【来日公演レポート】
LACUNA COIL
LIVE IN JAPAN/SLEEPLESS EMPIRE TOUR
2026年2月23日(月・祝):渋谷STREAM Hall
レポート&撮影●奥村裕司/Yuzi Okumura
'26年2月下旬、男女シンガーを擁するイタリアのヘヴィ&グルーヴィなゴシック・メタラー、LACUNA COILが再来日! 22年12月の前回から3年余 ── '07年の “LOUD PARK” 出演に伴う初来日から数えて、これが通算4度目の日本公演だ。
今回は、'25年作『SLEEPLESS EMPIRE』に伴うワールド・ツアーの一環として、今年イッパツ目となったUAE、次いでシンガポールでの公演を経て、オーストラリアへ飛び5都市を廻ったあと、日本へとやって来てくれた。ただ前回'22年もそうだったが、東京にて1公演だけというのはちょっと寂しい限り。ただ、一点集中とばかりに日本全国から熱心なファンが詰め掛け(メンバーなりきりコスプレ・ファンも!)、外国人客もかなり目立ち、会場内には開演前から濃密な空気が漂っていた。
現バンド・ラインナップは前回から若干の異動があり、クリスティーナ・スカッビア〈vo〉、アンドレア・フェーロ〈vo〉、マルコ “マキ” コーティ=ゼラーティ〈b〉、リチャード・メイズ〈ds〉というお馴染みの4人に加えて、ディエゴ・カヴァロッティに代わり'24年に迎えられたダニエーレ・サロモーネ〈g〉という5名に。
▲Cristina Scabbia〈vo〉
▲Andrea Ferro〈vo〉
▲Daniele Salomone〈g〉
▲Marco "Maki" Coti-Zelati〈b〉
▲Richard Meiz〈ds〉
来日の時点で、ダニエーレ(実は、かつてディエゴとメタルコア・バンド、ASTRALINEで活動を共にしていた)が正式メンバーなのかどうか定かではなかったが──『SLEEPLESS EMPIRE』ではゲストとしてクレジットされていた彼は、同ブックレットのグループ・ショットに顔を隠して参加。'24年10月に公開された「Oxygen」のPVにも、“フード姿の謎ギタリスト” として既に登場していたから、恐らく “パーマネントなセッション・メンバー” といった立場なのだと思われる。興味深いのは、今もってフード衣装がダニエーレのトレードマークになっていること。勿論、STREAM Hallのステージにも彼はその姿で登場し、フードを深々と被ったまま演奏し続けていた。
メンバーの見た目という点では、ベースのマキについても触れておかねばならないだろう。彼はコロナ前から何とも言えない特異メイクをするようになっていたが、そのキッカケというか元ネタは、かのロブ・ゾンビが監督を務めた映画『マーダー・ライド・ショー』('03)の登場人物、キャプテン・スポールディングなのだとか。
▲『マーダー・ライド・ショー』
その強烈なキャラクターを演じていた俳優シド・ヘイグが'19年9月に逝去。当時それを受け、追悼として似せたメイクをしたのが最初で、思い掛けずファンの反応が良かったことから、以後もマキはそのメイクをやり続け、さらには他のメンバーもそれぞれ白塗りメイクをするようになったのだそう。今では、ドラムのリチャードのメイクも、日本人にはどこか “バカ殿” っぽく見えて、マキに負けず劣らずインパクト大…かも?
衣装でいうと、今回クリスティーナがダーク・ピンクのヒラヒラ/フリフリ・ドレスをまとっていたのにも驚かされた。20代でデビューした彼女も今やアラフィフ。若い頃の体型からはかなりふくよかになっているが、それでもブラック・レザーを組み合わせた甘辛コーデがよく似合い(胸元には『SLEEPLESS EMPIRE』のジャケ・デザインが)、ステージ中央のお立ち台での仁王立ち歌唱に到っては、妖艶なゴス・ヒロインといった佇まいで貫禄もたっぷりだ。
もっと驚いたのが、彼女の完璧な歌唱。エモーショナルなのは言わずもがなで、ハイ・ノートも含めパワフルこの上ない歌声は、年齢を考えれば驚異的と言う他ない。前回来日時にも「凄い!」と感心しきりだったが、3年以上前のその状態を、過酷なツアーを続けながらいまだ保っている…どころか、声自体により力が漲っているようにすら感じられた。
一方、ここのところグロウル気味に歌う(吼える)ことが多くなっているアンドレアは、伸びやかなパワー歌唱をクリスティーナに任せ、濁声をアクセント的に絡ませる場面が目立つも、ショウ冒頭の「Layers Of Time」('19年『BLACK ANIMA』収録)は彼メインの楽曲であり、序盤に “ツカミ” とばかりにしっかり存在感を示していたことは特筆しておきたい。
また、「Hosting The Shadow」(『SLEEPLESS EMPIRE』収録)では、ランディ・ブライ(LAMB OF GOD)客演パートを違和感なく再現するだけでなく、「これが(ランディ抜きの)オリジナル・ヴァージョンなんだな」と思わせたりも。客演といえば、「In The Mean Time」(『SLEEPLESS EMPIRE』収録)におけるアッシュ・コステロ(NEW YEARS DAY)のパートは、当然クリスティーナが担い、これまたゲスト不在でも何らモノ足りなさを覚えさせなかった。
セットリスト全体を見渡せば、『SLEEPLESS EMPIRE』から8曲も披露されていて、いかに彼等がこの最新アルバムに自信を持っているのかが伝わってくる。活動歴の長いバンドの多くが、ニュー・アルバムからは数曲しかプレイせず(1曲だけも珍しくない)、過去のレパートリーに頼りがちな昨今、前身バンドを含めると30年以上のキャリアを誇るLACUNA COILが、新曲テンコ盛りで勝負する姿勢は本当に素晴らしい。しかも、アンコール1曲目が『SLEEPLESS EMPIRE』から「The Siege」で、同じく「I Wish You Were Dead」がそれに続き(ここでクリスティーナはナイフを握り締め歌う)、ショウの締め括りにも同作から「Never Dawn」をもってくるとは…。これまでに10枚以上のアルバムをリリースしているのに、アンコール全4曲のうち3曲が最新譜収録曲だなんて、実に大胆不敵ではないか。
ちなみに、オリジナル収録アルバムがサード『COMALIES』('02)の「Heaven's A Lie」と「Swamped」は、いずれも20周年リメイク作『COMALIES XX』('22)の新規ヴァージョンで演奏。それよりも古い楽曲は演目に入らず、'06年の第4作『KARMACODE』からの選曲もナシ…ということで、実質'09年以降のレパートリーだけでセットを組み立てていたことになる。
残念ながら、日本公演だけの “スペシャル” はなく、ツアーを通じて基本セトリは固定だったものの、それに不満を覚えた観客はほぼいなかったのでは? それは ── 約85分のショウ全編を通して大いに盛り上がりまくり、全オーディエンスがフロアを揺るがさんばかりに大熱狂し、終演後、TYPE O NEGATIVEの「Christian Woman」がアウトロとして流れる中、みんなの表情が総じて満足感、充足感でいっぱいだったことからも明々白々だ。
「Never Dawn」直前、最後のMCで「頻繁に日本へやって来ることが難しいのは分かってる。でも、可能な限り早くまた戻って来るから…!」と力強い言葉をくれたクリスティーナを信じ、次回来日がそう遠くない将来に実現することを楽しみに待ちたい。
【SET LIST】
1. Intro(SE)〜Layers Of Time
2. Reckless
3. Hosting The Shadow
4. Kill The Light
5. Die & Rise
6. Spellbound
7. In The Mean Time
8. Intoxicated
9. Heaven's A Lie XX
10. In Nomine Patris
11. Blood, Tears, Dust
12. Gravity
13. Oxygen
14. Nothing Stands In Our Way
[Encore]
15. Intro(SE)〜The Siege
16. I Wish You Were Dead
17. Swamped XX
18. Never Dawn
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