IRON MAIDEN:黄金期を祝う『RUN FOR YOUR LIVES』ツアーのフィンランド公演をレポート!

 「ほら、あそこだ、飛んでる……アルバトロスほど大きくはないけど、それに近いな……あ、また出てきた! まだフンは落としてないけど、もし落としたら、“鳥にフンをかけられた時にやっちゃいけないこと”ってのを教えるぜ……」

こんな風に話しながら、IRON MAIDENのフロントマン、ブルース・ディッキンソンは、ヘルシンキの『Olympic Stadium』を埋め尽くした約4万5,000人の観客を大爆笑させていた。実際、何羽かのカモメが野外スタジアムの上空をのんびりと旋回しており、ブルースにとっては次の曲紹介をちょっとした“天然の小道具”で盛り上げる絶好のチャンスとなった。

そしてそのトークを締めくくるや否や、名盤「POWERSLAVE」からの大作“Rime Of The Ancient Mariner”がフィンランドの夏の空に轟き渡る。ステージ上も客席も、まさに“神がかっている”ような熱気に包まれた。しかし、話をそこまで飛ばしてしまう前に、“Rime Of The An­ci­ent Mariner”の前には既に様々な出来事がこの特別な夜の中で繰り広げられていたのだ。

ご存じのとおり、1975年にロンドン東部で結成されたこの伝説的なブリティッシュ・ヘヴィ・メタル・バンドは、現在『RUN FOR YOUR LIVES』というワールド・ツアーの真っ最中だ。このツアーは、バンドの“黄金期中の黄金期”──1980年代──を祝うことを目的としている。ツアー前には、1980年のデビュー・アルバム「IRON MAIDEN」から1992年の「FEAR OF THE DARK」までの楽曲をセットリストに組み込むと発表されていたが、90年代の曲は1曲のみで、実質的には完全に80年代を祝う内容となっている。しかし、それが悪いわけでは全くない!

ここでまず言っておきたいことがある。他の多くのヘヴィ・メタル界の同世代のレジェンド達と比べても、この結成50年を迎えるイギリスの巨人は、信じられないほど高いクオリティを今なお維持しているのだ。(90年代のブレイズ・ベイリー時代については議論の余地があるとしても、だ)  MAI­DENのライヴに行けば、徹底的に準備されたショウと、今も最高のコンディションを保ち続けるバンドの姿を目にすることができる。それは他の“結成50年クラス”のバンド総てに当てはまるわけではない。

比較として挙げておきたいのが、同じくイギリスの伝説、BLACK SAB­B­ATHだ。彼らはこの夏の初めに大々的な注目を浴びながら正式に活動を終えた。もちろんSABBATHはMAIDENよりもずっと早く──60年代後半に──結成されているが、MAIDENが今も世界中のスタジアムを熱狂させている一方で、SABBATHはずっと前からほぼ活動休止状態だった。(これは勿論健康上の理由が大きく影響しており、そればかりはどうにもならない) しかし MAIDENは──もしかしたら“運”のおかげもあって──今なお最強のライヴ・バンドの1つであり続けている。そしてその勢いは、まだまだ止まりそうにない。 話をヘルシンキの夜に戻そう。 UFOの伝説的ナンバー“Doctor Doctor”がPAから流れ始めると(これは長年MAIDENの登場テーマとして使われてきた)、ステージ・セットの保護カバーが外され、満員の観客からは歓声が爆発する。この瞬間に改めて痛感するのだ──MAIDENのファンは、間違いなく世界でも最も熱狂的なファンの部類に入ると。世界中の国旗を振りかざし、何時間も前から最前列で待ち続けた猛者達は、ショウが始まったその瞬間に、まるで別の次元へと突入したかのような表情になる。その幸せそうな顔を見れば、「これからとんでもないことが起きるんだ。そう、信じられないほど凄いことが!」と判るのだ。

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1996年にMETALLICAが発表した問題作「LOAD」をジェイムズ・ヘットフィールド、ラーズ・ウルリッヒ、カーク・ハメットがそれぞれ現在の視点で振り返る貴重なインタビュー

【IRON MAIDEN】
1980年から1992年までの楽曲を披露する『RUN FOR YOUR LIVES WORLD TOUR』のフィンランド公演の模様を現地からリポート

他にANGRA、陰陽座、FIVE FINGER DEATH PUNCH等

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