CROWLEY TOUR 2018「地獄のクリスマス」ライブ レポート

約30年の時を経て復活を果たした名古屋のサタニック・メタル・レジェンドCROWLEY!多くのファンが再発を熱望していた「WHISPER OF THE EVIL」がPremium Edition Ver.2として全国流通。そのリリース記念ツアーを開催。そして復活後初となる東京でのライブを完全レポート!


Report by 別府 “Veppy” 伸朗

 Photos by MAKI

1973年に大阪にて結成、1978年に解散。後のヴィジュアル系の源流にあると言われ、後にNOVELAやACTIONへと流れていく伝説のハ2017年に復活を果たした名古屋のサタニック・メタルのレジェンドCROWLEY。それまで幻の作品として知られていた唯一のアルバム「WHISPER OF THE EVIL」が遂に再発(全国流通版のヴァージョン2で、ヴァージョン1は会場と一部店舗で発売されていた)され、そのリリース記念ツアー「地獄のクリスマス」が行われた。復活してから名古屋以外でライブを行うのは今回が初めてで、待っていたファンも多いと思う。この日、ツアー千秋楽となった12月26日の東京・池袋EDGEにも多くのファンが足を運んでいた。

     岩井高志<vo>

開演時間を15分程過ぎた頃に場内暗転、遂にCROWLEYがステージに返ってくるんだといった場内のざわめきと独特の緊張感そして拍手の中、彼らのオープニングSEである映画「OMEN」のテーマ、“Ave Satani”が静かに不気味に広がっていく。

ステージの幕がSEに合わせて開くと、ステージ左右には骸骨が支える様にデコレートされた大きな十字架、そしてバックドロップには大きな魔法陣、ステージ中央には大きな棺桶が立てられている。SEがエンディングを迎え、「We Are CROWLEY!」のアナウンスと共に邪悪な笑い声が会場を包み、いよいよショウが始まるのかと思っていたら、場違いなクリスマス・ソングが広がっていく。ステージにはCROWLEYのメンバーではなくサンタクロース、満員となった会場にプレゼントを投げ込んでいく。

そんな陽気なクリスマスの雰囲気もHIRO<ds>のドラムがラウドに鳴り響き、古久根吉紀<g>と三芳俊二<b>が登場すると一変する。岩井高志<vo>はどうしたのだろうと思っていると黒い三角頭巾を被った死刑執行人風の男が登場、棺桶の蓋を開けると中から岩井が飛び出してくる。それにおののいた様子のサンタクロースは棺桶に押し込められて三角頭巾の男にステージ奥へと連れ去られてしまった。

ヘヴィなインスト・ナンバーの“Scream of Death”が流れ、岩井は電飾を派手に仕込んだ十字架を片手にシャウトを決め、そのままダークな疾走感のある“Fairy Tricks”が始まる。1987年のデモに収録された曲であるが、彼らの復活を告げたリメイク作「NOCTURNE」で英語詞となり新たな息吹を込められた曲でもある。三芳は睨みを効かせながら首を振りファンをその世界に引きずり込んでいる。古久根はファンの前でギターを弾くのが楽しいといった雰囲気でCROWLEYの世界を黒く怪しく築いていく。

曲の終わりに岩井は拳を宙に突き上げそれをゆっくり大きく広げてメロイック・サインを決める。その後ろでHIROのシンバル・カウントと共にこれまたスピーディーな“Floating Man”が始まる。三芳とHIROのリズム隊が生み出す重戦車グルーブがズッシリと腹の底まで響いてくる。古久根はお立ち台の上でメタリックなギター・ソロを決め、フロアからいくつもの拳が突き上げられる。そんなファンの反応に三芳は大きく手を振り更にガソリンを注ぎ込む。曲の終わりに「サンキュー!」と岩井が叫ぶと、彼らの帰還を待っていたと歓迎の大きな拍手と歓声がステージのメンバーを覆っていく。

          古久根吉紀<g>

「ハロー、トーキョー!CROWLEYだぜ!!待ってくれたかい、30年か?またせ過ぎだよな。お互いまた生きて会えて良かったぜ!!!」と久しぶりの東京のステージに喜びの言葉を口にする岩井。岩井は最初に登場したサンタクロースは始末したと告げると「地獄の苦しみを味わうクリスマス、最後まで楽しんでいってくれ!」とヘヴィなイントロの“Bad Stone”へと導く。

三角頭巾の男が魔術書を思わせる分厚い本を岩井に渡す。岩井はそこからタロット・カードを一枚一枚取り出すと「表と裏」「光と陰」等と言いながらフロアに投げ込んでいく。記憶に間違いがなければ分厚い本に仕掛けがあって火が燃え上がるギミックがあったと思うのだが、何かトラブルがあったのかこの日はそのギミックはなかった。

古久根の泣きのメロディたっぷりのソロが素晴らしく、ヘヴィで流れの素晴らしい“Bad Stone”聴き入っているファンも多い。そのまま曲名をシャウトして“Night Angel”、スローなパートになるといくつものメロイック・サインがメロディに合わせて揺れている。

ホラー映画の効果音の様なSEが鳴り、「クリスマスの夜、温かい笑顔に満ち溢れたこの街。しかし、冷たい墓場では死体を貪り食うヤツの音が…聞こえる」と岩井が不気味に語り、悲鳴と共に始まったのは“Ghoul”、復活がアナウンスされまずはデジタルで配信されていて彼らの復活の狼煙ともなった曲だ。ステージはレッド・ライトに照らされ、少しお経を思わせる曲のイントロからねっとりとしたグルーブがジワリジワリと絡みついてくる。

曲の終わりにHIROは立ち上がり何かを叫び、それを合図にしたかの様に雨と金の音のSEが鳴り響き、先程の血の様なレッド・ライトからSEにピッタリなブルー・ライトへと変わっている。一度ステージから下がっていた岩井は祈りを捧げる様な感じで再びステージに登場、彼らのヘヴィ・バラードと言ってもいい大作“Woman in a Black Cape”が始まる。抒情性を湛えた曲で、情感タップリにヘヴィでミステリアスな曲に感情をはめ込んでいく岩井の歌唱が素晴らしい。古久根の泣きのギターも哀愁たっぷりにしっとりと聴かせる。ファスト・パートに突入するとステージ袖に控えていた三角頭巾の男がCO2をぶっ放す。三芳がベースを誇らしげに高く掲げ曲が終わると、この曲に憑りつかれたファンから大きな拍手と歓声がドッと沸き上がる。

     三芳俊二<b>

SEが流れる中、HIRO以外のメンバーがステージから消える。ドラム・スティックを持ったHIROは両手を天に向け、そしてゆっくりとフロアに向けたのを合図にラウドなドラム・ソロが始まる。最後に銅鑼を豪快に鳴らしフロアを煽ると、大きな歓声が上がる。それを合図に他のメンバーがステージに登場し古久根のギターが切り込む。

岩井は右手を高く突き上げ、握られた拳がメロイック・サインとなり曲名をシャウトすると“Don't Be in a Hurry”がスタート、極初期からプレイされている怪しさと妖艶さがミックスされたミドル・ナンバー。岩井はインスト・パートでは古久根や三芳に呪文をかける様なアクションで絡んでいく。曲のクライマックスでは三角頭巾の男がスタンドにセットされたベースを持ってきて、ベース・ソロが始まる。ソロが終わると三芳が手にした小さな斧でセットされたベースを叩き壊さんと何度も叩きつけるパフォーマンスして曲に戻る。

ヘヴィネスとメロディが融合したディオ期のBLACK SABBATHを想起させるギター・ソロから曲が終わると、再びSEが鳴り岩井が「邪悪な心を持つ多くの魂は冷たい棺の中でジングルベルを聞きながら今日もその復活の日を待ち続けている…」と口を開き、ドライブ感のあるベースに引っ張られ“Await”が始まる。岩井はヘイヘイとフロアを煽り、力強く感情を込めたヴォーカルで更にフロアをアツくさせる。ズクズクとしたリズムはヘッドバンギングに丁度よい感じで、HIROの叩き出すヘヴィなグルーブはボディ・ブローの様に効いてくる。

     HIRO<ds>

「ノクターン!」と岩井が曲名を高らかに叫び、復活作のタイトル曲であるファスト・ナンバー“Nocturne”が始まり、激しく首を振っているファンもいる。そんなファンを更に煽る様に三芳はベースを立て、拳を振り上げている。ギター・ソロでは古久根を見ろと指をさす岩井、そして曲の終わりに「サンキュー!」と叫び「地獄のクリスマスを楽しんでいるかい?」と煽れば当然といった感じで大きな歓声が返ってくる。

「大阪、名古屋とやって今日がツアー・ファイナルだ!今日最後の曲が終わって、死んでもいいってことだ!!分かっているか?燃え尽きるんだぜ!最後までぶっ飛ばすぜ!」と始まったのは“Midnight Dream”。フロアからはいくつもの拳があがり、三角頭巾の男はCO2を大量にまき散らしている。サタニック色が強い曲でメロウなパートを織り込んでいる。ギター・ソロでは古久根は顔でも弾くといった感じで、黙々とベースの弦を鳴らす三芳とは対称的。

「サンキュー、トーキョー!ラストナンバー、ストーカー!!」と岩井が高らかに叫ぶとスピーカーから古久根の切れ味鋭いギター・リフが飛び出し“Stalker”が炸裂。ノリが良くダークながらもキャッチーでフロアはかなりの盛り上がり。HIROは激しいビートを叩き、三芳はフロアに突き刺す様にベースのネックを向ける。岩井は怪しく腰をくねらせ両手でメロイック・サインを作り、伸びの良いヴォーカルを聴かせる。

曲はオープニングを飾った“Scream of Death”へ繋がり、三角頭巾の男は再び大量のCO2をフロアにまき散らす。岩井は大きく手を広げ「We Love You TOKYO!」と感謝の言葉を口にする。古久根は手を突き上げ、三芳はメロイック・サインを突き上げる。そんな様子をHIROは嬉しそうな表情で後ろで見ながら、ステージを去っていった。

アンコールを求める大きな拍手とそれに続くCROWLEYコールの中、古久根が右手を誇らしげに上げながら登場。そのまま荘厳で泣きのメロディをたっぷりと含んだギター・ソロを披露する。「地獄のクリスマスいかがですか?」と岩井はファンに感想を求めると、最高といった大きな拍手がファンから返ってくる。

岩井が「平成にCROWLEYは何回東京でライブをやった?」と訊いてくる。岩井は今日が最初で最後の平成の東京ライブと言っていたが、ライブ終了後にどうやら何回かライブをやったらしいと熱心なファンから教えてもらう。と、言っても貴重なライブには変わりはない。

「このツアーでやってねぇ曲いくぞ!速いヤツだ、覚悟しろ!」と紹介されたのはHIROの嵐の様なツーバス連打のドラミングから始まる“In Despair”。岩井のイーヴィルなハイトーン・ヴォーカルは衰えた感じもない。三角頭巾の男は再びCO2を連発する。「もう1曲いくぜ!」と続いたのは“Pretender”、邪悪なオーラはあるがノリの良いナンバーで岩井はファンに向かって大きなアクションで煽る。そして曲が終わると「また、会いましょう」と再びステージからメンバーは消えていった。

まだまだ足りないといったファンのCROWLEYコールに岩井がステージに飛び出してくる。この日、何度目かの感謝の言葉を口にし「今日、また伝説を作ることが出来ただろうか?」と問いかける。当然といった大きな歓声がファンから返ってくる。そして“Evening Prayer”のザクザクとしたリフが刻まれると再びCROWLEYの世界が始まる。

80年代のジャパニーズ・メタル感覚のあるメロディアスさとヘヴィネスが同居する曲。ギター・ソロでは嬉しそうにフロアを見渡す古久根、そしてその横ではベースを弾く三芳の肩に手を回す。後ろには雷神の如きドラミングのHIROが控えている。

最後に1984年のレコードからと“Destitute Song”の始まりを告げる。切ないアルペジオの哀愁たっぷりのバラード風のパートから一転激しく展開していく曲。途中でアコースティック・ギターが絡んでいく展開になると「忘れていたぜ、赤いサンタをもう一回呼び戻そう!カモン、サンタクロース!」と岩井がコールするとオープニングで連れ去られたサンタクロースがアコースティック・ギターをかき鳴らしながら飛び出してくる。岩井は「生き返ったぜ!」と言ったが、サンタの顔は髑髏に変わっていた。いくつものメロイック・サインがメロディと共に揺れるフロアに最後のCO2が大量に噴出される。そして最後に来場したファンに感謝の言葉を再び口にし、“Scream of Death”を少しだけプレイしてCROWLEYのメンバーはステージから去っていった。

エンディングテーマとしてクリスマス・ソングの“Silent Night”が厳かに流れる中、CROWLEYの地獄のクリスマス・ツアー、そして久しぶりの東京ライブは終わりを迎えた。終演後には名古屋、大阪と同じくミート&グリートとサイン会が行われた。80年代の懐かしいフライヤーやレコードを手にした昔からのファンも多く、新たなファンも含めて親交を深めていた。こうしてメンバーと直接会って言葉を交わしたことはファンにとって嬉しいクリスマス・プレゼントとなっただろう。これからの彼らはどんなアクションを見せるのか期待させるライブだった。

CROWLEY
2018年12月26日@池袋EDGE
<SETLIST>

1.The Scream of Death
2.Fairy Tricks
3.Floating Man
4.Bad Stone
5.Night Angel
6.Ghoul
7.Woman in a Black Cape
8.Drum Solo
9.Don't be in a hurry~Bass Solo
10.Await
11.Nocturne
12.Midnight Dream
13.Stalker
14.The Scream of Death (ending theme)
ーencore 1ー
15.Guitar Solo
16.In Despair
17.Pretender
ーencore 2ー
18.Evening Prayer
19.Destitute Song
20.The Scream of Death (Short Ver.)

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