HELLOWEEN:アンディ・デリスが語る最新作「GIANTS & MONSTERS」

2021年に7人編成初のアルバム「HELLO­WEEN」をリリースしてから早くも4年が経った。このアルバムに伴うワールド・ツアーで彼らは2023年に日本武道館公演を行ない、その模様が映像作品として昨年末にリリースされた。そして今秋、彼らは新たなアルバム「GIANTS & MON­­S­TERS」を引っ提げて再び動き出す。 HELLOWEENが結成されたのは1984年。ハンブルクで台頭したパワー・メタルの台風の目が彼らだった。後に彼らはレコード会社やマネージメントとの契約上の問題、メンバーの脱退、訃報など、紆余曲折を経て、今なお世界から強く支持されているという事実に胸が熱くなる。80年代後半の “KEEPERS” の勢いのまま突っ走っていけたら、HELLOWEENは90年代に大成功を収めていたかもしれない。

だが、そうしたら今のバンドはどんな状況だっただろうか? そのまま第一線で走り続けることが出来ただろうか? 今回のインタビューでメンバーそれぞれが語った言葉からは、信頼、安らぎ、喜び、希望といったものが感じられる。HELLOWEENは、今が一番いい状況なのかもしれない。そう感じさせる、実に穏やかで澄んだ空気が流れていた。そして今回リリースされた「GIANTS & MONSTERS」という作品は、あらゆる意味で素晴らしい。まるで、あの“Skyfall”の宇宙船で80年代にタイムスリップした夢を見るように懐かしく、心地好くて、しかも近未来を感じさせる新鮮なアルバムなのだ。

2023年の武道館公演直後、そしてその時の模様を収めたライヴDVDが2024年にリリースされる際に、本誌はアンディ・デリス<vo>に話を聞いていた。彼は武道館に対するリスペクト、日本と日本のファンへの愛を丁寧に語ってくれた。そうした想いが今回のアルバムで “This Is Tokyo” という曲になって私達の許に届けられたのである。なんと素晴らしいことだろう! アルバムを聴いて気づいたのが、アンディのヴォーカルにおける力の抜き方の絶妙さだ。これは彼の言動にも言えることで、自分を前に押すばかりでなく、必要なところで引くことも心得ているアンディの賢さが、歌唱スタイルにも表われているようだ。


──アルバム制作が終わっていかがですか?

アンディ・デリス(以下A):
ホッとしているところだよ。最終的にいい曲が出来て、プロダクションも何もかも、総てがとてもスムーズだった。みんながいいムードで、今回がこれまでのレコーディングの中で一番リラックス出来たね。必要なもの総てが揃っていたんだ。新しいアルバムを作ることになると、いつも「いい曲を作らないと!」って思うんだけど、今回はレコーディングを始める段階で23曲が用意出来ていて、その総てが素晴らしい曲だった。でも、その中からアルバムに選べる曲数は限られている。選曲は、アルバムを聴いて流れが自然になる曲を選んだ。ありがたいことに、HELLOWEENのファンはアルバム全体を聴いてくれる。だから、アルバムの収録曲については、ヴァラエティがあって、全体を通して自然な流れがあることが必要だった。それで、何曲かは自動的に選択から外された。アルバムの流れにそぐわなかったからだ。いい曲がたくさんあるっていうことは、そういう選択が許されるっていうことなんだよ。プロデューサーとマネージメントにも伝えて、バンドも含めた全員が選曲のリストを作って、いい感じで多様性があるアルバムになるように努めた。アルバム全体を通して強烈に押し通すだけではなく、例えばスピード・メタル曲の後には聴きやすい曲を配置して、次の激しい曲までエネルギーを温存するような、そんな流れが今回のアルバムでは実現出来たと思う。

──アルバム・タイトルは収録曲が決定してから決めたのですか?

A:
いや、アルバムのタイトルに関してはプロダクションについて話し合っている時、すでに議題に上がっていた。アルバムの1曲目に “Giants On The Run” という曲があり、また一方で、今回は収録されなかったけどおそらく次のアルバムに入ることになる“Monsters”という凄い曲がある。それで “Giants” と “Monsters” という言葉が浮かび上がってきた。しかも “We Can Be Gods” という曲は俺達のことを歌っている。そこからあるストーリーが導かれた。人間はみんなジャイアント(巨人)になり得る。みんなの中にジャイアントはいて、現代の人間は抑圧されているけれど、自由を忘れなければ、それぞれの人生で予期しないほど大きくなることが可能なんだ。大昔、ジャイアントが地球の周りを闊歩していると言われていた。恐竜のようにジャイアントは地球に存在していたけれど、何かが起きてジャイアントはいなくなった。俺は、それが今も人間の内側にあって、外側の波動の大波で大きな姿になって現われると思っている。精神論的な話だよ。俺達はずっと走り続けている。そして毎日やってくるモンスター(辛いこと)と戦わなければいけない。それは俺達の中にいるモンスターだったり、外からやって来る攻撃的なモンスターだったりする。自分の持っている巨人でそうしたモンスターと戦う、それがこのアルバムのストーリーだ。

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