<OUTRAGE Presents N.W.O.B.H.M. 40th Anniversary Respect Live 2019>※カバー曲解説付

2019年5月18日@渋谷CUTUP STUDIO 
出演:OUTRAGE、EDDIE THE GREAT、JERO(GUEST GUITARIST/ from ABIGAIL)、DJ Veppy
リスペクトが詰まった熱くプレミアムな夜を徹底レポート。カバー曲、DJセットリスト解説付き。


Report by 別府 “Veppy” 伸朗

世界中のヘヴィ・メタル・シーンに影響を与え、革命的とも言えたムーブメント「NEW WAVE OF BRITISH HEAVY METAL(以下、N.W.O.B.H.M.)が誕生してから40周年が経った。若き日のOUTRAGEのメンバーも熱狂し、サウンドにも影響を与えたN.W.O.B.H.M.の40周年を記念してリリースされた7ep「AXE CRAZY」であるが、そのレコ発スペシャル・ライブが渋谷タワーレコード内にある渋谷 CUTUP STUDIOにて行われた。参加できるのは「AXE CRAZY」の【SOUND HOUSE SET】を購入したファンだけというプレミアムな夜でもあった。

オープニング・アクトとして登場したのは、IRON MAIDENのトリビュート・バンドEDDIE THE GREATで、OUTRAGEから丹下眞也<ds>と阿部洋介<g>が参加、他はMANIPULATED SLAVES、DIRTY THIRTYのメンバーである萩智洋<g>、国内最高峰IRON MAIDENトリビュート・バンドとして知られているUNITED EDDIESより白井“シラチン”勝昭<b>、そしてこのバンドの発起人でありBELLFASTのリード・ヴォーカルである西野幸一郎<vo>がメンバーとして名を連ねている。

EDDIE THE GREAT

 

場内暗転してオープニングSEとして“The Ides Of March”が鳴りメンバーが登場、西野は曲の後半に「オ~オ~」とコーラスを入れてファンを煽り、盛り上げていく。そのままアルバム「KILLERS」と同じ流れで“Wrathchild”にいくかと思いきや、“Sanctuary”という意表を突いた選曲でショウはスタート。西野はポール・ディアノというよりもかなりブルース・ディッキンソンを感じさせるヴォーカルを聴かせる。強力なメンバーが揃っていることもあって演奏もバッチリ、萩と阿部とツイン・リードも絶品であった。西野の曲名コールから“Wrathchild”が始まると、ここは見せ場と白井が一歩前に出てお馴染みのメロディが弾き出され、曲の終わりは大歓声に包まれる。

西野のユルイMCは会場をリラックスさせ、逆に彼らの世界に染まっていく感じがあった。そして今回のライブではN.W.O.B.H.M.、そしてIRON MAIDENにとっても重要な作品である「THE SOUNDHOUSE TAPES」から全曲をプレイすると告げると歓声と拍手が起こり、今ではほぼIRON MAIDENのライブで演奏されることのない“Invasion”がプレイされる。正直反応は鈍かったがこのレア曲のカヴァーは個人的に嬉しかったし、完成度もかなりの高さだった。

間髪入れずに“Prowler”が始まり西野は両手を宙に突き上げるとフロアからも多くの手やメロイック・サインがステージに向けられた。丹下のドラム、白井のベースから“Running Free”が始まるとイントロに合わせて場内は手拍子、そしてサビで場内一体となり歌い盛り上がっていくと、ステージ上のメンバーも楽しそうにプレイしていた。

「全てはこの曲から始まった!」と西野が叫び、あのイントロが阿部のギターから刻まれ“Iron Maiden”が始まる。ギター・ソロが始まると本家と同じくエディがステージに乱入して、メンバーの首を次々と絞めていく見せ場を作ってファンを盛り上げていた。曲の終わりに白井はスティーブと同じく機銃掃射する様にネックを構え、萩はギターをグイと高く突き上げてライブは終了、この日のイベントに相応しい最高のオープニング・アクトだと思った。

     EDDIE THE GREAT

EDDIE THE GREAT
<SETLIST>

SE:The Ides Of March
※IRON MAIDENの2ndアルバム「KILLERS」のオープニングを飾るインスト曲。邦題は「3月15日」で共和制ローマのジュリアス・シーザーが暗殺された日とされている。音楽評論家伊藤政則氏のDJイベント「HMサウンドハウス」のオープニング曲としても知られている。
01.Sanctuary
※英国オリジナル・アルバムには収録されず、シングル及びオムニバス「METAL FOR MUTHAS」に収録されていた。初期の彼らのライブでアンコールやラストにプレイされていた重要曲。
02.Wrathchild
※IRON MAIDENの2ndアルバム「KILLERS」の実質1曲目と言えるポール・ディアノ時代の名曲。印象的なベースから始まるヘヴィなナンバー。オムニバス「METAL FOR MUTHAS」にも収録されている。
03.Invasion
※デモ・テープを基にリリースされ、1週間で5,000枚を売り切ったという伝説の自主制作シングル「THE SOUNDHOUSE TAPES」に収録の楽曲で、これもオリジナル・アルバムには収録されていないレア曲。
04.Prowler
※自主制作シングル「THE SOUNDHOUSE TAPES」に収録され、1stアルバム「IRON MAIDEN
のオープニングを飾る初期の名曲。今ではプレイされることはかなり少ないが、スピード感溢れるこの曲のインパクトは絶大である。
05.Running Free
※1stアルバム「IRON MAIDEN」に収録で、このアルバムの1stシングルとしてリリースされた楽曲でもある。クライブ・バーのドラムが全面に出たキャッチーな曲である。
06.Iron Maiden
※自主制作シングル「THE SOUNDHOUSE TAPES」、そして1stアルバム「IRON MAIDEN」に収録のバンド名を冠した重要曲。今もライブ本編のラストを飾る名曲にしてアンセムで、ギター・ソロと共にエディがステージに登場することでも知られている。  

OUTRAGE

OUTRAGEファンにはお馴染みのLED ZEPPELINの“Immigrant Song”がオープニングSEとして場内に流れ、次々とメンバーがステージに登場。NAOKI<vo>はデニムのジャケット、安井義博<b>はダブルの革ジャンを着ており、N.W.O.B.H.M.の「デニム&レザー」を意識していると思わせた。橋本が「グッドイブニング、マザーファッカー!」と叫ぶと、阿部洋介<g>がメタリックなリフを刻み、ミュージック・ビデオが制作された7epのタイトル曲でもある“Axe Crazy”が炸裂した。オリジナルのJAGUREよりも速く狂暴な感じでOUTRAGE流に仕上げている。

橋本が途中曲入りを見失ってしまうところがあったが、それでも勢い重視で突っ走っていったのが何ともOUTRAGEらしかった。続く“Baphomet”ではかなり本家ANGEL WITCHの雰囲気に近く、ダークな雰囲気が漂っていた。橋本の歌唱もどことなくANGEL WITCHのケヴィン・ヘイボーンを彷彿させ、彼のまた別の面を引き出したようにも感じた。

     NAOKI<vo>

「短い時間ですが、楽しんでいって」と丹下眞也<ds>が告げ、OUTRAGEクラシックである“Under Control Of Law”が始まると、ファンの熱気も盛り上がり方もグッと高まった感じを受けた。同じくクラシックである“Step On It”でもその勢いは衰えることなく、“Veiled Sky”と“Wings”と出世作である『THE FINAL DAY』からの楽曲で更に盛り上がっていく。橋本らしいMCでファンを和ませ、丹下のバスドラムからいつもとは違う感じで、縦ノリでキャッチーな“Undertow”が始まった。OUTRAGEの作り出す心地よいグルーブにファンは酔っている。

“Undertow”終わると、再びN.W.O.B.H.M.カヴァーの時間が始まる。先の2曲はシングルとしてリリースされてファンも耳にしていたと思うが、ここからは完全なお楽しみだ。まずプレイされたのはDIAMOND HEADの“Call Me”で、原曲の持つ独特な浮遊感をどう料理するかという点で少し苦戦している感じはあったが、OUTRAGEがこういった曲をセレクトしたのが意外であり面白い。次の曲は橋本が去りトリオ編成でカヴァーが続く。丹下の曲名コールで始まったのはWARFAREの“Metal Anarchy”でハードコアばりの疾走感で突っ走っていく。丹下がヴォーカルを取っていたのだが、楽しそうに叫び倒していたのが印象的だった。場内に邪悪な空気に変えたのはVENOMの“In League With Satan”で、ドンドコした丹下のドラムからヘヴィでダークなものとなり、この曲でヴォーカルを取った安井の声質もピッタリだった。因みに革ジャンを脱いだ安井が着ていたTシャツはVENOMであった。

     阿部洋介<g>

ここで再びOUTRAGEのオリジナル曲に戻り、3人編成時代で人気の高い“Deadbeat”へと続いていく。WARFARE、VENOMのカヴァーからやさぐれ感もあるこの曲へのスイッチは流れもピッタリで、2番からは再び橋本が合流している。ここから「RAGING OUT」から“Doomsday Machine”と“Hammer Down And Go”を続けてプレイ、いくつもの手がステージに伸びていく。安井がQUEENの“Another One Bites the Dust”をお遊びで少し弾いてから“Edge Of Death”で会場のファンが揺れていく、サビで橋本は首をかっ切るポーズをキメる。そしてスラッシュ・メタル然とした“Blind To Reality”でフロアの熱気を高めていく。

ここからは再びN.W.O.B.H.M.カヴァー・タイムが始まり、橋本が好きなバンドで好きなシンガーがいると紹介して場内をオオっと言わせてからTANKの“Red Skull Rock”で、男の哀愁と強さをミックスさせた様な曲調がOUTRAGEの持つイメージとダブりバッチリはまった感じがあった。静かになるなよとフロアを一度いじってから、「知っている?」と問いかけてVARDISの名曲“If I Were King”がプレイされたが、ハードなブギー調で予想以上にOUTRAGEにピッタリはまっていた。

曲が終わるとゲスト・ギタリストとしてABIGAIL等でプレイしているJEROが紹介され、ステージに登場した。N.W.O.B.H.M.影響大で、世界中のアンダーグラウンドのマニアからも支持されているGORGONのメンバーでもある彼の起用はこの企画にはピッタリの人選だった。丹下もステージで言っていたが、ツイン・ギターのOUTRAGEというのもかなりレアだ。

まずプレイされたのはN.W.O.B.H.M.四天王の1つでもあるSAXON、その中でも人気の高い“747 (Strangers In The Night)”がプレイされた。SAXONの中でも哀愁溢れるミドル・テンポの曲で、阿部とJEROの泣きのギター対決が聴きどころ。そしてそのギター対決を更に際立たせたのが幻のN.W.O.B.H.M.バンドであるPARALEXの“White Lightning”で、METALLICAのラーズ・ウルリッヒが監修したN.W.O.B.H.M.のオムニバスに収録されてはいるがこの日カヴァーされた中で一番マイナーということもあって悲しい位に反応は鈍かったが、N.W.O.B.H.M.の独特な空気感を絶妙に醸し出し予想を遥かに超えてピッタリとハマっていた。曲終わりの橋本が「バンドをやり始めた頃のスタジオを思い出した」と言っていたが、それは本質を突いていたと思う。

本編ラストとして、そしてN.W.O.B.H.M.カヴァーの最後となったのはTYGERS OF PAN TANGの“Running Out Of Time”で、OUTRAGE色も出しつつでこれもツイン・ギターOUTRAGEにドはまりの選曲、そしてプレイだった。

     安井義博<b>

アンコールでは再び4人に戻り、丹下が「最後までぶっ飛んでいきましょう」といつものセリフでファンの心に火を点け、阿部がリフを刻み“Megalomania”で暴走していく。橋本が立てた中指を見せつけて“You Suck”では柵まで身を乗り出しファンと0距離になり熱唱、最後は両手でマイクを握り絞り出す様にサビを叫んでいた。

曲が終わり、予めアナウンスされていたTシャツのプレゼント抽選会がここで始まった。抽選のサポートとして再びエディがステージに登場、橋本がエディに目潰しを仕掛けつつ当選者が発表されていった。“Genghis Khan”でエディを送り出した後の会場にあのイントロが鳴り“My Final Day”が始まると待ってましたといった感じで盛り上がるファン、そしてラストの“Madness”まで一気に突っ走っていった。

N.W.O.B.H.M.40周年ということで企画されたこの日のOUTRAGEのライブだったが、カヴァー曲とOUTRAGEのオリジナル曲でかなりの温度差がフロアから感じられた。OUTRAGEがカヴァーした楽曲も王道ど真ん中N.W.O.B.H.M.というよりも少し捻りを入れた感じだったので更にその印象が強くなったかもしれないが、決して選んだ楽曲もパフォーマンスも悪い感じはなかった。その時はどう乗っていいのか分からなかったが、OUTRAGEがカヴァーした楽曲に興味を持ったファンも多かったのではないだろうか。この日カヴァーしたことを切っ掛けにオリジナルの楽曲を聴き、バンドを掘り下げたいと思ったファンもいたと思う。若き日のOUTRAGEが影響を受けたであろうバンドの楽曲も当然プレイされていただろう。これを切っ掛けにOUTRAGE、そして現代のヘヴィ・メタルの根幹にもあるN.W.O.B.H.M.がどんなものであったかと興味を持ってくれたら、それだけでもこの40周年イベントは大きな意義があったと思う。

     丹下眞也<ds>

          JERO<g>

OUTRAGE
<SETLIST>
01.Axe Crazy(JAGUARカヴァー)

※何故か当時オランダで人気が高かったというJAGUARの2ndシングル・タイトル曲。畳みかける様なスピード感が最高にカッコよく、N.W.O.B.H.M.バンド群でもパワー・メタル度はかなり高め。因みに1stシングル時とはヴォーカルがチェンジしている。
02.Baphomet(ANGEL WITCHカヴァー)
※スラッシュ・メタルのオリジネイター達に多大なる影響を与えたANGEL WITCHの楽曲で、オリジナルの1stアルバムには収録されずオムニバス「METAL FOR MUTHAS」に収録されている。バンドの持つサタニックな面を強調したものとなっている。
03.Under Control Of Law
04.Step On It
05.Veiled Sky
06.Wings
07.Undertow
08.Call Me(DIAMOND HEADカヴァー)

※自主制作1stアルバムに続きメジャーのMCAからリリースされた「BORROWED TIME」に収録の楽曲。LED ZEPPELINのロバート・プラント影響大と思われる初代ヴォーカリストのシーン・ハリスの声質を活かした浮遊感と独特な湿り気のある楽曲である。7epと12epの2種でシングル・カットされ、7epはライブ写真をデザインしたカッコいいジャケットとなっている。
09.Metal Anarchy(WARFAREカヴァー)
※メタル・パンクの源流として再評価されつつあるWARFAREの2ndアルバムのタイトル曲。デビューが84年、このアルバムのリリースも85年とギリギリN.W.O.B.H.M.なところ。VENOMと共通点もあり、実際交流もある。因みのこの曲ではゲスト・ギタリストとして後にMOTÖRHEADのギタリストにあるワーゼルが参加している。
10. In League With Satan
※スラッシュ・メタルからブラック・メタルまで、現在のエクストリーム・メタルの源流であり多大なる影響を与えた彼らの1stシングル・タイトル曲で、1stアルバムにも収録されている。サタニックでリチュアルなイメージの強い曲で人気も高い。

11.Deadbeat
12.Doomsday Machine
13.Hammer Down And Go
14.Edge Of Death
15.Blind To Reality
16.Red Skull Rock(TANKカヴァー)

※MOTÖRHEADの弟分とも知られ、元THE DAMNEDのアルジー・ワード率いるTANKの2ndアルバム「POWER OF THE HUNTER」収録の隠れた名曲。男の哀愁を纏いながら疾走していく激シブな曲である。
17.If I Were King(VARDISカヴァー)
※SPIDERと共にSTATUS QUOの遺伝子を受け継いだバンドとして知られる彼らの2ndシングル収録の楽曲で、ライブ・レコ―ディングの1stアルバム「100M.P.H.」にも収録されている。スピード全開のハード・ブギで彼ら必殺の代表曲である。
18. 747 (Strangers In The Night)(SAXONカヴァー)
※疾走系の曲が人気の高いSAXONの中で、メロディアスな面が強調された佳曲。2ndアルバム「WHEELS OF STEEL」収録で、シングル・カットもされている。因みに1965年にスカンジナビア航空機に起こった事件を基にした実話がテーマの曲です。
19.White Lightning(PARALEXカヴァー)
※最近復活しているらしいが、80年代当時はこの楽曲が収録された12epを1枚のみをリリースして消えてしまった幻のN.W.O.B.H.M.バンド。彼らを代表するヘヴィかつメロディアスな楽曲で、METALLICAのラーズ・ウルリッヒが勧誘したN.W.O.B.H.M.オムニバス・アルバムに収録されたことでマニアから注目も浴びた。
20.Running Out Of Time(TYGERS OF PAN TANGカヴァー)
※ジョン・サイクス在籍時最後の音源として知られる彼らの3rdアルバム「CRAZY NIGHTS」収録曲で、ミドル・テンポの曲が多いこのアルバムの中ではスピーディで人気の高い曲である。
ーencoreー
21.Megalomania
22.You Suck
23.My Final Day
24.Madness


DJ Veppy

<PLAYLIST>

01.Am I Evil/DIAMOND HEAD
※METALLICAもカヴァーし、DIAMOND HEADの中でも人気の高い楽曲。劇的なイントロから展開していく大作で、ある意味N.W.O.B.H.M.を代表する楽曲とも言える。
02.Missing You/STAMPEDE
※後にソロ・アルバムをリリースし、UFOのメンバーとして来日経験もあるローレンス・アーチャー<g>(フィル・ライノットの幻のGLAND SLAMのメンバーでもあった)が在籍していたことでも知られるバンドの楽曲で、スタジオ録音の12epの楽曲から。メロディと共に疾走していく名曲で、哀愁あるリューベン・アーチャーのヴォーカルも最高である。
03.Highway Rider/BLACK AXE
※N.W.O.B.H.M.マニアには人気の高いBLACK AXEの唯一のシングルから。少し甘い感じのあるヴォーカルがメロディを歌い上げるスピーディな楽曲はマニアが支持するのも頷ける完成度の高さ。彼らは後にWOLFと改名し作品をリリースしていく。
04.Soul For The Devil/WOLF
※ということで、そのWOLFの12epから。後のアルバム「EDGE OF THE WORLD」にも収録されるがこの12epに収録されているのはロング・ヴァージョンでマイケル・シェンカーを想起させる絶品ギター・プレイを存分に堪能できる。
05.LADY OF MARZ/DARK STAR
※LIMELIGHTの“Ashes To Ashes”と共にUFOの“Doctor Doctor”にインスパイアされた楽曲として知られる彼らの代表曲であり、N.W.O.B.H.M.の数ある楽曲の中でもかなり人気高いドラマチックな名曲。当時、日本盤がリリースされていたことからもその人気の高さが伺える。因みにこのシングルのスペイン盤のみジャケット付きで、N.W.O.B.H.M.マニアの血眼アイテムでもある。
06.Prelude In F Flat Minor~The Key/WILDFIRE
※こちらも84年に1stアルバムリリースとギリギリN.W.O.B.H.M.といった彼らの2ndアルバム「Summer Lightning」のオープニングを飾るメロディアス派に激押しな名曲中の名曲。IRON MAIDENやMOREといったバンドを渡り歩き、WILDFIREの後にSWEETに加入するポール・マリノ・デイのヴォーカルは絶品。
07.Set The World Stage Alight/WEAPON
※N.W.O.B.H.M.復活組にありがちだが、80年代はこの楽曲のみで消えたバンドの当時の唯一作から。キャッチーさとメロディアスさがミックスされた疾走系ナンバーで、ある意味N.W.O.B.H.M.を代表した楽曲とも言える。ドラマーのブルース・ビスランドは後にPRAYING MANTISやSWEETのメンバーとして来日する。
08.Rock Brigade/DEF LEPPARD
※彼らの記念すべき1stアルバム「ON THROUGH THE NIGHT」のオープニングを飾る曲。洗練されたキャッチーさのある現在の彼らと違い、青臭くブリティッシュらしさがギュッと詰まったサウンドもまた別の魅力を放っている。
09.Night Of The Demon/DEMON
※悪魔世界をテーマにした楽曲に悪魔の面被たヴォーカルにシアトリカルなステージングと徹底しているが、サウンドはメロディを基調としてブリティッシュ然としたもので人気の高い彼ら。この曲はそんな彼らを象徴としている名曲だと思う。
10.Cheated/PRAYING MANTIS
※メロディアス派N.W.O.B.H.M.として期待されていたが残念ながらブレイクすることのなかった彼らの名曲。アートワークを担当したロドニー・マシューズが手掛けたジャケットが絶品なシングルもリリースされていた。因みにこのシングル、初回盤のみ2枚組との触れ込みだったらしいが、初回盤のみがリリースされただけであったようだ。
11.Riding With The Angels/SAMSON
※現IRON MAIDENのブルース・ディッキンソンが在籍、また元IRON MAIDENの覆面ドラマーであるサンダースティックが在籍することでも知られる彼らの2ndアルバムのオープニング曲。ダイナミックで豪快な曲で、ラス・バラッドのカヴァー曲である。このアルバムの後にブルースは脱退しIRON MAIDENに加入し大活躍していく。因みにサンダースティックもこのアルバムで脱退してしまう。
12.Trial By Fire/SATAN
※「ヴォイス・オブ・N.W.O.B.H.M.」とマニアから絶大な支持を受けるブライアン・ロスが在籍するSATANの1stアルバム収録曲。スラッシュ・メタルのオリジネイターからの支持も厚く、その源流を感じさせるギターのリフを主体とした攻撃的でメタリックな楽曲である。後にBLIND GURDIANがカヴァーしているのも納得の名曲。
13.Easy Livin’/FASTWAY
※元MOTÖRHEADのエディ“ファスト”クラークと元UFOのピート・ウェイが合体したスーパー・バンドとして始動もレコーディング前にピートが脱退してしまった彼らの1stアルバム収録曲。純度の高いブリティッシュ・ハードロックで小型版ロバート・プラントとして知られたデイブ・キングのヴォーカルもご機嫌な楽曲。
14.Night Of The Blade/TOKYO BLADE
※日本盤もリリースされ根強い人気のある彼らの1stアルバムのタイトル曲。ブリティッシュ然とした湿り気とメロディをブレンドした曲に甘くもしっかり歌い上げるヴォーカルに思わず拳を握ってしまう名曲
15.Heavy Metal Mania/HOLOCAUST
※彼らの1stアルバム「THE NIGHTCOMERS」にも収録されているが、こちらはオープニングに空襲警報を思わせるサイレンが入った12epヴァージョン。独特のダークさと湿り気えお含んだ楽曲はある意味でブリティッシュ・ハードロックの王道であり、楽曲のタイトルも含めN.W.O.B.H.M.のアンセムとも言える名曲。
16.Breaking Strain/LE GRIFFE
※地味ながら良作をリリースしていた彼らのミニ・アルバムのオープニング曲。泣き泣きのツイン・ギターにギリギリのラインで歌い上げるヴォーカルで、現在のメタル・ファンからすれば古臭さといなたさが耳につくサウンドであると思うが、これがまた良いのである。N.W.O.B.H.M.最高と今でも言うなら聴くべし。
17.Hall Of Mirrors/DAWNWATCHER
※秀逸なシングルを2枚リリースして消えてしまった幻のN.W.O.B.H.M.バンドの2ndシングルから。少しニュー・ウェイブ的で独特な味わいのある冷めたキーボードが印象的なサウンドでB~C級の美学溢れる愛すべきN.W.O.B.H.M.サウンド。テクニックやメジャー感だけが全てでなないということを、彼らのサウンドは教えてくれる。万人向けではないのは100も承知、だがこういったサウンドがN.W.O.B.H.M.の「マニア」が支えていると思う。
18.Sheralee/SOLDIER
※N.W.O.B.H.M.の裏名曲としてマニアから絶大な支持を集めている曲で、曲構成が最高にブリティッシュ・ロックしている。これまた最近復活しているがN.W.O.B.H.M.はこの楽曲収録のシングルのみをリリースして消えてしまったバンドである。何故かSHIVAとHANDSOME BEASTのシングルと抱き合わせ(+ライブ写真)でパックとして販売されてもいた。
19.Wild West/ELECTRIC GYPSIES
※残念ながら鬼籍に入ってしまったギタリスト、バーニー・トーメがGILLAN脱退後にソロ作に続いてリリースされたバンド名義のアルバム収録曲。アーミングを多用したトリッキーでアグレッシブな少しルーズさを隠し味にした楽曲は問答無用のカッコ良さである。
20.Here We Go Rock’N ROLL/SPIDER
※VARDISと共にSTATUS QUOの遺伝子を受け継いだバンドとして知られているN.W.O.B.H.M.で、VARDISよりもロッキンなブギー要素はかなり強く出ている。この曲は2ndアルバム「ROUGH JUSTIS」に収録されていて、元気一発爽快なロック・ナンバーで思わず体が動いてしまうノリの良さがある。
21.Iron Fist/ MOTÖRHEAD
※名ライブ「NO SLEEP’TILL HAMMERSMITH」の後にリリースされた5thアルバムのタイトル曲。MOTÖRHEADらしい問答無用な暴走ロックンロールである。
22.Needle In The Groove/MAMA’S BOYS
※マクマナス兄弟率いる彼らの1stアルバム「PLUG IT IN」収録曲で、後に「POWER AND PASSION」にも再録している。シングル・カットもされていて、12epではロング・ヴァージョンもある。ムーディで哀愁溢れるブギー調ナンバーで、このタイプの彼らの曲だと“Runaway Dream”が名曲とされるがこの曲もなかなかの名曲である。レコード世代であればこの曲名にもグッとくる。
23.It’s Electric/DIAMOND HEAD
※DIAMOND HEADからもう一曲。自主制作1stアルバムに収録され、その後の自主制作12epにも収録された楽曲。DIAMOND HEADの中ではリフで押していくアグレッシブな楽曲で、METALLICAがカヴァーしているもの頷ける。
24. Name, Rank And Serial Number/FIST
※彼らのデビュー・シングルのタイトル曲で、このシングルの売り上げが好調でメジャーのMCAと契約、そこから再びシングルとしてリリースされている。1stアルバム「Turn The Hell On」にも収録されている。サビが印象的でキャッチーなブギー・テイスト溢れる曲である。

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