらよかったとは思うけど、仕上がりには凄く満足してるよ。これがこのバンド流の“民主主義”ってヤツさ。(笑)
——今回あなたが書いたのは “Dancing Shadow” “The Latin”“Despair” の3曲です。ヤコブが選んだんですね。
E:ああ、完全にヤコブの決定だったよ。3曲とも気に入ってるよ。まあ正直言って、もう何曲か自分の曲が採用されたらいいなとは思ってたけど、今回はそうならなかった。でも、それはそれで全く構わない。今こうして最終的な仕上がりを聴いてみると、俺達が自信を持って送り出せるような、本当にいいアルバムになったと言える。
——“Dancing Shadow”はアップテンポでギターとベースが割と前面に出ているので、アグレッシヴな感じがします。この曲はどんな想いで書いたのですか?
E: “Dancing Shadow” は、「ECLIPSE」に収録されてた “The Smoke” をちょっと彷彿とさせると思う。“Dancing Shadow”の方が少しアップテンポだけど、“The Smoke”に通じるような構造やアイディアがあると思うね。ギターの面でもE弦を共鳴させてメインのリフの下で響かせるようにするっていう同じアプローチを採ってるんで、この曲を書き始めた時に自然と“The Smoke”が頭に浮かんできたんだよ。あの曲は、かなり参考になったと思う。あとは、キーボード・プレイヤーではない俺が言うのも変なんだけど、もっと80年代風のキーボード・サウンドを取り入れたいと思ったんだ。曲を書く時には、家でキーボード・パートも作って、サンテリにどんなサウンドをイメージしてるかを伝えるようにした。そんなわけで、この曲でも “The Lantern” でも80年代っぽいアナログ・シンセのサウンドを意識した。そういう音の質感を盛り込みたかったんだ。
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