90年代のDEF LEPPARDを総括する7枚組ボックスセット、モンスター・バンドの偉大さをあらためて噛み締める
英国のモンスター・ロック・バンド、DEF LEPPARDの90年代にリリースされたオリジナルアルバム4枚に、デモ音源、ライヴ音源などを収録したレアリティーズVol.2からVol.4までの3枚が同梱されたボックス・セット『CD COLLECTION VOLUME 2』がリリースされた。全7枚というなかなかのボリュームだが、最新リマスターで順を追っていくと、時間が経つことを忘れ聴き入ってしまった。作品のクオリティの高さはもちろんなのだが、音源のバラつきがないことがこれほどまでに快適だとは想像していなかったのだ。再びローナン・マクヒューとジョー・エリオットが素晴らしい仕事をしているということか。
90年代のアルバム4作品の中でも個人的には『Retro Active』と『Slang』がお気に入りだ。
『Retro Active』は1974年にリリースされたTHE WHOのレア音源集『Odds & Sods』をヒントに制作されているという。1曲目“Desert Song”と2曲目“Fractured Love”は、1984年頃に未完であった曲を完成させたもので、『HYSTERIA』に収録されるはずだった。どちらも重厚でハードな楽曲で、サウンド的には1993年のPEARL JAMやSOUNDGARDENといった当時の人気バンドが出していた生々しい音を意識した結果、バンドが本来持っているハードロックの感覚が蘇えった。「BUDGIEやBLACK SABBATHの時代に戻った気分だった」とメンバーは回想している。
そんな原点回帰したかのようなリアルなサウンドは、続く1996年作『Slang』でさらに昇華することとなる。よりモダンな質感となり、アルバム全体がダークでヘヴィなサウンドによって覆われている。彼らの最高傑作は『HYSTERIA』とする向きが多いことはわかっているが、個人的には『Slang』が最高傑作だと信じている。どの曲もクオリティが高く、タイトルトラックや“Work It Out”のダンサブルでありながら力強くヘヴィなロックナンバーは今聴いても古さは感じないし、トラッドの影響が見える“Where Does Love Go When It Dies”からラストの6分超え大作“Pearl Of Euphoria”の流れにブリティッシュ・ロックの気品を感じる。もちろん『Adrenalize』や『Euphoria』の明るく弾けた作品も素晴らしいのだが、彼ら独特の分厚いコーラスの持つ、ある種のアシッド感が『Slang』ではより強く感じられるのだ。聴きながら日本盤に付属している詳細なブックレット解説の翻訳を読み込んでしまった。ジョー・エリオット曰く『Slang』アルバムの特徴は、「生々しい感情」だという。激動の時代を生き抜いてきた彼らの執念を感じる一枚だ。
90年代のアルバム4作品の中でも個人的には『Retro Active』と『Slang』がお気に入りだ。
『Retro Active』は1974年にリリースされたTHE WHOのレア音源集『Odds & Sods』をヒントに制作されているという。1曲目“Desert Song”と2曲目“Fractured Love”は、1984年頃に未完であった曲を完成させたもので、『HYSTERIA』に収録されるはずだった。どちらも重厚でハードな楽曲で、サウンド的には1993年のPEARL JAMやSOUNDGARDENといった当時の人気バンドが出していた生々しい音を意識した結果、バンドが本来持っているハードロックの感覚が蘇えった。「BUDGIEやBLACK SABBATHの時代に戻った気分だった」とメンバーは回想している。
そんな原点回帰したかのようなリアルなサウンドは、続く1996年作『Slang』でさらに昇華することとなる。よりモダンな質感となり、アルバム全体がダークでヘヴィなサウンドによって覆われている。彼らの最高傑作は『HYSTERIA』とする向きが多いことはわかっているが、個人的には『Slang』が最高傑作だと信じている。どの曲もクオリティが高く、タイトルトラックや“Work It Out”のダンサブルでありながら力強くヘヴィなロックナンバーは今聴いても古さは感じないし、トラッドの影響が見える“Where Does Love Go When It Dies”からラストの6分超え大作“Pearl Of Euphoria”の流れにブリティッシュ・ロックの気品を感じる。もちろん『Adrenalize』や『Euphoria』の明るく弾けた作品も素晴らしいのだが、彼ら独特の分厚いコーラスの持つ、ある種のアシッド感が『Slang』ではより強く感じられるのだ。聴きながら日本盤に付属している詳細なブックレット解説の翻訳を読み込んでしまった。ジョー・エリオット曰く『Slang』アルバムの特徴は、「生々しい感情」だという。激動の時代を生き抜いてきた彼らの執念を感じる一枚だ。
CD3枚によるレアトラックス集の充実ぶりも凄まじい。「Rarities Vol.2」には、涙なくしては聴けないスティーヴ・クラークが参加した最後の楽曲“When Love and Hate Collide”のデモ、アイリッシュ風味の入った名曲“From the Inside”、ヴィヴィアン・キャンベル加入直後にドイツはボンで行われたクラブツアーのライヴ・テイク等が収録されている。「Vol.3」にはシンガポールでの素晴らしいアコースティック・ライヴや、アルバムよりもグッとヘヴィなサウンドの“Truth?”オリジナル・バージョン、ヴィヴィアンによるまるでデヴィッド・ボウイのようなデモ“Work It Out (Viv`s Demo) ”などのレア曲が詰まっている。
注目は「Vol.4」の初出となるライヴ・テイクで、1996年10月11日のカナダ・モントリオールはMolson Centre公演から5曲。“Breathe A Sigh”のシングル盤に収録されていた“Slang”のライヴ・テイクと同じ公演である。ちなみに正確な日付はは1996年9月15日。10月はヨーロッパ・ツアーをしているのであり得ないのだが、まあ、これは以前から日付を間違えて記載され続けていたから仕方のないことだろう。熱心なファンの間では有名な話である。
それはともかくこのライヴ、“Bringin' On The Heartbreak”から“Switch 625”への鉄板の流れを名演というべきモントリオールでの演奏で堪能できるのが実に嬉しい。続く“Miss You In A Heartbeat”では“Knockin' on Heaven's Door”をワンコーラス披露、サビを観客に歌わせ途中で「間違えた、冗談だよ」と演奏を止める場面もしっかりと収録されている。ファン必聴である。
ラストは1999年の『Euphoria』ツアーの12月9日、コロラド州デンバーのMagness Arena公演から“Demolition Man”、同年9月30日~10月2日にかけて行われた3夜連続で行われた東京国際フォーラム公演最終日の“When Love And Hate Collide”、“Paper Sun”、“Goodbye”。この4曲は以前、公式ウェブサイトで音源のダウンロードが可能だったが、今回初めてパッケージ化されたことはたいへん嬉しい。
当分の間、この7枚組味わいつつ、あらためてこのモンスター・バンドの偉大さを噛み締めたいと思う。
注目は「Vol.4」の初出となるライヴ・テイクで、1996年10月11日のカナダ・モントリオールはMolson Centre公演から5曲。“Breathe A Sigh”のシングル盤に収録されていた“Slang”のライヴ・テイクと同じ公演である。ちなみに正確な日付はは1996年9月15日。10月はヨーロッパ・ツアーをしているのであり得ないのだが、まあ、これは以前から日付を間違えて記載され続けていたから仕方のないことだろう。熱心なファンの間では有名な話である。
それはともかくこのライヴ、“Bringin' On The Heartbreak”から“Switch 625”への鉄板の流れを名演というべきモントリオールでの演奏で堪能できるのが実に嬉しい。続く“Miss You In A Heartbeat”では“Knockin' on Heaven's Door”をワンコーラス披露、サビを観客に歌わせ途中で「間違えた、冗談だよ」と演奏を止める場面もしっかりと収録されている。ファン必聴である。
ラストは1999年の『Euphoria』ツアーの12月9日、コロラド州デンバーのMagness Arena公演から“Demolition Man”、同年9月30日~10月2日にかけて行われた3夜連続で行われた東京国際フォーラム公演最終日の“When Love And Hate Collide”、“Paper Sun”、“Goodbye”。この4曲は以前、公式ウェブサイトで音源のダウンロードが可能だったが、今回初めてパッケージ化されたことはたいへん嬉しい。
当分の間、この7枚組味わいつつ、あらためてこのモンスター・バンドの偉大さを噛み締めたいと思う。
デフ・レパード / CDコレクション Vol.2
クイーン全曲ガイド2 ライヴ&ソロ編
1,760円
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レーベル:ユニバーサルミュージックジャパン
品番:UICY-78946/52
価格:13,000円+税
40ページの豪華ブックレット付
[日本盤のみ]
SHM-CD仕様
解説:伊藤政則/英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
<収録内容>
ディスク1『アドレナライズ』1992
01. レッツ・ゲット・ロック
02. ヘヴン・イズ
03. メイク・ラヴ・ライク・ア・マン
04. トゥナイト
05. ホワイト・ライトニング
06. スタンド・アップ (キック・ラヴ・イントゥ・モーション)
07. パーソナル・プロパティ
08. ハヴ・ユー・エヴァー・ニーデッド・サムワン・ソー・バッド
09. アイ・ウォナ・タッチ・ユー
10. ティアー・イット・ダウン
ディスク2『レトロ・アクティヴ』1993
01. デザート・ソング
02. フラクチャード・ラヴ
03. アクション
04. トゥー・ステップス・ビハインド(アコースティック・ヴァージョン)
05. シーズ・トゥー・タフ
06. ミス・ユー・イン・ア・ハートビート
07. オンリー・アフター・ダーク
08. ライド・イントゥ・ザ・サン
09. フロム・インサイド
10. リング・オブ・・ファイアー
11. アイ・ウォナ・ビー・ユア・ヒーロー
12. ミス・ユー・イン・ア・ハートビート(エレクトリック・ヴァージョン)
13. トゥー・ステップス・ビハインド(エレクトリック・ヴァージョン)
14. ミス・ユー・イン・ア・ハートビート(ピアノ・ヴァージョン) シークレット・トラック
ディスク3『スラング』1996
01. トゥルース?
02. ターン・トゥ・ダスト
03. スラング
04. オール・アイ・ウォント・イズ・エヴリシング
05. ワーク・イット・アウト
06. ブリーズ・ア・サイ
07. デリヴァー・ミー
08. ギフト・オブ・フレッシュ
09. ブラッド・ランズ・ゴールド
10. ホエア・ダズ・ラヴ・ゴー・ホエン・イット・ダイズ
11. パール・オブ・ユーフォリア
ディスク4『ユーフォリア』1999
01. デモリション・マン
02. プロミセス
03. バック・イン・ユア・フェイス
04. グッドバイ
05. オール・ナイト
06. ペイパー・サン
07. イッツ・オンリー・ラヴ
08. 21stセンチュリー・シャ・ラ・ラ・ラ・ガール
09. トゥー・ビー・アライヴ
10. ディスインタグレイト
11. ギルティ
12. デイ・アフター・デイ
13. キングス・オブ・オブリヴィオン
ディスク5『レアリティーズ Vol. 2』
01. トゥナイト – デモ
02. ラヴ・アンド・ヘイト – デモ
03. フロム・ジ・インサイド – Bサイド
04. トゥー・ステップス・ビハインド(アコースティック) – Bサイド
05. シーズ・トゥー・タフ(ジョーズ・デモ) – Bサイド
06. ミス・ユー・イン・ア・ハートビート(フィルズ・デモ) – Bサイド
07. トゥナイト(アコースティック) – Bサイド
08. S.M.C. – Bサイド
ライヴ・イン・ドイツ
09. ヒステリア
10. フォトグラフ
11. シュガー・オン・ミー
12. レッツ・ゲット・ロック
ディスク6『レアリティーズ Vol. 3』
ライヴ・イン・シンガポール
01. アーマゲドン
02. トゥー・ステップス・ビハインド
03. フロム・ジ・インサイド
04. アニマル
05. ラヴ・アンド・ヘイト
06. シュガー・オン・ミー
07. ラヴ・アンド・ヘイト – Bサイド
08. ザ・フレイム – Bサイド
09. トゥルース? - オリジナル・ヴァージョン
10. ムーヴ・ウィズ・ミー・スローリィ – Bサイド
11. ワーク・イット・アウト – Bサイド
ディスク7『レアリティーズ Vol. 4』
ライヴ・イン・モントリオール
01. ブリンギン・オン・ザ・ハートブレイク
02. スイッチ625
03. ミス・ユー・イン・ア・ハートビート
04. ワーク・イット・アウト
05. デリヴァー・ミー
06. ホエン・サタデー・カムズ – Bサイド
07. ジミーズ・テーマ – Bサイド
08. バーンアウト – Bサイド
09. イモータル – Bサイト
10. ワールズ・コライド – Bサイド
11. アイ・アム・ユア・チャイルド – Bサイド
ライヴ・イン・デンバー
12. デモリッション・マン
ライヴ・イン・東京
13. ラヴ・アンド・ヘイツ
14. ペイパー・サン
15. グッドバイ