SPECIAL LIVE REPORT IN JAPAN
KISSIN' DYNAMITE
ドイツ国内チャート1位に輝いた最新作を引っ提げて
人気ハード・ロック・バンド5人組が11年ぶりに再来日!
2024年7月に通算8作目のアルバム「BACK WITH A BANG!」をリリースしたドイツの5人組KISSIN' DYNAMITEが11年ぶりの再来日を果たした。前回、2013年2月に日本に来た彼らはまだアルバム3枚を出したばかりの新進気鋭のバンドだったが、その後も着実にアルバム・リリースを重ねると共にそのクオリティも高め、特にここ数作の充実ぶりは目覚ましい。前作「NOT THE END OF THE ROAD」(2022年)はドイツのチャートで2位を記録し、最新作は堂々1位に輝いた。ポジティヴなパワーに満ちたアリーナ・ロックをプレイし続けてきた彼らが、80年代後半のアメリカならいざ知らず2020年代のドイツでこれだけの実績を叩き出すというのはある種の奇跡と言っていい。ドイツ国内シーンに同系統のバンドが他にも多数いて覇を競っているようには思えず、孤軍奮闘を続けてきた末の快挙なのである。
日本にもそういった結果が伝わって人気爆発…というほどでは残念ながらないが、月曜夜の渋谷には再来日を待ち続けた、あるいはこの11年の間にバンドと出会ったファン数百人が詰め掛けた。西部劇でも始まりそうなイントロに乗って走り出たバンドは、最新作の1曲目にしてタイトル曲の“Back With A Bang”でショウをスタート。バンドも観衆ものっけからスロットル全開で、場内には興奮が渦を巻く。耳を引くソロをプレイするのはジム・ミューラー<g>だ。エンディングは何度もジャーンと鳴らしてはメンバー達が揃ってフロアの左へ右へと視線を向け、ハネス・ブラウン<vo>が「ジャンプして楽しんでくれ!」と言うと、次の曲“DNA”に突入。2014年の4th「MEGALOMANIA」からの曲で、ヴァース終わりの「Yeah, yeah, yeah!」のパートではフロア中から手が上がり、サビの後も掛け声と拳がバンドを応援する。ソロでジムとアンデ・ブラウン<g>がハーモニーを聴かせた後も「Yeah, yeah, yeah!」と場内は盛り上がり、曲が終わっても盛大な喝采はしばらく止むことがなかった。
その反応に感激したハネスは「この言葉を言える時が来るのをどれだけ待ったことか。Good evening, Tokyo!」と高らかに叫ぶ。セバスチャン・バーグ<ds>がすかさずリズムを始め、疾走感溢れる“No One Dies A Virgin”へ。彼が加入したのはこの曲を収めた前作「NOT THE END OF THE ROAD」完成後で、デビューから13年間同じラインナップで続いたこのバンドにとってメンバー・チェンジは一大事だったが、今ではセバスチャンもすっかり馴染んでいるようだ。ジムが華々しいソロを聴かせたのに続いて、アンデのギターと観衆の声でコール&レスポンスが繰り広げられ、その間ジムとハネスとステファン・ハイル<b>は後方からその様子を見守った。とにかく全員で楽しむライヴというのは冒頭から変わらず、サビ終わりの「No one, no!」もオーディエンスが担当してハネスに笑みを浮かべさせる。そのハネスは「Do you guys have the fire?」と言って2018年作「ECSTASY」より“I've Got The Fire”を導き、手拍子を誘って低く歌い出した。サビでは高い声をパワフルに響かせ、フロアを煽って「オーオーオ」と歌わせる。ブレイクの一瞬はバンドの演奏も観衆の手拍子もピタリと止まるという見事な息の合い方で、それがまた興奮を呼んで曲の終盤の掛け合いも盛り上がるといったらない。ハネスの「アリガトー!」のひと声で曲が終わると、バンドは全員ステージ袖へと姿を消した。
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