アジア金属マル秘発掘報告 〜中国|DOPAMINE〜

アジアのメタルシーン
埋もれた秘宝を発見せよ!世界各地にはまだまだ知られざるバンドがうごめいている。ここではアジア圏に的を絞って探りをいれて掘り起こし、簡単な調査報告をしていく。その価値は未知数。
今回は中国のDOPAMINE。
金属名:DOPAMINE
産出地:中華人民共和国 江西省南昌市(Nanchang, Jiangxi, CHINA)


デプレッシヴ/アトモスフェリック/エピック/シューゲイズ/ポスト・ブラック・メタル、ネオフォーク系のバンドを主に扱い、世界中のブラック・メタル・マニアから注目されてきた中国のレーベルと言えば、間違いなくPest Productionsだ。

BE PERSECUTEDBLACK KIRINBLACK REAPERDEEP MOUNTAINSDOPAMINEFROZEN MOONHEARTLESSREVERIE NOIRETENGGER CAVALRYなどの中国本土のバンドはもちろん、GHOST BATH(アメリカ)、INFERNO REQUIEM(台湾)、THE LAST DAYS(ブラジル)、DYSTHYMIA(アイスランド)、HERETOIR(ドイツ)、ARKONA(ポーランド)、明日の叙景(日本)、VALLENDUSK(インドネシア)、PURE WRATH(インドネシア)、NO POINT IN LIVING(日本)、KANASHIMI​(日本)、PALE(日本)、INGRAIN(イスラエル)、CUCKOO’S NEST(ウクライナ)、CELEPHAÏS(ドイツ)、AETHER(ドイツ)、LAMENT(インドネシア)、SEEDS OF IBLISといった世界中のバンドも紹介してきた。

そのレーベルのメイン創設者はDeng。彼はDOPAMINEというポスト・デプレッシヴ・ブラック・メタル/ブラックゲイズ・バンドでも活動している。正確に言うと、約10年の時を経て彼らは復活し、10年前に制作したアルバムを2019年末にリリースしたのだ。

一体どういうことなのか。中国一有名なブラック・メタル系レーベルを主宰する人物のバンド、DOPAMINEの流れを追ってみた。
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DOPAMINE生成&精製

DOPAMINEは、2008年にDengJiangによって結成されたプロジェクトだと聞いている。どのような経緯で結成に至ったのだろうか。

Deng:最初に、Jiangは大学に進学するために私の町(Nanchang/南昌市)に来ました。その頃、友人でEXPLOSICUMのボーカルを務めるTanが、HATE KAというメロディック・ブラック・メタル・バンドを結成しました。JiangHATE KAのギタリストとして参加すると同時に、IN THE ABYSSと呼ばれる自分のソロ・プロジェクトも始めました。それはIMMORTALのようなノルディック・ブラック・メタルで、その後、私もIN THE ABYSSに参加します。IN THE ABYSSのアルバムを制作している間に、Jiangと私はポスト・ブラック・メタル・バンドを結成するというアイデアを思いつき、DOPAMINEが生まれたのです。

ここで少し補足しておくと、HATE KAの結成が2005年12月。Jiangが在籍していたのは2006年から2008年にかけて。IN THE ABYSSは2006年に開始している。

その後2009年になるとDOPAMINEは、ドイツのNo Colours Recordsからアルバムをリリースし、海外からも高い評価を得ていた同郷のデプレッシヴ・ブラック・メタルBE PERSECUTEDからZhaoを迎える。

Deng:Zhaoは長年の友人でした。私たちは彼の声が好きでしたし、とてもシャープで絶望感を感じる声が必要だったのでバンドに誘ったのです。

実際、Pest Productionsの第一弾リリースはBE PERSECUTEDのデモ(2006年)である。

In the Abyss (Dopamine members) - The Frosty Heart in Snowstorm (Teaser)

Be Persecuted - The Last Right | Chinese DSBM

それは、もののあはれ……

それにしてもDOPAMINE(ドーパミン)だなんて、なかなかに度胸のいる直球勝負のネーミングだが、この手の音楽にはピッタリではある。

Deng:バンド名は私が思いついたもので、この種の脳分泌成分は人の感情をコントロールします。ドーパミンがなければ人は鬱病になっていく。それは私たちの音楽制作における“物の哀れ”というテーマに合っています。

バンドのテーマはロマンス、夢、現実、喪失、鬱といったものだと聞いていたのだが。

Deng:悲しみの感情の類ですが、具体的なことは確かではないのです……

ドーパミン

なるほど。世界のバンドを見渡せば、“エンドルフィン”や“アドレナリン”といった使用例もあることから、神経伝達物質からバンド名を決めるのは良いかもしれない。例えば、“ダイノルフィン”なんて単純に響きだけでかっこいい。

とは言ってもストレスを和らげ、安らぎ、愛情、信頼のホルモンと呼ばれる“オキシトシン”や睡眠ホルモンと呼ばれる“メラトニン”。平常心を保ち、幸せ、癒やしのホルモンと呼ばれる“セロトニン”などを選択してしまうとバンド名としては弱すぎる気もする。

いや、案外それもありかもしれない。セロトニンの不足はネガティヴ思考で鬱傾向になってしまうし、オキシトシンが鬱を改善する可能性もあるのではないかとも言われている。包み込んで癒やすようなコンセプトがあるのならそれもありだろう。まぁそれでもこれらの単語の響きはいまいちバンド向きとは思えないけれども。

その点、“ドーパミン”は比較的良い響きのように思える。

さらに、人の行動モチベーションを向上させるのには、ドーパミンが一番関係しているとか。

何かしらの幸福や報酬への“期待感”からドーパミンが分泌されて意欲を掻き立てると言われており、運動、快感、意欲、食欲、性欲などに関わってくることから、Dengが話したように、ドーパミンが不足すれば鬱病、またはそれに類した無気力状態に陥ってしまうことは理解できるはずだ。

このことから「ドーパミンを上手く分泌させて学習や仕事に取り組もう」などということが様々な場所で言われている。しかし、良い面ばかりに作用するわけではない。このドーパミンを長期的に活用できない場合は、アルコール、煙草、糖類、ギャンブル、ゲーム、ドラッグ、ソーシャルメディアといった端的で短期な刺激の虜となって抜け出すことは困難になってゆく。

しかも、同じ刺激はいつまでも通用しない。慣れることでドーパミンは出づらくなるので、より強い刺激、または新たなる刺激が必要となるのだ。

我々はほとんど無意識のうちにその刺激=快楽を日々追い求めている。つまるところ、聖人でもない限り、人の一生は、快楽=ドーパミンを追い求めて彷徨っていることになる。

さらに、短期的な刺激によるドーパミン分泌に依存するようになると、記憶をつかさどる海馬が萎縮して記憶障害や鬱になってしまうのだとか。

インターネットや多彩な娯楽、物質が溢れる現代において、罠はいたるところに仕掛けられている。

つき合い方次第でどちらにも転ぶ悪魔的な魅力を持っているのが“ドーパミン”だと言えよう。シビレるバンド名の選択だ。

もののあはれ

Dengは人の感情を左右する神経伝達物質ドーパミンは、「音楽制作における“物の哀れ”というテーマに合っている」と言っていたが、ドーパミンの効果と“物の哀れ”がどのように合致するのかという部分に関しては深い考察が必要になるだけでなく、本人に聞いても明確な答えが得られないかもしれない。ともかくも、悲しみの感情の類をテーマにしつつ、その「具体的なことは確かではない」と言っているほどだからだ。

それにしても“物の哀れ”という言葉が出てくることには驚いた。

一般的に“物の哀れ”と言えば、哀愁や哀憐といった言葉に代表されるように、“あわれむ”“かなしむ”といったイメージが真っ先に思い浮かぶだろう。

ところが、(詳細は省くが)江戸時代の国学者、日本古典研究家である本居宣長『源氏物語』を取り上げて提唱した“もののあはれ”は、それだけの意に留まらない。

心温まること、胸を打つこと、魅了されること、高揚感、歓喜、切なさ、恐怖、などの喜怒哀楽といった感動がそこには含まれており、物事に触れ、見聞きすることで生じる言葉にならないしみじみした情感。しかし、それは人の感情のみならず、万事にわたってすでに存在しているもの。そしてそれを、ありのままに心に受け入れ、突き動かされ、感じたものなのだと。

おそらく、この世に存在するすべてのものはゆらぎ、移ろう、常あらざる無常にあるのだ。

永遠や不変を望みつつも、人生のふとした瞬間に我々はそれを感じ取る。それは紛れもない無常。けれども、それと同時に万物との繋がりを感じているのではないか。さらに言えば自分とその対象とが繋がったからこその情感。危うさを孕みながら、おのれもそれも共同体を形成していて、その中でひとつであることを感じ取ったことを意味する感嘆でもあるのかもしれない。

ドーパミンという神経伝達物質を思うように制御するのは容易ではないし、ひいては人間そのものも不安定である。それらを含め、まさしく万事にわたって“もののあはれ”は存在しているのだ。

その中でも特に「悲しみの感情の類」を焦点にしてテーマに掲げつつも、その悲しみがなんであるかという「具体的なことは確かではない」とするのは世の理が無常であるからゆえなのかもしれない。

ただ、確実に言えることは、DOPAMINEを含め、この種の音楽を演奏するバンドたちは、自然であろうが人の感情であろうが、そのものごとを見逃さずに心を開き素直にそれを受け入れる純粋なるところを起点として音楽を描いているということ。
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中国におけるポスト・ブラック・メタルの先駆者

通常、DOPAMINEの音楽スタイルはポスト・デプレッシヴ・ブラック・メタルやブラックゲイズなどのように呼ばれることが多く、中国国内においてはポスト・ブラック・メタルの第一波、もしくは第一世代として認知されている。

では、どのようなバンドから影響を受けたのだろうか。当時、中国にはこの手の音楽を演奏しているバンドはほかに存在しなかったのだろうか。

Deng:はい、当時同種のバンドはありませんでした。バンド設立当初は、AMESOEURSALCESTの影響を受け、徐々に独特のスタイルを確立し、さらにデプレッシヴ・ブラック・メタルへと傾倒していったのです。

ポスト・ブラック・メタル/ブラックゲイズ/ポスト・メタルとして名を馳せるフランスのALCESTは説明不要だろうが、AMESOEURSは、ALCESTの中心人物Neige、そしてWinterhalterが以前在籍していたバンド。DOPAMINEの結成が2008年ということを考えると、割と早い段階でこの手のサウンドに着目していたことになる。Dengはレーベルを運営するだけあって時代の流れのとらえ方や先見性などといった感性は鋭いのだろう。

デビュー前夜

彼らはまず、DengPest Productionsから2009年9月にリリースされた2種の多国籍コンピレーション・アルバムに参加する。

1枚目は『The World Comes to an End in the End of a Journey』。参加バンドは、ETHEREAL BEAUTY(アメリカ)、DERNIER MARTYR(ロシア)、SOLINESS(ドイツ)、 HERETOIR(ドイツ)、SHYY(ブラジル)、そしてDOPAMINE。彼らはここに「Melting」を提供。

2枚目は『Depression and Hatred of 3 Years』。参加バンドは、BAUDAHERETOIR(ドイツ)、THRÄNENKIND(ドイツ)、SKELETAL AUGURY(中国)、IN THE ABYSS(中国)、VERGISSMEINNICHT(中国)、HINSIDIG(ノルウェー)、DYSTHYMIA(アイスランド)、DARK FOUNT(中国)、ZURIAAKE(中国)、MIDWINTER(中国)、そしてDOPAMINE。彼らはここに「I (水棱)」を提供。

Deng:「Melting」は私たちの最初の作品です。しかし、このバージョンは未熟で、現在の公式アルバムに再録音されたバージョンで大きな変更がされています。  「Ⅰ (水棱)」は私たちの2番目のレコーディング作品です。一晩で創作してレコーディングしました。この作品に満足しているので、後にリリースした公式アルバムでも変更はしていません。

2010年『Dopamine』と幻の『Dying Away in the Deep Fall』

バンドは2010年に「Ⅰ:水棱」「Ⅱ:迷夜 Pt.Ⅰ」という2曲を収録した『Dopamin』をリリースする。

まずは、ニュージーランドのTaphephobia Productionsからアナログ・レコードで、その後イギリスのUnder the Dark Soilからカセット・テープで。さらに2017年には中国のStress Hormones Recordsから「Melting/溶解」を追加収録したアナログ・レコードで再発。現在はPest Productionsからデジタル・リリースされている。
DOPAMINE『Dopamine』EP

DOPAMINE『Dopamine』EP

収録曲
1.Ⅰ:水棱
2.Ⅱ:迷夜 Pt. I

Dopamine - I: 水棱

この作品はデモだとかEPだとか情報が錯綜しているのだが、カセット・テープやアナログ・レコードはこの手のリリースにありがちな少数生産ではあったものの、中国国外からリリースされただけあってディープなマニアには認知された。

Deng:私達は多くの注目と肯定的なフィードバックを得ています。EPとしてリリースされましたが、きちんとしたミキシングなどの作業を行っていないので、実際にはデモに近い音源です。実は、バンドはEPのリリース前に解散したのですが、Zhaoはバンドを離れたことはありません。

なんと!?解散後に作品をリリースして注目されるとは……

Deng:世界中のファンが私たちがリリースしてなかったアルバム『Dying Away in the Deep Fall』のフィジカル・コピーを探しているのです。その原因は、とあるファンが作成したデジタル・バージョンがインターネットに流出したからです。 ですから、そのアルバムはリリースされているものだと多くの人が誤解して、過去10年間で大勢の人々が私に購入を希望するメールを送ってきていたのです。

え!?ちょっと待った。話がますます複雑になってしまった。DOPAMINEは2008年夏に結成し、2009年冬に解散したという情報があるが、一体何が起こったのか今一度話しを整理してもらおう。

Deng:そうです。私たちは2008年に結成しています。2008年の中頃から後半にかけてアルバム『Dying Away in the Deep Fall』の曲作りとレコーディングを完了しました。元々は2009年の『The World Comes to an End in the End of a Journey』の参加後にリリースする予定でした。ですから、2009年中頃にPest Productionsの製品を購入した一部のファンは『Dying Away in the Deep Fall』のプロモーション・カードを受け取った可能性もあります。その後、様々な事情からバンド活動は中止となりますが、このアルバムはバンドを解散する前の最後の作品として2010年までリリースを延期することになりました。ところが、残念なことにハードディスクが破損してすべての録音ファイルが失われてしまいました。 もう私たちは作り直す気力も失い、Jiangもこの町を離れて北京へ行きました。

そしてJiangはハード・ロック・バンドJACKY DANNYを結成、Dengはレーベル運営に力を注ぐことになる。

失われし10年に再びの息吹を

このように、失意に暮れて散り散りになったDOPAMINEは、その活動に終止符が打たれたはずであった。

ところが結果として、2019年12月に『Dying Away in the Deep Fall』Deng自身のレーベルPest Productionsから正式にリリースされているのだ。一体どういう経緯があったのだろうか。

Deng:まず第一に、この10年の間に非常に多くのファンたちが、このアルバムのリリースを楽しみにしていたということ。そして実際にリリースすることになったきっかけが2018年にありました。その年のある日、私は、とある空きハードディスクからアルバムのバックアップ・ファイルを発見したのです。もちろんそのファイルはまったくもって遥か昔、初期の頃ものですが、再録音するのには役に立ちますので、私たちは時間を作って再びアルバムを作り始めたのです。実際、Zhaoの声は10年前に録音されたものです。
DOPAMINE『Dying Away in the ...

DOPAMINE『Dying Away in the Deep Fall』

収録曲
1.Intro
2.Incised by Water/水棱
3.Night of Confusion I/迷夜 Pt.I
4.Night of Confusion II/迷夜 Pt.II
5.Melting/溶解
6.Dying Away In The Deep Fall/逝於深秋
「Incised by Water/水棱」「Night of Confusion I/迷夜 Pt.I」「Melting /溶解」などは初期に発表していた曲だが、「Intro」「Night of Confusion II/迷夜 Pt.II」「Dying Away in the Deep Fall/逝於深秋解」などの曲はいつ頃作られたものだろうか。まさか新曲?

「Dying Away in the Deep Fall/逝於深秋解」のデモは未発表曲として『Pest Productions 2006-2016 - Hate And Elegy For 10 Years』に収録された。

Deng:それらの“新曲”はすべて2008年から2009年にかけて作ったものなんです。懐かしいですね。月日が経つのは早いものです。この10年はまるで1日だったかのようにあっという間でした。この感覚は私たちが作ったテーマにも非常に近いものなのです。

なるほど、当時、アルバムを制作していた時の“新曲”というわけだ。10年後に掘り起こされたタイムカプセルのようでもある。

Deng:私たちは基本的に2008年の晩秋にアルバムの制作を完了させています。ちょうどその時期は金木犀の花が落ちる頃。そこからアルバムのタイトルを『Dying Away in the Deep Fall』と名付けたのです。 そして、私達は金木犀の花を写真に撮ってアルバムのアートワークにしました。しかし、今回リリースした10年後のリメイクでは、新しいデザインが必要となり、私好みの中国のイラストレーターGao Si Yuan(高思远)を見つけたのです。また、私達は限定で『Dying Away in the Deep Fall』のCD3枚組ボックスセットもリリースしており、新しいアートワークを使用したリメイク盤のほかに、インストゥルメンタル盤、10年前の古いバージョンのアートワークと2009年のデモを収めたCDも同梱しています。
DOPAMINE『Dying Away in the ...

DOPAMINE『Dying Away in the Deep Fall』2009年のオリジナル・カバー

ところで、今作は歌入りの通常盤のほかに、歌なしのインストゥルメンタル盤も存在しているが、これはなにか深い意味があるのかと思いきや、至極単純な理由からだった。

Deng:一部のファンはインストルメンタル・ヴァージョンを好むので作ってみたのです。

確かに、インストルメンタルにすることで、聴き手側にとっては、容易に自分なりの感情をそこに乗せ、より自由に想像力を働かせて没入することが可能になる余白が生まれるのだろう。

では、バンド自身はそれぞれの曲でどのような感情を表現しているのか今一度尋ねてみよう。

Deng:混乱、苦しみ、絶望。

嗚呼……やはりそうなのだ。

しかし、あなたもこの危ういDOPAMINEを試してみたらいかがか。

それとも憂鬱な気分に自分を落とし込むのは怖いだろうか。確かに、このメランコリーというのは、古代ギリシャ、ローマ、中世ヨーロッパで考えられていた四気質(胆汁質、憂鬱質、多血質、粘液質)の中で黒胆汁質(憂鬱質)に分類されている。

この気質(メランコリア)は、頑固、孤独、神経質ということでまさに鬱傾向で病気や狂気に関連すると言われていたのだが、その一方で、芸術の源泉であるともされており、思想家や芸術家を生み出す可能性が高いという。

善し悪し、成熟や未成熟といったことを抜きにして、憂鬱は、どうにもならなくなってしまった状況におけるひとつの感情表現で、理解し満たしてくれるものを求める愛憎交えた激しい叫びでもあると思う。満たされて心が健康な状態にある人だって欲するものがあるはずだが、それは名誉や権力、金銭、色、食に関する類の欲だろう。そんな彼らからしてみれば、鬱状態の人の叫びも足掻く姿も感じられず、ただ塞ぎ込んでウジウジとしているだけに見えてしまう。

ということならば、心が良い状態で安定している人よりは、メランコリア気質の状態の方が芸術的な創造性が高いというのもうなずける。ただし、身を削ることは確実であるし、その感情をどのように表に出して、それがどう受け取られるのかは別の話だ。芸術とはかくも悲しいものなのか。

メランコリアの伝播によって自身がどうなるのか確かめて見るもの一興かもしれない。

DOPAMINE - Dying Away In The Deep Fall /逝於深秋

追加情報

DOPAMINEはアルバムをリリースする直前の2019年12月7日北京、8日上海にて<From Ashes to The Light Vol.4>というイベントで演奏している。ここに出演したのは、HEAVEN IN HER ARMSSANS VISAGEVAMPILLIAVIOLENT MAGIC ORCHESTRA(VMO)といった日本を拠点とするバンドたち。

Deng:VAMPILLIAVMOが北京で「Night of Confusion I/迷夜 I」に特別ゲストとして参加してくれたことにとても感謝しています。また、Zhaoと香港のデプレッシヴ・スイサイダル・ブラック・メタルのDISMALは上海で「Melting/溶解」「Dying Away in the Deep Fall」を熱唱しました。私たち今後もライヴを行うかもしれませんが、時間があれば新しいスタジオ作品をレコーディングしたいと思います。今はもうたくさんの新曲がありますから。