アジア金属マル秘発掘報告 〜インド|SECRETS OF SILENCE〜

アジアのメタルシーン
埋もれた秘宝を発見せよ!世界各地にはまだまだ知られざるバンドがうごめいている。ここではアジア圏に的を絞って探りをいれて掘り起こし、簡単な調査報告をしていく。その価値は未知数。
今回は、インド北東部のトリプラ州アガルタラで活動するブラック/スラッシュメタルSECRETS OF SILENCE。
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金属名:SECRETS OF SILENCE
産出地:トリプラ州アガルタラ



インドはトリプラ州の州都アガルタラで活動するブラック/スラッシュメタルバンドSECRETS OF SILENCE

Diptanu Debnath aka SKULLSMASHER:ギター
Kaushtav Bora:ヴォーカル
Suraj Debbarma aka HELLSIDER:ベース
Priyanuj Pratim Dutta aka BLASTBEATER:ドラム

彼らは約1年半ぶりとなる新曲「Unpredictable Beast」を2021年2月18日にリリースした。

SECRETS OF SILENCE「Unpredictable Beast」

SECRETS OF SILENCE、そしてトリプラ州と聞いてすぐにバンドやその場所のイメージが思い浮かぶ人も多くはないだろう。良い機会なのでギタリストのDiptanu Debnathに基本的な情報を教えてもらうことにした。


Diptanu Debnath:トリプラ州はインド北東部にあって自然の美しさに満ちた美しい小さな州だ。ここには5つの山脈があり、歴史的な場所もたくさんある。


バングラデシュに食い込むように存在するトリプラ州。総面積の55%は森林地帯であるという。詳しい流れは省くが、1949年にインドに編入されたものの、それ以前は長い間ヒンドゥー教国の王国として存続していたことからトリプラスンダリ寺院やウナコティ遺跡など歴史的に重要な場所が点在する。

ロックやメタルのシーンと呼べるものはあるのだろうか。


Diptanu Debnath:2010年、2011年頃までさかのぼると、この場所にもメタルやロックの良いシーンがあった。HORJAWLAISWRAIJAKのような良いバンドもいたのさ。でも今は、ほとんどの人がボリウッドやポップミュージックに夢中になっていて、シーンはほぼ消滅しかけている。


残念な話だが、この地では長く活動し続けるロック/メタルバンドは少ないのかもしれない。彼らが挙げたブラッケンドデスメタルのSWRAIJAK、デスメタル系のHORJAWLAIのほか、ANCESTRAL ATROCITYTWIJLANGINCIDIOUSLADYBIRDIN MY CRIBなどが積極的に活動していたのだが、解散したバンドもいれば、しばらくの間停滞しているように見えるバンドもいる。

ただ、まったくもって希望がないとは言えない。このSECRETS OF SILENCEはもちろん、ブルータルデスメタルのFOETAL DYSTROPHYは2019年に『Dehumanized』EPを、ブラックメタルのDECIPHERは今年『Vituperation』EPをリリースした。

では、SECRETS OF SILENCEはいつ頃どのようにしてスタートしたのだろうか。


Diptanu Debnath:俺たちは2018年6月にスタートした。その当時は男3人だったんだけど、なにかクレイジーなことをしたかったんだ。それがすべての始まり。とにかく、自分たちが気に入って演奏したくなるような音楽を作り、それを通してメッセージを発信するってこと。


彼らは悪魔やサタンを賛美しているというわけでもないようだが、自分たちの音楽は“ブラック/スラッシュメタル”とカテゴライズしている。どのようなバンドに影響を受けているのだろうか。


Diptanu Debnath:DISSECTIONSLAYERSARCÓFAGOなどを始めとした多くのオールドスクールなバンドから影響を受けている。それと、悪魔やサタンを崇拝しているわけではないけれど、俺たちの中に彼らが存在することを真剣に信じている。
SECRETS OF SILENCE『Satan's ...

SECRETS OF SILENCE『Satan's Arrival』EP

収録曲
1.Chaos In Hell
2.Accepting Evil
3.Satan's Arrival
4.Blood Raven
そんな彼らは2019年9月5日に『Satan’s Arrival』というデビューEPをリリース。メインはネット上での配信だが、CDも若干枚数作られたようだ。


Diptanu Debnath: 今の時代、人々はCDプレーヤーで音楽を聴くことはなく、誰もがデジタル音楽を好むようになっているからCDにしたのは25枚くらい。本物のメタルヘッズだけが、その価値や販売する理由をわかっているのさ。歌詞のテーマは、邪悪さ、死、サタニズム、社会的葛藤について。リスナーからの反応はとてもクールだったね。EPを買って聴いてくれた人たちは、俺たちの作品を本当に評価してくれた。

SECRETS OF SILENCE「 Satan's Arrival」

そしてそのデビューEPから約1年半後の2021年2月18日に新曲シングル「Unpredictable Beast」がリリースされた。かなり音質が向上してヘヴィになっている。以前にはない変化があったのだろうか。


Diptanu Debnath:良い音を出すためにいくつかの実験をしてみた結果、とても良いものが得られたのさ。あと、音楽的理念は以前と変わらないんだけど、何度かラインアップの変更を行ってギタリストが2人から1人になった。だから作曲方法が変わり、それが新たな挑戦となった。


歌詞に関して、人はケダモノに変化しやすいという弱点を扱っているように思えたが、実際はどういう内容なのだろか。


Diptanu Debnath:実のところ弱点というのとは違うんだ。単純に人間の行動や取り組み方だけで、やがてはその認識がケダモノになってしまう。人間を信頼することはできないし、人間のマインドを研究することもできない。それは最も危険な生き物だからだ。なにが起こるかわからないのさ。


彼が先に述べた「俺たちの中に悪魔が存在することを真剣に信じている」のと繋がってくる。「人を信頼できない」というのは悲しいけれども、世界の政治経済という大きな枠組みで見ればまったく信頼できないのも理解できる。ましてや神という存在にも二面性はあるのだから人間の中に悪魔がいても致し方ないのかも。芸術/美術には贋作もあるし、食品には偽装問題が。見方次第では「愛」や「平和」という言葉自体にも悪が紛れ込んでいるようにも思える。ああ、なるほど、人間なんて信頼できないや。永遠に変わらぬ愛を求める夢追い人になろう(笑)

さて、冗談はさておき、悪魔の存在については各々で考えてもらうとして、新曲を出したばかりのSECRETS OF SILENCEは今後どうしていくのだろうか。


Diptanu Debnath:フルレンス・アルバムを制作している。もちろん、国内や世界のさまざまな場所でツアーやパフォーマンスをしたいとも思っているけど、俺たちにはマネジャーもいなければ、どこのレコード会社とも契約していない。だからこれらを管理してやっていくのはとても難しい。

一世代前の主だったロック/メタルバンドはあまり精力的な活動していないと見受けられる現在のトリプラ州だが、まずは最近作品をリリースしたDECIPHERFOETAL DYSTROPHYそしてこのSECRETS OF SILENCEのトリプル・エクストリームメタルバンドたちでシーンを支えて次へと繋げてもらいたい。